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17〜8年程前、美穂さんが友人と二人で住んでいた。 当時住んでいた家は、4戸の庭付き二階建て住宅がくっついている長屋のような作りで、その4戸の一番奥が美穂さんの住居だった。 家のあった場所は神社の裏の十字路の一角。 家の前が駐車場になっていたから、角とはいっても正確には角ではなかったのだが。
ある日、家の裏の一軒先の、路地を挟んだ向こう側の長屋が燃え、長屋の真ん中の部屋に住んでいた一人暮らしの足の悪いお年寄りが逃げ遅れて亡くなった。
「気のせいか、ご近所でお葬式が多い気がする」
そう言ったのは一緒に住んでいた友人、梨津子さん。 その時は美穂さんは大して気にも留めてなかった。
一週間程経った頃、裏の家が老朽化しているために取り壊して、その敷地を駐車場にする事になった。 代わりに美穂さんの家の前の駐車場を潰して家を建てるとのこと。 この辺りは火事のあった長屋を含む土地の地主と家主が同じ人で、家を新築するのはその親戚。 後から聞いた話では、自分の家から火事のあった長屋が見えるのが「気味が悪い」という事であったらしいのだが、別に駐車場が家の玄関から裏口に移動するだけの事だし、こちらとしては大した不都合もない。 だから美穂さん達は気にもしなかった。
それから数日後の雨の夜。 夕方から降り出した秋の雨は、妙な肌寒さを伴ってしとしとと一晩中降り続いていた。 なかなか寝付かれずに美穂さんが寝返りばかり打っていると、不意に隣に寝ていた梨津子さんがむくりと身を起こした。 寝惚けたのか? そう思って梨津子さんの方を見ると、どうやらそうではないらしい。 窓の方を見てずっと気配を窺っているようだ。
「何?」 「シッ」
指を立てて美穂さんを制し、窓から目を離す事なくじっと耳をそば立てている。 薄闇の中、聞こえるのはパラパラと窓に当たる雨の音だけだ。 梨津子さんが音を立てぬよう静かにベッドから出て立ち上がり、窓の方へ向かう。 妙に張り詰めた沈黙の後。 ………ポ…ォ…ン
微かに遠く何かが聞こえた気がした。 梨津子さんは窓から外を見ている。 目線は下。 玄関の方だ。
「……っ!」
彼女の息を飲む音に美穂さんが起き上がり、何事かとそばに行こうとすると「来るな」とばかりに片手を左右に激しく振った。 振り返った彼女の顔は蒼白だった。
翌日、何があったのか聞いても梨津子さんは何も話さなかった。 その後間もなく、梨津子さんの提案で美穂さん達は引っ越し、そうして漸く、彼女はその重い口を開いた。
あの時、彼女は玄関で何度も繰り返しチャイムを押す男を見た。 ソレは全身をびっしりと白いうぶ毛のようなもので覆われ、異様に大きい頭と長い胴体、ひょろ長い手足をしたバランスのおかしいヒトの形をしたモノ。 雨に濡れている筈のその体は、まるで見えない薄い膜でもあるかのように水を弾いている。 その姿は妙に白く浮き上がって見えた。
これは何だ。
目を凝らしていると、不意にソレの動きが止まった。 その頭がゆっくりと上を向く。 途端にその異様に大きい顔がぐうぅっと伸び上がるように近付いて来た。 ガラガラ。
その時、右隣の家の二階の窓が音を立てて開いた。 するとソレは美穂さん家の玄関を離れ、背を丸めて大きく手足を動かしながら隣へと移動した。
「あれはヒトの動きではなかった」
梨津子さんはそう言う。 そう言えば、家の前の十字路のある通り沿いに一軒おきに誰かが亡くなっていた。 火事のあった家から一軒先は美穂さんの家。 アレがチャイムを押した翌日、駐車場と道路を挟んだ向かいの家の家人が亡くなった。 裏の家が取り壊され、駐車場が移動して元の駐車場に家が建ったから、結果的に向かいの家が一軒先になる。 その約二週間後、十字路を挟んだ斜め向かいの一軒奥の家からお葬式が出た。
「もし、あの時玄関を開けていたら…。そう思うと、ちょっとね」 そう言いながら、思わず美穂さんはブルッと身震いした。
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» 【リライト】訪問者 [抱朴子リライトブログから] × 「もし、あの時玄関を開けていたら。そう思うと・・・」美穂さんは少し声を震わせて、当時を語ってくれた。十七、八年程前のこと。美穂さんは友人の梨津子さんと二人で、共同生活をしていた。住んでいた家は、四戸の庭付き二階建て住宅が横並びに連なった長屋建て。そのう ... 続きを読む
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» 【+3】訪問者 [I'd like to tell you something about ...から] × 住居の位置関係がややこしく書かれてて、今一つ分からんかったです。ただ、 >家のあった場所は神社の裏の十字路の一角。 とあったの�... ... 続きを読む
受信: 13:36, Thursday, Apr 17, 2008
» [超−1]【+1】訪問者 [幽鬼の源から] × 多くの指摘がある通り、建物に関する説明が非常に分かりにくく、かなり混乱した(地図に書いてみても、すぐには判らなかったほどだ)。 かといって“一軒おきに死者が出る”という法則性に関する怪異はそれほどインパクトがなく、むしろ怪異のおいしいところは訪問して .. ... 続きを読む
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» 【リライト】訪問者 [逢魔が時に佇むから] × 17〜8年程前、美穂さんは友人の梨津子さんと二人で長屋タイプの二階建て住宅に住んでいた。ある夜。夕方から降り出した秋の雨は、妙な肌寒さを伴ってしとしとと一晩中降り続いていた。なかなか寝付かれずに美穂さんが寝返りばかり打っていると、不意に隣に寝ていた梨津子 ... 続きを読む
受信: 21:54, Wednesday, Apr 30, 2008
■講評
梨津子さんの科白の根拠が薄いことと、結末で怪異に対する原因がおかしくなってしまったのが、この作品の面白さを下げているのではないかと思います。
「気のせいか、ご近所でお葬式が多い気がする」に対して最後の「そう言えば」で美穂さんの思い出しが始まるのですが、「お葬式が出た」事に対して「一軒おき」の不自然さを驚く前に、その人達が不自然な亡くなり方をしたのかどうかが書かれていないと、読んでいる側としては納得できないと思います。特に最初の出来事に対しては「足の悪いお年寄りが逃げ遅れて」とあるので、もしかしたら住んでいる場所にたまたまお年寄りが多いだけなのではないかという風にも受け取れてしまいます。
また、もうひとつの怪異である「ソレ」「アレ」も、「全身をびっしりと白いうぶ毛のようなもので覆われ」まではどうにか分かるのですが、「異様に大きい頭と長い胴体、ひょろ長い手足をしたバランスのおかしいヒトの形をしたモノ」は人によってイメージするものが同じ映像にならない可能性もあります。「あれはヒトの動きではなかった」についても、「背を丸めて大きく手足を動かしながら隣へと移動した」の直後に書かれているので、科白でまとめるよりも、動作がヒトとは、どう違うのかを描写してほしかったです。
そして、結末近くまでは一軒先や十字路絡みの災いであるという風に話が描かれているのに、最後になって「ソレ」「アレ」による別の解釈が入ってきたことで、怪異の中心がずれてしまったのではないかという気もします。「ソレ」「アレ」は1回しか見ていないのに、今までの一軒先や十字路絡みの災いに急に結びつけるのがあまりにも唐突なので、今回の場合は「ソレ」「アレ」を単品で短く仕上げた方が良かったのではないかと思いました。
ところで、この梨津子さんは、生首を重箱と見間違えた、あの方なのでしょうか。
文章−1:希少度1 |
名前: chidori ¦ 23:10, Thursday, Apr 03, 2008 ×
最初からそういう形のモノだったのか、死を運ぶモノが具現化してそういう形になったのか。 いずれにしろ、訳のわからない異形のモノには違いない。 抜け出せたのは何より。
希少性(1) 文章(0) |
名前: ねこや堂 ¦ 00:58, Friday, Apr 04, 2008 ×
文章 1 建物の位置関係がややこしい。 稀少度 1 薄気味悪い。
建物の位置関係がややこしい。ええっとこっちに家があって、裏の家と称される家はこっちで、駐車場は…と面倒くさい。 怪異としては死を運んでくる異形のものというところか。 順番が回ってくる前に抜け出せてよかったですね。
助詞がおかしい。 「17〜8年程前、美穂さんが友人と二人で住んでいた。」 の文中で、美穂さん「が」は「は」の間違いではないか? それとも「。」が間違いで、正しくは「、」で関係代名詞のように後の語句にかかっていくのか。 |
名前: くりちゃん ¦ 08:21, Friday, Apr 04, 2008 ×
再び頭の運動。 頭の中で地図作成に時間がかかった。 イエティを思い浮かべてしまったのは私だけ? 目的不明な人外の物、興味はわくのだが…。 |
名前: ちゅん ¦ 13:35, Friday, Apr 04, 2008 ×
文:0 怖:+2
訪問者は充分怖いのですが、ところどころ文章がおかしいのと、 説明がややくどすぎるため話に入りこめません。 ときどき、話中の2人が入れ替わってるようなところも気になります。 残念。 でも、訪問者は怖い。 |
名前: 晴 ¦ 14:19, Friday, Apr 04, 2008 ×
建物の位置関係の説明がわかりにくい。 単純に住みたくないです、そんなところ
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名前: 黒ムク ¦ 15:53, Friday, Apr 04, 2008 ×
文章が粗い、2点減点します。 訪問者は死神という事か?なんとも不気味な話なのですが、前置きが長くて恐さが半減しています。 構成に問題があるので1点減点します。 |
名前: くすだまん ¦ 12:56, Saturday, Apr 05, 2008 ×
ネタ+3 「しっぺい太郎」の話を思い出す、薄ら寒い話です。 人外の魔物は現代でも、生贄を求めてさまよい続けているのでしょうか。 狐狸の類は生き残って欲しいけど、こういうのは嫌だなあ。 |
名前: ねこ ¦ 14:40, Saturday, Apr 05, 2008 ×
住宅間の位置関係がちょっとわかりづらいと思います ですが、それを差し引いても 秋雨の夜から”アレ”の描写は読み応えがありました 映像が浮かびます
死神系の話自体はよく聞きますが ここまで奇妙なビジュアルの死神は あまり聞いたことがないです
3点(文1 視覚的怖さ1 ネタ1) |
名前: NOV ¦ 10:43, Sunday, Apr 06, 2008 ×
建物の位置関係がわかりづらい。「一軒おきの家から死人が出る」という法則がありそうなのだが、そもそも美穂さんたちが住んでいた家がこの法則にあてはまるのかどうかすら判然とせず、怖がっていいのかどうかよくわからない。 「一軒おきに死人が出る」のであれば、「ソレ」が来たかどうか、玄関を開けたかどうかは関係ないのでは。疑問点が多く、素直に怖がれなかった。 |
名前: ナルミ ¦ 21:57, Sunday, Apr 06, 2008 ×
やっぱり建物の配置がわかりづらい。死者が出る事と玄関を開ける事の関連も難しい。気付いた事によっての怪異は起きなかったのだろうか。 |
名前: 茶毛 ¦ 00:34, Tuesday, Apr 08, 2008 ×
美穂さんの家のドアチャイムを何度も押していたんですよね?音は鳴らなかったのでしょうか。 伸び上がってきた顔は、どこまで近付いていたのでしょうか。どんな顔だったんだろう?白く浮き上がっているならもっと観察してほしかった。梨津子さん、凝視してたんだし^^; 色々と気になります。
白いオランウータンを想像しました。「背を丸めて大きく手足を動かしながら隣へと移動した。」で特に。新手の死神? +2
「ソレ」に重点をおいて、曖昧な「一軒おきの法則」に関する部分はすべて省いてしまっても良かったかも。一軒おきであることを強調したいだけならば、「地主の親戚が駐車場をつぶして家を建てる」とまで詳しく書く必要はなかったのでは。 十字路、駐車場、美穂さん達が住んでいるメゾネットの位置関係もややこしく、「言われてみれば一軒おきだな」と納得することができませんでした。-1 |
名前: 眠 ¦ 22:07, Saturday, Apr 12, 2008 ×
美穂さんが友人と二人で住んでいた
いきなり読みかえした。 えっと。やっぱり変ですよね? 家の周りの説明もよくわからない。 やって来た異様な姿の者は死神なのか妖怪なのか。そこは興味深く気味が悪かった。
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名前: MM88 ¦ 21:50, Monday, Apr 14, 2008 ×
位置関係がわかりずらいです。お葬式が多いような気がするという感じで、確証がないですね。 死神か不幸を呼ぶ物の怪だったのか不気味だとは思いますが、それがご近所の不幸と関係があったのかと思うと?です。怪しい男の描かれ方も、イメージとしてどうも浮かび上がってこないので、色々な不気味な事件を寄せ集めただけのような気もします。思い雰囲気は伝わってきました。 |
名前: じゅりんだ ¦ 14:15, Thursday, Apr 17, 2008 ×
この作品は惜しいです。 モノノケの描写は詳しく、分かりやすく、怖くもあり、その後の展開も含めてとても良かったと思います。 しかしそこに至るまでの説明がやや分かりにくく、だらだらした感じを受けてしまいました。 バランスのおかしいヒトの形をしたモノには凄く興味が湧きましたよ。
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名前: へみ ¦ 14:09, Saturday, Apr 19, 2008 ×
ちょっと状況がわかりにくかったのですが バランスのおかしいヒトの形をしたモノ の描写はよかったです。 |
名前: SPダイスケ ¦ 23:29, Sunday, Apr 20, 2008 ×
家の位置関係がわかり辛いのが難点です。 産毛の生えたモノについてはよく書かれていました。 一軒おきに死人が出るということに対しては、もとからよく死人が出る所だったのか、それとも何かきっかけとなるような出来事があったのか、分かれば詳しく書いて欲しかったです。 |
名前: こうたろう ¦ 15:31, Tuesday, Apr 22, 2008 ×
宇宙人だっ!って思ったんですけど…。 妖怪の類ですかねぇ…? 興味深い話ではありますが、文中、位置関係がちょっと解りづらかったと思います。
文章:1 内容:1
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名前: PM ¦ 21:00, Tuesday, Apr 22, 2008 ×
産毛のオバケよりも、一軒ごとに葬式が出て行くルールみたいなものに鏡味があったのだが、駐車場の移動にともなって、それがどうなったのか一読しただけではよく分からなかった。 雰囲気があるだけに、凄く惜しいと思う。 希少度 1 文章 0
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名前: じぇいむ ¦ 00:57, Tuesday, Apr 29, 2008 ×
後半の雰囲気が秀逸だっただけに惜しい。書き急がれたのでしょうか? 住居の間取りはここまで掘り下げなくてもお話を成立させる事は可能ではなかったかと思いました。 その神社は何かを封印していた社?駐車場を変更したのは何かを予知したから? いろいろな含みも持っているお話だと思います。 |
名前: みくりや かつと ¦ 01:57, Wednesday, Apr 30, 2008 ×
建物の位置関係がいまいちわかりづらいですが、その訪問者の姿、しぐさが非常に禍々しく恐ろしかったです。 |
名前: ひ ¦ 20:56, Wednesday, Apr 30, 2008 ×
文章・・・0 希少度・・・2
写真!写真! こういうのを見たらすぐに写真ですよ。 化物が出てくる話は大好きです。
建物の位置関係をはじめ、全体を通して分かりにくい。 もう一度文章構成など整理する必要があると感じました。 話自体はとても興味深いものです。 |
名前: 鹿太郎 ¦ 21:04, Wednesday, Apr 30, 2008 ×
冒頭にさりげなく書かれている神社が気になりますね。現れたモノが死神というよりは神の類のような気がして。 一軒おきに人が亡くなったと書かれていますが、一軒おきであることに何か意味があったのかどうなのか。色々と想像させられる話ですね
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名前: 久遠 平太郎 ¦ 21:38, Wednesday, Apr 30, 2008 ×
宇宙人? でも産毛かあ。 妖怪の類でしょうか。 いずれにせよ、良いものではないことは確かですね。 三点ぐらい付けたいんですが、〆切過ぎちゃったんでごめんなさい。 |
名前: 昼間寝子 ¦ 00:37, Thursday, May 01, 2008 ×
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