|
毎日午前中に更新中!
|
九州、佐世保市には、かつて軍港があり、北松浦郡には海軍司令部へ資材を運搬するための線路があった。戦後には廃線になり、学校へ近道する女学生の通学路と化したが、その一人が其処で奇妙な体験をしている。 昭和二十二年、八月初め、その少女が海岸付近にある友人宅へ遊びに行くために、四ケ町に残っている線路の跡地を横切る途中。背後にある烏帽子岳の方角より、大勢の男性が題目を唱える声が聞こえてきたという。 決して淋しい場所ではなく、自動車が行き来している大通り。目前には材木の製材所がありトラックの出入りさえあるようなところ。おまけに商店街が、すぐ其処にあった。当然、人の往来も激しく、時期はお盆前という事もあって、そんな僧侶の一団が歩いていてもおかしくない。 特に烏帽子岳は空襲で、多くの犠牲者が出ている場所である。避難所という事もあり、防空壕が密集していたのが仇になったらしい。 どうも、その方角から題目を唱える声が近づいてくる。 問題なのは、その人数と耳に届く早さ、猛烈なスピードで近づいてくるのだ。それでもバスにでも乗っているんだろうと気にもしていなかったが、不思議な事に人の声ばかりでエンジンの音はおろかタイヤが軋む音さえ聞こえてこない。さすがに奇妙に思い振り向けば、そんな僧侶の一団など何処にもない。そればかりか戸惑っているのは自分一人だけ。不思議な事に、他の通行人は聞いていないらしく平気な顔で目の前を歩いていく。 そうやって愚図愚図している間に、すぐ後ろまで声は来ている。もはや逃げるに逃げられない。思い余った女学生は両耳を塞いでしゃがみ込んでしまったそうだが、間近だと凄まじい騒音で、まるで電車が通り過ぎるように聞こえたという。 悲鳴をあげる前に、男達の声は女学生の頭上を通り越し、赤錆だらけの線路をそって、はるか彼方へ消えてしまった。
|
■ Trackback Ping URL
外国のスパマーへのトラップです(本物は下のほうを使ってください)
http://www.chokowa.com/cho-1/2008/entry-blog/trackback.cgi20080224141030
■トラックバック
この記事へのトラックバックURL(こちらが本物):
http://www.chokowa.com/cho-1/2008/entry-blog/blog.cgi/20080224141030
» 【+4】線路 [I'd like to tell you something about ...から] × この手の話しは、郷里に軍港があったので戦時中は海軍工廠などがあり学徒動員等の人たちが大勢死んでいますので事欠かないのですが。 で... ... 続きを読む
受信: 15:51, Sunday, Feb 24, 2008
» 【+4】「線路」 [DJ痔牢『超-1 2008』感想ブログから] × 最初は分りずらいところがあったが、もう一度読み直してみると・・・面白い。何度も噛 ... 続きを読む
受信: 23:12, Monday, Feb 25, 2008
» [超−1]【+3】線路 [幽鬼の源から] × 具体的な時期や場所が記述されており、実話を超えた“実録”怪談としての味わいが強い。 また文体が徹底した論文的な書き言葉でまとめられており、実録的な印象をさらに強固なものに仕上げていると言えるだろう。 意図的というよりもそのような文章を書き慣れていると .. ... 続きを読む
受信: 00:30, Thursday, Feb 28, 2008
■講評
なんか奇妙な話です。全体的に文が難く。もう少し読みやすくしてもいいような印象があります。 一点減点したのは、烏帽子岳で人が大勢亡くなったという部分が余計だと思いました。 |
名前: くすだまん ¦ 14:23, Sunday, Feb 24, 2008 ×
文章 1 怪談研究の民俗学の文献を読んでいるような感じがする。今野 圓輔氏の御作のような。 稀少度 1 目に見えないだけに不気味だ。
ただ私はこの地に縁がなく、出てくる地名もよく分からないので怪異に没頭できなかった。作者さんに責任はないすけど。 よくある話としても戦争の犠牲者の絡む話は悲惨で、恐怖よりも気の毒になってしまう。 |
名前: くりちゃん ¦ 16:02, Sunday, Feb 24, 2008 ×
九州に馴染みがないため、具体的な地名が出てきても文章の前半は少し読みにくかったです。また、作品全体を古めかしい雰囲気にしようと仕立てた所は評価できますが、中盤まで書かれて気が弛まれたのか「猛烈なスピードで」と今どきの書き方に戻ってしまうところが残念でした。
この話を読んでいて1つ分からなかったのが、結局この「近づく声」は線路伝いにやってきて線路伝いに消えていくのでしょうか。 最後には「赤錆だらけの線路をそって、はるか彼方へ消えてしまった」とありますが、やってきたのは「背後にある烏帽子岳の方角」であり、体験者の少女は「線路の跡地を横切る途中」としか書かれていないので、これだけの情報では急に空から来てその後に線路沿いに消えたとも受け取れるので、そのあたりが分かりませんでした。
ただ、「まるで電車が通り過ぎるように聞こえた」と、接近した声をあたかも電車のように表現しているところをみると、線路伝いに来て去る事を示しているようなのですが、やはりこれらの文章だけでは判断できかねます。
また、この話の怪異「大勢の男性が題目を唱える声が聞こえてきた」に対して「烏帽子岳は空襲で多くの犠牲者が出ている場所」であるとしか書かれておらず、空襲の凄惨さが描かれていない事によってせっかくの「近づく声の恐怖」が単体で完結してしまい、烏帽子岳方面があまり活かされていない結果となったのが残念です。ここに少しでも空襲の惨劇が描かれていれば、烏帽子岳方面から近づく声の恐怖を倍増させられたかと考えます。
古い話に合うように文章を工夫しようと、努力された様子は読んでいて伝わりました。
文章0:希少度+1 |
名前: chidori ¦ 17:13, Sunday, Feb 24, 2008 ×
詳しい地名を出されてもまずピンとこない。 そのせいか、単なる説明ばかり目に付いてしまった。 文章もやけに難しい 怖い話はありえない話、怪異を伝えるのだから、もっとわかりやすい文章でないと読者の頭にはなかなか入って行きにくいと思う。 |
名前: 黒ムク ¦ 20:44, Sunday, Feb 24, 2008 ×
怪異はなかなか面白いと思う。 文章は冷静すぎて、体験者の恐怖がうまく伝わってこなかった。 |
名前: ナルミ ¦ 21:13, Sunday, Feb 24, 2008 ×
ネタ+2 文章+1 ひとりだけに聞こえる、ものすごい勢いで迫る読経。怖いです。 文章の書き方が、民俗学の選書のようでちょっと新鮮でした。 空襲のくだりを文末に持ってきて、腑に落ちる形にしてもいいかもしれません。 |
名前: ねこ ¦ 23:09, Sunday, Feb 24, 2008 ×
昔の新聞か報告書のような文章はけっこう好きです。九州の地名に馴染みはありませんが、軍港や資材用の線路が廃線になるなど同じような経緯のところは各地にありますので想像はつきました。霊なのか妖なのか不思議です。
|
名前: ひ ¦ 00:21, Monday, Feb 25, 2008 ×
| 判断の大変難しい話でした。ひと昔前の「〜の怪談」的な印象を受けます。現在の本ではあまり見られないタッチですが、この文体を通されたのは作者さまの思惑だなと思います。こういうお話に説得力を感じていた自分はすでに『旧タイプ』なのかも知れません(笑)女学生に声の迫ってくるあたりの様子はまざまざと伝わってまいりました。表現を変えると万人向けのさらに怖い怪談になる事でしょう。 |
名前: みくりや かつと ¦ 00:52, Monday, Feb 25, 2008 ×
一気に読むと、後半近づいてくるスピード感があってなんだか怖い。 この話には、この文体で合っているんじゃないかな。
怪異と関係ないけど、防空壕が密集していた場所は、かえって被害が出たんですね。勉強になりました。 希少度 1 文章 1 |
名前: じぇいむ ¦ 00:59, Monday, Feb 25, 2008 ×
私は地名がある方がリアル感がでて良かったように思います。 お題目の声が轟音のように近づく様は、想像するとなかなか恐ろしいです。 時代感が感じられて味わいのある作品でした。戦争のことは忘れてはいけないですね。 |
名前: じゅりんだ ¦ 13:59, Monday, Feb 25, 2008 ×
文:0 怖:+2
郷土史に載っていてもおかしくない。 むしろ郷土史に載せたい類の話。 他の方とは逆で、私は馴染みある土地名のおかげで入りやすかったです。 ただし、文章はもう少し読みやすい方が良かったかな。 |
名前: 晴 ¦ 14:01, Monday, Feb 25, 2008 ×
そこにいれば安全だと思っていたものの、防空壕が密集していることが災いして命を落としてしまった犠牲者の霊。 さぞかし無念だったことでしょう。 男達の霊の声が聞こえてしまいましたが、それ以上の事が起きなかったのは不幸中の幸いなのではないでしょうか。
不思議度+1 インパクト+1
|
名前: へみ ¦ 23:29, Monday, Feb 25, 2008 ×
恐怖+1 さっぱりした文体で、さらりと読めました。 何だったのかが分からない。この後味のモヤモヤがまた良いかと。 |
名前: 有線 ¦ 03:07, Tuesday, Feb 26, 2008 ×
所々引っ掛かる表現があったが、これはこれで良いのかも知れない。 雰囲気は感じ取れた。
希少性(1) 文章(1) |
名前: ねこや堂 ¦ 23:08, Tuesday, Feb 26, 2008 ×
文章・・・2 希少度・・・1
題目やお経が聞こえてくるというのはよくありますが、間近まで来ると大音量になるというのが面白い。怖いというか、度が過ぎると笑ってしまいますね。 文章は幽霊関係の事件を追っかけている某氏のレポートのようで、説得力がありました。
|
名前: 鹿太郎 ¦ 01:36, Wednesday, Feb 27, 2008 ×
文章1 内容1
文章はもうちょっと空間があれば・・。内容はよくありがちに思えました。 |
名前: 新田 猫 ¦ 20:16, Wednesday, Feb 27, 2008 ×
皆、列車に乗って逃げ出したかったのかもしれませんね、って単純でしょうか。ラストでそう感じました。 「女学生の頭上を通り越し」というのも、ただの音ではない勢いを感じさせてくれて良かったです。+3
整然とした文章に詳細も織り込まれていてとても丁寧です。でも淡々としすぎているかも。 悲しい歴史が冷たい文章で流されてしまっているような。±0 |
名前: 眠 ¦ 01:15, Friday, Mar 07, 2008 ×
文章が固いというか難しい・・ 怖い話とは思いますが 読解するのに時間がかかります。 |
名前: SPダイスケ ¦ 15:47, Thursday, Mar 27, 2008 ×
| 声だけという怪異は弱いのだけど、細かい描写は私的には大変良かったです。私は戦争系って弱いんです。 |
名前: 茶毛 ¦ 02:15, Tuesday, Apr 01, 2008 ×
ちょっと文章が難しくて、話を理解するのに時間がかかりました。 もうちょっと万人向けの文章にしてもらえると私的には良かったのですが…。
文章:0 内容:1
|
名前: PM ¦ 22:34, Friday, Apr 04, 2008 ×
「現代民話考」とか「日本怪談集」を思い浮べるような文体で、これはこれで味があると思います。 ただ、こういった説明調の文体から、よりリアルで読者が怪異の追体験ができるように書かれたのが現代の「実話怪談」の文体なわけで、 あえてこの文体で書く必要があったのかな、ちょっと疑問に思いました。怪異自体も戦争の犠牲者と僧侶の読経の声を結び付けるなどやや定型的に感じました。 でも、個人的にはこういった民俗学資料的な話は好きなので+1 |
名前: 久遠 平太郎 ¦ 00:47, Sunday, Apr 06, 2008 ×
いったい何の集団だったのか。 わけもわからず、気味の悪さだけが残る怪異だと思う。 |
名前: MM88 ¦ 02:38, Sunday, Apr 13, 2008 ×
怪異:0.5 全員に聴こえてたらポイント高かったんですが。 死者の題目っていうのはなんかチグハグで興味深いですね。 文章:2 漢字含有率が高いのはまあ、時代を表現する方法なのかなと思うんですが、 >問題なのは、その人数と耳に届く早さ、猛烈なスピードで近づいてくるのだ。 ここは文章としてちょっとおかしいかな。これだけ書ける人なら言えばわかってくれると思う。 完成度が高いからこその突っ込みですからご理解のほどを。^^; |
名前: brother ¦ 00:01, Monday, Apr 14, 2008 ×
まず文章が好きですね。 昔の文学っぽくて感じが良い。 話の時代背景ともマッチしていてうまく雰囲気が出ている。 難しいと言う人もいるようですが、それを読み解こうとするのは読み手にとって必要な事で、それによって読解力がついていく訳であって、一方的に分かり易い文章ばかりを求めるのは単なる怠惰であると私は思います。 そういう人が他人の文章を一体どうやって評価できるというのでしょうか? さて、肝心の怪異についてですが、音だけにも拘らず実体まで想像出来てしまいそうで迫力がありましたね。 そこはひとえに書き手の表現力の賜物でしょう。 またこの人の怪談を読んでみたい、そう思えるような話でした。
|
名前: 昼間寝子 ¦ 13:37, Tuesday, Apr 15, 2008 ×
やはり、戦争で命を落とした人たちの声なのでしょうかね?声だけが頭上を通り越していくのも恐怖を感じます。 まだ彷徨っているのでしょうかね…… |
名前: こうたろう ¦ 22:28, Sunday, Apr 20, 2008 ×
名前: tanaka ¦ 01:11, Saturday, Apr 26, 2008 ×
■講評を書く
|
blogパーツ配布中
|