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独り寝
 竹村さんが21歳頃の体験だというから、もう20年も前の話である。

 当時彼女には付き合っている男性がおり、お互い一人暮らしということもあって、毎日どちらかの家に泊まるという、半同棲生活を送っていた。
 そんなある日、久しぶりに一人の夜を過ごしたいと思った竹村さんは、彼にそのことを言い、その夜は自分のアパートで一人寝ることになった。

 深夜2時過ぎ、ベッドで眠っていた竹村さんは人の重みでぼんやりと目覚めた。
体の上に男が乗っており、顔を近付けてくる。
 最初は付き合っている彼かと思ったが、今夜は一人であることを思い出し、そこで初めて自分の置かれている状況を認識した。
「強盗?いや、これはこの世の人じゃない」
 竹村さんにはそれが生きて肉体を持った人ではないということが判ったという。
上に乗られている感触、全身に張り詰めたキリキリという緊張感が普通ではないのだ。
そう感じた途端に恐ろしくなった。

 恐怖に駆られた竹村さんは必死に抵抗を試みた。
 目を合わせてはいけない。以前テレビで見た霊能者の言葉を思い出し、相手の目から視線を逸らせながらも、手で相手の顔を押し退けようとした。

「あれ?」
 その時竹村さんには気付くものがあった。
肌の感触、顎の線、付き合っている彼に間違いない。
「ちょっと・・・やめて」
 竹村さんは声にならない声を絞り出し、彼を押し退けようともがくが、彼は更に力を込めて顔を近付けようとする。
しばらく押し合いが続いた。
 が、急に彼の力が抜けた。ふっと体も軽くなる。
次の瞬間足元からベッドの横を走り去る彼の姿が見えた。
目で追うと玄関の辺りで闇に溶けるように消えたという。

 竹村さんは目を合わせないようにしていたので、彼の顔は確認していない。
しかし、背の高さや走り方などは彼そのものであり、ニットのセーターにアルマーニのジーンズという服装も彼が普段着ている物と全く同じであったそうだ。

「ゆうべ来たでしょ?」
 翌日彼に会った際、竹村さんは彼に言った。
「いやぁ覚えてないなぁ。寂しいなと思ってたからかなぁ」
 彼は照れ臭そうに答えたという。





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■講評

文章 1
生き霊らしきモノに襲われている描写は緊迫感がある。
稀少度 0
生き霊譚は時々聞く。

恋人の生き霊でも、そういう体験は恐ろしかったと思うが、「 竹村さんにはそれが生きて肉体を持った人ではないということが判ったという。」の根拠をもう少し微細に書いて欲しかった。

名前: くりちゃん ¦ 08:46, Friday, Mar 07, 2008 ×


最後に出てくる彼氏の科白「いやぁ覚えてないなぁ。」を見て、もしかしたら生身の彼自身が竹村さんの所に行ったのではないかとも思えました。
竹村さんの部屋に現れたものが生身の彼ではないという証拠は文中では、

「竹村さんにはそれが生きて肉体を持った人ではないということが判ったという。
上に乗られている感触、全身に張り詰めたキリキリという緊張感が普通ではないのだ。
そう感じた途端に恐ろしくなった。」
「目で追うと玄関の辺りで闇に溶けるように消えたという。」
だと考えますが、「生きて肉体を持った人ではない」という感覚が直後の文章でも分かりにくく、「キリキリという緊張感」が突発的な事に対して生じたものであるとも受け取れます。
また、「目で追うと玄関の〜」も非常に曖昧な表現で、これが例えば部屋の扉を貫通したなどと書かれてなければ、生身の人間ではないかと思えてしまいます。


これらを考えると、かろうじて「上に乗られている感触」が「普通ではないのだ」という言葉のみが、この話を生身の彼ではないのだという事として成立させているのではと思います。
これがなければ最後のやりとり「ゆうべ来たでしょ?」に対してすぐに彼氏が発した「いやぁ覚えてないなぁ。」という答えの不自然さを打ち消すことができないのではないかと考えます。書き手の狙いとしてはこの彼氏の言葉が「彼が抜け出る人」である事を暗示したかったのだと思いますが、全体的に文章の書き方に曖昧な点が多いため、かえって別の疑いを持って読んでしまいました。

怪異としては、姿格好が彼とそっくりであっても竹村さんとしては恐ろしい思いをしているので、あまりいい体験ではなさそうに感じました。

文章−1:希少度1

名前: chidori ¦ 09:53, Friday, Mar 07, 2008 ×


 文章はわかりやすく描いています。間違いも見つかりません。
 減点しません。
 またストーリーも減点する箇所はありません。
 またまた怪異なのか、それではないのか?意見が分かれる問題作ですね。
 本来なら勘違いという可能性もあるので一点減点としたいところですが・・・。
 私の推測では、これは完全に生霊の仕業です!
 生身なら、「僕だよ!冗談!冗談!」なんて言って、あんな事や、そんな事をする展開になるのは間違いないからです。
 さらに生身なら逃亡する時に玄関の扉を開け閉めする音や足音の描写があるはず。闇に消えているというのは尋常じゃありません。
 さらにこの話が怖いのは、彼氏がとぼけているのか、生霊になったのを覚えていないと告げた事ではなく、どうやら別れて結婚していないという事実です。
 そんな怖い奴と別れて、何事もなかったのか?怖い!
 
 

 

名前: くすだまん ¦ 10:36, Friday, Mar 07, 2008 ×


「体の上に男が乗っており、顔を近付けてくる。」
ここで触るまで彼だとわからないことに疑問。
顔が見た目ではわからない状況の説明が欲しかった。
生霊だと思いますが、生身でない証拠もない。
もう少しで高得点だったという感じです。

名前: 黒ムク ¦ 12:37, Friday, Mar 07, 2008 ×


文:0 怖:+2

面白い体験。付き合ってる彼の生霊をほのぼのと取るか
重いと取るか……。
その後まだお付き合いは続いているのでしょうか。
そこが気になるのと、あと文章内に読点が多くて少し読み辛いです。

名前: 晴 ¦ 13:06, Friday, Mar 07, 2008 ×


生霊だという根拠の説明が必要。
曖昧な表現で誤魔化してる感がある。
怪異自体は興味深いので、ちょっと残念。

希少性(1) 文章(0)

名前: ねこや堂 ¦ 20:20, Friday, Mar 07, 2008 ×


確かに怖い体験ではあるが、来たのが「生身の彼」ではなかったのは確実か、と言われるとやや疑問が残ってしまう。ラストの質問への答が「行っていない」ではなく「覚えていない」だったのもひっかかるところだ。

名前: ナルミ ¦ 21:45, Friday, Mar 07, 2008 ×


こんなことされたら照れても許しません。頭突いてやる(泣)!!

名前: ちゅん ¦ 13:19, Saturday, Mar 08, 2008 ×


もしかして本当にさびしくて彼氏がたずねてきてしまったのでは・・・。生霊かもしれませんが。
でも、そうであったとしても人の念って怖いですね。

名前: じゅりんだ ¦ 18:00, Saturday, Mar 08, 2008 ×


やっぱり単純に生身の彼だったんじゃないかと思わせる曖昧さがありましたね。
でも、話は面白かったです。
希少度 0 文 01

名前: じぇいむ ¦ 23:37, Saturday, Mar 08, 2008 ×


彼の生き霊じゃないですかねえ。でも「寂しい」と思っただけで飛んでくるとは迷惑な(笑)。女の人の生き霊話は良く聞きますが、男の人とは珍しい。執着しやすい質なんですね、その彼は。

名前: ひ ¦ 15:24, Sunday, Mar 09, 2008 ×


ネタ+2
なんだノロケかよ(・3・)
彼の生霊、その時だけなんでしょうか。もしかして、気づいていないだけで、一緒にいれない時も、ずーっと後ろにいたりして・・・。
そうなったら竹村さんはどうするんですかね。
たぶん、「もー、彼ったら、さびしがり屋さん☆」とか言ってノロケるんだろうなー。ちぇー(・3・)

名前: ねこ ¦ 01:53, Tuesday, Mar 11, 2008 ×


生霊である事の証明が必要だとまでは思いませんが、竹村さんがそれを生きている人間ではないと判ったといきなり言われると、何故?と思ってしまいます。
最後まで話を読めば霊だということは分かると思います。
もしも勘違いで強盗だとしたら、生霊よりも恐ろしい目に遭っていたかもしれませんよ・・・。

名前: へみ ¦ 01:12, Friday, Mar 21, 2008 ×


羨ましいような羨ましくないような?嬉しいかドン引きするかは二人の仲の良さにもよるのかな。
これが別れた恋人だったらドン引きなんてもんじゃない; +1

微笑ましい方向でおさまるお話でしたね。
彼は覚えているのかいないのか、最後の言葉は曖昧で気になります。覚えているなら、何をする気だったのか問い詰めたいところですがw +1

名前: 眠 ¦ 02:28, Monday, Mar 24, 2008 ×


文章・・・1
希少度・・・1

生霊を見ただけではなく、触ったらいつもの彼の感触だったというところが面白いと思いました。
彼だと判ったんだったら目を合わせても良かったんじゃないだろうかとも思うんですが、そういう怖い状況ではそんなことも出来んのでしょうね。
思わず生霊を飛ばしてしまった彼にしてみると恥ずかしい出来事ですね。

名前: 鹿太郎 ¦ 14:26, Tuesday, Mar 25, 2008 ×


生霊(?)他の物(?)本人(?)
もう少し確たる描写があれば
伝わる物があったと思う。

名前: 茶毛 ¦ 12:04, Wednesday, Apr 02, 2008 ×


>竹村さんにはそれが生きて肉体を持った人ではないということが判ったという。
>上に乗られている感触、全身に張り詰めたキリキリという緊張感が普通ではないのだ。

「何を根拠にして”判った”なの?」「緊張感が普通じゃない、ってどう普通じゃないの?」と疑問が湧き上がってしまう。
いっそ、コミカルタッチで書いてもよかったのでは、と思う。

名前: 磯昆布 ¦ 02:55, Sunday, Apr 06, 2008 ×


ちょっと文中、疑問に思う箇所がありましたが、面白かったとは思います。
寂しいと飛ばせる生霊か…いいな、ソレ…。

文章:1 内容:1

名前: PM ¦ 20:41, Wednesday, Apr 09, 2008 ×


「ゆうべ来たでしょ?」 に対し 「いやぁ覚えてないなぁ。」 という返答は なんか変なような気がしました。

名前: SPダイスケ ¦ 22:17, Saturday, Apr 12, 2008 ×


彼氏だったらいいですが…

名前: MM88 ¦ 18:51, Tuesday, Apr 15, 2008 ×


恐怖+1
彼の姿をした何かが、この世の物ではないとする説明は無くても良いかもしれませんな。
自分しか解らない感覚を他者に伝えるのは難しいですね。
見知った姿形でも、じりじりと迫ってくる様は単純に怖かったです。

名前: 有線 ¦ 00:01, Thursday, Apr 17, 2008 ×


彼氏は確信犯的に生霊を飛ばしていたということでしょうか?
ラスト、彼氏の台詞のニュアンスが微妙でちょっとよく分からなかったです。

名前: 久遠 平太郎 ¦ 23:48, Saturday, Apr 19, 2008 ×


 生霊に迫られている様子が怖かったです。

名前: こうたろう ¦ 21:43, Wednesday, Apr 23, 2008 ×


いやあ彼氏で良かったですね。
彼氏でなかったら、その時だけでは済まなかったかも知れない。
「強盗?いや、これはこの世の人じゃない。」は省いたほうが良かったか。

名前: 昼間寝子 ¦ 18:26, Monday, Apr 28, 2008 ×



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