「だって楽しいじゃん。知らない人が私のせいでイライラしたりさ」
加奈は笑ってタバコを揉み消した。
イタズラ電話を繰り返していた時期があったのだという。
学校で嫌な事があったりすると適当な相手に電話して憂さを晴らす。
無言電話が一番多いが、電話に出たのが主婦風だったりすると、旦那の愛人を装ったりしたこともある。
まあ罪のないイタズラだ。と、思っていた。
その時までは。
いつものように適当な番号を押す。
数回の呼び出し音。
ガチャ、と回線が繋がる音がした時、違和感を覚えた。
「人の気配がしない、っていうのかな。自動音声の回線にかけた時みたいな?」
微かに機械音のようなものが聞こえる。
これはハズしたかなと、携帯電話を切ろうとしたが。
「なんだか、声が聞こえてきて。電子音声みたいな」
17時23分 加奈ハ、左腕ヲ失ウ
声はそう言っていた。
(え?)
声はもう一度同じ言葉を繰り返すと、唐突に切れた。
うす気味悪く思ったものの、すぐに忘れてしまったのだと加奈は言う。
そして数日後の17時23分、加奈は事故に遭ってしまった。
横断歩道を渡ろうとした時、スピードを緩めず突っ込んで来た車に引っ掛けられ、十数メートル先の植え込みに落下。
加奈の身体の下で、左腕はあり得ない方向に曲がっていたという。
左腕は、切断こそ免れたものの、肘から下が今でも殆ど動かない。
「でもさ、事故の時間。やけにはっきり判ってるんだね」
と言うと、加奈は笑って次の煙草に火をつけた。
だって証拠があるんだもん。と、言う。
加奈の携帯に留守電が入っていた。
非通知。
事故の日付。
そして、17:23。
17時23分 加奈ハ、左腕ヲ失ッタ
やはり電子音声だったという。
今では加奈もイタズラ電話をかけることはない。
やはり左腕が利かないと電話をかけるのは大変だし、
「今はさ、ネット。アラシの方が面白くって」
とのことである。
LRg
柏木 麻宏 2006年6月3日 22:46
文体、ネタともに好評ですが、疑問を持つ部分も何箇所か。評価は0で
mariman 2006年6月2日 21:05
ponken 2006年5月31日 22:06
うーん、超恐と言うより東伝よりな話だと思ったのが最初の印象です。読んでいるとやたらと不安な気分になるのはいいんですが。+−0で。
2006年5月31日 11:07
ネタは強いし、文章自体ははかりやすいのですが、疑問に思うところが幾つもあります。書く許可が下りてないからでしょうか?
見覚えのある風体、は、ご主人ですか?それとも?
ご主人の遺体があったのは、奥様かご主人にゆかりのある場所だったのでしょうか?
前科って何の罪だったのでしょう?
怪異だけでも充分に不思議なので、はっきりと解る分は、書けるとまた違うのでしょうが・・。その後が気になります。
う〜〜〜〜ん。
+1
林不二男 2006年5月31日 1:51
現在進行形で作者が体験者に取材しているという内容なのに、書き方が小説っぽいのがちぐはぐに感じられました。
得点なし
久遠平太郎 2006年5月30日 21:03
評価±0。
作品全体に漂う陰鬱な雰囲気から何か忌まわしい出来事が起きていることを窺わせます。
しかし、読者にその原因を推察させるにはヒントが足りないように思います。
ぼっこし屋 2006年5月28日 19:39
家を埋める土砂を撤去する場面を頭に持ってくることで、読み手に「これからどんなことが起きるんだろう?」と期待を持たせることに成功していると思います。
次に畳が盛り上がるシーン。最後まで「それが何だったのか」は明らかにされていません。
そして、最後に夫人にも同様の現象が起こり、怪異が伝染したことが読み取れるところで物語が終わります。
そして、読み手は「何が何だか分からないうちに終わってしまった」という印象を受けるでしょう……いや、それでいいのか?
全体に漂う陰湿さは十二分に漂ってきますし、後を引くラストまで緊張感を持続させつつ怪異を語る文章力も見事だと思います。
ただ、行間を読むには空白部分が多く、筆者の真意が伝わりづらいのではないかと思いました。こういう雰囲気は好きなんですけどね。
±0
てらまち 2006年5月28日 16:18
体験者から公表範囲を決められていたとはいえ、ご主人の病歴、家を埋め始めた時期、などがわからなければ、なんか不思議な話で終わってしまう。奥さんの精神も病んでいるような書き方をされているが、そうすると怪異自体も奥さんの妄想という感が強くなる。−1。
吉田 2006年5月28日 11:47
得点なし
圧巻、て感じの作品ですね。ものすごい取材網を持った作者さんなんだろうなあ。
ルポ風味の文体や後半の葛木さんの言動には違和感を感じましたが、ネタの性質上、仕方ないですかね。
しかし、これ、面白いことは面白いんですが、創作怪談っぽい面白さであるんですよね……(ネタが創作と言ってる訳じゃないよ!)。怪異そのものが現前にあって、それを読者が勝手に解釈するって面白さではない。「作者のリードに従うと、こういう解釈が成り立つよ。それ以外は読者のミスリード」と言われているような。
微妙なところなんですけどね……。
ただ、「前科者だから〜」の一文は、あらゆる意味で書くべきではなかったです。
藪蔵人 2006年5月27日 23:13
>その家は埋められていた
で、最初そんな家あるのか?と半信半疑で読み始めるのですが、
読み終わる頃にはそんな家があっても不思議じゃないような気がしてきました。
説得力のある文章は圧巻です。
評点: 1
有澤 凪 2006年5月23日 1:37
もったいぶった書き方です。結局最後は「これ以上の詳細を書く許可は〜」という締めに落ち着き、まるでヤラセ心霊ビデオを見ているようでした。−1
ミミちゃん 2006年5月23日 0:48
sora 2006年5月22日 12:48
文章;■■■□□
怪異;■■□□□
恐怖;■■□□□
評価;■■□□□→±0
全体的に漂う陰鬱な雰囲気は好みである。
ただ、その雰囲気に怪異が埋没してしまった感もある。
また、葛木氏の言動は常識から逸脱していて要領を得ない。精神に疾患を抱えている方かもしれないと考えると、怪異そのものも幻聴・幻覚の類の可能性を否定できない。
ひとつの怪奇譚としてはプラスに評価をしたい気持ちもあるが、怪談として見ると上記評価で。
もり けんた 2006年5月18日 23:14
いっちゃつてる系。「足立区の〜」実況中継版(^^;)ここでは足立区イメージ悪くなったろうなー。陰々欝々と展開していく筋書きにプラス1。「ノロイ」のなんとかさんみたいな奥さんだなー、この方。
陰の風が吹き、滅の雨が降るとき〜ってありましたよね(^^)v
風来月人 2006年5月17日 20:07
陰鬱な話ですねぇ。でも、それほど怖くないので±0です
TOMOKI 2006年5月17日 17:21
足下から冷気が立ちのぼってくるような、湿り気のある怖さ。
書く許可が得られていない所に抵触してしまうのでしょうか、
説明が成されないままに放り出された部分があり(例えば、
奥さんの「私達が前科者だから〜」という台詞は、警察に畳と
土をどけてくれと依頼したことに関係しているのでしょうか?
ご主人が誰かを殺して床下に埋めていたとか?)時系列が明確で
ない事も(ご主人が家を埋め始めたのはいつなのか、これだけ
埋めるまでにどれだけかかったのかなど)あまりにも釈然としない。
途中の段落が丸々抜けているのではと思うくらいです。
…なのですが、しかし理屈抜きに怖い。完全に雰囲気に飲まれた
感があります。これは付けちゃいましょう。+1
田原 誠 2006年5月17日 12:46
途中で語り手の精神が尋常ではないことを明らかにしていることからこの語りの内容も信用して良いかどうか判らない。しかも畳の盛り上がりと土砂の埋め立ては関係ないようだし。語り手が混乱した形で語っていても、それを整理しなければここでの作品にはならない。しかも土砂の埋め立ての様子など、描写が判り辛い。 ▼
hydrogen 2006年5月17日 4:38
-0
雰囲気はいいんですがね。
大体言いたいことは金縛郎さんが仰ってますが
僕としては今ひとつすんなり次へと進めない書き方に、
すこし慎重になってしまうかなぁ。
筆者のやりたかったことは解るけど、全部は伝わってないんじゃないかなと思い
プラスマイナスゼロとします。
ネジ 2006年5月17日 2:49
奥様が病んだ雰囲気を漂わせているので、もしかしたら彼女の思い込みがほとんどなのではないかと思ってしまいました。
わりと好きな雰囲気だから思い込みでも構わないですが。
んー、手放しで、ってわけではないですが+1とします。
ナルミ 2006年5月17日 1:53
ご主人の死因は何だったのか、警察はどう判断したのか(土に埋められてたということは他殺と思われるが)。この夫婦の前科とは何か。など、釈然としない点がある。
±0
(意地の悪い見方をすれば、つじつまの合わない部分を「書く許可が得られていない」でごまかしている、とも考えられるが……)
へぼん 2006年5月16日 19:12
空き家が目立つ住宅街、というのがまた怖いですね。
幾つもの異常さが重なって実に嫌な感じです。
映像的な描写も好みなので○
金縛郎 2006年5月16日 18:10
不気味な話ですね。文章は読みやすいです。が……。
腑に落ちない点がいくつか。
まず、畳や土砂の廃棄を警察に依頼している点。
それに関連して、前科者云々のくだり。
常識外れな行動・発言ですよね。葛木さんも精神的に
病んでいたのでしょうか。
あと、ご主人がいつ頃からどの程度の期間をかけて
家を埋めたのかも不明です。一年ほど前にはもう既に
埋まっていたとは読み取れますが、はっきりしません。
まあ、許可が得られていない箇所に該当するというので
あればそれまでですが。
ネタ的には○つけたいんですが、±0としておきます。
くりちゃん 2006年5月16日 14:22
全体を覆う不気味な雰囲気が気に入りました。○澤△三さんの小説みたいですね。○
が、まん中当たりの、ご主人が発見された後の「代わりに畳を持って帰ってくれと頼んだが、それは警察の仕事ではないからと断られた。 」というところがわからない。「代わりに」って?また前科者って?こういうお話だと思って受け入れますけど。