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「香典とか渡せば、別にお葬式とか出なくてもいいよね?」 その日の深夜、帰宅するなりの奥さんの事務的な口調に、三峰さんは眉をひそめた。 詳しく聞くと、彼女のパート先に訃報が入ったという。 鈴木さんと言う古株の女性で、パート長の補佐のような役割をしていた女性だった。 ほんの一ヶ月ほど前に、なにやら体調が悪いとかで病院で診察を受けたところ、即座に入院勧告を受け、それから三週間ほどした本日、亡くなってしまったのだという。 病名は、なぜか職場の責任者から公表されなかった。 実は、この鈴木さんという副パート長は人間的にあまり評判が良くなかった。非常に嫉妬深く、男性社員がチヤホヤしたがる若い女性パートさんたちへ遠まわしに嫌味や意地悪をするので有名な存在だった。 三峰さんの奥さんも、よく被害にあって愚痴をこぼしていたクチだ。 「行ってあげれば?死んじゃった人に鞭打つような真似もなあ…」 「嫌なものは、嫌なのよね」 聞けば斎場の都合により葬式は三日後になるので、パート長が一緒に葬儀へ出る人間は会社に報告を入れる必要があるからという。 遅い食事のおかずを温め直しながら、奥さんは生前の鈴木さんの所業を切々と述べる。 味噌汁の椀を傾けながら、無理に行く義理もないからな、と三峰さんは気のない返事を返した。 そのとき。 リビングの隅に取り付けられたインターフォンのスピーカーが鳴った。
ひぃんふぉぉぉん。
妙に力の抜けた、奇妙な鳴り方だった。 咄嗟に顔を見合わせる。 午前一時。 常識的に、誰かが他人の家を訪れる時間ではない。 三峰さんと奥さんは、顔を見合わせた。
ひぃんふぉぉぉん。
もう一度鳴った。 「どなた?」 三峰さんが受話器を取って応答するが、何の返事も無い。 深夜の微かな騒音と、空電の音だけが聞こえる。
その合間を縫って、何かが聞こえて来た。
…来て。 ……来て。 …ごめんなさい。 …苦しい。
受話器を置いてドアスコープを覗いた。誰も居ない。 ロックを外してドアを開く。 人間の気配は無かった。 三峰さんの家はマンションの三階。エレベーターはなく、廊下の隅にある階段まではかなり距離がある。 「さっき、チャイム変な鳴り方したよね?」 奥さんの言葉に、彼はインターフォンのボタンを押した。 ピンポーン。 チャイムの音色が涼やかに響いた。
結局、三峰さんの奥さんは葬儀に参列した。
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■講評
文:+2 怖:+2
うーわー。 鳥肌立ちました。 タイトルで大体の落ちは読めていたとはいえ、 インターフォンの描写など絶妙すぎです。 |
名前: 晴 ¦ 14:33, Monday, Feb 25, 2008 ×
あまり恐くなかった。 生きている間、それほどひどい人間であったのにも関わらず、 …来て。 ……来て。 …ごめんなさい。 …苦しい。 だけというのもポイントを下げた。 病名は、なぜか職場の責任者から公表されなかった。 この一文が以上に気になった。 具体的な死因となった病名も書いてほしかった。 |
名前: 黒ムク ¦ 15:20, Monday, Feb 25, 2008 ×
この話は怪異を書くにあたって肝心な所が抜けていたり、変な表現だったりしています。 おかしなチャイムの音が 「ひぃんふぉぉぉん。」 という表現では何だかお笑いみたいです。
また恐ろしさのクライマックスに書かれた 「…来て。 ……来て。 …ごめんなさい。 …苦しい。」 が、これだけはっきり聞き取れているのに、男か女のどちらかの声なのかすら書かれていないのは説明不足です。
声や口調が鈴木さんと似ていたら、怖かったかもしれません。
こういう箇所が見受けられるため、作品が語ろうとする怪異に集中できなかったのが正直な感想です。
文章−1:希少度0 |
名前: chidori ¦ 16:52, Monday, Feb 25, 2008 ×
文章に破綻なし。 表現方法としては、散文的なテクニックを使うなどなかなかと思う部分があります。 ただ、どのような状態で亡くなったかを書いておくと最後の死者らしき者が告げる声のセルフに、恐怖を盛り上げる意味合いが深くなるような気がします。 しかし、それはあくまで個人の趣味の問題であり減点の対象にはしませんでした。 |
名前: くすだまん ¦ 18:39, Monday, Feb 25, 2008 ×
文章 1 すらすら読める。前半部、行間を空けて読みやすくして欲しかった。 稀少度 1 自分の葬式に招こうとするとは。
ただし、そんないや〜なおばさんが、哀願するような話し方をするだろうか、というところが気になった。 また死因を明らかにした展開の方が曖昧さを残さなかったのではないだろうか。 (と書きましたが、実際職場で死因が語られなかったのだから、ここでとやかく言っても仕方がないですね)
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名前: くりちゃん ¦ 20:52, Monday, Feb 25, 2008 ×
ネタ+2 三峰さんの奥さんの気持ち、わかります。 こういう霊に限って、葬儀に出ないと毎晩来そうで嫌です。 惜しいのは、葬儀の席の様子や、同僚への聞き込みが欲しかったところです。 たぶん、関係者全部のところに回ったんじゃないかな、と思えますし、葬儀もすごく閑散としていたんじゃないかと思われますので。
自分のところに出たら、「来世にきやがれ!」って怒鳴り飛ばしてやるかも(^^; |
名前: ねこ ¦ 21:11, Monday, Feb 25, 2008 ×
| 前半の鈴木さんの性格描写と、後半の「…ごめんなさい」の落差がありすぎて、とても同じ人物だとは思えない。葬儀に参列したということは、三峰さんの奥さんはその声を鈴木さんだと思ったのだろうが、その辺の心理が書いていないのでどうにも釈然としないものが残る。 |
名前: ナルミ ¦ 22:45, Monday, Feb 25, 2008 ×
なんでだか素直に怖かった。 「「ひぃんふぉぉぉん。」という音に違和感がなかったのは、インターホンの音が異常ににこもる事例をどこかで聞いた覚えがあるからだと思うのだが、類話は思い出せない。 希少度 1 文章 1
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名前: じぇいむ ¦ 22:51, Monday, Feb 25, 2008 ×
| 「ひぃんふぉぉぉん」 いや、この音は怖いですよ。空気の抜け具合といい、身がない感じといい、いきなり亡くなって本人もがっかりしているような、元気のない音です(あたりまえですが)。不憫さも募りました。 |
名前: ひ ¦ 23:10, Monday, Feb 25, 2008 ×
ひぃんふぉぉぉん。 というインターホンの音に受けました。 しかし、葬儀に来てもらえないで苦しむとは、生前の行いが悪かったからで、まあ自業自得なんでしょうが・・・。それでも葬儀に参加しなければチャレンジャーという事で+4にしておりました。(笑) インターホンの音色が変わる怪異というのは初めてで面白かったです。 |
名前: じゅりんだ ¦ 00:57, Tuesday, Feb 26, 2008 ×
面白い話だと思います。 亡くなった方が訪ねてくる話はありがちですが、+αの面白さがありました。 やはり亡くなった方というのは、たくさんの方に弔ってもらったほうが死後の苦しみが減るのでしょうか。 先祖に対する供養の大事さまでも思い出させてくれる話でした。
不思議度+1 インパクト+1 |
名前: へみ ¦ 00:11, Wednesday, Feb 27, 2008 ×
文章0 内容2
好みの問題なんですが、「ひぃんふぉぉぉん」がちょっとダメでした。内容は良いと思います。 |
名前: 新田 猫 ¦ 19:42, Wednesday, Feb 27, 2008 ×
実際、私の友人も同じような音を聞いているので、インターホンの音には違和感がなかった。 文字にすると可笑しく感じるかも知れないが。
希少性(1) 文章(1) |
名前: ねこや堂 ¦ 23:08, Wednesday, Feb 27, 2008 ×
文章・・・1 構成はうまくいっており、インターフォンから聞こえてくる声の描写も良かった。 しかしその声の言う「苦しい」が今ひとつ釈然とせず、それが恐怖感を落としてしまっています。 病気が苦しかったのが死後も続いているのか、それとも他のことで苦しんでいるのか。 「病名は、なぜか職場の責任者から公表されなかった。」 とありますが、病床の彼女の様子が少しでも描写されていれば、この声の場面の怖さは更に倍増したでしょう。 分らないものは書けないのは重々承知しておりますが、他が良かっただけに残念です。
希少度・・・1 わざわざ家まで頼みに来るとは殊勝な死人ですね。 生前、自分がいかに嫌な人間だったか気づいていたってことですね。 |
名前: 鹿太郎 ¦ 00:35, Saturday, Mar 01, 2008 ×
恐怖+2 明かされない病名にやきもき。 思い切って削るか、突っ込んだ取材はどうでしょうか?
電池切れかけのチャイムが近い音を出していたのを聴いた事があるので、擬音には特に引っ掛かりを感じませんでした。 ただ、もう一つ怖さを感じさせる工夫が欲しいかも、と感じました。 |
名前: 有線 ¦ 18:16, Friday, Mar 07, 2008 ×
>「嫌なものは、嫌なのよね」 わ か り ま す 。 わかるんだけど奥様の愚痴が長いかな。-1
深夜にヘンな音のドアチャイム。間延びした感じがかなりイヤ。怖いです。+2 訪れたのはやっぱり鈴木さん?化けて出られたらイヤなので葬儀に行く。これも、わ か り ま す 。うんうん。+1 |
名前: 眠 ¦ 02:54, Sunday, Mar 09, 2008 ×
| インターホンの ひぃんふぉぉぉん。 がどうも受け入れられませんでした。 すいません |
名前: SPダイスケ ¦ 00:10, Sunday, Mar 30, 2008 ×
特に怖い話ではないと思うし、急に死者が心を入れ替えて謝るような態度も疑問に思う。 何か弱みでも握ってたんですか? |
名前: 茶毛 ¦ 13:15, Tuesday, Apr 01, 2008 ×
「ひぃんふぉぉぉん」って音が何故か頭の中で妙にリアルに再生されました。 なんかヤだなぁ…。 全体的に読みやすくは思いますが、謎めいた部分がほったらかしなので、いっそなくても良かったかなーと思います。
文章:1 内容:1
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名前: PM ¦ 19:57, Sunday, Apr 06, 2008 ×
死に際して、鈴木さんも生前の行いを悔いたのでしょうか。もしかしたら、鈴木さんは寂しい人だったのかも知れませんね。
チャイムの>ひぃんふぉぉぉんという描写がリアルで上手いなぁと思いました。(笑 |
名前: 久遠 平太郎 ¦ 23:43, Saturday, Apr 12, 2008 ×
気味が悪く不思議な話だとは思うが、訪ねてきたのが鈴木さんかどうかはわからない。 鈴木さんに違いない、と思うのはわかるのだが。 |
名前: MM88 ¦ 22:04, Tuesday, Apr 15, 2008 ×
怪異:1.5 ……恨みの一撃でもあったんだろうか。>鈴木さんに 死してなお苦しめるようなそんな呪詛とか。 それに耐えかねて謝りに来たんだろうか、とか色々想像できてよい(?)ですね。 文章:2 一つだけ。空電ってなんですか。 ……雑音電波のことか。 |
名前: brother ¦ 10:14, Wednesday, Apr 16, 2008 ×
背筋がぞっとしました。 読みやすい文章と行間の開け方が話を更に盛り上げている感じがしました。 |
名前: こうたろう ¦ 19:00, Monday, Apr 21, 2008 ×
行ってあげてよかったと思います。 各家をこっそり訪ねて、生前の自分の悪口を沢山聞いて悔いたのかも知れませんね。 インターホンの気が抜けた様な鳴り方も、亡くなった鈴木さんの気持ちを表しているようですね。 |
名前: 昼間寝子 ¦ 17:30, Saturday, Apr 26, 2008 ×
あの世からの電話やメッセージがあるとき、それは現実のものほどはっきりとしていなく、ノイズのようなものに混じってという話をよく聞きますが、このときのインターフォンの音はまさにそれだったと思います。 また、死後に閻魔の前で生前の行いを糾弾されるというのを仏教説話でよく耳にしますが、この方はまさにそうだったのではないかと。 そういう意味で葬儀に来て欲しかったのかと思うとゾクッといたしました。 |
名前: みくりや かつと ¦ 11:29, Tuesday, Apr 29, 2008 ×
| 変なインターホンの音というのは怖いです。でもトータル的に盛り上がりにかけました。 |
名前: tanaka ¦ 03:00, Wednesday, Apr 30, 2008 ×
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