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沖縄の小さなこの島では、変わった事などは滅多に無く、毎日が至って平和である。 いつも以上に静かな夜の事であった。
日付が変わった頃、一通りの雑務を終えた八重子さんは、一階にある外来の詰所へと戻った。 同僚の看護師が二人、暇になったのか雑談に花を咲かせている。 「今日は静かだね。」 八重子さんが話しかけると、同僚はいたずらっぽく笑った。 「でも今日は旧暦の十五日だし、満月だから何かあるかもね。」 実際、こういう日は異変が起こる事が今までにもあったという。 まさかね、と三人で笑っていたその矢先である。 「プルルルルルルル・・・。」 内線が鳴った。 診療所の入り口にあるインターホンであった。 「人が上から落ちてきたんです!」 隣の家の住人であった。 慌てて外へ飛び出す。 診療所と家の間、六十代位であろうか、倒れていた男性は既に事切れていた。 二日前から三階の病室に入院していた城間さんであった。 警察が到着すると、静かな夜は一転、八重子さん達は事情聴取に追われる事となった。 城間さんは余命二、三ヶ月の末期がんの患者であった。 本人に告知はされていなかったのだが、城間さんは高価そうな投薬をされる事を不審がっていたという。 その事からうすうす感ずいていたものと見られ、病気を苦にした自殺、と判断された。 三階という比較的低い場所からの飛び降りであったが、体が弱っていたのか、或いは打ち所が悪かったのか、殆ど即死に近い状態であったという。 警察からは何か変わった様な事は無かったかと繰り返し聞かれたが、二日前に入院してきたばかりの患者に対し、思い当たる事など何も無い。 ただ一つだけ、不思議な事があった。 前日の十八時頃、城間さんを担当していた看護士が、点滴の交換や検査データの記入など、仕事をほっぽリ出して外来に下りてきた。 病室が余りに臭くて居られなくなったのだという。 隣の家でも同時刻に部屋が臭い出し、住人はその余りの酷さに嘔吐したそうである。 それ程強烈な臭いだったにも拘らず、被害に遭ったのは二人だけで、異臭騒ぎになる様な事も無かった。 この小さな島では、噂話などすぐに島中に広まってしまう。 まして診療所ともなれば、住民から様々な情報が集まってくるのである。 八重子さんは、城間さんに関するある事実について知っていた。 彼の娘も自殺している。 不倫相手の事故死を嘆いた挙句の後追い自殺であった。 そして彼女の甥である。 私の弟の友人であり、顔ぐらいは私も知っているのだが、彼は両親に捨てられた事がある。 家を出て行ったとか、病院の前に手紙と共に置かれていた、といった意味ではない。 文字通り、「捨てられていた」のである。 八重子さんの話から推測すると、おそらく赤ん坊の時であろう。 発見された時は、土でも草でも口に入るものは何でも食べてしまっている様な状態であったという。 彼もまた、若くして首を吊って亡くなっている。 何か因縁でもあるに違いないと、八重子さんは声を潜めた。
私は電話で取材を行ったのだが、その時消防署に勤める夫は夜勤でおらず、八重子さんは家に愛犬と二人きりであった。 夜分遅かった事もあり、怖いからこの話はもう止めよう、と彼女は言った。 事件があったのは旧暦の十五夜で満月であったというから、三月の二十二日であろうか。 つい最近の話であった。 もっと詳しく取材したかったのだが、八重子さんは怖がってそれ以上話してはくれなかった。 こういうのばっかりじゃなくてもっと明るい話を書きなさい、そう言って彼女は電話を切った。 電話の向こうで、いつもおとなしい彼女の愛犬が、珍しく吠えているのが聞こえた。
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■講評
うーん・・・。 八重子さんシリーズは、どうもこの手の因縁を全て怪異で片付けられようとしているのですが、悲しい出来事が続いたり、起こった日時をすべてそうと関連づけて怪談を成立させようとしているのは、これだけの限られた情報では、どうかな・・・と思います。
起こった出来事についてはお気の毒とは思うのですが、それらの殆どが噂話や羅列された情報のみで、それぞれの事象に関しての詳しい経緯が全くない事が、内容を薄くしているのではないかと思います。これらに対しての「もっと詳しく取材したかったのだが」という書き手の釈明も、最後をいい感じでまとめようとする意図に見えてしまい、あまり好ましいことではないと思います。
特に今回の場合は「異臭」が怪しげに扱われているにも関わらず、それぞれの臭いについての描写が何もないままに話が書かれているため、病室と隣の家で起きた事が全くの同一の現象であったかどうかも作品を読む限りでは定かではなく、部屋の換気などについてもはっきりとしない事もあり、時間による不思議さはあるにせよ、2つを関連づけることは難しいのではないかという気がしました。
書き手の存在を作品中に出されるよりも、起こった出来事から純粋に怪異を抽出されることに専念いただければ・・・と思います。
文章0:希少度−1 |
名前: chidori ¦ 17:42, Tuesday, Apr 01, 2008 ×
文:−1 怖:+1
途中から書き手がいきなり顔を出したような印象で読みにくいです。 怪異としては有りだと思いますけど、無理やりこじつけようとしてるような、 そんな印象も与えられてしまって素直に読めませんでした。
末期の癌患者さんが薄々気づいてる、としながらも思い当たる事を聞かれて「解らない」というのも不自然だし。 |
名前: 晴 ¦ 18:20, Tuesday, Apr 01, 2008 ×
文章 0 不明瞭なところがある。 稀少度 0 シリーズ化して疲弊したように見える。
「そして彼女の甥である。/私の弟の友人であり、顔ぐらいは私も知っているのだが、彼は両親に捨てられた事がある。」 が一度では分かりづらい。彼女というのは「八重子」さんのことなのか、「城間」さんの娘さんの事なのか。 そうしていきなり「私の弟の友人であり」と話がこちらに飛んでくる。 因縁の解析については独りよがりなのではないかと思う。 |
名前: くりちゃん ¦ 19:32, Tuesday, Apr 01, 2008 ×
私の親戚に末期癌で亡くなった人間三人いますが、その誰もが余命二,三ヶ月ともなると痩せて自分では身動きさえままならなかったのを記憶しています。それに投薬には大量の痛み止めを使いますので、意識も朦朧としていました。 素人ですので、はっきりした事は断言できませんが、以上の理由で正しく採点する勇気が出ません。 よって0点とさせていただきます。 |
名前: くすだまん ¦ 20:16, Tuesday, Apr 01, 2008 ×
ネタ+1 おそらく、投稿者自身が八重子さんの話の「怖さ」を捕らえ切れていないまま、書き進めてしまったように思います。 そのため、話が散漫で、せっかくの怖さが伝わってこないです。 題名にある「満月の夜:に関する部分は、他の死者との関連性も見ない為、着眼点を誤ったと思います。 整理する事でうっすらと見え隠れする「怖さ」が浮き彫りに出来そうなだけに、惜しいとしか言いようがありません。 |
名前: ねこ ¦ 20:47, Tuesday, Apr 01, 2008 ×
どれも関連性がハッキリせず、怪異と受け取れる事象は「異臭」の部分しかないが、これもどうかと言われると大変に微妙。 筆者の主観のみで書かれている感が強く、噂話を聞かされてる気分になった。
希少性(-1) 文章(-1) |
名前: ねこや堂 ¦ 21:48, Tuesday, Apr 01, 2008 ×
いろいろな事象が書かれているが、怪異と呼べそうなのは「異臭」の部分だけで、それもかなり微妙。 八重子さんにもっと詳しく話を聞けていたら、「怪異」も出てきたのかもしれないが‥‥。 |
名前: ナルミ ¦ 01:23, Thursday, Apr 03, 2008 ×
癌の人間の心理というのは、 本人にしか分かりません。 悲観する、自暴自棄になる、 仏のようにあるがままになる。 そして、死ぬ気になった人間の 力も半端じゃない。 それが分かっている八重子さんが怖がって いるからこそのそこにある何かを 伝えて欲しかったかな。 |
名前: ちゅん ¦ 20:45, Thursday, Apr 03, 2008 ×
| 全てがぼやけたままの作品になっている。最後の結びもそうもって行くかという印象しか残らなかった。 |
名前: 茶毛 ¦ 23:15, Sunday, Apr 06, 2008 ×
誰が何だかわからなくなり、相関図まで書いて、やっと理解でき…たようなできてないような… 登場人物が多いお話は整理して書かないとややこしいです。特に「そして彼女の甥である。」が唐突で、彼女ダレ!?とorz -1
原因不明の悪臭は死を予感させて、ゾッとくるものがありました。 +1
著者さんにも八重子さんにも申し訳ないのですが、率直な感想を。 >この小さな島では、噂話などすぐに島中に広まってしまう。 まさにこの通りで、他人の不幸話に尾ひれをつけて怪異につなげたいのかな…と思いました。 相次ぐ不幸については「何か因縁でもあるに違いない」だけで片付けられていて、共感できません。 -1 |
名前: 眠 ¦ 00:37, Thursday, Apr 10, 2008 ×
怖いは怖いのだが、怪異かといわれると疑問を感じる。 体験者の人とっては確かに恐ろしいことであったと思うのだが、もう一歩踏み込んでみて取材をしてほしかった。 体験者が嫌がっているのを無理に聞けとまではいえないのですが、物足りない感じがする。 |
名前: 黒ムク ¦ 13:05, Thursday, Apr 10, 2008 ×
どれも怪異とは言えない様な。 もう少し調べれば怪異に突き当たるかなぁ、の話でしかない。 "彼女の甥"の"彼女"が誰の事なのか、何度読み直してもわからない。"甥"に関しての記述もどういった事なのかわからない。
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名前: MM88 ¦ 23:03, Tuesday, Apr 15, 2008 ×
取材したくてもなかなか出来ないというか、困難な状況というのはお察しします。 怪談取材って大変ですよね。その拾い切れないパズルのピースが、このお話にはまだたくさんあるみたいです。時間をかけて再取材すれば、もしくはもっと時間をおけば自然と出来上がってくるものなのかもしれません。自殺する因果みたいなものが家系的にあるのでしょうね。今後のお話の完成を期待しております。 |
名前: じゅりんだ ¦ 00:50, Wednesday, Apr 16, 2008 ×
作者様の気持ちは分からない事もないのですが、これでは実話怪談としてはやや厳しいかと思います。 異臭の部分等には魅力を感じるのですが、その後付け足した因縁は話が飛び過ぎて、理解するのが難しいです。 因縁もどこまでなのか分かりませんし。 気味の悪さは伝わってくるのですが・・・。 |
名前: へみ ¦ 11:21, Thursday, Apr 17, 2008 ×
話しの内容がよく分からなかったというのが正直な感想です。 文章が整理されていない という印象を受けました |
名前: SPダイスケ ¦ 23:23, Saturday, Apr 19, 2008 ×
ゴメンナサイ。 結局どこが怪異なのかが解りませんでした。 ちょっと締りがないというか…読み難かったイメージもあります。
文章:-1 内容:0
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名前: PM ¦ 20:59, Monday, Apr 21, 2008 ×
わかりづらいですし、満月と関連付けるのもちょっと強引かもしれない。 もう少し情報があればよかったと思います。 |
名前: こうたろう ¦ 17:57, Tuesday, Apr 22, 2008 ×
事象は不気味なのですが、何かポイントが絞りきれていない感じです。
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名前: じぇいむ ¦ 17:20, Wednesday, Apr 23, 2008 ×
文章・・・-1 希少度・・・0
まず一番気になったのは、突然登場する「私」の存在です。 書き出しやその後の文章で、これは八重子さんの視点で書かれた作品であるという認識が出来上がってしまったので、その後いきなり一人称視点の作品になってしまっては戸惑うばかりでした。
次に怪異についてですが、どうにもこじつけのような感じがしてしまいます。 目に見える怪異がなくても怪談は成立しますが、この作品の場合ネタを活かしきれずに終わっています。 自殺者の家系というのも、書き方次第で薄気味悪い印象を抱かせることが出来たはずなんですが、これでは無関係としか思えませんでした。
しかも取材拒否されましたという締めくくりでは、言い訳して終わりという印象を受けます。 作者の意図は解りますが、そこに行き着くまでの展開がうまく行っていなかったために読み手としては良い印象を受けることが出来ませんでした。
題名に「満月の夜には」と付けておきながら、半ばからは満月が全く関係なくなっているという点もいただけません。
全体として作者はネタに翻弄されているといった感じです。 もっと推敲する必要があったのではないでしょうか。 |
名前: 鹿太郎 ¦ 05:11, Sunday, Apr 27, 2008 ×
| 異臭の話だけにしたほうが話が混乱しなくてよかったのではないでしょうか。彼女の甥とは八重子さんの甥? 城間さんの娘さんの甥? これは別の話にしたほうがよかったかも。 |
名前: ひ ¦ 17:24, Monday, Apr 28, 2008 ×
城間さんの一族の話を聞くと確かに何か因縁がありそうな気がしますが、まだ怪異の確証はないわけですよね。怪談、特に実話怪談は実在する人のデリケートな部分を書かなければならない時もあるわけで、推測の段階で話を書くべきではないと思います。 現時点で書くとしたら異臭の部分だけで留めて置いた方がよかったように思います。
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名前: 久遠 平太郎 ¦ 21:13, Tuesday, Apr 29, 2008 ×
異臭の話で止めておいた方が良かったか。 因縁めいた話は、人づてに入ってきた情報なので、細部まで取材出来ず、無理やり感が強い。 最後の部分も苦し紛れな感じですね。 取材の難しいところで、考えさせられますね。 |
名前: 昼間寝子 ¦ 17:14, Wednesday, Apr 30, 2008 ×
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