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田んぼの広がる田舎道の路肩に止めた車の後部座席に、私はいた。 車の中には私以外に3人乗っている。 その姿は夜の闇に溶けて、誰なのか確認できない。 車内を沈黙が包む。
私は窓の外を見ていた。満天の星空が広がる。 外からかえるの合唱が聞こえる。 手元で何かが動いた。 ドアロックの突起にぶら下げられている袋が揺れた。 縁日で金魚すくいをするともらえる、金魚を入れる袋。 その中には、何故かアマガエルが元気にはねている。
そこで目が覚めた。 そしてぼろぼろ泣いた。 何故かはわからず、とにかく悲しい気持ちでいっぱいだった。
その半年後、両親が離婚した。 私には離婚の意味も重さもわからず、日頃優しかったという理由だけで母を選んだ。 年子の兄もそれに従うことになった。 母には新しい伴侶がいた。 その男の住む土地へと引っ越して間もなく、地元の駐屯地で祭りがあった。 男の運転で祭りの会場へ出かけたものの、ぎくしゃくした空気は解消されなかった。
そして、帰路の途中で車は、あの場所へ停まった。
金魚を用水路に放し、捕まえたアマガエルを袋に入れて車内に戻った。 ドアを閉めた瞬間に、その風景に気づいた。 あの時どうしてあんなに悲しかったのか、自分が今どういう状況におかれているかを理解した。
涙は出なかった。
もう少し早く、あの夢の意味に気づいていたら、どうなっていただろうか。 20年以上経った今でも、ふと考えてしまう。
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■講評
文章 2 明瞭で分かり易い。夢の部分が幻想的。 稀少度 0 予知夢の話は時々目にする。
プルーストみたいな。 単なる予知夢の話ではなく読後にも重さが残った。 怖さ一辺倒で責めてくるよりも深く感じるのだが、「怪談」というよりも悲しみの方が強く印象に残る。 |
名前: くりちゃん ¦ 08:51, Saturday, Feb 09, 2008 ×
こういう予知夢を描くのなら、自分の心情は極力書かずに描写に力を注いだ方が感情を刺激される。なのにこの作品は、本来描写をしなくてはいけないところを手抜きしているために、作品の良さを伝えきれていない。
「その姿は夜の闇に溶けて、誰なのか確認できない。車内を沈黙が包む。私は窓の外を見ていた。満天の星空が広がる・・・」 このあたりが前半の描写の見せ所のようだが、ここで感じ取られる雰囲気や感覚をそのまま後半に書いていればいいものを、後半は描写のない粗筋のような駆け足の説明で終わらせているので、書き手が読み手に親切に説明して悲しさの理解を得るような作りになっている。
くどくても後半に、前半と同じような描写をもってきたほうが、文章としても既視感を与えられたのではないか。 簡略しすぎて、書き手がこことここが一緒だよと文章を示さないと読み手に悲しさや既視感を伝えられないのは、書き込みが不足しているからと思わざるを得ない。 再婚の箇所は簡潔でもいい。しかし力を入れてほしかったのは金魚袋にアマガエルを入れたその夜の場面。 ここを粗筋ですませて作者の解説に頼るのは、手抜き感が否めない。
そして、あまり作者は悲しい悲しいと心情を訴えない方がいい。それは読み手が判断するもの。 だから最後の「考えてしまう」によって、単なる夢エッセイに終わらせてしまっている。
削るところと膨らませるところの見極めをしっかりしていれば、もっといい作品になったと思われる。
文章−1:希少度0 |
名前: chidori ¦ 10:27, Saturday, Feb 09, 2008 ×
パーフェクト! 夢の描写から一気に引きずり込まれました。 そして夢の意味がわかった後の重さ。 単なる予知夢談ではなく良い短編小説を読んだような読後感がありました。
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名前: 撃墜王の孤独 ¦ 14:37, Saturday, Feb 09, 2008 ×
好み+1 物悲しさ+1 幼い頃に離婚の予知夢を見る。かなり重い話でしたが、個人的に好きです。 文章も淡々としていて、悲しさが際立ったと思います。 気になったのですが、何故金魚を放して代わりに雨蛙を捕まえたのでしょう。唐突に感じたので、最後まで引っ掛かってしまいました。 |
名前: 有線 ¦ 15:31, Saturday, Feb 09, 2008 ×
レア度0 せつなさ+3 文章-1 怪異自体は珍しいものではないですが、状況が重いです。 重いせいか、文章が客観的になりきれていないように感じます。表現に迷いがある感じです。 こういう題材は人を選びそうですが、私は好きです。 |
名前: ねこ ¦ 15:32, Saturday, Feb 09, 2008 ×
予知夢というのはやはり定番なのだが、なにより絵的に金魚袋の中にいるアマガエルというのは美しい。 また、夢の意味について深く考えさせられるところが、よくある類話と一線を画している。 上の講評者も書かれているが、このおそらく個人的体験としては「宝物」といってよい貴重な話をもっと大事にして、描写を増やして磨くとよかったと思う。 希少度 0 文章 0 個人的ツボ 2
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名前: じぇいむ ¦ 21:49, Saturday, Feb 09, 2008 ×
名前: じぇいむ ¦ 21:50, Saturday, Feb 09, 2008 ×
金魚やアマガエルにどんな象徴的な意味があるのか、と考えていたが‥‥結局「現実の出来事をそのまま予知夢で見ただけ」で象徴的な意味などなかった、ということか。 体験者にとっては重要な予知夢なのだろうが、怪異としてはありきたりだった。 |
名前: ナルミ ¦ 01:38, Sunday, Feb 10, 2008 ×
文章:2 内容:0
アマガエルに意味はあるのでしょうか? 予知夢を見て泣いたのは、両親が離婚してしまったことに対してだと想像できます。 でも、夢の中では、なんだかカエルが物凄く重要な意味を持っているように見えるのですが、実際には関係なかった。 意地悪な言い方をしてしまって恐縮ですが、カエルの描写がなければ、話自体はよく聞く予知夢の話だと思います。 文章は丁寧だと思いますので、これからもがんばってくださいね。
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名前: %uC290先行量産型PONKEN ¦ 13:28, Sunday, Feb 10, 2008 ×
文章はよかったと思います。 悲しく、美しい感じがします。
金魚を用水路に放し、捕まえたアマガエルを、自ら袋に入れている時点で予知夢というよりは、夢に引っ張られたのか・・・ 一度見た夢は、忘れているようで記憶の奥に残っていたりすることがある。無意識に。 夢での事を、後で実行したとしたら予知夢とは違ってくる。 そこをもっとうまく書いて、完全に予知夢としてほしかった。 話はよかったです。
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名前: 黒ムク ¦ 15:12, Sunday, Feb 10, 2008 ×
実は何度も読み返してして、やっと予知夢の事かとわかりました。 せつない感じがするいいお話ですが、怪談というより幻想小説といった感じでしょうか。
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名前: じゅりんだ ¦ 02:36, Tuesday, Feb 12, 2008 ×
| せつない予知夢ですね。冒頭の夢の内容はもう少し簡略化したほうがいいかもしれません。実話怪談というより私小説のような描写の細かさがあり、短い話には少々リリカル過ぎかもしれません。 |
名前: %uC282ひ ¦ 11:53, Tuesday, Feb 12, 2008 ×
文:+1 怖:0
色々謎のまま終わってしまうのは仕方ない事だと思いますが、 その謎がひきつけられるには少し弱かったです。 一体なぜアマガエルなのか。 昔見た夢の意味を今理解しても時間は戻らなくて悲しい。 というのはとても伝わりましたが……。 |
名前: 晴 ¦ 16:26, Tuesday, Feb 12, 2008 ×
名前: 与粋鴎歌 ¦ 09:46, Thursday, Feb 14, 2008 ×
希少度・・・0 文章・・・0
幻想的な夢の描写は良いのですが、後半の私が置かれている状況やその時の正直な感情が今ひとつ伝わってきません。 なぜ金魚を放してカエルを袋に入れたのかも謎です。 描写する力はある方だと思います。細かい部分も気を抜かずに書いてもらったら、もっと良い作品になったはずで、そこが残念です。 |
名前: 鹿太郎 ¦ 00:12, Friday, Feb 15, 2008 ×
金魚を蛙に入れ替えたので、非凡な夢として覚えていたのかもしれませんね。 あるいは、夢占いなどで深い意味があるものなのでしょうか、金魚と蛙。
明確ではないけど訴えかけてくる何かがありますね。+1 ちょっと影のある物憂い文章も好みです。+1 |
名前: 眠 ¦ 23:21, Friday, Feb 15, 2008 ×
小説としてなら好みだが、怪談ではない。 不思議な出来事だとは思うが。
希少性(-1) 文章(1) 叙情性(1) |
名前: ねこや堂 ¦ 17:56, Monday, Feb 18, 2008 ×
| 切ない話ですね。この話以後も、書き手の人生には色々あったんでしょうね。怪談ではないかも知れませんが、こういう話も良いですね。希少度1 せつなさ1 |
名前: 昼間寝子 ¦ 18:21, Monday, Feb 18, 2008 ×
切ない話です。 焦点の絞れている予知夢も、話として面白く仕上がっていますね。 20年前に予知夢に気付くことは無理なことです。 例えわかったとしても子供だったあなたになすすべはなかったでしょう。 今を大事に前向きに頑張ってください。 |
名前: へみ ¦ 05:59, Saturday, Feb 23, 2008 ×
| 重大な事故や災害などの予知夢と違い、劇的な部分があまりなく(両親の離婚という体験者にとっては大変な出来事ではありますが)ある意味新鮮でした。こういった予知夢というものはもしかしたら誰でも経験していて、でも、日々の忙しさにかまけて忘れてしまっているのかも知れませんね。怪談としての派手さはないものの、心に残る作品でした。 |
名前: 久遠 平太郎 ¦ 19:14, Saturday, Feb 23, 2008 ×
悲しいはなしではあるけれど、怖くは無い。 個人的には感情の書き込みはすきではないですが、読みやすかった。 |
名前: こうたろう ¦ 19:44, Sunday, Feb 24, 2008 ×
いいですねー。モダンホラー傑作短編集とかに入りそうです。 ほんといいと思います。 |
名前: tanaka ¦ 12:46, Friday, Feb 29, 2008 ×
かっこよくまとまっているカンジで好きです。 ただ 怪談 として読むと少し弱いかと・・・ |
名前: SPダイスケ ¦ 22:18, Wednesday, Mar 05, 2008 ×
| せつないお話なのはわかるが、不思議な出来事が負けちゃった。哀愁に+1 |
名前: 茶毛 ¦ 19:17, Friday, Mar 28, 2008 ×
切ないですね。 状況より心情が伝わってきますね。 ちょっとだけ、表現がくどい部分がありましたが、すいすい読めました。
文章:1 内容:1
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名前: PM ¦ 22:11, Monday, Mar 31, 2008 ×
やたら00た。で終わる文章が多いですが、、これは作者の狙いだと思うので減点にはしません。 個人的には情緒的で好きな作品です。 |
名前: くすだまん ¦ 11:46, Tuesday, Apr 01, 2008 ×
予知夢、という事だろうか。 内容がよくわからず、二度読みしてしまった。二度読みして、読み物としては良い話だとは思った。 体験者個人には、いつまでも覚えている思いのある大事な話なのだろう。 しかし怪異とはいえないと思う。
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名前: MM88 ¦ 22:42, Friday, Apr 11, 2008 ×
過去に見た夢を追体験するという切ない感情を上手に描ききれていると思います。 また、アプローチと言う点でも「挑む」という書き手側の意欲が伺う事も出来ましてそういった点は評価できるのではと思います。 ただし、怪談としての味付けは薄めに感じましたので、このような点数となりました。 予知夢の場合は、もっと内容がインパクトのあるものでないとなかなか呼び水的なものとはなりにくいのではと思います。
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名前: みくりや かつと ¦ 22:01, Thursday, Apr 24, 2008 ×
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