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般若心経を子守唄代わりに育ったという岡崎さんは、代々、各種供養を請け負う家系だという。 それ故か、実家での生活中は、大小問わず、様々な怪異が見られたという。 その中でも一番強烈だったという、中学3年生夏の怪体験を話してくれた。
実家は母屋と離れで構成されており、岡崎さんはその頃、祖母の住む離れの2階に部屋を持っていた。
夜の0時前くらいだろうか。岡崎さんは布団に入り、いつも通りウォークマンを聴きながらウトウトしていた。 程よく微睡んだ頃、突然、ウォークマンが切れた。アレッと思う間も無く、身体が動かなくなる。 突然の金縛りに戸惑っていると、廊下から複数の足音が聞こえ始めた。 10人…それ以上だろうか? 音の軽さから子供のようにも思える。 そんなにたくさん兄弟はいない。何にしてもまずあり得ない状況だ。 徐々に部屋へと近づくその足音に恐怖を覚え、岡崎さんは強く目を瞑って震えていた。 足音が何事もなく通り過ぎてくれる事を願ったが、それも空しく、バーン!と部屋の障子が勢いよく開けられた。 そして、部屋に入ってきた足音達は、自分の周りをぐるぐると回り始めた。
しばらくその状態が続いたが、岡崎さんは徐々にその足音の元を確かめたくなってきた。 恐る恐る目を開くと、少し斜めを向いて固まっている身体から正面にあるのは部屋の窓。そこに、小さな子供が外を眺めているのが見えた。 その子供を見ていると、ふと、周りの足音が静かになっている事に気付く。 目線を少し動かしてみると、今まで走り回っていたと思われる子供達が自分の周りに立ち、見下ろしていた。 その顔は暗く、よく見えないのだが、向けられる視線は感じ取れたという。 恐怖心が戻ってきた岡崎さんは、再び強く目を瞑る。それを合図に、子供達が再び周りを回り始める。 しばらくして岡崎さんが目を開くと、子供達が立ち止まって見下ろす。目を瞑る。回り始める。
何度それを繰り返しただろうか。気付けば部屋の中は静かになっていた。 身体も動く。部屋の中には自分ひとり。 子供が立っていた窓に近づき、外を見る。…誰もいない。 夢だったのだろうか…?
しかし、安堵した岡崎さんが次に見たものは、開け放たれたままの障子だった…。
この手の話は当時でもよく聞く話だ。セオリー通り、これで終わりだと思っていた。 しかしまだ、岡崎さんの朝は遠いようだった。
先の騒動で呆然としていた岡崎さんの耳に、何かが聞こえてきた。 「あぁああ… うぅ…」 断片的に聞こえる重低音の異音。よく聞くと、誰かの声らしい事が分かった。 「ぐぅ… あぁああ…」 徐々にボリュームが大きくなってきた。下の階から聞こえてくるようだ。 「ぐぅるぅしぃ… あぁああ…」 苦しんでいる? 下の階には、病を患い、寝たきりになっている祖母がいる。様態が悪化したのかもしれない。
先ほどの恐怖も忘れ、岡崎さんは慌てて両親の元へと急いだ。 両親と共に祖母の部屋の前に立つ。 「あぁぁぁぁ… ぐぅるぅしぃ…」 声は相変わらず続いている。 父が部屋の障子に手をかけた。 「入るなっ!!」 その瞬間、祖母のものとは思えない野太い叫びがあがる。両親共、異変を感じ取ったようだ。 父が障子を開け、部屋に踏み込む。 すると直後、部屋の奥から寝たきりのはずの祖母が四つん這いになって勢いよく迫ってきた。
さすがに一瞬、身を引いた父だったが、すぐに祖母を押さえにかかる。 しかし祖母は、自分よりもはるかに身体の大きな父を、いとも簡単に投げ飛ばした。 これはマズイと、母と共に岡崎さんも加勢する。 なんとか3人掛かりで押さえ込むと、しばらく抵抗を続けていた祖母だったが、徐々に落ち着きを取り戻してきた。 その後、父の指示により、母屋にある大きな神棚の前で供養を行うことになった。
しかし、神棚のある部屋の前に来ると、祖母は再び抵抗を始め、部屋の敷居を跨ごうとしない。 それでも無理やり部屋の中へ担ぎ込み、神棚の前に座らせた。だが、すぐに祖母は神棚に背を向けてしまう。 仕方がないので、祖母をそのままに、3人は神棚の前で供養を開始したのだった。
しばらく続けていると、祖母は神棚に向けて座りなおし、供養が終わるころには、完全に意識を取り戻していたという。 後にこの事を祖母に訊いたところ、全く覚えていないとの事だった。
このしばらく後、岡崎家と関わりのある霊能者から、母に水子がいるという事と、敷地内にある古井戸にゴミが落ちているという事を指摘され、また、悪霊の仕業ではない事も伝えられた。 この件はそれらの供養を行う事で解決したそうだ。 尚、この指摘があるまで、祖母の異変は幾度となく繰り返されていたらしい。
「警告するにしても、同時にされたら原因絞りにくいわ。」 と、現在、供養とは無関係のプログラマー職に就く岡崎さんは言う。
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■講評
文章 1 なかなか読ませる。 稀少度 1 怪異がいっぱいで盛りだくさんなのだが。
複合されて、ということでコンボという題名がついたと思うが、盛りだくさんということは、同時にまとまりを欠くこともある。 「岡崎」さんの金縛り体験が核になっているのか、祖母の異変が核になっているのか、中途半端な感じがする。 また「各種供養を請け負う家系」といいながら他の霊能者から障りを指摘されるのは、疑問。占い師が自分で自分を占えないのと同じ事、というのかな。 |
名前: くりちゃん ¦ 08:49, Monday, Mar 10, 2008 ×
読み応えあり!怪異もテンコ盛りで、おなかがいっぱいです。しかし各種供養請負人って?どんな職種だ? 雑誌で読みましたが、墓まいりを請け負う便利屋が紹介されていましたが?そこの部分の取材が出来ていないと、読者は話に入っていき難いですね。厳しいようですが一点減点します。 |
名前: くすだまん ¦ 12:13, Monday, Mar 10, 2008 ×
それぞれの怪異に的を絞ってしまったほうがよかった気がする。 いろいろある割には「これだ!」と思うところが少なかった気がする。
「部屋の奥から寝たきりのはずの祖母が四つん這いになって勢いよく迫ってきた。」ある意味幽霊より、そりゃ怖いわ・・・・
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名前: 黒ムク ¦ 14:10, Monday, Mar 10, 2008 ×
何だか文章のせいで間延びしているような・・・。 文章の不慣れさと構成のまずさが、中盤で盛り上がったせっかくの怪異を変な方向にクールダウンさせているような感じです。
「この手の話は当時でもよく聞く話だ。セオリー通り、これで終わりだと思っていた。しかしまだ、岡崎さんの朝は遠いようだった」というメタフィクションめいた語りは、珍しいと思って使ったのでしょうが、せっかくの怪異コンボ効果が中断されて水をさしたような感じになっています。コンボで怖くしたいのなら変な文章は混ぜない方がいいと思いました。
また、 『断片的に聞こえる重低音の異音。よく聞くと、誰かの声らしい事が分かった。「ぐぅ… あぁああ…」徐々にボリュームが大きくなってきた』という、人の声をウォークマンに見立てたような表現は、この話の重さに対して完全に滑っています。
最後の『「警告するにしても、同時にされたら原因絞りにくいわ。」と、現在、供養とは無関係のプログラマー職に就く岡崎さんは言う』も全くの蛇足で、なくてもこの話は成立するし、結末にわざわざこれを入れることで話がくどくなっていると感じました。
「コンボ」についてはゲーム用語からとったものだと思って読みましたが、もしその意図で書き手が題名に使ったのであれば、文章で水をさしてコンボを中断させているので、題名に偽りありです。
怪異自体は2つとも興味深く読みましたが、書き手が文章に変な色気を持ち込もうとした事がせっかくの怪異を半減させているような印象を受けました。作品のトーンを統一させることをまず考えて、素直な表現を目指した方がよいと思います。 怪異の描き方についてはとても良くできた作品だけに、もったいない・・・と感じます。
文章−1:希少度1 |
名前: chidori ¦ 15:08, Monday, Mar 10, 2008 ×
文:+2 怪:+1
怪異自体は珍しくないものの複合、という感じです。 が、最後のツッコミに笑わせて頂きました。 確かに(笑) |
名前: 晴 ¦ 18:42, Monday, Mar 10, 2008 ×
本当に盛り沢山だな。 実際に一晩の内に起きた事なのかも知れないが、沢山有り過ぎて焦点がボケてしまっている。 実に勿体無いと思う。
希少性(1) 文章(-1) |
名前: ねこや堂 ¦ 01:20, Tuesday, Mar 11, 2008 ×
「各種供養を請け負う家系」だというのに自分の家のことがわからなかったのが不思議。そういう家系であれば、母に水子ができたのなら当然真っ先に供養するだろうし、古井戸の掃除だって普段から欠かさないはずなのに、と思ってしまう。 怪異も、ありがちな怪異を二つ繋げただけ、という印象を受けた。 |
名前: ナルミ ¦ 01:34, Tuesday, Mar 11, 2008 ×
ネタ+1 2つの現象と霊能者の霊視とが、なんとなくかみ合っていない感じがします。 また、「供養」という単語になんとなく違和感を感じました。 (広義では神仏への祈祷を意味するらしいですが、日本的には死者の鎮魂の意味合いが強いせいでしょうか) コンボといっても、怖さのレベルは飛び込み大パンチ+立ち中パンチ、までといった感じで、さらにしゃがみ中キック+レベル3超必殺技が欲しかったところです。 |
名前: ねこ ¦ 19:05, Tuesday, Mar 11, 2008 ×
水子供養してなかったり、古井戸にゴミが落ちているといたらそりゃ悪い事が起こりそうな要素ですねえ。 しかし各種供養を請け負う家系なのにどうして自分の所の供養はできていなかったのか?その辺りが怪ですが、医者の不養生ともいいますしね。 おばあさんの怪力はなんら不思議ではありません。男のような力を出して襲ってくる事ってありますよ。 (体験あり) 怖いというより、不思議家族のエピソードっていう感じです。その辺りは読ませていただいておもしろかったかなあと。 |
名前: じゅりんだ ¦ 02:44, Thursday, Mar 13, 2008 ×
子供達と祖母の異変がおのおの警告なんでしょうか? そのへんが分かりにくかったです。
希少度 1 文章 0 |
名前: じぇいむ ¦ 05:12, Thursday, Mar 13, 2008 ×
| 原因が水子と古井戸のゴミだけにしてはすさまじい霊障でした。祟りを為すときは被害を受けた霊同士が徒党を組むんだーと妙な感心をしました。文章は長いですが、読みやすかったです。 |
名前: ひ ¦ 14:10, Saturday, Mar 22, 2008 ×
起きた現象がコンボで、さらに原因も2つあったわけですね。 確かに原因絞りにくくなってしまいますね。 代々各種供養を請け負う家系だったようですので、供養の様子も知りたかったです。 |
名前: へみ ¦ 03:20, Sunday, Mar 23, 2008 ×
文章・・・1 希少度・・・0
オムニバスといったところでしょうか。 コンボというわりには連続にはなっていないようですが。 ただ単発が2回続いたってだけじゃないでしょうか?どうでもいいですけど。
一つ一つの怪異は面白く読ませて頂きました。 良く聞く怪異譚ですが、しっかりと描写されています。
ただその二つを繋ぐ文章「この手の話は当時でもよく聞く話だ。〜」というのは必要なかったと思います。 |
名前: 鹿太郎 ¦ 01:02, Thursday, Mar 27, 2008 ×
「各種供養を請け負う人」なら神主さんなどもそれに当たるだろうから、霊能者とは別物?自分に何か憑いてるのがわからなくても仕方ないのかな?と、考え込みました。 岡崎さん一家が請け負う「各種供養」がどういった能力ゆえのものなのかわからないです。
読み終える頃には前半のお話がかなり霞んでいます。後半のおばあさんのお話も特に目新しいものは感じられず、「豪華二本立て!」といったお得感はないかも;
無駄に長いとは思わなかったです。でも引き込まれてぐいぐい読んだというわけでもないです。 取り留めなく書かれている感があり、曖昧な感想しか浮かびませんでした。ごめんなさい。 |
名前: 眠 ¦ 03:00, Friday, Mar 28, 2008 ×
寝たきりのおばちゃんがお祓い中に座りなおし??正座は出来るのに寝たきり?? つっこむ所が違うかも知れませんが…。 |
名前: ちゅん ¦ 12:51, Tuesday, Apr 01, 2008 ×
ツッコミどころがありすぎて コメントしづらい為、この点数で。 |
名前: 茶毛 ¦ 14:29, Wednesday, Apr 02, 2008 ×
題は「コンボ」とあるが、前半と後半との関連性が薄いように思える。一夜のうちに立て続けに怪異が発生したのでこのタイトルなのだろうが、少々欲張りすぎではなかろうか。 霊能を売りにしながらも、身内の霊障の根源を究明できないというのはいかがなものかなあ、と思う。紺屋の白袴というわけでも無さそうだし。 |
名前: 磯昆布 ¦ 22:54, Tuesday, Apr 08, 2008 ×
もう少し、文章の構成に整頓が必要かなと思います。 他の方の講評にもありますが、タイトルにも難があり、やや取材不足感も残ります。 話自体は怖いとは思いますが…。
文章:-1 内容:1
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名前: PM ¦ 22:24, Friday, Apr 11, 2008 ×
怪異のひとつひとつは気味が悪くて興味深いですが…内容がバラバラ過ぎて自分にはよくわかりません。 もちろん各事象は本当に何の関連性もなく、バラバラな出来ごとなのかもしれませんが。 不謹慎な表現になって申し訳ないですが、テレビの怪奇特番でよくある "某家庭をある日突如襲った奇怪な出来事の数々!霊能者○○が緊急浄霊!" みたいな話ですね。
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名前: MM88 ¦ 15:03, Saturday, Apr 12, 2008 ×
| あえてコンボにしなくても 後半のおばぁさんの話だけでひとつの話にした方がよかったようにも思います。 |
名前: SPダイスケ ¦ 22:33, Sunday, Apr 13, 2008 ×
恐怖+1 後半の四つん這いで迫ってくる祖母のお陰で、前半の金縛りが霞んで見えます。 確かに立て続けに起こっているので、“コンボ”ではありますが、祖母の話だけでも十分だと思います。 |
名前: 有線 ¦ 15:47, Thursday, Apr 17, 2008 ×
水子の霊と井戸の神様(?)の警告が連続で起こったのでコンボということかな。 畳み掛ける怪異の連続攻撃はなかなか凄いのですが、作中で合いの手を入れたためやや間延びしてしまったように思います。 |
名前: 久遠 平太郎 ¦ 19:59, Monday, Apr 21, 2008 ×
うーん……複合で書くよりもどちらか一方に絞った方がよかったのではないでしょうか。 どちらの話も気味悪く、怖かったので勿体無い感じがしました。 |
名前: こうたろう ¦ 18:31, Thursday, Apr 24, 2008 ×
霊能者に指摘されるまで祖母の怪異が続いたというのは大変だったでしょうね。 話を絞ったほうがいいという人もいますが、最初の怪異があってその流れで祖母の怪異が起こっている訳ですから、これでいいと思います。 難を言えば、この手の話は当時でもよく聞く話だ。セオリー通り、これで終わりだと思っていた。しかしまだ、岡崎さんの朝は遠いようだった。 の部分、講評を気にしたのかも知れませんが、なかったほうが良かったかなあ。 |
名前: 昼間寝子 ¦ 04:52, Tuesday, Apr 29, 2008 ×
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