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山狩り
母の幼い頃の話。
太平洋戦争で母の故郷からも、たくさんの若者が兵隊に行った。
当時としては、徴兵されるのは喜ぶべきこと。「お国の為」だった。
母の父、私の祖父もいずれ国内の戦地に赴くのだが、その前の話。

ある若者に召集の赤紙が来た。
しかし、その若者は逃げ出してしまった。
気持ちは分からなくはないが、当時としてはこの上もなく恥ずべき事だった。
その一家までもが、周りから白い目で見られる。

現代に生きる我々は、逃亡する気になれば電車等で遠い所にと思うが、近くに鉄道の駅もなく交通も発達していなかった当時は、逃げ込む所は山しかなかったらしい。
すぐに消防団等で捜索隊が結成され、山狩りが行われた。
その山は、山神様がいる山として知られていた。
祖父もその捜索隊に参加した。

懐中電灯はその当時すでにあったらしく、捜索は日が沈むまで行われた。
今日の捜索はここまでにしようかという時、山の奥からガサガサと音が聞こえてきた。
逃げた若者かと思い皆でそちらに行くと、見たこもないようなものが蠢いているのが月明かりに照らし出された。
丸太のような体。頭には目も鼻も無く口だけ。5メートルほどのそれはでかい芋虫かミミズのようだったという。
皆が一目見て、山神様だと思ったらしい。
全員あっけにとられていたが、誰言うともなく山神様を刺激しないように後退り、その場から逃げ出した。

祖父は家に帰って、母に言った。
「今日、山神様を見た。山を騒がせて、怒っているのかもしれない。」
「山神様怒っていたの?」
「ああ。あの若者早く見付かればいいが・・・。」

祖父の心配をよそに、翌日の朝若者は山中で確保された。
頭の毛がほとんど抜け落ち、半狂乱になっていたという。
何があったか聞いても、薄ら笑いを浮かべるだけでまともに答えることはできなかった。
すぐに病院に運ばれたが、その後その若者を見ることはなかった。
戦争に行く事と山に逃げ込む事、どちらが良かったのかは知る由も無い。




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■講評

文章 1
読みやすい。
稀少度 2
このような戦争裏話は初見です。

「母の父、私の祖父もいずれ国内の戦地に赴くのだが、その前の話。」のお祖父さんの事は別に書かなくてもいいのでは?それと最後の一説もない方が収まりがよいような気がする。
あの時代、赤紙から逃げるのには相当な覚悟がいったはずだから、若者としては決死の思いで山に入ったと思われる。記述はないが禁じられた山だったのではないだろうか。
若者自身も軍隊/山の神様と天秤にかけて山に逃げ込んだと思うが、とんだ結末になってしまった。土地の若者をもしかしたらかくまってくれるのではないかと思いながら読んだが、やはり闖入者は許されなかったということか。
神様の描写が妖怪「のづち」を連想させる。

名前: くりちゃん ¦ 09:20, Tuesday, Mar 11, 2008 ×


捜索が始まるまでの説明が長いので、もう少し簡潔にした方がいいと思います。
山神様の姿については興味深く読みました。ただ、蠢いていた様子や、体の質感が分からないのはちょっと残念でしたが・・・。

見つかった若者の描写も分かり易くてよかったのですが、祖父の科白の次に「祖父の心配をよそに、翌日の朝若者は山中で確保された」と説明が繋がるのは、ちょっと意味がおかしくなっています。山神様を怒らせた事も心配に含まれるので、続く説明の「祖父の心配をよそに」という箇所は削った方がいいと思いました。

結末の2行は無くして、おかしくなった若者の姿を最後に描いて終わった方が、作品に強烈な印象を残せるのではないかという気がします。

文章0:希少度1


名前: chidori ¦ 09:35, Tuesday, Mar 11, 2008 ×


すいぶん昔の話なので怪異を表現する際の取材は大変だったと思います。
時代が悪かったのでしょう・・・そんな胸の痛む話です。

名前: 黒ムク ¦ 10:01, Tuesday, Mar 11, 2008 ×


 母の父、私の祖父のくだりは、余計だと思いました。
 まだ年配者が徴兵されていないのだから、えーと、太平洋戦争が始って間もなく?昭和16年か17年頃の話ですかね?
 それと文章が粗い。
 一点減点します。
 時代背景は、おぼろげながら分かりますが、場所の記載がなければ、交通が不便だという状況が分かりません。列車がないのですから、かなり山奥ですね?飛騨高山あたりか?
 また、そうでなければ、なぜ妖怪のようなモノが山の神だと思ったのかが分かりません。妖怪もご当地の特色があります。
 時代的に取材が難しいのは分かりますが、体験者に詳しく聞けば、以上の事を調べるのは難しくはありません。よって厳しいようですが取材不足として判断して一点減点します。

名前: くすだまん ¦ 10:50, Tuesday, Mar 11, 2008 ×


文:+1 怖:+2

本当に嫌な話です。
果たしてそれは本当に山神様だったのでしょうか。

最初のお祖父さんの説明などははぶいた方が
主題がもっと明確になってすっきりすると思います。

名前: 晴 ¦ 15:21, Tuesday, Mar 11, 2008 ×


ネタ+2
山神様の姿が若干想像しづらかったです。
文章の緩急のつけ方がやや弱く、それがなければもっと迫る話になったと思います。

名前: ねこ ¦ 19:17, Tuesday, Mar 11, 2008 ×


冒頭部分は不要。
所々省いても差し支えない部分があるので、推敲して簡潔にまとめると良いと思う。
山神様についてはもう少し詳しい記述が欲しかったかな。

戦時中はこういう事が多かったと聞いている。
逃亡者は厳罰に処され、その家族も非国民の家族として後ろ指を指されたというから、大変に生き難い時代であったのだろうな。

希少性(0) 文章(0)

名前: ねこや堂 ¦ 21:56, Tuesday, Mar 11, 2008 ×


怪異自体はなかなか興味深かったが、文章に難あり。前半に無駄な記述が多いし、ところどころ論理がおかしいところもある。「懐中電灯はその当時すでにあったらしく、捜索は日が沈むまで行われた。」は、「日が沈んでからも行われた」が正しいのでは。
山神様の描写も不足している。長さはわかるが太さがわからない。「芋虫」だとかなり太いイメージだし、「ミミズ」だともっと細い感じがする。口も、昆虫のようだったのか円口類のようだったのかなど、具体的に書いてほしかった。

名前: ナルミ ¦ 00:49, Wednesday, Mar 12, 2008 ×


山%uEFA899様の様子が分かりにくいのが、大変残念。
希少度 1 文章 −1

名前: じぇいむ ¦ 05:24, Thursday, Mar 13, 2008 ×


結構強烈な内容です。5メートルほどのでかい芋虫かミミズのような山神さまの姿の描写も圧巻でしたし、その後、発見された若者が半狂乱になっていたというのも恐ろしい。
魔物が住む山なのでしょうか?当時の時代背景を考えるとやるせない気持ちになりました。

名前: じゅりんだ ¦ 22:03, Thursday, Mar 13, 2008 ×


物凄く、物凄く面白いし、苦しい話です。
文章もよくまとめられていると思います。
所々に推敲の余地や、もうひと描写欲しかった部分もあるかとは思いますが、それらを補って余りある貴重な体験談でした。
興奮しました。

名前: out ¦ 18:47, Friday, Mar 14, 2008 ×


出征させるために逃げた若者を追って山狩りをする。やりきれない話です。その若者が山神さまと遭遇してそんな変貌を遂げたのかわかりませんが、最後の一行は余計な気がします。読者にゆだねたほうが良いのでは?

名前: ひ ¦ 15:19, Monday, Mar 24, 2008 ×


文章・・・1
希少度・・・2

とても珍しい話だと思います。
戦時中でこういった話は聞いたことがありません。
他の方も書いておられましたが、私も「のづち」を思い浮かべました。
目撃談はそれだけなのでしょうか。
気になります。

名前: 鹿太郎 ¦ 01:42, Thursday, Mar 27, 2008 ×


5メートル、でかっ。芋虫orミミズとなると、表面は無毛?ううぅ気持ち悪い。
でも全員が山神様だと判断できるような、神々しさあるいは禍々しさがあったんでしょうね。 +2
もう少しヒントがほしいです。気持ち悪くても、これは詳しく知りたい。

命がけの逃亡を図り、隠れる場所は闇。それだけで発狂する要素は十分にあるので、若者が山神様に会ったのかどうかは判断しかねます。背景に戦争があるのでどのみち悲しいけれど。

名前: 眠 ¦ 04:07, Friday, Mar 28, 2008 ×


山神様すごいですね。 めちゃくちゃ興味があります。
妖怪っぽさがいいです。
さらに詳しい描写が欲しかったですが、昔の話ですし難しかったかな・・・。
心霊スポットに行くのは好きですが、この山は行こうとは思えないですね。

名前: へみ ¦ 02:18, Sunday, Mar 30, 2008 ×


ジ○リだ、ジ○リだ〜(笑)と思ってしまいました。若者は気の毒に…都会の方は実感わかないでしょうが、田舎者にとっては今も山や川には神様がいる、と例え形式的でも思っているので、案外その辺の山に登ったら遭遇出来るのかも…と思いました。

名前: ちゅん ¦ 13:01, Tuesday, Apr 01, 2008 ×


戦争話と思いきや、山神様ご登場。
戦争の悲惨さは言うまでも無いが
現代の山には山神様がどれだけ
生活しているのだろう。
若者にとってはどちらにせよ
時代が悪かったのか。

名前: 茶毛 ¦ 22:12, Wednesday, Apr 02, 2008 ×


山神様、見た目が怖いなぁ…。
若者は怒られちゃったんですかね…?

文章:1 内容:2

名前: PM ¦ 22:42, Friday, Apr 11, 2008 ×


山%uEFA899様の描写が 気持ち悪くていいですね。
面白かったです。

名前: SPダイスケ ¦ 16:30, Monday, Apr 14, 2008 ×


山神さま…だったのでしょうか?
若者がそうなってしまったのは、山神様のせいかどうかはわかりませんね。

名前: MM88 ¦ 21:03, Wednesday, Apr 16, 2008 ×


恐怖+1 稀少性+1
かなり珍しく、貴重な話だと思います。
欲を言えば、もう少し山神様の造形を描写して欲しかったですね。

名前: 有線 ¦ 16:19, Thursday, Apr 17, 2008 ×


戦争の裏にはこういった無数の悲劇が隠されていたのでしょうね。
山神様の目撃談としても、戦争の記録としても非常に貴重な話だと思います。

名前: 久遠 平太郎 ¦ 20:25, Monday, Apr 21, 2008 ×


異形の存在の特異さと、青年の癲狂が底知れない気味の悪さを醸し出している。
徴兵が話の小道具として生きていて、怪談として良作に属する出来であると思う。

名前: 磯昆布 ¦ 23:39, Wednesday, Apr 23, 2008 ×


 こういった話が大好きです。
 山神様は若者を救ってくれなかったのですね……
 山神様にとって、山を騒がすものは全て邪魔者なのでしょうか。
 もう少し山神様の描写を詳しくして欲しかったですがね。

名前: こうたろう ¦ 20:27, Thursday, Apr 24, 2008 ×


青年は社会にも山神様にも守って貰えなかったのでしょうか。
山神様に驚くと同時に、哀しい話でもありますね。

名前: 昼間寝子 ¦ 05:35, Tuesday, Apr 29, 2008 ×



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