佐倉さんが居間で深夜番組を観ていると、玄関から音がした。
ルームシェアをしていたので、同居人が帰ってきたのだなと思った。
「おかえりー」
寝ていた体を少しだけ起こし、声をかける。
返事はない。
音は、そのまま同居人の部屋に入っていった。
疲れているのかな
そう思い、また横になってテレビに目を戻す。
友人は、部屋で何かを動かしているようだ。
でとっ……でとっ……
そんな音が、やけにゆっくりとした間隔で壁ごしに響いてくる。
足音というより、大きな物を落とした時の振動音に近い。
ちょうど、本棚でも持ち上げたり置いたりしているような。
部屋の模様替えでもしているのだろうか。
「何やってんのー?」
寝転んだまま、壁の向うに声をかけてみる。
音が止んだ。
しばらく、テレビの音声だけが居間に聞こえている。
と、突然、腹がズシリと重くなった。
何かが腹の上に乗っている。
「ひっ」
驚きで体を浮かせる。
それは転がり落ち、床でゴロリと横になった。
恐る恐る、目だけを動かしてみる。
足だった。
膝から下だけの、一本の足。
一瞬、何が起きたのか分からない。
でとっ
また音がした。
すぐ後ろだ。
でとっ でとっ でとっ
体が硬直し、動かない。
音は後ろから前へ半円を描くように近づいてくる。
彼女のすぐ横まで来た時、それが何の音なのかが分かった。
ああ、“けんけん”か……
片足だけで跳ねている男が、薄れゆく視界に映った。
翌朝、彼女は同居人に起こされた。
腕には何本ものひっかき傷があったそうだ。
LRg
柏木 麻宏 2006年6月3日 23:16
怪異が惜しい。文体は綺麗なのですが。0
mariman 2006年6月2日 21:12
久遠平太郎 2006年6月1日 20:45
評価±0。
バラバラになって死んだ男の人の無念なり怨念が虫に投影されたということでしょうか?
いまいち分かりづらかったです。
ponken 2006年5月31日 21:55
死んだときの無念と苦しみを虫で表現しているというのは、なんとも不気味です。ただ、後半の書き方で怖さが損なわれていると思います。+−0で。
2006年5月31日 9:53
虫はこの親子に向けた、メッセージなんでしょうか。
それとも、無念がたまたまそこにいる虫に向けられてしまっているのでしょうか。
なんか、他にもいろいろ考えてしまいました。
+1
てらまち 2006年5月29日 14:08
虫は何虫だったのでしょう。虫の死体で残酷さを出すのなら、もっと思い切って死体の詳細を書いてしまえばよかったのに。ただし、この状況だと誰か罰当たりな奴が、虫を使って不謹慎な悪戯をしたとも考えられます。惜しい。±0。
ぼっこし屋 2006年5月29日 0:06
初読の際には気にならなかったのですが、よくよく考えると「何故虫の四肢をばらばらにする必要があるのか?」という疑問が生まれてきます。
悪意ある霊の仕業とも思える行動を、ちゃんと弔われている死者が行う必然とは何だろう、と考えた末、死者が自分の苦痛を誰かに知って欲しいのではないか、という結論に辿り着きました。
そこからさらに、墓に収まってなお消えない苦痛をに苛まれ続けている、という考えに至り、一気に恐怖が増しました。葬られてもなお続く苦痛。それはいかほどのものなのでしょう。
最終段の表現に問題があるものの、 1とさせていただきます。
吉田 2006年5月28日 17:41
得点なし
惜しい!もうちょっとでプラス評価でした!
前半の状況描写は、凄くいいんですよねえ。情緒にあふれ、かつやり過ぎな嫌味もない。やずや「雪待ちニンニク卵黄」のCMみたい。
しかし、男の方の描写になったとたん、突然残酷に……。それはそれで面白くもあるんですが、やはり違和感の方が強い。そして、因果がハッキリしすぎたのも、この作品の場合は興ざめ感がありました。
作者の力量というより、ネタと文体とシチュエーションとの巡り合わせが悪かったという感じ。非常に残念なんですが……。
藪蔵人 2006年5月28日 0:01
なんだか温かく懐かしいような雰囲気で話が進むのですが、
最後の段落でガラリと印象が変わりますよね。
ここが肝の部分なので変わるのはいいのですが、せっかく作り上げた雰囲気を壊すような硬い感じに仕上がっているのが残念でした。
他の方も指摘されていますが、「男」とか。
言葉にもう少し気を配れば、いい話だと思います。
評点: 0
ミミちゃん 2006年5月26日 0:31
林不二男 2006年5月25日 20:44
「手も足も羽もちぎれてぼろぼろ」というのは怖かったですが、最後の五行はそれを損なったと思いました。 得点なし
マリポーサ 2006年5月25日 19:11
檀家さんをお化け扱いするのはいかがなものか。
±0
有澤 凪 2006年5月24日 23:57
最後3行の入れ方は非常に微妙ですね。そこまでの雰囲気がなかなか良かっただけに残念な気がします。±0
sora 2006年5月24日 21:54
文章;■■■□□
怪異;■■■□□
恐怖;■■□□□
評価;■■■□□→±0
良い意味で静寂を醸す作品であるように思う。
全体的にすんなりと巧く纏まっている。
ただ、怪異自体に何か物足りなさを感じた。
brother 2006年5月21日 22:50
惜しい。
もり けんた 2006年5月21日 2:58
うむ、不気味ですのー(−−;)
「虫がな〜」のセリフの部分、ただつらつらっと書かないで緩急を入れればいける。
バンテリンのように滲み込む怪異にプラス1を。
うーん主催者さんも小人さんもぼろぼろやねん〜(TT)
ナルミ 2006年5月19日 1:32
亡くなった人は別に悪いことをしたわけではないので、「男」呼ばわりはしない方がよかった。
これさえなければ+1だったのだが、残念ながら±0。
TOMOKI 2006年5月18日 16:39
静謐な雰囲気を漂わせる作品ですね。良い意味で、怪異も実に
ひっそりとして静かだと思いました。
そのためか、これは壮絶な亡くなられ方をした方の恨みや祟り
ではなく、遺した苦しみがもたらした怪異なのかなと。+1
hydrogen 2006年5月18日 0:57
1
悪いところはないように思うし、好きですが。
だけどあまり記憶には残りそうにない、何せ全体が自然すぎて。
しかしなんとなくツボです。
好評か無得点か悩みましたが、サービスで好評とします。
ネジ 2006年5月17日 23:25
くりちゃんと同様、亡くなったかたの描写に容赦なさすぎなのが少し気になります。
薄気味悪くて怖いのですが、個人的にはなんとなくプラス評価までは行かず・・・±0
金縛郎 2006年5月17日 22:08
その墓に悪さをした者がバラバラ死体になって発見された、
などということでもあれば、怖かったのですが。
すいませんが±0で。
風来月人 2006年5月17日 21:07
うーん、できすぎです。±0です。
くりちゃん 2006年5月17日 21:04
ちょっと符号が合いすぎるかな。無念さを虫で晴らすというのも考えられるけれど。
なくなった方の状況ですけど、もうちょっと違う表現方法の方がよかったのではないでしょうか。