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置き土産
雅仁さんがバイトの帰りにバイクで走行中のこと。
夕方の5時でもまだ充分明るい季節だった。
千葉郊外、交通量もほとんどなく、見通しのいい道でのことだ。
交差点で信号を右折する。
少し先、道の中央に、人一人が入れる位の大き目の水溜りが目に入った。
その中心に女が一人、ずぶ濡れで立っていたという。
汚れた赤い服を着て、長い髪がべったりと顔に付いている。
表情は見えない。
女の姿は、はっきり見えているのに、なぜか古くなった写真のような、妙にぼけた印象を受けたという。
天気は晴れ。
雨は降っていない。
雅仁さんはこの手のことに慣れていた。
(見ないふり)
そこになにもいないかのように、女の横を通り過ぎた。
こういう場合はいつも無視しようと決めていたからだ。
しかし、この時に限ってなぜかやけに、女のことが気になりだしたという。
本当に生きていないはずの人間なのか、確かめてみたくなったのである。
迷った雅仁さんは少し先でバイクを停め、恐る恐る、そっと後ろを振り向いた。
そこには水溜りも女も居なかった。
「やはり生きてない方か・・・まずかったかな」
雅仁さんはなにかやってはいけないことをしたような不安に襲われ、行き先を自宅からその場から近くの友人の家に変更し、バイクを走らせたという。

その友人とはバンドの仲間で、雅仁さんとは幼馴染。
急な訪問にも驚きはしなかった。
「まずいものを見たから家まで送ってくれないか」
とさっきの事を説明した。
しかし友人は、
「男の送迎なんて嫌だ」
の一言で、雅仁さんの申し出をあっさりと却下した。
仕方なく雅仁さんは一人で友人宅を後にし、大人しく自宅に帰ったという。

雅仁さんが帰った後、友人は家のバンドの練習場にしている離れの部屋で漫画を読みながらくつろいでいた。
『コン、コン』
誰かが扉をノックした。
バンド仲間が来たと思った友人は疑うことなく扉を開けた。
いつもここがメンバーの集合場所であったため、よくあることだったからだ。
誰も居ない。
気のせいかと思い、再び漫画を読み出した。

『コン、コン』
誰かが再びノックした。
扉を開ける。
誰も居ない。
そんなことが一晩中、何度も何度も続いた。

朝になり、寝不足の顔で友人は母親にむかって怒鳴った。
「雅仁の奴、とんでもない者、置いていきやがった」
と雅仁さんとのやり取りと、昨晩おきたことを説明し、怒りをぶつけた。
女の居た場所を詳しく聞いた母親は、
「あぁ〜」
と一言いい、納得したという。

何年か前のことになるが、以前その道の近くで、女性が乱暴され殺される事件があったという。
その事件後、被害者の女の霊が出るという噂がたった。
血まみれの女がでた、女が追いかけてきたなどと、当時は随分騒がれたという。
しかし、時が経つにつれそんな話も出なくなり、事件のことも忘れ去られていった。

「久しぶりに聞いたわその話、懐かしいわね。ただの噂話だと思ってたわよ・・・で、まだ出るんだ」
と友人の母親はあっけらかんと答えた。

「だから送ってくれって言ったんだよ」
雅仁さんは後日、勝ち誇った顔で友人にそう言った。
そのせいで雅仁さんはしばらくの間、友人の家には出入り禁止になってしまったという。




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■講評

 古ぼけた印象があったくらいで、びしょ濡れの女性が幽霊と判断は無理だと思うんですが?見えているなら見える人と冒頭から説明が欲しかった。
 よって厳しいようですが一点減点します。


 採点とは関係ないけど、「あっちゃん」は人気キャラだと思うけどなぁ。
 ダントツに人気あるのはダリアだけど・・・。あと水車館の仮面の男とか!・・・。
 いかん!いかん!
 さて!綾辻先生ネタは、これでやめておきます!主催者に怒られる!

名前: くすだまん ¦ 13:04, Sunday, Mar 09, 2008 ×


見える人のお持ち帰りはありがちだが、ぜんぜん関係ないところにおいていくのはなんとも迷惑な話です。
時間がたち目撃例もなくなっていたにも関わらず、見える人が通ると見えたということは、実はずっとそこにいたのに誰にも気付いてもらえなかったのでしょうか。
そう考えると廃れた心霊スポットも捨てたものではないのかも。

名前: 黒ムク ¦ 16:08, Sunday, Mar 09, 2008 ×


文章 1
分かり易い。
稀少度 2
そういうモノを置いていかれても

一種の方違えになってしまったのですね。「雅仁」さんにはよくても、物の怪を置いていかれた友人には災難でした。
「だから送ってくれって言ったんだよ」という〆ですが、送ってもらったにしてもそのまま友人に憑いて返っていくことも考えられるので、説得力が弱いですね。
ノックするだけの怪異で幸いでした。

名前: くりちゃん ¦ 18:24, Sunday, Mar 09, 2008 ×


ありがちな話で、怪異もノックだけなのでさほど怖くない。
またこの場合、「友人」の家で起きた怪異の方がメインなので、「友人」ではなくちゃんと名前を書いた方がよかった。

名前: ナルミ ¦ 22:06, Sunday, Mar 09, 2008 ×


『コン、コン』というノックの音だけの怪異が、少々微妙かなあという感じがしました。
お母さんが女性が乱暴されて殺害された悲惨な事件の事を、「懐かしいわね。」(そう意味ではなく、幽霊の噂の事なんですが・・・)と言っている様に思えて、その箇所が非常に個人的に妙にひっかかりました。(笑)でも、最初に目撃された女性の霊の描き方はリアルで怖かったです。

名前: じゅりんだ ¦ 22:39, Sunday, Mar 09, 2008 ×


前半部はもう少し適度に行間を空けてくれると読み易い。
怪異が二段重ねになっていて興味深かった。

音だけの怪異な訳だが、一晩中やられたらたまらんだろうな。

希少性(1) 文章(0)

名前: ねこや堂 ¦ 02:47, Monday, Mar 10, 2008 ×


話自体はそれなりでしたが、ちょっと引っかかる点がいくつかありました。

「女の姿は、はっきり見えている」のに「汚れた赤い服」という表現では、あまりにも服装が曖昧すぎる気がします。

「何年か前のことになるが、以前その道の近くで、女性が乱暴され殺される事件があったという。その事件後、被害者の女の霊が出るという噂がたった。
血まみれの女がでた、女が追いかけてきたなどと、当時は随分騒がれたという」
そんなに当時有名な事を、なぜ雅仁さんも友人も知らなかったんでしょうか。

また、ノックされ続けた部屋がうるさければ、「離れの部屋」でなくて家に帰ればいいと思いますが、なぜ友人はそれをしなかったのでしょう。

結末に向けて都合の良いように話が流れている印象を受けたので、このあたりをはっきりさせれば、もっと良くなったかと思います。

文章−1:希少度1

名前: chidori ¦ 17:58, Monday, Mar 10, 2008 ×


文:+1 怖:+1

可もなく、不可もなく。
しいて言えば母親が怖い(笑)

名前: 晴 ¦ 19:22, Monday, Mar 10, 2008 ×


ネタ+1
怪異がその日だけだったのかどうかがちょっと気になりました。
また、短いフレーズでの改行が多く、全体が薄く長い印象を受けました。

名前: ねこ ¦ 16:10, Tuesday, Mar 11, 2008 ×


目新しい感じはないんですが、なんか悲しい幽霊ですよね。
希少度 1 文章 0

名前: じぇいむ ¦ 03:53, Thursday, Mar 13, 2008 ×


無視すれば付いてこなかったのですね。その幽霊は噂にも上らなくなって寂しかったのでしょうか。もし友人が雅仁さんを送っていれば、そちらへ付いて行ったのかな。

名前: ひ ¦ 15:26, Friday, Mar 21, 2008 ×


本当は余り良くない事かもしれませんが、このような亡くなり方をされた霊には同情してしまいますね。
怪異がノックだけで済んでよかったと思います。

名前: へみ ¦ 01:46, Sunday, Mar 23, 2008 ×


送ってあげたら雅仁さんが持ち帰ったんでしょうか…。連れてきたのも置いていったのもわからない雅仁さんが呑気で可笑しい。
恐ろしい出来事をあっけらかんと話す友人のお母さんもまた呑気。 +1

お母さんの話が本当なら、あまり笑える内容ではないですね。ノックし続けた意図が何なのか考えると怖いような悲しいような。
コミカルに描かれているのが正解かどうか微妙なところです。 ±0

名前: 眠 ¦ 23:13, Tuesday, Mar 25, 2008 ×


文章・・・1
希少度・・・0

確かに嫌な置き土産ですな。
雅仁さんが直接体験した部分は割りと丁寧に描写されているのに比べて、友人の体験した部分はそれがないように思われます。
これは取材したのが雅仁さんだけだからでしょうが、前半と後半とで文章の印象が変わってしまってるのが残念です。

名前: 鹿太郎 ¦ 13:16, Wednesday, Mar 26, 2008 ×


曰くを聞くともっと強烈に祟ってもいいような霊なのに、ノックくらいで済んで良かったような…、怪談好きには物足りないような…(笑)。
ま、やられた方はたまらないでしょうが(笑)。

名前: ちゅん ¦ 11:53, Tuesday, Apr 01, 2008 ×


よく聞く話のタイプです。
唯一違うとしたら、友人の方に
憑いたという事。
ノックだけじゃお話として弱いです。

名前: 茶毛 ¦ 13:21, Wednesday, Apr 02, 2008 ×


途中で視点が切り替わるため、出来事をなぞっているだけという印象が強かったように思う。
怪異に関しては、登場時の薄気味悪さと対照的に、発生した現象が小粒のように感じられる。何ら契機らしきものも無く、友人に憑いてしまうという理不尽さはあるが。

名前: 磯昆布 ¦ 02:13, Monday, Apr 07, 2008 ×


読み易さはあるのですが、ちょっと文章の質が後半から変わってしまっていて、統一性においては少し読み難かったかと思います。
しかし、来訪者が何持ってくるかわからないですね…。

文章:0 内容:1

名前: PM ¦ 21:50, Wednesday, Apr 09, 2008 ×


友人災難。
気味の悪い話ですね。
しかし誰かに"送って"もらおうとしたのはどうしてなのでしょうか。
送ってもらえば見ちゃったモノは送ってくれた人に憑く(!)、どこかに行ってしまう、祓える、という事なのでしょうか。


名前: MM88 ¦ 19:34, Thursday, Apr 10, 2008 ×


まさしく 置き土産ですね。
怪異自体は ありふれた感じの話で 若干新鮮味に欠けました。

名前: SPダイスケ ¦ 23:33, Saturday, Apr 12, 2008 ×


恐怖+1
友人にも重点を置いて展開すれば、より良くなったかと。
後半が薄く、印象に残りにくかったです。

名前: 有線 ¦ 14:01, Thursday, Apr 17, 2008 ×


「見える人」を友人に持つとこういった事もあるんですね。

この話の場合、真の主人公は友人だと思うので、友人視点でまとめた方がオチの>「だから送ってくれって言ったんだよ」
雅仁さんは後日、勝ち誇った顔で友人にそう言った。
そのせいで雅仁さんはしばらくの間、友人の家には出入り禁止になってしまったという。
が活きてくるように思えます。



名前: 久遠 平太郎 ¦ 22:35, Sunday, Apr 20, 2008 ×


 置いていかれるのも困ります。女が消えた後に行き先を変更舌など、確信犯的な要素がありますよね。
 でも、ノックだけで済んで良かったですね。
 「だから送ってくれって言ったんだよ」という台詞は、どういった意味なのかわかりかねました。

名前: こうたろう ¦ 17:27, Thursday, Apr 24, 2008 ×


見える人だというのがばれちゃったんでしょうね、霊に。
雅仁さんは友達の家に寄って正解でしたが、友達は災難でしたね。

名前: 昼間寝子 ¦ 03:05, Tuesday, Apr 29, 2008 ×



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