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境涯
 咲子の家に昔から伝わるしきたりがある。
 盆の最終日に特別の膳を用意すること。
 送り火を焚いている間は家の中に誰も居ないこと。
 この二つだ。
「物心ついた時から教わっていた事で、それは一般的な事だと思っていたんです」






…………

この作品は超-1/2007作品集【超-1 怪コレクション 黄昏の章】に収録されました。
続きは怪コレでご覧下さい。
http://www.amazon.co.jp/dp/4812432405

【超-1 怪コレクション 黄昏の章】加藤一 編





11:44, Saturday, May 26, 2007 ¦ 固定リンク ¦ 講評(17) ¦ 講評を書く ¦ トラックバック(6) ¦ 携帯

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■講評

「あんた言い付けを守らなかったね?」が突然出てくるので、お粥に塩、水だけの一週間の間のことについてなのか、仏間で寝た一晩の間の作法についてなのか、分かりづらかった。
中学生くらいに育っている子ならば祟りの由来を教えてやれば、理解も出来、盗み食いをしてあたら片目の視力を失うこともなかったのに、と思った。

ここは女系の家なのか、他のきょうだい、特に男児は夭折する家なのか。鮮血の牡丹を散らした美女は何だったのか。
最後まで息を呑むようなストーリーを追ってきたのに「それだけはお聞きにならない方がいいですよ」とは!
謎多きしめ方だがトリにふさわしい作品だと思う。

名前: くりちゃん ¦ 15:27, Saturday, May 26, 2007 ×


素材・1 文章・1
所々、些細な疑問は残るが、そんなものは吹き飛ばしてしまうほどの力作。
正直、最後の話がこれで良かった。

名前: つくね乱蔵 ¦ 19:38, Saturday, May 26, 2007 ×


長い話だが、飽きずに読めた。怪異も怖くてよかった。

しかし、これは怪談自体の評価とは関係ないことだが、咲子さんがこんな目にあった原因の大半は父母と祖父母にあると思う。
ああしろこうしろと言うだけで、理由をまったく説明しようとしない。せめて、従わなかったときにどうなるのか、を話していれば、左眼の視力を失うこともなかったはず。
そして、盆の送り火の時には、咲子さんは火が消えてから家に入っている。ちゃんと言いつけは守っていたのである。

名前: ナルミ ¦ 00:57, Sunday, May 27, 2007 ×


内容:3 文章:1

最初は、それほど怖いと思わなかった。
むしろ、なんだかのどかな雰囲気すら感じた。
でも、咲子さんが禁を犯した時から、どんどん引き込まれ、そして怖くなりました。
しかも、いい意味で不可解さが残ったまま終わっています。
書かれた方が狙ったかどうか、わかりませんが、超ー1 2007を締めくくるのに最適な話だと思いました。

名前: ダウン ¦ 02:51, Sunday, May 27, 2007 ×


ルールは「送り火が消えるまで家に入るな」で、女性が現れるのは送り火が消えた後なんですよね。
うーん何者なんだろう。ご先祖様の送迎をしてくれてるのかな。膳はお疲れ様でしたの意を込めて用意してるとか?

土地の風習や名家のしきたりで女だけが関わっているものって、手厳しいものが多いですよね;一般家庭で野放しに育ててもらって良かったとつくづく思いますw
言いつけを守らなかったがために咲子さんが受けた罰は大きすぎる。なんで教えてあげなかったのよお母さんたち!と言いたい(つД`)*。
用意するものが鯛の目で、視力を奪われるのが罰だというのも関連を思わせます。

もやもやと関係が見えて、自分なりの想像もできて、素直に怖い。こういうお話は大好きです。
文章も一切無駄がない。楽しませていただきました。

名前: 13 ¦ 17:04, Sunday, May 27, 2007 ×


よくこんな話を取材できましたね。心底、羨ましい。
自分なら、女性の素性を訊いたろう。やんわりと断られても、無粋に。
物語は謎のまま綺麗に締められて余韻が残り、じんわりと来る日本的怖さと美しい文章で堪能できました。
惜しむらくは、やはり女性の素性を想像できるようなものでもあれば、というところですか。
素材:+2 文章:+1

名前: 夢屋 陣 ¦ 10:44, Monday, May 28, 2007 ×


なかなかこの手の話は入ってこないだけに怖いし、説得力があった。
正直、女性の素性の素性等この話の背景にあるものは知りたい!!と思った。
最初は長い話に抵抗があったが、読み終わってみるとそんな気はまったくない。よかった

名前: 黒ムク ¦ 13:21, Monday, May 28, 2007 ×


すべてをあからさまにしないで謎の部分があっていいと思う。
書かれた事実の奥に潜む闇の深さを想像すると
とてつもなく怖い。知りたくもあり、知りたくもなし、
といったところでしょうか。
自分の知らない怪のなんと多いことか。
超ー1のトリとしてふさわしい一作。ありがとうございました。

名前: 桜子 ¦ 20:21, Monday, May 28, 2007 ×


ラストに相応しい余韻のある怪談でした。
女系家族の女系にのみ祟るもの。
うーん、興味深かった。
有り難うございました。

名前: 藪蔵人 ¦ 06:48, Tuesday, May 29, 2007 ×


はるか昔の悲劇が、今もなお、生き続けているという感じでしょうか。何があったのだろう、なぜ、今も。確かに聞かない方がよいような気がする。

名前: ペペ ¦ 10:16, Tuesday, May 29, 2007 ×


最後にふさわしい、話かと。
いや、長かったけれども疲れずに読み通せたし、怪異もまた大仰過ぎず、かつ不足なく書かれていて、実に楽しめた。
途中、やや矛盾を感じた箇所があり、
--
火が消えるまでは絶対部屋に入らない事。
--
なので、火が消えてから部屋を覗いたのに、怪異に遭遇してしまうという箇所が気になりはしたのだが、怪異というものが杓子定規に起きるものじゃないよな、と彼女の不運として妙に納得しました。
もうね、とにかく凄いの一言です。
最後の最後で語られない因果、これはもう頭の中ぐるぐるですよ。
その家計の女性が守り続ける因習、そしてそれを一度の過ちで守ることが出来なかった事で、強制的にそれを守らなければいけないとした生き証人というか何と言うか。
全てがうまく処理されているように思えます。
それにして、こんな話を採取できた著者さんには羨ましいやら、最後まで取っていたやらしさやらwww

名前: cross2M ¦ 11:17, Tuesday, May 29, 2007 ×


   -4   0  +4
文章;■■■■■■■■■(+4)…a
構成;■■■■■■■■■(+4)…b
怪異;■■■■■■■■■(+4)…c
恐怖;■■■■■■■■■(+4)…d
嗜好;■■■■■■■■■(+4)…e
※(a+b+c+d+e)/5…総合点(小数点以下第1位四捨五入)

 ただ「素晴らしい」の一言に尽きる。
 超-1/2007の締め括りに相応しい珠玉の怪異。

名前: 空 ¦ 12:46, Wednesday, May 30, 2007 ×


フィナーレを飾るに相応しい大作である。最後の最後でこういうどんでん返しが来るところが、オールカマー形式の面白いところである。
長さも、文章の巧みさで全く気にならない。
物語全体を包む静謐な重々しさが、儀礼にまつわる異常性をより引き立たせている。
非の打ち所がない作品である。降参である。

名前: GPZ ¦ 00:36, Thursday, May 31, 2007 ×


前にも書いた事がありますが
「ホラーはお話を練るもの、怪談はそれを語り継いでいくもの」
という金言を頂いた僕にとってこのお話はまさに「語り継ぐもの」の範疇に入れるべきものなのでしょう。
日本的なウェットさ。見えそうで見えない背景。見たものが因果を受け継がなければいけないという呪われた連鎖。
ここには単語や熟語の選択は見られますが、オチや捻りを要求されるホラー的なつくりの怪談と一線を画して、ストレートに語り継げる怖さを放っていると言えます。
それをここまで再現してくれた作者様の筆力には脱帽。ねっとり、じっとりとした正統派怪談のテイストが全編から伝わってまいりました。
小手先の技巧に走らぬ良作の発表、まことに感謝いたします。

名前: 矢内 倫吾 ¦ 07:37, Thursday, May 31, 2007 ×


呪い因果系のお話はやはり重たいものがありますね。
咲子さんの家系が背負う因縁が恐ろしい。こういうものをを断ち切る術は、きっとあるのでしょうが、まだそれに気づかれていないのでしょう。何が起こったのかおおよその予想だけはつきますが、いずれそのような悪因縁が断ち切られる日が来るとよいですね。
文章技術評価1 体験談希少度評価2

名前: ナメコ ¦ 15:17, Thursday, May 31, 2007 ×


自分の家で毎年行っている事が他人と違う。それを当たり前だと思いその家の者達が代々受け継いでいく。
このような事は本人も気が付いていないだけであちらこちらにあるのかもしれませんよね。

咲子さんの家に伝わる牡丹の一式と着物の女性との因果…色々謎なんですが、聞かない方がいいと言われると聞けないですよね。

名前: フジ ¦ 23:24, Thursday, May 31, 2007 ×


なんとまあ、よくぞトリを飾ってくれましたと言いたくなるほどの秀作です。
日本の因習に深く根ざした負の怪異譚。こういうのを堪能できるところに、この国に生まれてよかった!との思いが(笑)。

かなりの因果が隠されているのが窺えて、咲子さんが犠牲になってしまったのも、ある意味必然だったのかもと思われました。つまり、何世代かにひとりかふたりは、こうして因習を破って怪異の主と同じ傷を、障害という形で負わされるのではないかと。そうして、決して犠牲になった者の無念を忘れるなと刻印しているのではないかと考えさせられましたよ。

いや、それにしても、大ネタとそれを最大限に生かす力量をもった筆者との出会いは嬉しいかぎり。咲子さんも、一族の秘密を打ち明けたかいがあったというものです。

名前: こころママ ¦ 23:32, Thursday, May 31, 2007 ×



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