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はじっこ
 椎名さんが勤め先の慰安旅行で湯布院に行った時の話である。
 大分や熊本の観光地を巡り、旅館に着いたのは夕方頃。
 良く言えば歴史を感じさせる様な、おそらく大分古くから続いているであろう老舗旅館、といった趣であった。
 女性ばかり5人、大部屋へ通されたのだが、少し変わった作りであったという。
 間取り自体は至って普通なのだが、寝室の奥にドアがひとつ付いていた。
 その妙に不自然なドアを開けると階段が地下へと続いており、卓球台などの遊具が置いてある部屋があった。
 他にも幾つか部屋があり、更に奥へと続く廊下はどこかへ繋がっている様であったが、気味が悪いので確かめる気にはならなかった。
 とはいえ変わった所といえばそれぐらいで、改築したばかりだという浴場は泡風呂や露天風呂など数種の温泉があり、綺麗でなかなか快適であったし、食事も豪華で美味しく、いずれ劣らぬ酒豪揃いである彼女達を十分満足させてくれた。
 当初は古びた旅館の外観にやや不安を覚えたものの、流石は古いだけの事はある。
 安い値段の割には十分堪能出来た、と皆上機嫌であった。
 夜更けまで他愛の無い話で盛り上がった後、それぞれ寝床にもぐり込んだ。
「あたしこっちに寝るー!」
「じゃあたしこっちー!」
「あたしこっちでいいや。」
「ごめん、椎名さんそっち寝てもらって良い?はじっこだけど大丈夫?」
「うん、いいよー。あたしはじっこ好きだし。」
 
 どどどどど、と近くを流れる川の音がやけにうるさく響く。
 今日は一日天気が悪かったし、雨で増水しているのだろう。
 10月にしては以外なほど蒸し暑く、湿気を含んだ空気がじっとりと肌にまとわり付く。
 温泉に浸かり過ぎたせいであろうか、両脚が妙に火照り、なかなか寝付くことが出来なかった。
 
 翌朝、目が覚めると皆同様に、昨晩は寝苦しかったと口にした。
「なんか蒸し暑くなかった?」
「あたしもー。」
「うん、あんまり寝れなかったな。」
「あたしもなんか脚とか熱くて寝付けなかった。」
 あのね、と霊感の強い同僚が申し訳なさそうに口を開いた。
「みんな嫌がると思って言わなかったんだけど、昨日の夜、地下から親子の霊が上がって来てずっと立ってたから・・・。だからそっちに寝るの嫌だったの。」

 椎名さんが寝ていた場所であった。 
 




13:33, Thursday, Mar 27, 2008 ¦ 固定リンク ¦ 講評(24) ¦ 講評を書く ¦ トラックバック(4) ¦ 携帯

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■講評

題名と展開で最後のオチが分かってしまうのも良くないのですが、どこからどこまでが怪異なのかが曖昧にされている書き方も気になります。寝苦しさや川の増水する音までもが本当に怪異のせいだったのかが結局分からず、霊感の強い同僚が告白した「昨日の夜、地下から親子の霊が上がって来てずっと立ってた」も、この曖昧すぎる書き方によってそれほど怖さを演出していないように見えます。

前半に出てきた「妙に不自然なドア」の描写と「気味が悪いので確かめる気にはならなかった」という椎名さんの心情でこのドアの役割は十分すぎるほど描かれているのですが、それ以外の怪異の要素かもしれない、近くの川の増水ぶりも、布団の使い心地も、体の火照りも、寝てから椎名さんが一気に語り始めたため、そのあたりで作品の説明不足が出ているように感じます。

同僚によって、はじっこで寝かされた椎名さんは気の毒ではありましたが・・・。

文章0:希少度0

名前: chidori ¦ 14:38, Thursday, Mar 27, 2008 ×


文:0 怖:0

せっかくの怪が死んでるような気がします。
話しの的をもう一度組み立てたものを
読んでみたいです。

名前: 晴 ¦ 17:31, Thursday, Mar 27, 2008 ×


話の的と体験者の目線を霊感の強い同僚の方にあわせた方がよかったような気がします。
親子の霊が上がって来てずっと立ってた、その辺を詳しく書いてあったほうがよかったと思います。
せっかくの怪異を一言、説明で済ませてしまうのはもったいないと思いまして・・・

名前: 黒ムク ¦ 20:11, Thursday, Mar 27, 2008 ×


怪異が怪異になってないというか、椎名さんが実際に見聞きしてないからなぁ。
後から「実は居た」と言われても…。

希少性(0) 文章(0)

名前: ねこや堂 ¦ 21:57, Thursday, Mar 27, 2008 ×


文章 1
前半はよかった。
稀少度 0
惜しい。

何が惜しいって、「椎名」さんよりも同僚に体験談を語って欲しかった。「椎名」さんは結局は怖い体験をしなかったわけでしょう、寝苦しかったというだけで。
作者さんには悪いけれど、私は親子の霊が立つ話よりも、謎の階段と謎の部屋々々の方に興味が行っちゃった。

名前: くりちゃん ¦ 22:39, Thursday, Mar 27, 2008 ×


“流れる川の音がやけにうるさく響く”のは
慣れない旅館の部屋にいて神経が研ぎ澄まされたので
川の音が大きく聞こえただけのことでしょう。
旅先ではよくある話で怪異ではない。
それで親子の霊がいたのと言われても読むほうは困ってしまう。

名前: 撃墜王の孤独 ¦ 23:27, Thursday, Mar 27, 2008 ×


その「親子の霊」のことをもっと詳しく描写してくれないと、その同僚の一言だけでは怪談にならない。
(個人的には地下の秘密部屋の方に興味があったが‥‥)

名前: ナルミ ¦ 00:52, Friday, Mar 28, 2008 ×


ネタ+1
間取りなどの描写が緻密な反面、起きた現象について短く、またインパクトが弱いです。
比重を怪異の方に置くべきだったように思います。

名前: ねこ ¦ 03:26, Friday, Mar 28, 2008 ×


椎名さん自身は、皆と同じ体の不調だけでなく
何か変わったりしたことはなかったのでしょうか
気になるところです

それにしても、その宿は何かあって改築したのか
それとも、もともと不自然な建物構造だったのか

これも気になるなぁ

2点(ネタ1 興味深さ1)

名前: NOV ¦ 08:26, Wednesday, Apr 02, 2008 ×


私なら、親子が立ってる所で寝かせたままにはしませんが。
言いにくい気持ちは分かるけど。
偉そうに言えませんが、もうちょっと怖くなる要素があるのに残念な感じ。

名前: ちゅん ¦ 13:01, Thursday, Apr 03, 2008 ×


読みづらかった。あそこまで会話を入れる必要があっただろうか。朝起きて、告白するくらいなら隠し通してくれと私は思う。

名前: 茶毛 ¦ 00:08, Sunday, Apr 06, 2008 ×


謎の地下室がとにかく怪しげで期待していたので、結末にがっかりしました。
霊感の強い同僚さんが見たものも知りたいし、それらと部屋の蒸し暑さが繋がるのかどうかもこれだけではわかりませんorz -1

前フリは、いかにも何か起きそうなじっとりとした雰囲気プンプンで書かれています。 +1
怪異の内容も詳しかったらかなり怖い仕上がりになっていたと思われます。

名前: 眠 ¦ 22:57, Sunday, Apr 06, 2008 ×


文章・・・1
希少度・・・0

前半の状況説明、特に地下室の件はとても薄気味悪く、これからどんな怪異が起こるのだろうと大いに期待させてくれます。
ところが起きた怪異といえば蒸し暑いのと霊感が強いという同僚の一言だけ。
これには大いにがっかりさせられました。1点減らします。

書き手の方は、内容と文章、構成を釣り合いの取れたものにする必要があると感じました。
期待させておいてがっかりさせるより、必要以上に期待させず後で驚かせる方が良い印象を与えることができます。当たり前ですが。

名前: 鹿太郎 ¦ 03:22, Monday, Apr 07, 2008 ×


同僚ひどいですねぇ。
そりゃ見えた本人にしてみれば、はじっこで寝るのは嫌でしょうけど、後から言わずに黙っててくれればまだよかったのに。
地下が気になりますよね。
その地下から上がってきた親子の霊と言われれば、やはり怖いです。

名前: へみ ¦ 06:07, Tuesday, Apr 08, 2008 ×


これは曰くありげな旅館がいいですね。特に地下室。
ただ、体験者自身は怪異に気付かなかったわけで、ちょっと弱いかと。


名前: じぇいむ ¦ 02:25, Wednesday, Apr 09, 2008 ×


不自然なドアや寝ているときの暑苦しさなど全体の雰囲気としては良いと感じました。 ただ、霊感の強い同僚の言った事がちょっと後付のように感じられてしましました。

名前: じゅりんだ ¦ 16:03, Friday, Apr 11, 2008 ×


長めの文章の最後の最後にちょろっとだけ小ネタの怪異。
これはあんまりだと思う。
怪異の部分だけの数行の話に仕立てたら、面白くなったかも。

名前: MM88 ¦ 01:31, Tuesday, Apr 15, 2008 ×


怪異自体の説明が不十分でした。
結果的には 前置きが長すぎるという講評になってしまいます。

名前: SPダイスケ ¦ 18:45, Friday, Apr 18, 2008 ×


ううーん。結局何も起こってないというか…。
寝苦しかっただけですよね。
親子の霊も立ってただけですし…。

文章:0 内容:0

名前: PM ¦ 11:26, Saturday, Apr 19, 2008 ×


地下の遊戯室とか他の部屋とか妖しげな雰囲気満載で、彼女らの些細なセリフまでいちいち書かれていました。なのに、親子の霊がそこから出てきて彼女らを見てたってそれだけ。あまり思わせぶりな書き方は後のがっかり感が大きいのでカンベンしてください。

名前: ひ ¦ 12:00, Tuesday, Apr 22, 2008 ×


 寝苦しかった事と親子の霊の関係が不明。
 文章は読みやすかったので、肩透かしをくらってしまった気がしました。

名前: こうたろう ¦ 14:27, Sunday, Apr 27, 2008 ×


雰囲気は伝わってきましたが、冒頭の間取りの詳細な説明など、怪異に関係無い部分が多過ぎたように思います。その割りに肝心の怪異の描写が少なく、拍子抜けしてしまった。

名前: 久遠 平太郎 ¦ 21:44, Monday, Apr 28, 2008 ×


前振りが長かった分、読み終えた段階で「あれ?もう終わり?」と拍子抜けしてしまった。
足の火照りにしても、温泉と酒が作中に登場しているため、怪異と関連していると安直には言えないのではないだろうか。

名前: 磯昆布 ¦ 03:01, Tuesday, Apr 29, 2008 ×


ひどい同僚ですね。寝る前に言われるのも嫌ですが。
この同僚の見たものを書ければ良かったのですが、椎名さんから聞いた話の様ですからしょうがないですね。
旅館自体は何か色々ありそうなので、誰か同じ旅館に泊まった人いませんかね。

名前: 昼間寝子 ¦ 08:37, Wednesday, Apr 30, 2008 ×



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