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「私、前世の記憶があるみたいで…正直、よくわからないからどういう順番で話したらいいのかしら」
まずは、節子さんがかつて頻繁に見ていた夢の話。 藁葺き屋根の大きな屋敷。 そこから少女と少年が必死の形相で飛び出す。 追いかけるのは大きな鎌をもった老婆。 屋敷は幅の狭い堀に囲まれており、堀にかかった小さな橋を二人が渡ろうとしたところで少年は老婆に捕まり、首を刎ねられる。 刈られた少年の首は堀へ投げ捨てられる。節子さんはその一部始終を振り返る少女の目で見ており、再び少女が老婆から離れようと走り出すところで、決まって夢から醒めた。
「ここからが現実の話ね」
節子さんは「夢で見た屋敷」の前に立っていた。 その屋敷は近頃亡くなった親戚が所有していたもので、後を引き継げるだけの財力を持つ若い管理者が、彼女しか親族に見当たらないため、叔父と二人で視察に来たのである。 気味が悪い、と同時に、不思議と懐かしくもある「場」。 だが、彼女が屋内へ入ってみると、存外、なんの感慨もわかなかったそうだ。
「葬式から間もなかったから、別に埃っぽくもないし、真白い障子と年季ある木造。別荘にいいかなぁなんてその時は思っててね」
叔父と税金に関する雑談をしながらザッと屋敷を見てまわり、建築上、何の不便も感じないことを確認した二人はそこで一泊してみることにした。 そして彼女は違う夢を見た。
節子さんは屋敷の外で座禅を組んでいる。 うつむいた視界にある自分の姿が少女のものではなく自分自身であることがわかった。 横をちらりと見ると堀に跨った老婆、小川に手を沈めじゃぶじゃぶと何かを洗っている。 老婆が小川から勢いよく手を引き抜き、ポンッと彼女のいる方へ何かを投げつける。 目の前に転がってきたのは白い饅頭。節子さんはそれを食べたくてしょうがないのだが、なぜだかそれを食べてはいけない気がしていた。 再び川に手を沈める老婆。 気がつくと節子さんは饅頭を頬張っている。とても甘い。 また、老婆が川から手を抜き彼女に投げつける。 今度は少年の首を。 目の前でゴロリと首が転がり、止まった。 「ああ」と言うと少年の目が彼女の方を向き、そこで目が醒めた。 朝だった。
たかが夢とはいえ恐ろしくなった彼女はすぐさま叔父に夢の話をしたところ、叔父の顔が曇った。 同じ晩、叔父が見た夢の話。
彼は屋敷の外を歩いていた。 屋敷の周囲にあるのは、現実にある小川の流れる堀ではなく、木蓋で上面を閉ざされている石造りの用水路で、妙に甘酸っぱい匂いが漂がそこから漂っていた。 彼はそのドブ川に近寄り、なんとなく木蓋を一枚捲った。 そこには少年の首があった。 そして、なぜか「これは自分だ」と彼が思ったところで目が醒めた。
現実の話。 怯えた二人は屋敷の管理を放棄し売家にした。そして頻度こそ少なくなったものの未だにあの晩見たものとまったく同じ夢を見ることがある。 慣れたので恐怖は感じなくなったとのこと。
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■講評
文:+2 怖:+2
たかが夢、されど夢。 叔父さんがその少年ですか! それにしても一体何を示唆してるのでしょう。 調べたら何がしかしらは出てきそうですけど。 饅頭は首の変わりなのかな、やっぱり。 考えれば考えるほど引きこまれそうです。
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名前: 晴 ¦ 15:25, Wednesday, Feb 27, 2008 ×
文章 2 段落わけも適切で読みやすい。 稀少度 2 前世・夢どちらも怖い。
前世ネタや夢系は「んなこと、潜在意識の何とかかんとか」になりがちですが、これは怖かったです。 舞台からして藁葺きの家屋、鎌を持った老婆、転がる生首と次々とショッキングなものが現れ、また現実にその屋敷が存在し泊まってみたというのも意外な展開でした。 詳しく来歴を調べたらもっと怖いことがありそうですね! |
名前: くりちゃん ¦ 15:57, Wednesday, Feb 27, 2008 ×
話は最高に怖い!! 書き方も丁寧でわかりやすいし。 節子さんが前世のことと結びつける決定打が欲しい。 そこで最初の一文は必要なのか迷ったので−1 |
名前: 黒ムク ¦ 16:02, Wednesday, Feb 27, 2008 ×
話自体は貴重で恐ろしそうなんですが、夢というのがやはり弱いように思いました。
読んでいて正直なところ怖くなかったのですが、夢というのが現実と違って断片的であったりするので、長い文章として起こした時に箇条書きに近くなり、臨場感が出にくいのではないかと考えます。
そして「二人はそこで一泊してみることにした」が、屋敷を視察に来ただけにしては唐突な印象があり、まるで進行上のご都合主義に見えるので、泊まるなら泊まるなりの前振りが必要だったのではないでしょうか。
また、「近頃亡くなった親戚」の家を、節子さんは親族であるのに今まで一度も訪れた事がなかったのかも書かれていません。この話を読むと何だか全くの他人の家のような印象を受けます。 もし、記憶にないだけで幼少の頃に親に連れられて来ていれば懐かしさがあるのは当然で、だからこそ夢に頻繁にお屋敷が出てきた事も十分に考えられます。
そして、節子さんが冒頭で言っていた「前世の記憶がある」が、この作品だけでは結びつきが分かりません。
最後に2人が似たような夢を見て売家にした事で一応決着していますが、このようにところどころでおかしな印象があるため、素直に恐ろしさを感じられなかったです。
文章0:希少度+1 |
名前: chidori ¦ 16:27, Wednesday, Feb 27, 2008 ×
| 不思議な話です。その親戚の屋敷には一度も来たことはなかったわけですね。そこに泊まった時、同じような夢を2人が見たのは、叔父さんに節子さんの夢が入り込んだのか。その叔父さんにも繰り返し見ていた夢はあったのでしょうか? そもそもその老婆は誰なんでしょう。立て込んだ内容ですが、読みやすかったです。 |
名前: ひ ¦ 16:41, Wednesday, Feb 27, 2008 ×
冒頭で前世というからには老婆や首を切られた子供達の服装は着物だったはず。ならばどのような姿だったのか詳しい描写が必要だと思いました。 それから大きな鎌と記されていますが、それは農業用か?それとも死神の鎌のように、いかにも特殊な方法に使うような禍々しい物だったか?其処も犯行に使われる凶器の描写なんですから詳しくリポートして欲しかったです。 よって一点減点させていただきました。 |
名前: くすだまん ¦ 17:16, Wednesday, Feb 27, 2008 ×
文章2 怖さ1
文章も内容もよかったです。同じような怖い夢に悩まされている人って多そうです。 |
名前: 新田 猫 ¦ 19:15, Wednesday, Feb 27, 2008 ×
これは決して彼女の思い込みではないですね。 彼女の体験からは何か凄く禍々しいものを感じました。 ただ、体験者が夢を前世だと解釈する理由が話から見つからないのはネックですが。 でも、わかりやすく話をまとめています。
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名前: 撃墜王の孤独 ¦ 20:33, Wednesday, Feb 27, 2008 ×
夢の中なのだからどんなに奇妙な出来事が起きても当たり前。それがどう現実とリンクしてくるかが、怪談としてのポイントである。そういう視点で考えると、重要な点についての記載が抜けている。 まず、夢の中で見た屋敷が現実にあったことについて。親戚の家なのだから幼いころに訪れていても不思議はないが、その点についての記述がない。訪れたことがないのであれば、その屋敷を見たときにもっと驚いてもいいと思うが。 そして、節子さんと叔父さんが内容のリンクした夢を見たこと。これも、今まで節子さんが夢の話を叔父さんにしたことがないのであれば一応「怪異」とは言えるが、その点についての記述もない。 あと、いきなりその屋敷に泊まることにしたとか、なぜこれを「前世の記憶」と思ったのか理由が書いていないとか、細かい疑問点もある。 この辺の説明がきちんとしてあれば、もっと怖い話になったと思う。 |
名前: ナルミ ¦ 23:34, Wednesday, Feb 27, 2008 ×
夢ばかりなので偶然ともとれる。気味悪ワードがちょこちょこあるのがかろうじて怪談っぽくてそこは良いと思います。 怪談っぽさ+1 |
名前: tanaka ¦ 01:23, Thursday, Feb 28, 2008 ×
怖いですが、全ての現象が夢だけとなると・・・。 夢にしか見たことなかった場所が存在したことは不思議だと思います。 叔父との夢にも共通点があるのはわかりますが、それも曖昧に感じてしまいました。
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名前: へみ ¦ 11:01, Thursday, Feb 28, 2008 ×
夢の中の描き方は抜群に怖いのですが、それが現実の怪異につながったとたん色あせて見えました。最後はうやむやに終わってしまったような感じがします。 前世の記憶なのか、夢の中の事が現実となるのか、体験者さんの恐れる心理どまりで終わってしまったのかと・・・。でもそんな夢を見たら不気味で気になりますよね。 |
名前: じゅりんだ ¦ 11:12, Thursday, Feb 28, 2008 ×
気になる点は多いが、たかが夢なのに結構怖い。 もう少し整理して書くとかなりよくなると思う。 希少度 1 文章 0 |
名前: じぇいむ ¦ 12:54, Friday, Feb 29, 2008 ×
所々引っ掛かるが、総体的には良く書けていると思う。 「夢」という危うい題材にしては、妙な胡散臭さも感じさせなかった。 ただ、夢が現実に有った事としての確たる証拠が一つ欲しかった。 たとえば、何らかの口伝や記録とか。
でも面白かった。
希少性(1) 文章(1) |
名前: ねこや堂 ¦ 21:49, Friday, Feb 29, 2008 ×
怖いと感じるツボがところどころにあっても、これ夢なんだよなあ…と冷めた目線で読んでしまってハマりきれませんでした。
不思議なシンクロもあり、文章も雰囲気が出てます。決して悪くはないのですがなんだかしっくりこない。 単に好みの問題かもしれません、ごめんなさい。 |
名前: 眠 ¦ 01:00, Monday, Mar 10, 2008 ×
文章・・・0
夢と現実を行き来する必要がある話ですので、どこからが夢でどこからが現実かということを読み手が混同しないように配慮がなされており、解りやすかった。 とは言え後半からは夢と現実の話を単に区切っただけのようになっており、読み物としての流れが美しくないので、読んでいて詰まらなくなりました。 読み手に感じてもらおうと思うなら、きれいな文章と流れるような展開を心掛けるべきだと思います。
希少度・・・0
二人の夢の符号という点は不思議ですが、それ以外は単なる夢の話に終始しているように感じられました。 |
名前: 鹿太郎 ¦ 11:53, Monday, Mar 10, 2008 ×
ネタ+1 文章-1 夢の内容が興味深いのですが、夢のみで完結しているため、消化不良気味です。 また、「夢の話。」「現実の話。」という記述で文章の段落付けをされているのですが、文章のテンポをばっさり切られていて、逆にひっかかりを感じました。 他の親族に、その家に関わった人がいないかどうかの追跡取材が欲しいところです。 もしかしたら、呪怨レベルの「凶宅」の掘り出し物かもしれません。 |
名前: ねこ ¦ 21:15, Monday, Mar 10, 2008 ×
| 前世系のネタは難しい所がある。家を売る前に先祖等を調べたら膨らんだ話になったかもしれない。 |
名前: 茶毛 ¦ 14:17, Tuesday, Apr 01, 2008 ×
夢の話だけど、ちゃんと怖いですね。 少年の首が転がった時に言った「ああ」が、どういう言い方だったとか、ちょっと文中、気になる箇所はありましたが、概ね良かったかと思います。
文章:1 内容:2
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名前: PM ¦ 21:32, Sunday, Apr 06, 2008 ×
| 夢の内容は とても怖かったのですが、それを前世の記憶とするには根拠に乏しいかと・・・ |
名前: SPダイスケ ¦ 22:33, Sunday, Apr 06, 2008 ×
恐怖+1 ううむ、お婆さん怖すぎる……。 全体のリズムがぶつ切りなのが惜しいです。 後、後半に行くにしたがって味気なくなっていくのは淋しいですね。 |
名前: 有線 ¦ 01:08, Friday, Apr 11, 2008 ×
前世の記憶、かどうかはわからない様な。 何か因縁めいたもの、因果がある様なものには思える。 その様な夢を見続けているのが話者一人だけなら、それはただの"夢の話"にしかならないだろうが、関連づいていると思われる夢を他の人も見ているとなると…調べれば何かがわかりそうにも思えますね。
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名前: MM88 ¦ 01:36, Saturday, Apr 12, 2008 ×
怪異:0.5 前世かどうかはともかくとして、なんとも厭な夢ですね。 節子さんの夢だけなら「ただの夢でしょ」で済みますが、それなりにシンクロしてるなんて。 文章:1 「なんとなく」で恐縮ですが、まとめ切れてない気がしました。 |
名前: brother ¦ 18:59, Wednesday, Apr 16, 2008 ×
| 不気味な雰囲気は伝わってきましたが、老婆の正体や少女と少年との関係が全く分からないため、読み手としてはとりとめのない印象を受けました。この話は今の時点ではまだ書くべき話ではなかったのかも知れませんね。もう少し時間を置いてから追加取材をしてみると、何か分かるかも知れませんよ。 |
名前: 久遠 平太郎 ¦ 00:08, Thursday, Apr 17, 2008 ×
少年が叔父さん、少女が節子さんならば、縁のある場所に二人とも引き寄せられたと言う事なんですかね?だとしたらそれも怖い。 鎌を持った老婆が何者なのか、二人とどういった関係なのか、その辺りがわかればもっとよかったんじゃないでしょうか。 |
名前: こうたろう ¦ 21:53, Monday, Apr 21, 2008 ×
調べるとさらに怖いエピソードが出てきそうな感じですね。 夢の中の出来事が実際に前世で体験した事だったとしたら、老婆は一体何者だったのか。 老婆は節子さんに首を投げ、その首は叔父だったとすると、二人が老婆に呼ばれてしまった様な気がして怖いですね。 文章も好感が持てます。 |
名前: 昼間寝子 ¦ 02:25, Sunday, Apr 27, 2008 ×
2点と3点の間で微妙に揺れましたが、不気味な雰囲気を重視してこの配点としました。 怪談フリークとしては登場人物が物凄い怪異に出会うのを期待したいところでもありますが、現実問題、この屋敷を相続しなかったのは良かったかも知れません。 後味の悪さに好印象とは、怪談好きはまさに因果。 |
名前: みくりや かつと ¦ 16:53, Tuesday, Apr 29, 2008 ×
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