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現在主婦の広瀬さんがまだ会社勤めをしていた頃の話である。 当時、彼女は大きなプロジェクトに関わっていた。 内容にもよるが、この手のものは規模が大きくなればなるほど行き詰ることも多いものである。 その時も大きな壁にぶち当たり、どれだけ会議で話し合っても打開策は見付からず、迫る期限に焦りだけが募るばかりだった。
その夜、不毛な会議に疲れ果て、広瀬さんが帰宅したのは11時。 簡単な食事と入浴を済ませて布団に入る頃には12時半を過ぎていた。 だが寝ようとしても仕事の事が気になってなかなか寝付けない。 広瀬さんは同じプロジェクトに参加している先輩の門村さんに電話してみようかとも考えた。 門村さんは広瀬さんよりも3歳年上の女性である。 広瀬さんのことを「あっちゃん」と下の名前で呼んで可愛がってくれており、広瀬さんもまた門村さんを信頼していた。 しかし一人暮らしの広瀬さんとは違って門村さんは両親と同居である。 まだ携帯電話もない時代のこと、自宅に電話できる時間はとっくに過ぎていた。 広瀬さんは電話を諦め、一人布団の中で何度も寝返りを打ちながら悶々とする以外になかった。 やがて1時になり、2時になった。眠れない。 その時である。
「あっちゃん、やめてよ!」 突然、静かだった部屋に声が響いた。 それは門村さんの声に間違いなかった。 「あっちゃん」という呼び方からしてそうだ。 広瀬さんは飛び起きて電気を点け、部屋中を見渡した。 誰もいない。この部屋に門村さんどころか他に誰かがいるはずなどない。 しかし確かにはっきりと、あたかもすぐ近くで門村さんが叫んだように聞こえたのである。 しばらく様子を見たが、何も変わったことはない。 釈然としないまま、広瀬さんはまた布団に入った。
翌朝、出勤すると門村さんが飛んできた。 「昨日のあれは何よ!」 門村さんにそう言われても、広瀬さんには何のことだか解らない。 どういうことか聞いてみると、門村さんはこんな話をした。
昨晩、門村さんも広瀬さんと同じくらいの時間に布団に入ったのだそうだ。 寝ようとしても、やはりプロジェクトが気になってなかなか寝付けない。 布団に入ったままぼんやりと仕事について考えていると、眉間に水滴が落ちるというのである。 雨漏りしている訳ではない。しかし、ポタッ、ポタッと冷たい大粒の水滴がひっきりなしに落ちてきて眉間に当たる。 頭の位置をずらそうが、顔を横に向けようが、眉間の同じ位置に滴り落ちてくるというのだ。お陰で眠ることも考えることも出来ない。 門村さんには、それが広瀬さんの所為だと解ったそうである。広瀬さんも今、自分と同じように仕事の事を考えていると。 だが水滴だけは止めて欲しい。 とうとう我慢出来なくなった門村さんは心の中でこう叫んだのだった。 「あっちゃん、やめてよ!」
その話を聞いて広瀬さんは門村さんに素直に謝ったそうである。
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■講評
文章 1 滞りなく読める。 稀少度 1 生き霊(?)が水を滴らせるとは珍しい。
それにしてもどうして水なんでしょうか。悩みに悩んでいる心の涙か? 「門村」さんの所為だと判断したその辺りをもう少し具体的に書いてほしいと思います。
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名前: くりちゃん ¦ 08:48, Saturday, Mar 08, 2008 ×
これが現実にあったとしても、出来の悪い創作を読まされたような気がしました。
「門村さんには、それが広瀬さんの所為だと解ったそうである。広瀬さんも今、自分と同じように仕事の事を考えていると」 なぜ同じように仕事を考えているだけで広瀬さんの所為だと解ったのか、文章から全く根拠が感じられません。 「雨漏りしている訳ではない。しかし、ポタッ、ポタッと冷たい大粒の水滴がひっきりなしに落ちてきて眉間に当たる。」 これも何故その時、雨漏りしている訳ではないと思ったのか、全く分かりません。 その時の天候状態や天井のつくり、状態についても作品中では全く触れられていません。
そして気になるのが、 『翌朝、出勤すると門村さんが飛んできた。「昨日のあれは何よ!」』という門村さんの対応も気性の激しさが分かりますが、昨晩とこの朝の支離滅裂ぶりが、 『広瀬さんのことを「あっちゃん」と下の名前で呼んで可愛がってくれており、広瀬さんもまた門村さんを信頼していた」』 という温かい雰囲気に対して全く釣り合っていない感じがします。
結局、大粒の水滴の原因も雨漏りでない事を調べたわけでもないので、唯一の怪異は叫びが通じた事ではないかと考えるのですが、下手をすれば思いこみの激しい門村さん自身が大粒の水滴も含めた全ての怪異を引き起こしているのではないかとさえ思えてきます。
門村さんが日頃から支離滅裂な人間であればそれを先に示すべきで、そういう作品であるのならば、強引な怪異としてかろうじて成立させられるかもしれません。ただ、それにしては会社で重大なプロジェクトを任せられる人間としては実際の所どうかとも思えるので、やはり人間を描くところからこの作品はやり直した方がいいと感じました。
また、そうではなくて、「大粒の水滴」が広瀬さんの思いによるものであり、門村さんの叫びが広瀬さんに届いた事を素直に描きたかったのなら、書き手の意図としては完全に失敗していると思います。
文章−2:希少度0 |
名前: chidori ¦ 12:12, Saturday, Mar 08, 2008 ×
生き霊の話は結構聞きますね。 難しいのかな。点が辛めのものが多いですね。 もう少し丁寧だと良かったのに残念。 |
名前: ちゅん ¦ 12:58, Saturday, Mar 08, 2008 ×
その昔、寝ている友達に涎をわざと垂らして、嫌がらせをした事があります。それを思い出しました。 涎って、意外と効果があるんですよね。 それから館シリーズで有名な推理作家、綾辻先生の隠れファンである私は、「あっちゃん!」というフレーズに弱い!知る人ぞ知る囁きシリーズに登場する人気キャラの名前です。これが周囲の誤解を受け続ける哀しいキャラクターなんで、悲劇を通り越して可笑しいやら面白いやら・・・・。 あ!失礼しました。 真相はともかく、水が滴る怪異は貴重だと思いました。 文章に問題も感じません。 |
名前: くすだまん ¦ 13:01, Saturday, Mar 08, 2008 ×
「門村さんには、それが広瀬さんの所為だと解ったそうである。」 この文章が問題である。なぜそう思ったのか、根拠が示されていない。ここを読んだ時点で心の中に疑問が起こり、それが解消されないままラストまで行ってしまった。
その水滴が広瀬さんとはまったく関係のないものだった可能性も考慮に入れて、ここは、 「門村さんは、なぜか根拠もなく、それが広瀬さんの所為だと思ってしまった」 だと書いた方がよかった。 |
名前: ナルミ ¦ 13:59, Saturday, Mar 08, 2008 ×
文:+1 怪:+1
怪異自体はかなり面白いです。 一体何故水なのか。 でも、その生霊は迷惑でしかないですよね。 自分だったらいやだ、仕事が大変なうえそんなめには 絶対会いたくない。 他の方も書かれてますが、それが何故あっちゃんのせいだと 分かったと思ったのか、感覚的なものなのでしょうけど、 登場人物の口からもう少し具体的に語ってくれると 良かったかな、と思います。
それにしても、暗闇の囁き、あっちゃんて人気キャラでしたか?(笑) |
名前: 晴 ¦ 17:02, Saturday, Mar 08, 2008 ×
| いきなり会社のビッグプロジェクトとかいうので始まるので、どんな遠大なスケールな物語かと思いましたが…。文章力がおありだと思うのですが、装飾的な重々しい長文がせっかくの希少な怪異をぼやけさせてしまったような気もします…。もっと短くシンプルにまとめられた方がよかったかもしれません。「あっちゃん、やめてよ!」という声が聞こえた所でお互いの思いが通じ合ったのでしょうね。しかし、どうして人の想念が水滴となって現れたのでしょうか?とても不思議なお話だとは思います。 |
名前: じゅりんだ ¦ 19:30, Saturday, Mar 08, 2008 ×
いきなり水滴が落ちてきたら、もっとこわがりませんか。 以外にあっさりとした反応に、こちらも怖がれずといった感じです。 怪異になれている方ならそうかと思うのですが、その辺は触れていないようなので。 生霊の話の中では悪くない方だと思うので、後は文章力がもう少しといった印象。 |
名前: 黒ムク ¦ 21:06, Saturday, Mar 08, 2008 ×
読めない事はないのだが、やたらダラダラと長く感じる。 もう少し省ける所は省いて短くまとめても良いのでは。 やはり他の方々の指摘にある通り、広瀬さんの仕業だとわかる根拠が欲しい。 それがないまま展開するのはやや強引な気がする。
希少性(1) 文章(-1) |
名前: ねこや堂 ¦ 23:54, Saturday, Mar 08, 2008 ×
ネタ+2 ねぎらい+1 題名から、何をされての叫びかいろいろ想像していましたが、これは珍しい。 しかもやった方もやられた方も心当たりがあるなんて。 仕事に追い込まれていると、夢の中でも仕事してるんですよね。しかもはかどらない。 なんとかやり遂げたような気がするんだけど、起きると全部パァ。 お二人とも、お疲れ様でした。 |
名前: ねこ ¦ 02:17, Tuesday, Mar 11, 2008 ×
寝ているところに水が落ちてきたら、夜具も濡れるだろうし、その処理はしなかったのか等、そのへんの現実的対応が書かれてないので、読後齟齬感が残りました。 希少度 1 文章 0
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名前: じぇいむ ¦ 03:19, Thursday, Mar 13, 2008 ×
顔をいくら動かしても眉間に水滴が落ちてきたらかなり怖いと思うのですが。 それをいきなり広瀬さんの所為だと解ったと言われても・・・。 心霊現象に根拠はいらないと思いますが、解った理由となると別な気がします。 |
名前: へみ ¦ 02:07, Friday, Mar 21, 2008 ×
| 疲労からくる夢かと思ったら、ちゃんと証人がいたのですね。広瀬さんの生き霊が彼女の姿ではなく水滴とはめずらしい現象です。しかも怪異が互いを行き来していたとは。文章はわかりやすかったです。 |
名前: ひ ¦ 13:01, Friday, Mar 21, 2008 ×
同時刻に、互いの思いがそれぞれに届く。 内容によってはロマンチックなのに、仕事がらみな上に女同士じゃ空しいw +1 起きた現象が違うところが興味深いですね。なぜ水だったんでしょう?涙?汗だったらかなりイヤですが。 +2
声が聞こえた広瀬さんはともかく、門村さんが広瀬さんの仕業だと確信できた理由も知りたいところです。 お話を伺ったのは広瀬さんなので難しいかもしれませんが、やや消化不良です。 -1 |
名前: 眠 ¦ 20:49, Monday, Mar 24, 2008 ×
文章・・・2 希少度・・・2
とても珍しい例だと思います。 お互いの想念を飛ばし合っていたということでしょうか。 しかも片や声、もう一方には水滴という形で認識出来ているのが面白いと思いました。 他の方が多く指摘している、門村さんが何故あっちゃんの所為だと解ったかですが、それは本人にも多分解らないんじゃないでしょうか。 何となく解った、そしたらそれが当たっていたというところが怪異の怪異たる所以でしょう。 |
名前: 鹿太郎 ¦ 18:19, Tuesday, Mar 25, 2008 ×
長くて読みづらいのがまず減点。 怪異の仕業があっちゃんのせいと すぐ思うというのも、合点がいかない。 二人の人間関係の悪さのせい だったら別なんだけど。 |
名前: 茶毛 ¦ 12:36, Wednesday, Apr 02, 2008 ×
同じプロジェクトのことを考えていたことが、なぜ水滴に繋がるのか。そもそも、広瀬さんが根源であるという結論に至ったのは何故なのだろう。 苦慮と水滴、両者の関連性に確信を抱いた根拠が提示されていないため、読後に納得のいかなさが残る。 |
名前: 磯昆布 ¦ 00:59, Monday, Apr 07, 2008 ×
…んー? 何故、仕事のこと考えてると水滴なんでしょう? …ヨダレ? 何故、広瀬さんの仕業と解ったのでしょう? …ニオイ? 何故、広瀬さんは素直に謝ったのでしょう? …???
なんだかよく解らないまま終わってしまった感があります。 これも一つの投げっぱなし怪談…じゃないですよねぇ?
文章:0 内容:-1
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名前: PM ¦ 21:20, Wednesday, Apr 09, 2008 ×
うーん。 なんだかわかりにくかった。 門村さんは怪異(?)をどうして広瀬さんの仕業だと思ったのか。 直感で、と言われればそれまでですがそれでは "ふーん。あっそー" どまりになってしまうし。 "生霊ネタ"としては面白いのですが。
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名前: MM88 ¦ 11:36, Thursday, Apr 10, 2008 ×
広瀬さんの所為だと解った より 広瀬さんの所為だと思った にした方が、 まだ分かりやすかったと思います。 |
名前: SPダイスケ ¦ 22:40, Saturday, Apr 12, 2008 ×
好み+1 まぁ、普通怪異はこんな風に訳が分からないモノですよね。 水滴は悩みによる汗とか? 焦りを象徴してるのかな?
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名前: 有線 ¦ 01:04, Thursday, Apr 17, 2008 ×
| 何故、水滴を落としていたのが広瀬さんの所為だと解ったのかが釈然としません。直感的に? ラストで広瀬さんは素直に謝った、とあるので何か思い当たることがあったのかな。現象自体は面白いと思いましたが、そこで引っ掛かってしまった。 |
名前: 久遠 平太郎 ¦ 21:03, Sunday, Apr 20, 2008 ×
水滴と広瀬さんと、どんな関係があったのでしょう? どうして広瀬さんのせいだと思ったのかもよくわからないですね。 |
名前: こうたろう ¦ 22:05, Wednesday, Apr 23, 2008 ×
わからないから怪異。 何で水滴だったんでしょうね。門村さんの心の叫びが聞こえたというのも不思議です。 どちらも生き霊を飛ばしたんでしょうか。 それにしてもそこまで仕事に熱中できるというのも羨ましい話です。 |
名前: 昼間寝子 ¦ 02:22, Tuesday, Apr 29, 2008 ×
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