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2006年4月26日(水)

悪戯

 美濃君が大学生の頃。
 彼は三階建ての学生寮に住んでいた。
 そのときに他の寮生とやっていた悪戯がある。

「新入生が入ってきたらやるんだけど」
 夜中、新入生の部屋のベランダに侵入する。
 サッシを小さく叩く。起きるまで叩く。
 新入生が起きてくる。
 カーテンを開けたところで。

「奇声を発しながらサッシに張り付く」

 単純だが、結構効き目があるのだという。
 気の弱い新入生なら、失神することもある。
 中には、大声で叫びながら道路まで出て行って、車に轢かれそうになるものもいた。
 美濃君たちはそれを見て大笑いをしていた。
「やる方だって、ベランダに進入するのは命がけですしねぇ。若さですよねぇ」

 しかし、中には剛の者もいる。
 ベランダで叫ぶ美濃君を捕まえて、そのままブン投げた者。
 サッシを開けて、ぶん殴ってくる者。
 ベランダから落とそうとする者。
 まさに命がけである。

「けど、久米ってやつがすごく印象に残っているなぁ」
 久米君という新入生。
 彼は悪戯をされても全く驚かなかった。
 それどころか、にっこり笑って美濃君をベランダから部屋に招きいれた。
 驚かなかったのかよ? と訊くと「いや、驚きましたよ」と久米君は笑う。
 なにか拍子抜けをした。
 それ以来、二人は仲良くなった。

 次の年の春。
 美濃君は久米君に、あの悪戯をお前もしないか? と持ちかけた。
 久米君は笑ってこんなことを言った。
「他の悪戯をしましょう」
 どんな悪戯か訊いた。
「本物の幽霊を見せる悪戯です」
 へ? そんなこと出来るわけないだろ、と美濃君は笑った。
 俺にも見せる事が出来るのかよ? と訊くと「出来ますよ」と久米君はこともなげに言う。
 じゃあ見せろ、すぐ見せろ、と言うと「今はダメです」と久米君は頭を振った。
 結局準備が必要だから明日なら、と言う事になった。

 次の日。
 美濃君は久米君から「和紙を小さく折りたたんで糊付けしたもの」を貰った。
 それを部屋のどこかに置いておくと、幽霊が出ると言う話だった。
 ただ「それを開いてはいけませんよ。開いたら出ませんし、逆に酷いことになりますから」と言われた。

 半信半疑だったが、とりあえず部屋のテレビの上にその“和紙”を置いておいた。

 深夜番組を見ているときに、急に背中がぞわぞわっとした。
 背後に人の気配がする。
 振り返るが誰もいなかった。
 ふいに“和紙”のことを思い出した。
 テレビの上を見る。
 
 人の頭があった。

 目を閉じた、若い男の頭だった。
 まるで眠っているような顔だった。
 ただ、そこに置いてある感じだった。

 美濃君はそっと部屋を抜け出すと、久米君の部屋に行った。
 顔を見るなり、久米君が言った。
「ね? 出たでしょ?」
 とりあえず朝まで久米君の部屋で過ごさせてもらったという。

 朝になってから、部屋に戻ると何もなかった。
 点けっ放しだったテレビが消えているだけだった。
「そのまま“和紙”を回収して、久米に返しました」
 久米君が「これで悪戯、やりますか?」と訊いてきたので「もういい」とだけ言った。

「それから悪戯は止めた。あれを見たら出来なくなったよ」
 と美濃君は言う。

 あの“幽霊が誰でも見える和紙”について訊いてみた。
 答えは「よく知らない」だった。
 久米君に訊く事さえしたくない、と当時は思っていたのだという。
 結局、卒業してから久米君とも疎遠になって、今はどうしているかも判らない。

「しかし、必ず幽霊が見れるアイテム、って本当にあるんだな」
 彼はどこか懐かしそうな顔になった。


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[講評]悪戯 by 極私的【超−1】講評 at 2006年4月27日 0:51

LRg

柏木 麻宏 2006年6月3日 23:45

ううん、怪異なのか…0

ぼっこし屋 2006年6月3日 19:38

怪異自体が弱く感じますね。
盛り上げるだけ盛り上げて肩透かし、という典型に思います。
±0

sora 2006年6月3日 18:56

文章;■■■□□
怪異;■□□□□
恐怖;■□□□□
評価;■■□□□→±0

久遠平太郎 2006年6月2日 23:13

評価−1。
ちょっと怪異が弱いなあ。
期待して読み進めていただけに落差が大きかったです。
厳しめで。

mariman 2006年6月2日 21:30

http://plaza.rakuten.co.jp/mariman1234567/3169

ミミちゃん 2006年6月1日 0:38

tb
http://chabin.blogtribe.org/entry-bb50c011e49d2df4b2034c158f341825.html

吉田 2006年5月29日 23:46

得点なし
惜しいなあ。
怖さの雰囲気作りまでは、かなり成功していると思うのです。
風の吹く屋上にポツンと立つジッポライターって映像も、すごくいい感じ。
しかし、「さあ、くるぞ!」と思わせておいて、結局、直接の怪異はナシってのが……。うーん、もうちょっと何か下さいな。
若手俳優たちが何を体験したのかの説明が無いのも、ちょっと不満が残りました。

有澤 凪 2006年5月29日 2:19

行っていない屋上にライターがぽつんと置いてある光景はなかなか怖いですね。肝試しものとしての条件はある程度クリアーしているものの、抑えた表現で損をしていると思いました。±0

林不二男 2006年5月28日 20:30

ぽつんと置かれた木製の椅子と、その上に立っているライターをもっと詳細に描写して、何だかわからないけど怖いなあと思わせてもらいたかったです。 得点なし

藪蔵人 2006年5月28日 1:25

最初から四階には何かがあると思わせているわけですが、その根拠が示されることもなく、
大の大人が揃って怖がっているのですから、それなりに予兆、のようなものがあったのではないかと思われるのですが…
評点: 0

もり けんた 2006年5月27日 7:08

うーん、この作品もですね〜(^^;)
四階に何が隠されているんだろうというドキドキ感とオチの落差に…(_;)
B級ホラーの結末みたい。まあ、そこらへんがいかにも実話っぽいのでもありますが…。
惜しい!もうプラスαの怪異を導き出せていればニャー(TT)±0。

brother 2006年5月26日 21:05

文章が淡々としていて、(;´Д`)コエーという感じにならなかったです。
怪異に至るまでの前置きが長いのも要因かもしれません。
むしろ焦りました。
「あと数行だよ、いつ怪異が発生するんだ?ていうか発生するのか?」
とか。
文章は逝けてるんですが、構成と内容の弱さが響いてる感じです。
評価は難しいですが、±0とします。

田原 誠 2006年5月25日 9:52

 屋上へ上がる鍵を持っていた、という点で引っかかってしまった。
 まず、この話からすると支配人が渡してくれる筈はなさそうに思える。また、逆に持っていたとしたら屋上に誰かが行くことは何の不思議でもなくなる。
 いずれにせよ、怪談とするには根拠が弱すぎる。ジッポのライターなら重いから倒れなくても変ではないし。100円ライターならともかく。   ▼

TOMOKI 2006年5月23日 15:05

…うーん、ライターのくだりは人為的な悪戯の可能性が捨て切れません。
最後2行の余韻はとても巧いと思ったのですが、辛めで−1

杜井 都衣 2006年5月23日 12:29

■:「いやぁ、実はみんなで探検しちゃいました!」
と、是非言ってほしかったですねぇ。
ドキドキしながら読み進めましたが、なんだか物足りなかったです。

てらまち 2006年5月23日 9:36

期待を持たせた割には、がっかりした終結。文章が上手なだけに惜しい。−1。

マリポーサ 2006年5月22日 11:53

単なる勘違いとかいたずらっぽい話。怪異の程度と長さの落差も激しい。
−1

ponken 2006年5月21日 19:08

前ふりは期待大だったのですが、最後はライターが立っていただけで、少し肩透かしでした。
+−0で。

くりちゃん 2006年5月21日 8:55

不気味な雰囲気が漂っているのはわかりましたが、消化不良な感じ。
支配人の問いに「屋上まで行っちゃった」と答えたらどんな展開になったのでしょうか。

金縛郎 2006年5月21日 4:31

読後の正直な感想を言えば、「なんだこれだけか」でした。
文章は悪くないと思いますが。
±0。

ネジ 2006年5月21日 1:05

けっこうワクワクしながら読んでましたが、ハッキリ書かれていることはライターの部分だけ。ちょっとガックリ。±0

風来月人 2006年5月21日 1:00

単なるいたずらとも読める。-1

ナルミ 2006年5月21日 0:53

これだけの大人数で何がそんなに怖かったのか、そこが書かれていないので欲求不満になる。
ライターの移動も、怪異とは言えないくらいの微怪異。
でも文章はよかったので±0にしておく。
O
e