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「嫌な思い出ですね」
久野さんが、まだ小学生だった頃の話。

ある年の夏休み、彼は父方の実家に出向いた。
そこは当時、とんでもなく『ド田舎』の部類に入る場所で、電気は辛うじて通っていたが、ガスも水道もないという、とてつもなくレトロな場所。
手押しポンプの井戸水、食事の材料は裏の畑、煮炊きは竈に薪、ドラム缶風呂。
都会育ちの彼には、毎日が仰天の連続だった。
叢で昆虫を直に捕まえたり、用水路でザリガニ釣りを楽しんだりと、一人でも刺激に事欠かない。
訪れてくる親類と酒盛りばかりしている父を尻目に、ともかく彼は遊びまわった。
購入した虫カゴは数々の昆虫で一杯になり、バケツは淡水の小動物で溢れ返った。
「そんなもの、どこが珍しいんだあ?」
真っ黒に日焼けした顔で喜ぶ孫の顔を、祖父は目を細めて笑ったという。

だが、そんな祖父から「あそこには近付いちゃいけねえ」と釘を刺された場所があった。
実家の前を通る砂利道を、さらにずっと奥に入った裏山の森である。
「なぜ?」と理由を聞くと、マムシが出るからだという。
「噛まれたら大変だからな」
ところが、当時の彼はマムシを毒蛇だと認識していなかった。むしろ最後の「ムシ」というくだりを真に受けて、珍しい昆虫なのではないかと思ったのである。
裏山の存在は、幼い久野さんの好奇心を物凄く駆り立てた。
ふと見れば今日も親類の叔父達が地酒を片手に訪れ、いつもの酒盛りが始まっている。
彼は大人達の目を盗んで、網と虫カゴを手にすると、こっそり裏山への道を登っていった。

山道に少し入り込むと、驚きの連続だった。
都会で高価に取引きされているキリギリスや、それまで図鑑でしか見たことのなかったミヤマクワガタまでがいる。
子供にとって、この裏山の森は、まさに宝庫だった。
あっという間に三匹ほど捕獲すると、彼はもっと奥へと入り込んで行った。
ふと気付くと、古びた鳥居と石段がある。
神社のようだった。石段のずっと上にお社らしきものが見える。久野さんはそこに興味を持った。鳥居の手前の石灯籠には古びたロープが張ってあったのだが、彼はそこをくぐって神社の石段を登り始めた。

段を上りきると、そこには茅葺き屋根の拝殿が佇んでいる。
それほど大きなものではない
ただそれは、鬱蒼とした木立の中で一種独特なムードを醸し出していた。
油蝉だけが、耳障りなくらいにミンミンと鳴き声を張り上げる。
久野さんは、そっと拝殿に近付いてみた。
そこは、あまり人の手が入っている場所ではないのか、軒下のあちこちに蜘蛛が巣を張り、壁面には無数の蝉の抜け殻がしがみついている。
ひび割れた賽銭箱と、色褪せた鈴緒。ぼろぼろになって読み取れない千社札。
とりあえず手を合わせてみた。
しかし、こんな場所の事は何も聞いていなかった。子供だから興味など持たないかと思ったのだろうか?
ふっとその視線が近くの杉の木を見上げた時、久野さんは硬直した。
茶色の大きな犬が宙に浮いている。
四肢をだらりと下げ、まるで首を吊ったような状態で。
いや。
それは三メートル近くある、かなり高い場所の木の枝に突き刺さっていた。
まるで、百舌の早贄のように。
心臓が早鐘のように鳴った。

『何?』

濁った目をして死んでいる犬が、そのまま飛び掛って来そうな錯覚を覚える。
よく見ると、その隣の杉の木にも、やはり犬らしきものの白骨がふたつ、ぶらんとぶら下がっているのが見えた。

『ここにいてはいけない!』

咄嗟にそう思った久野さんは、慌てて石段を下り、裏山から走って逃げた。
木立の中に見覚えのある風景が広がり、縁側の障子を全開にして酒盛りをしている大人たちを目にして、彼はやっとひと心地付けた。
だが、言いつけを破って裏山に行ったとは口にする事が出来ず、あの神社の事はとうとう誰にも聞けなかった。

その後数年して中学生になった彼が再び田舎を訪れると、町村合併による地区開発という理由で、祖父の家は里の方へと引っ越していた。
近くには立派なバイパス道路が開通。
あの裏山は削られて、きれいに無くなっていた。

「人間の手によるものだとは思うんですが、目的がね」
木に突き刺さっていた『贄』に、どういう意味が含まれていたのかは、今だに分からぬままだという。







08:38, Friday, May 18, 2007 ¦ 固定リンク ¦ 講評(17) ¦ 講評を書く ¦ トラックバック(4) ¦ 携帯

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■講評

東京伝説系ですかね。
確かに嫌な思い出でしょうが、心霊系ではないようですし。
時間も経っていますから、再取材は出来ないものでしょうか。
素材:0 文章:0

名前: 夢屋 陣 ¦ 10:28, Friday, May 18, 2007 ×


人の手によるものだとしたらちょっと違う気がする。
だとしたらむしろ投げっぱなしにした方がよかった気もしてしまう。
怖いといえば怖いのだが、ここで求めているものとは違う気がしてしまう。

名前: 黒ムク ¦ 13:02, Friday, May 18, 2007 ×


不気味な雰囲気が漂っている。読ませる。
ただこれは読んだ感じでは、どちらかといえば超自然的なモノよりも狂気のなせるわざのようなので、ジャンルが少しずれていると思う。

名前: くりちゃん ¦ 15:51, Friday, May 18, 2007 ×


個人的に好きです。かなり怖いです。
多少ジャンル違いかなあという気もしますが。

あと、漢字が多くて読みづらいです・・・


名前: 梶ゆういち ¦ 00:04, Saturday, May 19, 2007 ×


内容:0 文章:0

怖いです。
でも残念です。
これは東京伝説向けの話だと思います。
背景など細かく描写されてて、雰囲気はあるんですが。

名前: ダウン ¦ 21:33, Saturday, May 19, 2007 ×


なかなか怖い話ではあるが、「怪異」と言えるものは何一つ起きていない。

名前: ナルミ ¦ 00:31, Sunday, May 20, 2007 ×


   -4   0  +4
文章;■■■■■□□□□(±0)…a
構成;■■■■■□□□□(±0)…b
怪異;■□□□□□□□□(-4)…c
恐怖;■□□□□□□□□(-4)…d
嗜好;■■■■■□□□□(±0)…e
※(a+b+c+d+e)/5…総合点(小数点以下第1位四捨五入)

 この作品に描かれている恐怖は、少なくとも私が理解している実話怪談のそれではない。

名前: 空 ¦ 12:33, Sunday, May 20, 2007 ×


死んだ犬が本当に宙に浮いていたら、すごいと思いますが、枝に突き刺さっていたわけですね。枝にどのように刺さっていたのかが(たとえば、お尻から口まで貫通しているとか)詳しく書かれてあると、またそこに犬の死体がある意味が推理できたと思います。
体験としてはとてもインパクトがありますね。文章技術評価0 体験談希少度評価1

名前: ナメコ ¦ 13:50, Sunday, May 20, 2007 ×


ネタの投稿先が間違ってます。
不気味ではあるが、まったくもって怪異ではありません。
最後に近づくにつれ、怪異でない話が増えてるのは気のせいかなorz
文はうまいので、それだけ加点します。

名前: cross2M ¦ 02:52, Monday, May 21, 2007 ×


寂れた神社の雰囲気がありありと頭に浮かんでいるところに、犬の描写がドンッときました。ぞくぞくさせていただきました。

日常でお目にかかることはないと思われる異常な光景であることは認めます。見たくないし怖い。
ただ、久野さんもおっしゃるように「人間の手によるもの」だとすると、「怖い」の意味が怪談を読んだ感想とは違うものになっちゃいます。
大きな妖怪による早贄だったら…なんて考えるとおっそろしいお話ではあるのですが。

名前: 13 ¦ 22:54, Monday, May 21, 2007 ×


前半で示される、理想郷のようなのどかな田舎の場面からもう引き込まれてしまいました。夏の日差しに彩られる風景の色や、空気のニオイなんかがそこにあるかのように感じられて。そう、この作品は、情景が目に浮かぶだけでなく、匂いや空気の感触といったものまでリアルに追体験できるところが秀逸ですよね。読み進めることに非常に快感を覚えるといいいますか(ああ、読むのが嬉しいぞこんちくしょうもっと長文いってくれー、とつい一人ごちてしまう自分がいます)。
そんな筆力で描かれる神社での凄惨な光景ときたら。甘美な夏の情景が一転、しんと静まり返る神域のなかにぶらさがる串刺し犬!禍々しさいっぱいではないですか。読んでいるこちら側も、周囲の空気に押しつぶされそうな息苦しさを感じてしまいました。
私は、神事には門外漢なので、もしかしたら見当違いかもしれませんが、大昔には人間だの大型の獣などの生命を生贄にはしていたものの、時代があたらしくなるにつれて人形などの代替品を用意し、殺生をすることがなくなったと聞きます。それが、この現代においても連綿と犬の生贄が続いている。一体どういうパワーをもった荒ぶる神様を祀る神社なのでしょうか。そこが恐ろしい。
そしてさらに、時代の波に逆らえないまま、バイパス道路につぶされてしまうとは…、そんな神様のいるところを切り崩してしまって、この土地には一体何が残ってしまうのでしょうか。そこに大きな不安を覚えます。

確かに、怪異はないですね。でも、この身に染むような恐怖は長く記憶に残る話かと。若干、筆者さんのテクニックに助けられている部分もありますが。

名前: こころママ ¦ 12:23, Thursday, May 24, 2007 ×


はじめの田舎の描写はのどかで良いのだが長すぎる。
読んでいてしばらくで
「だから何?」
と思えた。
こんな良いところの裏ではこんな恐ろしい事が!と読者に思わせるのにある程度は必要だとは思うが。
無残な犬の姿には驚くだろうが、怪異らしい事は起こってない。
題名にもある様に、生贄は人間が神に捧げるものだ。
怪異ではない。

名前: コウ ¦ 01:33, Friday, May 25, 2007 ×


さて、この作品の中では直接の怪異が起こっていません。
ゆえに、作者側からの大胆な挑戦が見え隠れしているようです。僕は「呪詛だ!」とすぐにピンと来ました。いくら何でも悪魔教じゃあるまいし、神さまに直接生け贄を差し出している事なんか「ありえない」のではないかと。
するとここから導き出せる答えは、その神社自体が、「呪詛に使用される不浄な場所」
であるという事になります。
つまり、書き手側は、このお話の中に内在する怪異の匂いを嗅ぎ取れるかを大胆にも呈示してきた事になります。
その含まれた意味を知る事によって、やさしい祖父や陽気な叔父達がひょっとして「呪詛を行っているのでは」という恐怖を味わえる仕組みなのです。読み手の読解力を試すような怪談であり、故に答えを導き出せた方々が高得点をつけている意味で作者のもくろみは成功していると言えるでしょう。
しかし、後味の悪い話ではあります。

名前: 矢内 倫吾 ¦ 23:50, Friday, May 25, 2007 ×


素材・0 文章・0
この話を実話『怪談』としてしまうなら、人為的な恐怖も怪談として認めなくてはならなくなる。
良い話だが、冷静に判断したい。

名前: つくね乱蔵 ¦ 03:55, Sunday, May 27, 2007 ×


言葉使いが的確でない箇所やアブラゼミがミンミンとうるさいとか、気になる。面白そうな話だったけど、なじめなかった。

名前: ペペ ¦ 14:11, Sunday, May 27, 2007 ×


呪術ものの序章のようでもあり、猟奇殺人ものの序章のようでもありますね。
ただ古い話なようなので、その後の展開がやや限定されたのが残念です。
これから何か恐ろしい事が起きるのでは?という予兆を感じさせる作品だったら良かったのですが。

名前: 藪蔵人 ¦ 20:23, Sunday, May 27, 2007 ×


禁域に踏み込んでしまった話、と解釈した。どことなく、伝奇物語の冒頭部のような印象を受ける。
というのも、犬がモズの早贄のように刺さっているという事実が提示されているのみで、怪異と「疑わしき」という段階で止まってしまっているためである。
ここから話が発展しない以上、あとは読み手の想像次第でどうとでもなってしまう。文章が巧みなだけに勿体ないように思う。

名前: GPZ ¦ 02:16, Wednesday, May 30, 2007 ×



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