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追剥ぎ追い
六十年程昔の話。
日野さんが子供の頃住んでいたところは駅から遠くバスも来ない小さな村で、駅と村の間には雑木林と荒れ地が広がっていた。
昔の事でもあり村までの道には街灯も無く、日が暮れればあたりは真っ暗になり、そのため雑木林の中には時々よからぬ者…道をやって来る人を襲って金品を奪う、昔の言葉で言えば”追剥ぎ”が潜んでいる時があった。
ある日の夜、日野さんと同じ村に住む松田さんという当時30代の既婚女性が、予定していた列車に乗り遅れて帰りがすっかり遅くなり、その雑木林の中を一人で通りかかった。
雑木林では二人組の追剥ぎが待ち伏せており、暗がりの中をやって来る姿に、格好の獲物とばかりに襲いかかった。
松田さんは悲鳴をあげて逃げ出し、雑木林の中を逃げ惑った。そして何をどう考えたのか、追剥ぎの手から逃れるために林の木によじ登った。
追剥ぎ二人は木に登ってゆく松田さんに飛びつき、引きずり降ろそうとした。
二人のうちの一人が松田さんの胴に取り付き、力まかせに引っ張ると松田さんは更に大きな悲鳴をあげて抵抗したが、追剥ぎは手を放さず松田さんにぶら下がる様にして、引き落とそうとしている松田さんを見上げた。
松田さんは必死に逃れ様としながら、自分に取り付いている追剥ぎを肩越しに振り向いて見ていた。
いや、肩越し、と言うべきか。
松田さんの首は人間では有り得ない角度に、調度真後ろを向いて追剥ぎを睨みつけていた。
そしてその顔は。
いつの間にか松田さんの顔ではなくなり、やはり人間では有り得ない、獣の様な大きな牙を剥いて
〈グワッ!〉
と今にも咬みつかんばかりの唸り声をあげた。
今度は追剥ぎが悲鳴をあげて地べたに落ち、尻餅をついた。
するとその追剥ぎめがけて、牙をむいた頭部が唸り声をあげて飛んで来た。
追剥ぎ二人はわめき声をあげて逃げ出した。
その二人を、松田さんの頭部ではなくなった、恐ろしい形相の頭だけのものがガウガウと吠えたてながら、毬の様に大きく跳ねながら追剥ぎたちを追いかけた。
暗い雑木林の中を延々と。

追剥ぎ二人は駅まで逃げ込んで来ると、正気を失った目で化け物が出た、ずっと追いかけて来た、喰い殺されそうになった、首だけの化け物だヤマイヌだ何だとわけのわからない事を騒ぎたて、不審に思った駅員から駐在所の警官に連絡がゆき、後に事の次第が判明した。

しかし、追剥ぎたちが化け物だったと言う松田さんはもののけなどではなく、帰りが遅い事を心配した家人が駅まで迎えに出た途中、雑木林の中で倒れているところを発見された。

松田さんは追剥ぎに出くわしたあたりまでは覚えているものの、後の記憶は全くなかったという。





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六十年程昔の話。場所は、バスも通っていない小さな村と駅を結ぶ道の途中に広がる雑木林。村までの道には街灯も無く、日が暮れれば辺りは真っ暗になる。雑木林の中には時々闇夜に紛れ、通り掛かる人を襲って金品を奪う、所謂「追剥ぎ」が潜んでいる事があった。ある夜 ... 続きを読む

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■講評

日野さんは現場周辺の説明に使われた後は話の中から姿を消しており、最後まで出ないのであれば日野さんは書く必要がないのではと思います。もし日野さんを出すのであれば、日野さんがこの話を知った経緯を含ませないと、日野さんの出てきた意味がないような気がしました。

話は興味深く読みましたが、「暗い雑木林」の中で松田さんの変化した顔が分かったり、「恐ろしい形相の頭だけのものがガウガウと吠えたてながら、毬の様に大きく跳ねながら」という様子が見えたのは、その日が月夜だったのでしょうか。

おそらくこの話は日野さんも伝え聞いた事であるようですから、内容の詳細はそこまで分からないのでしょうが、あまりにも滑らかに話が進むので、ちょっと出来すぎのように見えました。

文章0:希少度1

名前: chidori ¦ 16:00, Saturday, Mar 22, 2008 ×


日野さんも松田さんから聞いたと思うのですが、松田さんも記憶がなかったのだから、おそらく松田さん自身も人から聞いたということでいいでしょうか。
人から人への話は、+αも加わる可能性があるので評価が難しいです。
でもこういう古い時代の話は好きなので、大変興味深かったです。

名前: 黒ムク ¦ 21:23, Saturday, Mar 22, 2008 ×


昔の怪奇譚を読んでいるような気分になった。
日野さんは直接怪異に関係しないので省き、松田さんを中心に書いた方が良かったように思う。

希少性(1) 文章(-1)

名前: ねこや堂 ¦ 21:33, Saturday, Mar 22, 2008 ×


文章 1
一つの文章が長い。
稀少度 0
伝説のように感じた。

のどかな昔話を聞いているような印象がある。
でも「日野」さんの登場の仕方が中途半端かな。

名前: くりちゃん ¦ 22:46, Saturday, Mar 22, 2008 ×


怪異自体はけっこう面白いと思う。しかし、ネタが十分消化しきれていないうちに書いてしまったような印象を受けた。
最初は松田さんが怪異の体験者だと思って読んでいたのだが、途中からは追い剥ぎが体験者になったので戸惑った。これなら最初から追い剥ぎ側の視点で書いた方がよかったのではないか。

名前: ナルミ ¦ 00:56, Sunday, Mar 23, 2008 ×


 あきらかに日野さんの記載が余計、一点減点します。
 まるで伝説みたいな内容ですが、六十年前とはいえ、協力者の日野さんから、もう少し当時の貴重な話が取材できなかったものか?時代背景が林だけでは・・・。せめて何処の県の話なのか知りたかった。
 一点減点します。

名前: くすだまん ¦ 14:30, Sunday, Mar 23, 2008 ×


ネタ+2 文章-1
最初に松田さん視点で話を進めていたのに、途中から追いはぎ視点に唐突に切り替わったため、話に奇妙な「うさんくささ」が出てしまっています。
情景描写を松田さん視点、追いはぎ視点それぞれ切り分けて整理した上で、
松田さん追いはぎに遭う→逃げる途中で気を失う→気づくと助けられ、追いはぎ捕まってる→追いはぎが妙なことを言っている
のように並べるとわかりやすかったと思います。

狐狸の類の一つとして面白いだけに、文章立てがちょっともったいないです。

名前: ねこ ¦ 22:12, Sunday, Mar 23, 2008 ×


文:0 怖:+2

読んでいる途中で一体誰の話なのかとちょっと混乱しました。
これは、すべて当の追いはぎが話した事なのでしょうか。
それでしか伝達しないとは思うのですが、その辺りが不明瞭。

怪異は抜群かも。

名前: 晴 ¦ 13:21, Monday, Mar 24, 2008 ×


文章・・・-1
希少度・・・1

視点が松田さんになったり追剥ぎになったりと、終始入れ替わるので、全体を通して据わりが悪く、そこばかり気になりました。
文章化しにくい話だとは思いますが、それでも書き方に気を付ければそのような初歩的なミスは避けられたはずです。

名前: 鹿太郎 ¦ 22:19, Monday, Mar 31, 2008 ×


日本昔話でありそうな…。
怖いような、コミカルなような。
古き良きニッポンに思いを馳せて目を細めたくなる話で、嫌いじゃないです。

名前: ちゅん ¦ 12:07, Wednesday, Apr 02, 2008 ×


>いつの間にか松田さんの顔ではなくなり〜
えっ、松田さんどうやって見たの!?と混乱。
追剥ぎ二人の供述から得た話に切り替わっていたんですね。メリハリがなくわかりづらかったです。 -1
ここからやけに詳しく書かれていますが、松田さんがこれをどこから聞いてきたのかという疑問も残ります。

まずは松田さんに憑依(?)して、そこから飛び出して追いかけ回すというのはすごい。何に守られたんだろう松田さん。
タイトルも好きです。うまい! +2

名前: 眠 ¦ 21:37, Wednesday, Apr 02, 2008 ×


視点の変化が作品を壊した部分があった。よって難しい作品となってしまった。

名前: 茶毛 ¦ 00:09, Saturday, Apr 05, 2008 ×


60年前のこの出来事。
昔の話を書くのは難しいとは思いますが、松田さんと追い剥ぎ両方の視点を行き来するので、いったいどなたから聞いた話なのかというのが気になってしまいます。
作者様は作品にするのに苦労したとは思うのですが、怪異自体は珍しいので少々惜しく感じてしまいました。

名前: へみ ¦ 09:09, Saturday, Apr 05, 2008 ×


駐在所の警官が事の次第をとりまとめており、それが日野さんに伝わっていたということになるのでしょうか。
人獣変化の凄い記録なのかもしれませんが、やはり読んでいてちょっと戸惑いました。
希少度 2 文章 −1

名前: じぇいむ ¦ 22:48, Saturday, Apr 05, 2008 ×


急に松田さんが獣の首になりと、怪異の視点がいったいどこから見てよいのか話に途中から戸惑いを感じました。追いはぎに襲われた途端に怪物に化けて、というか守護されたと取った方が良いのでしょうが、話に混乱をきたしていると思いました。珍しい怪異だとは思ったんですが…。

名前: じゅりんだ ¦ 00:38, Wednesday, Apr 09, 2008 ×


怖さ…というか怪異自体は強烈?
話をもっと整理すべきだったのでは。
この話の怪異部分を最高に抽出したリライトを読んでみたいです。

名前: MM88 ¦ 01:43, Thursday, Apr 10, 2008 ×


なんだか昔話みたいな感じですね。
ただ、松田さんに記憶がないとすると、怪異中は誰の視点なのでしょう? 追剥の方ですかね? 追剥がここまで細かく説明したのでしょうか…?
ちょっとその辺に疑問が残りました。

文章:1 内容:1

名前: PM ¦ 23:55, Tuesday, Apr 15, 2008 ×


途中から 誰の体験なのか分からなくなってしまいました。視点が切り替わるのが
紛らわしく、読みにくさを感じました。

名前: SPダイスケ ¦ 09:49, Friday, Apr 18, 2008 ×


つまり、追い剥ぎたちが狸か狐にばかされていたということですね。木登りの攻防戦は少々分かりづらく、何度か読み直してしまいました。話者の日野さんが登場しないところを見ると又聞きのようですね。当の松田さんは追い剥ぎに出会ったところから気絶したままですし。うーん、これはかなり尾ヒレがついてますね。

名前: ひ ¦ 15:28, Friday, Apr 18, 2008 ×


稀少性+1
頻繁な視点の切り替えが目立ち、まだ整理しきれてないような印象があります。
後、体験者である松田さんが追い剥ぎに襲われてから記憶がない事が書かれているので、『胡散臭さ』が出ている感じが。
それならば、始めから追い剥ぎの視点で文章を組み立てると良かったかも。

名前: 有線 ¦ 10:28, Friday, Apr 25, 2008 ×


 文章が読みづらいのが残念です。
 最初は松田さん視点だったのに、途中から追いはぎの視点になるところが混乱して分かりにくかったですね。
 整理したらよくなると思いますよ。

名前: こうたろう ¦ 12:09, Sunday, Apr 27, 2008 ×


追剥ぎというのが雰囲気があって良いですね。
文章は途中、日野さんから追剥ぎへ視点が変わったため混乱しましたが、ネタは凄いの一言につきます。
構成を見直せば、大化けする可能性のある話ではないでしょうか。

名前: 久遠 平太郎 ¦ 15:47, Sunday, Apr 27, 2008 ×


面白いです。
一体何が彼女を守ったのか、興味が尽きませんね。
昔の話って、大好きですね。

名前: 昼間寝子 ¦ 03:05, Wednesday, Apr 30, 2008 ×



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