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関ヶ原
 広瀬君は引越社に勤めている。
 長距離の仕事が入ると、時折この地を訪れる事がある。
 彼はその高速道路上で、落ち武者の霊を見るという。
 ざんばら髪で、体中から血を滴らせながらこちらを凝視している者。
 手足の無い者。
 這っている者。
 切り落とした敵の首を手にぶら下げている者。
 単体の時もあれば、複数同時に見る事もあるそうである。
 猛スピードで車が飛び交う中を、彼らは生きている者と同様のはっきりとした姿で歩き廻っているという。
 その怖ろしくも奇妙な光景。
 広瀬君によれば、明らかに「良いもの」ではないのだが、以外にも危害を加えてくる様な事は稀なのだそうである。
 ただ一度だけ、「斬られる」と思った事があった。
 
 その日も、いつもの様に仕事で目的地へ向かう途中だったのだが、この地へと近づくにつれ、ずきずきと頭が痛くなって来た。
(ああ、またか。いるな・・・)
 気分の悪さにうんざりしながら顔を上げる。
 広瀬君達の乗ったトラック、その前方。
 やや離れた所に武者が立っていた。
 抜き身の刀にはべっとりと血が付いている。
 出来れば避けて通りたいところなのだが、運転は同僚がしている。
 武者との距離はどんどん縮まって行く。
 いよいよぶつかりそうな程近づいたその時、武者が大きく刀を振り上げた。
(斬られる!?うわああああ!)
 振り下ろされた刀とともに武者が車中を透過する。
 一瞬、何かが体を通り抜ける様な奇妙な感覚。
(ああああ・・・は!?)
 何とも無い。
 あまりの事に驚きはしたが、体は無事であった。
 どうやら、広瀬君を狙った訳では無かった様である。
 ミラー越し、トラックの後方で別の武者と切り結んでいた。

 彼らは死してなお、戦を続けている様である。


 

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■講評

文章 1
読みやすい。
稀少度 2
意外な展開に驚く。


関ヶ原といえば、昔名神高速の魔のカーブ(?)とかいうのがありましたな。事故多発地点で当然怪談話もあって、女が何かを拾いながら道路上を歩いているんですと。今ではカーブを緩くする改修工事がなされたようですが、その人は未だいるのかな……
ああっ斬られると思いきや「広瀬」君の後の武者と切り結んでいるというのは、「広瀬」君がはなっから霊達に無視されている感じがして、面白かった。ただ高速で走っている中で、一瞬の時間にそんなにはっきり見えたのかという疑問もあります。
「切り結ぶ」というのはこれでも間違いではないけれど、「斬」の字の方がらしい感じがするのでは?
以外にも→意外にも とか。
話としては面白かったです。

名前: くりちゃん ¦ 21:03, Tuesday, Mar 25, 2008 ×


ネタ+3
広瀬さんシリーズですね。今回もなかなか面白い。
死してもなお、戦乱の呪縛からは抜け出せないというのが嫌ですね。
たぶん相手を斬っても、また少し前の状態に戻って、戦いを繰り返すんでしょうね。
今回は武者の話が多いのですが、この話は良い意味での正統派でよかったです。

名前: ねこ ¦ 23:19, Tuesday, Mar 25, 2008 ×


これは面白かったです。「振り下ろされた刀とともに武者が車中を透過する」様子も映像としての表現が良く、最後の一文もなかなかでした。

文章1:希少度1

名前: chidori ¦ 00:13, Wednesday, Mar 26, 2008 ×


「ああああ・・・は!?」という記述は、叫び声の続きかな。
間に状況説明の文が入っているので、これがあると文章の流れが悪くなる。
この部分は不要かと。
怪異自体は興味深かった。

希少性(1) 文章(0)

名前: ねこや堂 ¦ 00:34, Wednesday, Mar 26, 2008 ×


古戦場で現れる武者の霊、というのはオーソドックスな話だが、これだけはっきりと、しかも何度も見るというのは珍しい。最後のエピソードの、トラックを無視して戦い続けるというのも面白かった。

名前: ナルミ ¦ 01:22, Wednesday, Mar 26, 2008 ×


文:+2 怖:+1

なるほど関ケ原。

名前: 晴 ¦ 12:41, Wednesday, Mar 26, 2008 ×


彼らにとってはいまだ毎日が戦いなのでしょうね。
最初に居たのは彼らであって、たまたまそこに人間が道を作ってしまったのかもしれない。
あ・・・でも切られるのはいやだな。

名前: 黒ムク ¦ 15:43, Wednesday, Mar 26, 2008 ×


斬られると思った瞬間、
ターゲットは自分ではなかったという一瞬がよく書けています。
なかなか印象深い怪異ですね。

名前: 撃墜王の孤独 ¦ 17:37, Wednesday, Mar 26, 2008 ×


いろんな場所でいろんなモン見てるなあ、広瀬君。
疾走感があって良いですね、ハラハラしました。そしてスルーされるのが何とも間抜けでw
その場その場での広瀬君の動きや表情が見えてくるような、生き生きとした文章でした。
ミラー越しに小さくなっていく戦う武者もかっこいい。

また落ち武者か!と思ってたら、これは何とも面白いお話でした。無念の死を遂げた霊が居残っているだけではないというのがたまらなく良い。

名前: 眠 ¦ 00:09, Friday, Apr 04, 2008 ×


文章・・・1
希少度・・・1

死んだ武者たちがまだ戦い続けているのか、それとも過去にあった強烈な出来事が残像となって現れるのか。
体験者の反応も含めて面白かった。
よく書けています。

名前: 鹿太郎 ¦ 02:14, Friday, Apr 04, 2008 ×


落武者の話としては今までのものとは違い、戦いつづけるという所はプラスポイントです。

名前: 茶毛 ¦ 23:05, Saturday, Apr 05, 2008 ×


広瀬君シリーズですね。
シリーズの中では一番面白かったです。
しかしこれ危ないですよね。高速道路で。
見える人が運転してたら事故ってしまいそうな。
普段見えない人もいきなり見える事があるかもしれませんし、注意して運転しないとですね。

名前: へみ ¦ 05:18, Monday, Apr 07, 2008 ×


相手がいて切り結んでいるのなら落ち武者ではないような。
また、引っ越し用のトラックだと、運転席と振り上げている刀との高さが合わないような気もする。
しかし、面白かったので。
希少度 1 文章 0


名前: じぇいむ ¦ 20:41, Tuesday, Apr 08, 2008 ×


 槍なら分かるが、明らかに引越しトラックと刀の長さがチグハグ。
 採点を控えます。

名前: くすだまん ¦ 18:08, Wednesday, Apr 09, 2008 ×


いろいろと見えてしまうのも大変だなあと思います。そんな昔の事でも残っているものなのですね。
貴重な体験談で面白いと思いました。

名前: じゅりんだ ¦ 14:53, Thursday, Apr 10, 2008 ×


関ヶ原の鎧武者の話はよく聞きますが。
オチが。
"お、俺じゃないのかよぉぉぉーっ?!"
そうですか。そうきましたか。

名前: MM88 ¦ 20:23, Saturday, Apr 12, 2008 ×


今回は読み易く、非常に臨場感がありました。
まだ戦ってるのなら、有名な武将が見られるかもしれませんね。
好きなんですよ。この時代…。

文章:2 内容:1

名前: PM ¦ 22:09, Thursday, Apr 17, 2008 ×


描写がリアルでよかったです。
分かりやすい文章でした

名前: SPダイスケ ¦ 11:03, Friday, Apr 18, 2008 ×


生きている者への恨みとかではなく、未だに律儀に両軍は戦っていたのですね。時空が重なっているだけというか。とはいえ彼らとは絶対出会いたくありませんが。

名前: ひ ¦ 22:55, Monday, Apr 21, 2008 ×


 死んでも尚、未だに戦を続けている落ち武者さん達が……悲しいですね。
 本当に斬られるかと思いきや、後ろに別の方がいたとは。
 予想に反して面白かったです。

名前: こうたろう ¦ 13:30, Sunday, Apr 27, 2008 ×


切られるかと思ったら別の武者と切り結んでいたというオチの部分は意表を突かれました。落ち武者の霊が関が原の戦いで死んだのだとすると、もう400年以上も戦い続けていることになるわけですか。気が遠くなりますな。

名前: 久遠 平太郎 ¦ 19:55, Monday, Apr 28, 2008 ×


まずこれだけはっきり見えるというのはすごいですね。
しかも普通に高速を歩いているとは。
武者が車中を通り過ぎる所など、書き手は苦労して書いたんでしょうね。
意外な展開も良かったです。
誤字も所々ありましたが(以外とか、切り結ぶとか)、前の文ではちゃんと「斬られる」と書いているあたり、うっかり間違えちゃったんでしょうね。
私も寝不足続きで訳わからなくなった事ありましたよ。

名前: 昼間寝子 ¦ 06:05, Wednesday, Apr 30, 2008 ×



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