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約束
麻美の幼稚園時代の話。
普段よく行く公園で一人遊んでいると、顔の知らないおじさんが一人いた。
麻美のことを見てニコニコしている。悪そうな人には見えず麻美も微笑み返した。
「おじさん何してるの?」
麻美の問いには答えず、「おじさんと遊ぼうか」そう言っておじさんはベンチから立ち上がった。
おままごと、お砂遊び、おじさんは一緒に遊んでくれた。
話し方が優しく、子供の相手が上手だったなぁと彼女は言う。

やがてお昼になった。
「私お昼ご飯食べに家に帰らなくちゃ。」
「そうかい。お昼を食べたらまたくるのかな?」
「うん!またくるよ。おじさんはお昼ご飯いいの?」
「おじさんはここで待っているよ。」
「わーい!ご飯食べたらまた来るから遊んでね。約束だよ。」
「ああ、おじさんはここでずっと待っているからね。」

麻美は急いで家に帰り、昼食を食べた。
すぐに家を飛び出してさきほどの公園に向かうと、パトカーが止まっているのが見える。
進入禁止のビニールテープが公園の一部に張ってあり、警官も数人見えた。
じっと見ていると、担架に乗せられて人が運ばれていった。
「死体だったんだよね・・・」
なんで死体だってわかったの?
「担架に被せられた布から手がはみ出していたの・・・その手が生きている人間の手じゃないってわかったんだ・・・」
おじさんは公園にいなかった・・・
麻美は怖くなって家に帰ってしまった。

夜・・・
母親がさきほどの公園で死体が出たことを父親と話していた。
「麻美もあそこの公園にはしばらく行かないでいなさいね。」
死因まではわからないが、男性の死体だと聞いて麻美は嫌な予感がした。
頭には「ずっと待っているよ」と言ったおじさんの言葉が残っていた。

その晩寝ていると、体が揺さぶられるような感じがしていきなり目が覚めてしまった。
「地震かな??」でもとなりで寝ている母親はそれに気付いていない。
地震には敏感でいつもすぐ飛び起きる母親が気持ち良さそうに寝息をたてている。
そう思って横向きになっている身体をあおむけに直そうとした瞬間。
目線の隅に青白く光るナニモノかが見えた。
驚いてそれを見ると・・・昼間に公園で遊んだおじさんだった。
今はまだドアの近くにいてこちらには気付いていない様子。

「おじさんは私のことを探しに来たんだ・・・」
麻美は目をしっかり瞑って寝たふりをすることにした。
しばらくすると頭の中に声が響いた・・・
「やっとみつけた。さぁおじさんと遊ぼう。」
麻美は恐怖に脅えながらも必死に瞼を閉じる。
「寝たふりしてもわかるんだからね。」
昼間に見た、シートからはみ出していたと思われる手が麻美の頬を撫でた。
麻美はそこで気を失ってしまった。

気がつくと朝だった。
昨夜のことはとても夢とは思えず、泣いて母親に抱きついた。
「でもそれ以来おじさん来なかったよ。優しいおじさんだったから一度来て寝た振りされて諦めてくれたのかな。」
笑う麻美だが、今でもシートからはみ出した手は頭から離れないらしい。





10:11, Sunday, Feb 17, 2008 ¦ 固定リンク ¦ 講評(26) ¦ 講評を書く ¦ トラックバック(3) ¦ 携帯

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■講評

行き倒れの労務者さんだったのでしょうか。「やっとみつけた。さあおじさんと遊ぼう」だの「寝たふりしてもわかるんだからね」で、ずっとつきまとうかと恐怖しましたが、すんなり諦めてくれたのですね。というか、あんなに楽しく遊んだのに拒絶されて傷ついてしまったのか。怖いのと切ないので3点です。

名前: ひ ¦ 10:54, Sunday, Feb 17, 2008 ×


文章 2
もたつきがない。
稀少度 2
家まで探しに来るとは凄まじい。

お昼前に一緒に遊んだおじさんだって、もしかしたらもう人ではなかったかも知れない…?
無理矢理連れて行こうとはしなかったところに、おじさんの優しさが残っていたようで、しんみりする。

名前: くりちゃん ¦ 11:40, Sunday, Feb 17, 2008 ×


恐怖+2
死体目撃→霊が出現
と直接的に怖いはずですが、文体のせいかじんわり来るタイプの話になっていて好きですね。
しかし少しあっさりめなので執着的な霊の怖さが薄れているように感じます。
話の流れはオーソドックスなので、点は控えめという事で。

名前: 有線 ¦ 13:45, Sunday, Feb 17, 2008 ×


書き手の方が麻美さんから幼稚園の頃の体験談を聞き出したにしてはセリフも情景もとても詳細に麻美さんが覚えられていてびっくりしました。
その分、おじさんの顔や容姿などについては曖昧な表現なのががっかりでしたが・・・。
この話を読む限りでは、公園の警察の一件と、麻美さんが昼間あったおじさんが同一人物であるという確証がないので、強烈な事件によって麻美さんが夢を見てしまったという事も考えられなくはないんですよね・・・。
ただ、事象として起こったことは怖いと感じました。

文章0:希少度1

名前: chidori ¦ 17:53, Sunday, Feb 17, 2008 ×


ネタ+3 文章+1
これは怖いです。ただ怖いだけではなく悲しさもあり、余韻があります。
おじさんが最初から死んでいた可能性もあり、いろいろ想像の余地があるのもいいです。
これは本にそのまま収録しても違和感がない話だと思います。

名前: ねこ ¦ 19:20, Sunday, Feb 17, 2008 ×


おじさん何者なんでしょうね。
「寝たふりしてもわかるんだからね」のあたりがリアルな感じがして怖かったです。
希少度 2 文章 1


名前: じぇいむ ¦ 20:10, Sunday, Feb 17, 2008 ×


何だか切ないような怖いお話ですね。一緒に遊んでいたおじさんがその死んだおじさんと同一人物だったかどうかまでは定かではないですが、幼少期の奇談といった感じですね。シートからはみだした手というのが気持ち悪いです。

名前: じゅりんだ ¦ 22:20, Sunday, Feb 17, 2008 ×


これはなかなか怖い。最初に遊んだおじさんが生きている人間だったのかどうか、わからないところがいい。
幼稚園時代の体験をこれだけ鮮明に覚えている麻美さんの記憶力にも感心する。

名前: ナルミ ¦ 22:29, Sunday, Feb 17, 2008 ×


書き方のせいか、よくできたお話に思えてしまった。
けっこうオーソドックスな感じ。
なんか悲しいお話ですね。
余韻は残ります。

名前: 黒ムク ¦ 08:54, Monday, Feb 18, 2008 ×


「おじさん」の意図をいろいろ想像すると、素直に怖いです。

名前: 与粋鴎歌 ¦ 11:40, Monday, Feb 18, 2008 ×


文:+1 怖:+2

素直に怖いです。
麻美ちゃんの前向きな考えに最後癒されますけど、
一体何と遊んでいたのか、そのときは生きていたのか、
というところからもう既に怖い。

付き纏われなくてせめてもの救い。

名前: 晴 ¦ 13:12, Monday, Feb 18, 2008 ×


目線の隅でおじさんをとらえたが、ドアの近くにいて気付いてない様子。
この部分がわかりづらかったです。位置関係がつかめませんでした。-1

>「寝たふりしてもわかるんだからね。」
ここが強烈に怖かった!子供ならもっと怖かったでしょうね。+2

一緒に遊んでいた時は生きていたんでしょうか。それが最後まで気になって、モヤモヤして良いです。+1

名前: 眠 ¦ 00:10, Saturday, Feb 23, 2008 ×


「おじさんはここで待ってるよ」
出会った時には既にこの世の人ではなかったのか。
色々想像させられる。

希少性(1) 文章(1)

名前: ねこや堂 ¦ 21:45, Saturday, Feb 23, 2008 ×


文章・・・1
前半は良かったのですが、夜になってからの語り口が狙い過ぎのように感じられました。
書き手の怖がらせようという意図が前面に出ており、逆に退いてしまいました。

希少度…1
前半部分に1点です。
後半、夜になってからのくだりは珍しくはありませんね。

名前: 鹿太郎 ¦ 03:11, Sunday, Feb 24, 2008 ×


昼間に遊んでくれていたときのおじさんが、すでに亡くなっていた人なのかの謎は残ります。
約束を果たすために夜訪れてしまったのは怖いですが、どろどろした怖さはないですね。
純粋な幼少期だからこそできた体験かもしれませんね。

不思議度+2 インパクト+1

名前: へみ ¦ 21:39, Sunday, Feb 24, 2008 ×


冒頭から厭な話になりそうな感じがしてドキドキしました。一度だけで諦めてくれてよかった。麻美さんが感じた通り、おじさんは悪い人じゃなかったんですね。

名前: 久遠 平太郎 ¦ 21:26, Friday, Mar 07, 2008 ×


「やっとみつけた。さぁおじさんと遊ぼう。」
「寝たふりしてもわかるんだからね。」
優しい人なら こんな怖いこと言わないかも・・
などと考えてしまった。

名前: SPダイスケ ¦ 18:06, Monday, Mar 10, 2008 ×


読んだ時はメチャメチャ恐かった!

名前: くすだまん ¦ 12:37, Friday, Mar 21, 2008 ×


遊んでくれていたおじさんは本当に生きている人だったのか。「ここでずっと待っているからね。」の一言のせいか、勘ぐってしまいますね。
「寝たふりしてもわかるんだからね」は怖い!
優しいおじさんならそんな事言わないですよ……怖がらせてしまうのは目に見えてますからね。

名前: こうたろう ¦ 23:04, Tuesday, Mar 25, 2008 ×


よく出来てた文章なので、途中で勝手に期待が膨らみ過ぎました。実はおじさんは…ってな暴走妄想をしてしまいすみません。ハァ、ハァ。

名前: 茶毛 ¦ 17:41, Sunday, Mar 30, 2008 ×


気持ち悪い、と十分感じました。

名前: tanaka ¦ 16:56, Tuesday, Apr 01, 2008 ×


おじさん、家まで来ちゃった…。
生きてても死んでても、これは怖いですね…。

文章:1 内容:2

名前: PM ¦ 20:29, Wednesday, Apr 02, 2008 ×


家に帰って戻ってくる間に死んだと判断するより、会ったときすでに死んでいたと考えたほうが自然でしょうか。
どういうつもりでずっと待っていると言ったのか。
連れて行こうと思ったが思いとどまったのか。
おじさんの気持ちも激しく揺れていたのかもしれませんね。
優しさと怖さ、相反するものが同居していて良い話です。

名前: 昼間寝子 ¦ 12:48, Thursday, Apr 03, 2008 ×


怪異:1
諦めてくれた……んだろうなぁ。
というか、約束を守れなくてそれだけが心残りだったんだろう。
悪い人じゃないから一度っきりで済んだんだろうし。
それでも「寝たふりしてもわかる」はちょとコワイ。
文章:0
少し読み辛い?
概算3ページくらいだと思いますが、2ページにまとめるくらいがちょうどいいんじゃないでしょうか。

名前: brother ¦ 13:27, Thursday, Apr 10, 2008 ×


幼稚園児が
"生きている人間の手じゃない"と判断できるのだろうか。
そこが疑問に思えた。
内容は怖いがありきたりの話に思える。
おじさんは公園で遊んでもらっていた時は生きていたのか、すでに生きてはいない存在だったのか。
そこで話の怖さもまた違ってきますね。

名前: MM88 ¦ 19:08, Wednesday, Apr 16, 2008 ×


上手にそつなくストーリーを展開させているお話だと思います。
現れたおじさんのキャラの怖いのか優しいのかわからない部分も、かえって生々しさが伝わります。
強いて言うべき点とすれば、突筆するほど抜きん出たネタではなかったという事で、これを作者様のせいという事はありません。
子供の頃に見た光景としてなら、この死者の手は、かなりショッキングだったに違いなと思います。

名前: みくりや かつと ¦ 15:19, Sunday, Apr 27, 2008 ×



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