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2006年4月3日(月)

起きてるか?

 ちょうどテレビで”銀河鉄道999”が放映されていた頃である。
 練馬にアニメの制作スタジオが多い関係で、ファンだった私はよく某西武線を使い通ったものだった。
 そんなある日。
 セル画(アニメの撮影用の原画といえば判るだろうか。)の彩色のバイトのために練馬区内のあるアニメスタジオに向かった。
 大量に必要との事で仕事は深夜に及んだが、何とか終わった。
 が、電車も無いため私を含め、KとHの3人が泊まりと言うことになり、近くに住むスタッフは帰っていった。
 
 とりあえずの腹ごしらえと近くにあった深夜喫茶に向かった。
 このころは、24時間営業のような喫茶店がけっこうあったのだ。
 で、大抵がナポリタンやらピラフがメイン料理であった。
 食べ終わり、さて帰ろうとスタジオに向かった。
 その帰り道に寺があった。
 結構広い墓場も隣接しているようなところだ。
 『なんか気持ち悪くねえか?』と一人が言い出すと、気になってくるものである。
 3人は、早足でスタジオに帰っていった。
 私はその時、妙な物を見ていた。
 寺の周囲に塀があるのだが、その一ヶ所に錆びたドラム缶が放置されていた。
 ちょうど塀の繋ぎ目のあたりの出っ張りに押し付けるように置かれていた。
 その上に、そいつは居た。
 腹が膨れ、耳が尖り、まるで仏教画の餓鬼であった。
 黄色い目でこっちを見ているのに気付いた私は、慌てて目をそらし走り始めた。
 他の2人は、見えなかったのだろう。
 怪訝そうに『おーい、どうした?怖いんかァ。』と、歩いてくる。
 『いいから、早く来い!』と怒鳴って、私は走ってスタジオに向かってしまった。
 確かに怖かったからだ。
 
 少し遅れて彼らもスタジオに着いた。
 そこで、仮眠用に作られた小部屋に入り、説明するが信じてもらえなかった。
 多少腹も立ったが、判らん者には判らんかと思い、皆と共に寝ることにした。
 
 小一時間くらい経っただろうか。
 ペタンペタンという足音のような音に起こされた。
 気付くとKも起きあがって、青い顔で聞き耳をたてていた。
 『なんだあれは?』とKが小声で聞いてくる。
 『し、知るわけ無いだろう?』
 まるで、水浸しの雑巾を叩き付けたような音が、部屋まで近づいてくる。
 そして、ドア前に止まった。
 <起きてるか〜。>
 か細い声であった。
 その瞬間、私はいわゆる逆切れをしていた。
 ドアに向かって叫んだのである。
 『悪戯か!ふざけんなよっ!!』
 そう言いながら、勢い良くドアに向かい思いっきり開けていた。
 そこには誰も居なかった。
 顔を出し、覗いたときだった。
 そいつは居た。
 さっきのあの餓鬼だった。ケケッというような笑いを残して消えた。
 とたんにすごい恐怖に感じて、あわててドアを閉めて部屋に戻り。
 朝まで煌煌と電気を点けたままにKとにらめっこよろしく、過ごした。
 そして、朝になると早々に立ち去り、再びココでの仕事は受けなかった。
 いまだにあれが何だったのか、知りたくもあるが怖くて調べられずに居る。

 今は、そのスタジオは無く、ただの住居として存在している。
 Kは、コンピューター関連に勤め。
 結局、熟睡して最後まで起きずにいたHは、某出版社の幹部になっているそうである。
 ただ、あれだけの大声で起きなかったのは、うそではないかと思ってはいるのだが…。


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http://www.chokowa.com/cho-1/entry2/tb.cgi/37

LRg

ぼっこし屋 2006年6月3日 19:18

「洗礼」というママの言葉が効いているように感じました。
てか、もっと頑張れよ影のような男たち……おっと。
±0

水町 2006年6月3日 4:34

場所柄考えると洗礼というのもうなづけます。酒場はいろんなことがありますから。
±0。

mariman 2006年6月2日 20:39

http://plaza.rakuten.co.jp/mariman1234567/3034

イマニ 2006年6月2日 15:37

素材:A
調理:A
盛付:A
結果:1

この話は色々怖い…。

2006年5月30日 17:57

ママの雄叫びカッコイイね。豪快で。
+1

柏木 麻宏 2006年5月30日 14:13

ママさん、すばらしいですね。面白いですし、+1で

久遠平太郎 2006年5月28日 13:14

評価+1。
登場人物と怪異の内容がまさに「新宿」という感じでリアリテイがありました。
文章も整っていて良かったです。

藪蔵人 2006年5月27日 21:38

これ、タイトルが効いてるなあと、思いました。
生半可な根性ではやっていけないのでしょうね。
評点: 1

吉田 2006年5月25日 22:40

得点なし
さっぱりとしたママさんのキャラは良いですね。新宿の女ですからなあ。ただ、彼女のキャラ性や新宿2丁目って土地柄に、話が寄っかかっている印象もありました。面白さの為に利用する位は良くても、そういうシチュエーションの個性に頼るのはイカんかなあ、と。

brother 2006年5月18日 21:23

(・∀・)イイ!!
+1

ミミちゃん 2006年5月17日 23:12

tb
http://chabin.blogtribe.org/entry-2cdd92dc33fd5f61be74e60349276a04.html

有澤 凪 2006年5月17日 1:50

違った怖い話になるのかと思ってどきどきしてしまいました。強いママさんに+1。

もり けんた 2006年5月15日 0:48

う、うーん、弩3を読んでから間もなかったせいかなあ?逆にあれの第一話と妙に被ってしまい、あまり新鮮味を感じなかったのが自分的なネックだにゃあ〜(−−;)
±0ですみません。文章は大変きれいです。

林不二男 2006年5月12日 22:56

登場人物と舞台に合った怪異だと思いました。 +1

TOMOKI 2006年5月12日 17:27

状況も過不足なく語られているし、怪異にも意外性があってw
面白く読めました。
正直、怪異の部分は夢なのではないかと疑う部分もあるのですが…
(疲労で背中が重かったという解釈もできてしまいますし)
眠りかけてはいても眠っていたのではないとはっきり説明されて
いますし、三人の男の現実感も伝わってきますので+1

ponken 2006年5月10日 22:34

変態霊!!しかも三人も。嫌ですね。+1で。
怪異と関係ないですが、新宿の雰囲気とかもよく書かれてます。

sora 2006年5月8日 19:22

文章;■■■■□
怪異;■■□□□
恐怖;■■□□□
評価;■■■□□→±0
面白い話である。
が、あくまで「面白い話」であって「恐怖譚」「実話怪談」としてみた場合、やはり怪異そのものが圧倒的に弱い。
「怖いだけが怪談ではない」と他の講評者の方々にお叱りを受けそうではあるが、私として恐怖なくして怪談は成立しないと考えている。
…いや、面白い話なんですけどね。

じぇいむ 2006年5月8日 3:33

一喝系とでも呼ぶべきか。類話は多いのですが面白かったです。
評価+1

てらまち 2006年5月7日 16:40

何の違和感もなくさらりと読めて、さらに楽しませてもらった。+1。

ナルミ 2006年5月7日 2:37

これだけでは単なる夢という気もする。
±0

金縛郎 2006年5月7日 1:17

なかなか面白いですね。甘めの○。

風来月人 2006年5月6日 16:22

確かに弩3向けですが、おもしろいので○にします。

hydrogen 2006年5月6日 16:06

-0

程よいディティールや語り口は良いと思いました。
まとまっていて、あまり恐怖する話ではないのかなぁと。
体験者も過去の話として整理がついているようだし。

ネジ 2006年5月6日 15:14

お土地柄?>全裸の男
というわけでもないだろうけどw確かにくりちゃんの仰るとおり『弩3』向けですねー。
でも超怖向けと考えると ±0

くりちゃん 2006年5月6日 13:39

『弩怖い話3』に出てくるようなお話ですね。
気丈なママさんに乾杯!○
O
e