島田君は「見える」人だ。幼い頃から常人には見えない物を、何度もはっきりと見てきた。
今年一月のある日曜日、晴れた午後に島田君が散歩に出かけた時の話。
島田君が国道沿いの歩道を歩いていると、大手自動車メーカーの販売店があった。歩道に面した壁は一面ガラス張りで、日の光を浴びきらきら輝いている。
通り過ぎようとして、何気なく店内を覗いた島田君は、思わず息を飲み立ち止まってしまった。
店内では今、夫婦らしい若い男女が一組、ガラス壁に面して置かれた椅子に並んで掛け、熱心に男性店員の説明を聞いていた。小さな丸いテーブルを挟んで座る店員は、テーブルの上に広げた車のカタログを指差したり、カタログの余白に何か書き込みながら説明している。
背広にネクタイの店員が、書いては顔を上げ夫婦に話しかけ、又書いては話しかけるのを繰り返している。話し声は歩道には全然漏れてこない。島田君には三人がぱくぱくと口を動かしているのが見えるだけだ。
店員の方には何の問題も無い。まったく正常だ。
だが若夫婦の方は異常だった。
今夫婦は真剣に説明を聞いている。店員が書いたものを覗き込んでは丹念に見ている。
質問をしては店員の答えを注意深く聞き、しっかりとうなずく。その間中、夫婦は何度も顔を見合わせ、話したり笑ったりしていた。とても楽しそうだ。
しかし二人は血みどろで全身焼け焦げていた。
黒焦げのぼろ屑のような服から、焼け爛れた手足が覗いている。
肩から首筋にかけて皮膚が爆ぜ破れ、火に焼かれて胸の悪くなるような赤黒い色に変色した「肉」が体内から露出している。
夫の後頭部はぐちゃぐちゃに潰れていた。
妻の右頬骨は完全に陥没して、頬肉と唇の右半分が抉り取られている。
それでも目の表情や、唇の左端が上がるのを見れば、彼女がにこにこ微笑んでいるのが分かった。
このような姿で二人は、店員の説明を楽し気に聞き入っているのだ。
思わず目を逸らした島田君は、夫婦の後ろの床で子供が遊んでいるのに初めて気がついた。
夫婦の息子だろう。まだ二,三歳だ。
お尻をカーペットに着け両足を投げ出し、木製の車のおもちゃを抱え込んではしゃいでいる。
身体が欠けたり潰れたりはしていなかった。ただ全身が石炭殻のように真っ黒焦げだった。
「一目見て直ぐ理解しました。この夫婦はこの店で車を買う。そしていつの日か大事故を起こして一家三人死ぬ、と言う事を」
島田君は溜息をついた。
「それにしても交通事故で死ぬ人って、もう車を買う時点で決まっているんでしょうかねえ。
いやそれどころか、一番最初から、生まれながらに決定している変える事の出来ない定めなんでしょうか」
LRg
柏木 麻宏 2006年6月3日 23:59
読み難い文体で、面白みも少ないです。−1
ぼっこし屋 2006年6月3日 20:27
全体的に無駄な描写が多く、肝心の怪異の内容が埋もれてしまった印象を受けました。
間取りも独立させて記述するのではなく、話中にさりげなく練りこんだほうが、スムーズに読み手に伝わったのでは、と感じます。
±0
sora 2006年6月3日 12:33
文章;■■□□□
怪異;■■■□□
恐怖;■■□□□
評価;■■□□□→±0
時間軸にズレが生じているという解釈はなかなか面白い。
ただ、怪異以外の箇所がやたらと多いので、それらを削ればそれなりの作品に仕上がったのでは。
mariman 2006年6月2日 21:22
久遠平太郎 2006年6月2日 19:53
評価±0。
丁寧に描写し過ぎたという印象を受けました。
怪異に関係ない部分が多すぎたため、肝心の怪異が埋没してしまった気がします。
てらまち 2006年6月1日 16:11
文章をわざわざ長くしてしまっている感があります。ネタ的には悪くはないと思います。文章力の問題。−1。
ミミちゃん 2006年5月29日 17:25
吉田 2006年5月29日 12:03
得点なし
実話怪談っぽいと言えば、かなり実話怪談っぽい作品だと思いました。僕の周りの人々に「実話怪談」と言えば、こういう作品をイメージするだろうな、て感じ。そんなスタンダードな良さがあります。
ただ、ちょっと長かったかも。丹念な状況描写はリアリティーを増しますが、代わりにシャープさやスピード感を殺いじゃう。
例えば、冒頭のお兄さん部分って、削っても問題ないですよね。「いやな空気」という嫌悪感を伝えるためでも、後で主人公が変わっちゃうんだから効果的ではないし。それとも、取材経路として、まずお兄さんが直接の知り合いだったから入れたのかな?
どちらにせよ、もう少し短くまとめられるのにな、と思いました。
最後の解釈は、妙にユウスケくんの説得力が「無かった」ため、気にはなりませんでした。彼の推測に過ぎないよな、て感じで止まったのが幸いでした。
有澤 凪 2006年5月29日 2:07
少々説明が多すぎる作品だと思いました。怪異に比べ文章も長いように感じます。−1
藪蔵人 2006年5月28日 0:46
別荘が何故かあまり好きになれなかった辺りの説明はもっとあっさりでも良かったのでは?
間取りの説明が入るのも、もう少し別の方法はなかったのかと…
結論はやや強引に思えますね。
評点: 0
林不二男 2006年5月27日 0:43
もう少し短くまとめて欲しかったです。時間軸がずれているというのは面白いと思いました。 得点なし
ponken 2006年5月26日 22:18
いろいろ別荘での出来事を分析したり、予想していますが、おきた怪異じたいがあいまいですね。
話にするには難しい材料だったと思います。
+−0で。
brother 2006年5月25日 11:03
言いたいことやらその場の空気なんかは妙に納得できる作りですが、最後のあたりは蛇足かもしれません。
読者が自分で「そう」結論付けるように文章を持って行く方が個人的には好みなんで、「そのまんま」で書いてしまうと興ざめです(飽くまで個人的な見解ですが)。
また、家の間取りなんかは文中にさりげなく挿入するか、「こっち側にトイレがあるんだよ!」と無理やり納得させるかのどちらかの方が良いと思います。
説明のために一旦区切るという手法は新しいですが、怪談で流れを切るっていうのはやっちゃダメなことだと思うんで、評価は厳しいです。
怪異は不思議で良いですが、他の要素で損をしているように感じます。
減点に近い±0でよろしく。
もり けんた 2006年5月25日 7:49
う、うーん(--;)
Xファイルのあるエピソードみたいなのを期待してたら、すかっと耳元で音が〜(TT)
ネタは嫌いじゃありません。ただ、全体的にもっとすっきりさせるべきと思います。白身の刺身に醤油ぶっ掛けすぎみたいな口当たりだにゃー。±0。
文章自体は慣れていらっしるようです。うう、初投稿の方なら惜しい、化けられたと思います。
TOMOKI 2006年5月22日 16:51
冒頭は、別荘は購入したけれど何となく好きになれず放っておいたと
いう事が伝われば、怪異を語るには充分な情報量だと思います。
加藤氏の談や筆者氏の説明は全部省いても、ユウスケ氏の語る部分
だけで構成すれば良かったのではと思いました。間取りの詳細な説明も
不要かと。友人は二階にいたのですから、トイレが茶の間の横を通った
突き当たりという事だけ判れば充分伝わってきますので。
時間軸がずれているという解釈は面白かったのですが、ジーンズに
靴下というと、冬場のゲレンデ近くでは宿にいる時でもごく当たり前の
格好ですから友人であるという根拠が薄い(靴下の柄など、一目瞭然の
判定材料があれば別ですが)のと、またユウスケの声は生霊かドッペル
ゲンガーという解釈もあり得るわけで。不要に思えてしまう部分に筆を
割いているわりに、肝心の時間軸についての裏付けエピソードは言葉足らず
(というより見当が外れてしまっている)というバランスの悪さが非常に
気になってしまいました。0
田原 誠 2006年5月22日 12:01
これも怪談以外の要素があまりに多過ぎる。しかも最後の説明が良くない。アメリカの家は目の錯覚によるものだし、後半は普通の霊。いずれも語り手が説明しているものとは合致しない。文章力、構成もかなり酷い。 ▼
マリポーサ 2006年5月21日 10:05
時間軸がズレるとかでなく「気のせい」で片付くような話だと思います。
あと余計な情報が多すぎ。
−1
金縛郎 2006年5月21日 1:53
時間軸がずれているというのは面白い解釈ではあると
思いますが、重力異常の場所(オレゴン・ボルテックス
などですよね)を引き合いに出すのはちと違和感あり。
終盤になって和服で正座する女性の話が出てくるのも
怪異の補強というよりは、かえって全体の印象を散漫
にしてしまったかと思います。
もっと文章(特に冒頭や間取りの説明のあたり)を
ざっくり削って、手短にまとめたらそれなりに面白く
なったのかも。
すいませんが×。
へぼん 2006年5月20日 16:44
この長さが必要な怪異とは思えないなぁ。
別荘がいかに家族から嫌われていたかは省いちゃって、弟がスノボ合宿に使うところからで十分だと思う。
-1で。
ナルミ 2006年5月20日 3:04
間取りの説明とか語り言葉とかで冗長になっている。時間軸云々の説明も不要。
怪異のみに絞って書いた方がよかった。
±0
(アメリカに「重力異常の家」と呼ばれるものはいくつかあるが、ほとんどは目の錯覚を利用したものだったはず)
風来月人 2006年5月19日 23:48
うーん、文章が長い割には怪異がしょぼいです。-1です。
ネジ 2006年5月19日 23:20
間取りの説明はなくても読めると思いました。話し言葉の文章に説明文を挟むとテンポ崩れるし。
時間軸がズレてる、という話は面白いと思ったんですが、その説明の補強材料に<重力がおかしくなっている場所>というのはピタリと来ない違和感があるし、<和服着て正座してる女の人>となると全然違う話になってしまう。
料理の仕方を少し変えてみると違う印象になるかもしれないと思います。±b0
くりちゃん 2006年5月19日 23:03
出現したモノが怪異ではなくて、自分たちだったということですかね。
そういう解釈か…ドッペルゲンガーとどのように区別をつける?と思ってしまいました。