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「何でこんなことに…」 高村は机に額を擦り付け、うめくように言った。 僕は言葉のすべてを失っていた。それはどうしても導き出してはならない答えであり、解いてはいけない問題であるかのように、僕の脳は考えることすら拒絶していた。 どれくらいの時間が過ぎたのか、高村は首を項垂れたまま人形のように椅子に座ったままだった。僕は少し吐き気を感じながら椅子からゆっくり立ち上がると、高村の肩にそっと手を置いた。と、その時、微かではあったが何か囁くような声を聞いた気がした。その声は高村の声ではなかったが高村の口から聞こえてきた気がした…いや、間違いなく高村が言った言葉だった。その言葉はたしか、「イチニ…カワル…」。…まさか!?…。僕は全身の血の気がひいていく感覚の中で、頭の中をよぎるその答えを必死で打ち消そうとしていた。 高村は眠りから目覚めたかのように突然立ち上がると、一瞬僕の顔を見てから部屋を出て行ってしまった。その一瞬の間、僕を見た目は──僕はその目に全身が凍りつき、襲ってくる恐怖感にしばらく息を止めて耐えていた。
これは、僕が社会人になって5年目の春に社内で出会った男の話です。 男の名前は高村一彦(仮名)。高村は有名理系大学を卒業後、僕が勤務していた某一部上場会社に一年遅れて入社をしてきました。 高村は高校・大学と野球部にいたせいか絵に描いたような体育会系の男で、短髪と伸びた背筋にデカイ声の三拍子に、賢さとシャイな性格も加わったいかにも好青年ですといった世間ウケするタイプの男でした。 会社の上の連中からの評判も断トツでした。僕と同じ営業グループで仕事をしていた頃、高村の仕事ぶりは期待以上の成績と評判を残し、上司たちからも“先生、神様”と呼ばれるほどの、いわゆる一目置かれるエリート社員でした。 高村と僕との関係は会社での同僚というだけでそれ以上の付き合いは特にありませんでした。もともと酒が苦手な好感度No.1のエリートと、宴会好きで頭も顔も月並み程度の僕では、腹を割る付き合い方が基本的に違うのだろうと思っていましたし、次元の違う相手と無理に深く付き合う必要性も興味もまったくありませんでした。ただ通じる部分が何一つない相手だとしても、高村自身は決して嫌いなタイプの人間というわけではありませんでした。 ある日、仕事の忙しい最中に珍しく高村から話があると言われ、真剣なその表情に少し緊張していると 「実は結婚することになったのですが、突然ですけど式でのスピーチを是非ともお願いします。会社で僕のこと知っているのは林田さんくらいなものですから…」 と突然に言われ、断る間もなく了解をさせられてしまいました。まさか殆ど彼のことは何も知らないこの僕が、彼の結婚式でスピーチをするはめになろうとは…。 この緊急事態に結婚相手の良美さんと三人で食事をする絶好のネタ調達の機会を設けてくれたのは高村本人でした。 色白で美人の良美さんはよく笑いよくしゃべる明るい女性で、幼馴染みの高村とは既に気心を知り尽くした夫婦かのように見えました。会社での高村からすると、およそらしからぬ弱々しい姿がそこにありました。異常に照れながら噴き出す汗を彼女にハンカチで拭いてもらいつつ、彼女との馴れ初めや思い出話をシドロモドロに僕に語ってくれました。 高村と良美さんの結婚式は盛大な雰囲気の中で幕を閉じ、幸せ絶頂の二人は式の後エジプトに新婚旅行に出掛けて行きました。 順風満帆な高村の人生を羨む声は披露宴会場の至るところから聞こえてきました。からかい半分の妬みやら皮肉やらの声も飛び交っていましたが、そんな中で気のせいか、少し言い過ぎじゃないかと思うような言葉が…トーンの違った声がどこからか僕の耳に聞こえていました。でもすぐにそれは他の音にかき消され、僕も忘れてしまいました。
結婚式を境に高村とは仕事以外のいろいろな話をするようになりました。それまで知らずにいた高村の“バイク通”なことや上司の愚痴や女の趣味に至るまで、まるで親友かのようにお互いのことを語り合うまでの関係になっていました。 高村が業務命令により異動が決まったのは彼の結婚後1年ほどしてからのことでした。新しい職場は工場の設計部門で、今までの職場からはかなり離れた所にありました。勿論上司から将来的に有望視されている高村に必要な経験を積ませる目的での栄転異動でした。 僕もやはり将来が約束されたかのような高村の人生を羨みながら、結婚式以来再び彼の送別会の席で祝福のエールを贈りました。いずれまた一緒に仕事ができることを願いながら…。
「高村が会社を辞める…なんで?」噂を聞き思わずそう呟いた僕は、何か彼の身に起きたのではないかと感じていました。高村が職場を異動してから2年が過ぎ、人伝には責任ある仕事を任され日々勤しんでいることは時々耳にしていました。ところがある時期から人が変わったように暗くなったとの噂を聞くようになり、彼らしくない評判に何か嫌な予感を感じていました。
設計部の部屋の出入口に立っている僕の姿に高村はすぐに気付きました。僕の笑顔に応えて小声で返事をしてくれたのか、口が動いていたのがちらっと見えました。高村は周りを見渡したあと、部屋の奥にある会議室の方を指差して僕に合図を送ると、椅子に座り直してまた下を向いて仕事を始めたようでした。 会議室に向かって歩きながら、久しぶりに見る高村の表情に僕は驚いていました。少し遠目でしたが、僕が記憶している賢く元気で爽やかなイメージとはかけ離れて、ひどく疲れたような生気のない顔をしていました。そう、一瞬死人かと思えるような無表情な顔は、まったく別人であるかのように見えました。
会議室には大きな四角テーブルが一つ置いてあり、テーブルの周りには椅子が10脚ほど並べてありました。 時間は就業時間を過ぎ、既に6時を回っていました。省エネ運動の一環で就業時間外の照明はなるべく消してしまうのですが、その時期の6時はまだ外も明るく、会議室の部屋も薄暗い程度でした。ただ窓を閉めきっていたせいか部屋の空気は妙に背中に重く感じられました。
遅れて部屋に入ってきた高村は僕の真向かいに力なく座ると、項垂れた頭をゆっくりともち上げ僕に話かけてきました。
『結婚式のスピーチ…あの時はありがとうございました。林田さんには随分お世話になりました。覚えてます?あの時は楽しかったなぁ…』
僕は高村の思い出話に共感しながら職場での近況を話したあと、仲睦まじかった良美さんとの結婚生活について尋ねてみると、途端に高村の態度は一変し、何かに脅えるように震えながら話だしました。
『良美とはもぅ…。以前の良美じゃなくなったんです…。正明が…正明は僕の親友でした。僕がバイクを手に入れた時にも二人でしょっちゅう走りに行ってたし、自分のことよりも正明を優先したことだって何度もあったんです…』
僕は何の話を高村が始めたのか分かりませんでした。しかし何か僕に相談したいのだろうと思い黙って聞くことにしました。 高村は少し興奮していましたが、自ら気持ちを落ち着かせるように煙草に火を点けてからまた話出しました。
『正明は僕と良美が二人でいるところを見ては羨ましがっていた。正明にも彼女はいましたが、彼女は訳あって実家の岩手に帰ってしまい、離ればなれになっていました。それでも正明は彼女との付き合いを辞めることなく、愛を貫き通すとか言って週末は欠かさず彼女に会いに岩手までバイクを走らせていました。そして僕と良美が結婚して1年半が過ぎた頃、正明から「彼女と結婚する。東京で式を挙げてマンション買って一緒に暮らす。」って連絡がありました。週末にまた岩手まで行き連れて帰る予定とのことで、嬉しそうに息弾ませながら電話で言ってました。でも…それが…正明の声は、それが最後でした。』
僕は高村の話を黙って聞いていました。高村は時々眉間にシワを寄せ、少し苦しそうな表情をすると急に我に返ったようなしぐさを繰り返しながら話を続けました。
『正明は、彼女の待つ岩手に向かう途中の高速道路で、あっけなく死んでしまいました…飛ばし過ぎで…停車してたトラックにブレーキもかけないで…。僕は正明が死んだとはとても思えなくて…今もまだ、思えないんです。実は、正明は…』
その時高村の血の滲んだような目は、僕の魂を吸い取るかのように大きく見開かれ、何かを訴えようとしていることが分かりました。
『葬儀の日から僕の夢に現れるんです…毎日、毎日。場所はどこだか分からない。高い所から僕に手招きして、僕をどこかに連れていこうとしている。僕は行きたくない、行ったら死んでしまう…正明に、殺されてしまう。───とても耐えられなくて、僕は良美に打ち明けた。良美は驚いていたけど、僕の話を聞いてくれた。とにかく一度霊媒師にみてもらおうと良美に言われて…気分は少し落ち着きました。…半信半疑でしたが、霊媒師の言う通りにしました。正明の霊を慰めるために事故現場まで車で行くことに…現場まであと3〜4キロのところまで近付いた時、霊媒師は高速道路を降りろと急に言い出して…汗だらけで、息を荒げた霊媒師のその顔は恐ろしいほどの形相でした。高速道路を降りて一般道を走り、ちょうど正明が事故を起こした高速道路の下あたりで車を停めました。霊媒師は道のわきにある一本の杉の木を指差すと「あの木にいます…。」と静かに言いました。この世をさ迷う霊は樹木に宿る…そう言ってました。車を降りて“正明の木”に供養の儀式を1時間ほど行い ました。夢の中で、正明は僕に何を言いたかったのか、どうして欲しかったのか、それは分かりませんでしたけど、これからはもう現れることがないのなら思い残すことも無くなったんだろうって、そう願っていました。でも、違っていました。正明は、あいつはまた現れて、夢の中で泣きながら僕をじっと見つめていました。…あの時、あの霊媒師が別れ際に僕に言っていたこと──「まだ夢に現れるようならもう一度だけ私のところへ来て下さい。」って…ふざけやがって。僕はもう信じなかったし、正明の夢は僕の意識の中で僕自身に見せているんだから、僕が気にしなければいずれは見なくなる時がくるんだって…そう思うことにしました。しばらくしてその通り、正明は夢に現れなくなりました。…ただ、最後に見た夢の中の正明は、ずっと背を向けたままで、顔が見えなかったんです…。その翌日からは何か夢を見たのか、朝起きると何も思い出せないんです…きっと熟睡できるようになったんだろうと思いますが…』
高村はようやく安堵の表情に戻りつつあるように思いました。 親友だった正明という男が事故で亡くなり、霊となって夢に現れたと信じている高村の姿がいたたまれなく、僕の目からは不敏でなりませんでした。また、病的なまでに高村を追い詰めた霊媒師に対しても怒りを感じぜずにはいれませんでした。 僕が高村に話しかけようとした時でした。たしか以前、高村は煙草は吸っていなかったはず…吸うようになったんだ。と、どうでもいいことが頭をよぎった時、高村がまた話始めました。
『正明のことはもう大丈夫だろうと思った頃、良美の態度が急に変化しだしたのに気付きました。なぜなのか…これまで愚痴一つ溢さなかった良美は、僕の行動やしぐさの一つ一つに文句を言いはじめた。接する態度はまるで汚いものでも扱うかのように、嫌悪感をあからさまに示しながら、耳を疑いたくなるような汚い言葉で罵しるようになりました。その頃、良美は妊娠6ヶ月目に入っていました。僕は勝手な解釈で、不安定な精神状態とストレスからくる独特なイライラだろうと思っていました。ところが日に日にエスカレートする良美の態度につい我慢できず怒鳴り返してしまったことがありました。その時の良美はまったくの別人に豹変し、まるで狂人のように喚き叫びながら家の中のものを壊しまくり、僕の衣服はハサミでボロボロに引き裂かれて…いったい良美はどうなってしまったのかと、僕にはまったく理解ができなくて…』
僕は高村の話をどう受け止めようか迷っていました。それは高村の表情や態度が、少し過労か睡眠不足で体調が良くない程度ではなく、何か精神的な病に侵され妄想しているのではと思えるような異常さがあるように思ったからでした。しかも、高村が言っていた良美さんの豹変した様子は、僕には到底想像すらできないほど滑稽で、とても真実とは思えない話でした。 そんな僕に高村の話は更に続きました。
『良美がおかしくなって少したった頃、僕が仕事から帰ると彼女の母親が居間に座っていました。小さい時から良美の母親とは顔見知りで、僕を息子のようにかわいがってくれた人でした。僕は良美のことを相談するチャンスと思いました。当然、僕に対して同情してくれるものと思い話をはじめようとした時でした。「あんた、家のことを身重の良美に全部押し付けて好き勝手にやっているみたいね。電球の交換もゴミ捨てもしない、家を空けて外で遊びまわっているなんて最低の男ね…こんなダメな男見たことないわ。」といきなり言われ、言葉を失ってしまいました。おそらく良美から一方的に聞かされた根も葉もない話で誤解をしているんだろうと思いましたが、理解してもらおうとすればするほど良美の母親は怒りを露にし、まったく話になりませんでした。僕はやり場のない怒りと悔しさを抑えるのに体が震え、あと一言何か言われたら手が出そうなわけが分からない状態になったそのとき、目が…彼女の母親の目が良美と同じ目をしていることに気付きました。…ムダなんだと分かり ました。良美に対しても、何をやってもムダなんです…何をやっても…。それから僕に対する良美たちからのイジメのような仕打ちは家の中だけに留まらなくなりました。ある日仕事中に僕は上司に呼び出され、一通の手紙を見せられました。手紙の送り主は彼女の母親からで、内容は僕に対する侮辱と否定の文字しか書かれておらず、文章の終わりには僕を“クビにした方が会社のため”とまで書かれていました。さすがにこの異常な内容の手紙は最初は上司もまともに取り合うことはしませんでしたけど、これが3通、4通と届くと無視はできないでしょうから…。あれからみんなの目つきは、僕を異常者のように見て…、みんな噂しながら、僕を馬鹿にして…』 『そんなことはないよ、高村。おまえ少し考え過ぎだよ…だいたいおまえみたいに恵まれたヤツは少しばかり妬まれたって…』
思わず僕の口から出た言葉で、僕自身がふとあることに気がつきました。 高村は僕の言葉に反応したのかどうか分かりませんでしたが、頭を項垂れたままゆっくりと口を開きました。
『僕は、異常者じゃない…。僕が良美のことで、どうしていいか分からずにいたとき、あの…霊媒師から電話がありました。僕は言いました…あんたに正明のことを頼んでからろくなことがないと。霊媒師は僕に、「なぜ夢にまた現れたとき来なかったのか…」って。…信じられなかった…あの霊媒師、信じられなくて…。僕の、良美のお腹の子供は…正明の…生まれ変わりだって…。正明は、この世にまた生まれ出て…彼女に会いに行こうとしているって…どうして…。だとしたら正明は、なんで僕の子供を選んだのか…僕を羨んで、妬んで、僕だけがそんなに幸せそうに見えたからなのか…だってアイツいつも「イチは小さいときから親だの先生だの周りから期待され過ぎちゃってかわいそう。」って言って、僕の本心を誰よりも分かってくれてた…僕は冗談じゃないと思い、そんなことあるわけがないと思いました…。それから、その後良美は母親が実家に連れて帰りましたが、生まれてくる子供は絶対に渡すつもりありませんでした。でも…離婚調停で親権が良美側と決まってしまって…。 その後しばらくして一度だけ子供を抱くことができました。ただその時…笑っていたのに、子供は急に真顔で僕を、僕の目を見つめて……あれは…あの目は、確かに、正明の目。そう…あの子は、正明の…こんなこと…まさか…』
そう言って高村は黙ってしまいました。
僕は錯乱していました。そして頭の中で、有り得ないのですが、もし霊の存在があるとすれば…を考えていました。
見回り係の社員に声をかけられるまで僕は暗いこの会議室でたたずんでいました。
高村は、あの後会社を自己都合で辞めました。今は何をしているのか分かりませんが、誰かと結婚したとの噂は耳にしました。僕もまた、会社を辞めてしまい今は就職活動中です。
あの時、部屋から出て行く時の高村の、いや高村ではないあの目は、正明という男の目だったのかは僕には分かりません。あえて確認したいとも思っていません。ただ、もしかしたら高村自身が気が付いていない、僕の思い過ごしなら、それはそれでいいと思っていたこと─────霊媒師が言う「生まれ変わり」の転依の対象が高村の子供だとしたら、会えなかった彼女に会うためにはまだまだ時間が必要で、年の差もあまりにもあり過ぎる。また、良美さんとの家庭の崩壊も何か理由があるようで、実はなんなのか分からない。もし正明だとしたら…正明が望み願っていたものは何だったのか。もし高村への恨みや憎しみに近いような妬みがあったとしたら…期待、成功、信頼、愛情、名誉、安定、財産、将来、子孫…高村はあの時まで、確かにすべて持っていた。羨ましいくらいにすべてを…。 「イチに変わる」…高村が囁いた言葉。 イチは高村が正明から呼ばれていた愛称でした。 この言葉の意味は…分かりません。
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受信: 05:17, Sunday, May 27, 2007
■講評
素材・−2 文章・−2 おそらく、今回の超ー1に応募された中では最長の 作品になると思われる。 ところが、怪異の中心となるのは確証の無い転移のみ。 いや、それどころか怪異と呼べるものは何一つ発生して いないのでは無かろうか。 下手をすると、一発怪談としても成立する程度の怪異に、 これだけの労力をつぎ込んだ作者の努力だけは認める。 |
名前: つくね乱蔵 ¦ 09:49, Saturday, Apr 28, 2007 ×
最初の小説風文章はいるんだろうか? この口調で物語りは進むのかと思いきや、口調は変わり、 最後までそのまま…。なら最初から揃えていた方が良かったんじゃ…。 むしろ最初の文章はいらない気がします。
確かにこれは長いですね。 そしてただ単に不幸続きで精神を病んでしまった男の話としか受け取れず、 怪異は全く出てきていません。 ホラー小説でなら有り得た話かもしれませんが、 ここの色には合っていないと思います。 |
名前: S ¦ 12:55, Saturday, Apr 28, 2007 ×
不気味な雰囲気は感じられるが、「超」怖い話のベクトルとは方向の異なったジャンルの作品だと思う。
初めの段落が文字の団子になっていて最初からため息が出てくる。後も学術書のような文字の塊が続くのだが。 改行などで読みやすいようにして貰いたい。ディスプレイの左右が約30文字かな、それは解っているんだから読者に迎合しろとは言わないが、読みやすく工夫するのは大切なことだと思う。
「『葬儀の日から僕の夢に現れるんです…〜略」の段落は特に読みづらい。長い上に「…」が多用され、地の文と会話文が入り交じって、錯乱している様を表しているのかも知れないが、まどろっこしくなる。最後の独白の段落も。
「あの霊媒師が別れ際に僕に言っていたこと──「まだ夢に現れるようならもう一度だけ私のところへ来て下さい。」って…ふざけやがって。」 まだ現れる→インチキ霊媒師、と判断する根拠が脆弱だ。霊媒師は「まだ現れるかも知れない」とは説明しているようだが。
これほど入り組んだ作品ならば、短編で発表するよりも、もっと枝葉をつけ幾層にも伏線を設けて何々ホラー文学賞というようなところに出した方がいいのではないでしょうか。 |
名前: くりちゃん ¦ 18:08, Saturday, Apr 28, 2007 ×
>高村は高校・大学と〜(大幅に中略)〜関係になっていました。 ここは9割5分が不要な情報ですね。しっかり読んでしまいましたorz また、高村さんの様子も、聞き手である林田さんの考えも、ここまで書く必要はないと思います。
怪異だと思える部分を見出そうと努力しましたが、ほとんど見当たりません; 子供が正明さんの目をしていたという高村さんの言葉でかろうじて、でしょうか。あとは、霊媒師の言葉を信じてどうにか? 高村さん一家すべてに正明さんが憑いちゃってるような気も?どれも決定打に欠けるので、「?」をつけますがorz 怪異に(±0)、構成と文章に(−4)で; |
名前: 13 ¦ 18:43, Saturday, Apr 28, 2007 ×
どこかよその 怪談話のコーナーに投稿したら 良かったのに・・・ |
名前: ハッシー ¦ 20:49, Saturday, Apr 28, 2007 ×
スクロールバーの長さから、かなりの長編だということはわかったので心して読み始めた。 確かに、書き出しの雰囲気はなかなかいいものがあった。これは弩2風の話で、徐々にすごい怪異が起きてくるぞ、と期待して読んでいたのだが‥‥結局最後まで怪異らしい怪異は現れず仕舞い。見事に肩透かしをくらった。 一連の話を語るのにこれだけの長さが必要だというのはわかるのだが、題材自体は「超怖」向けではなかったと思う。 |
名前: ナルミ ¦ 01:32, Sunday, Apr 29, 2007 ×
内容:−2 文章:0
迫力があり、読み応えのある話でした。 生れ変りの話をしたかったようなのですが、実際にそうだったのか具体的な描写がありません。 高村さんのまわりに不気味な変化が徐々におき始め、最後にか期待していたのですが。 はやり、決定的な怪異が起きていないのが、致命傷でした。 |
名前: ダウン ¦ 07:38, Monday, Apr 30, 2007 ×
名前: 黒ムク ¦ 12:56, Tuesday, May 01, 2007 ×
何故これだけの長さが必要だったのか? 描写などに小説風の技法を用いなければならなかったのか? 肝であるはずの怪異を抽出していないだけでなく、これほど修飾しなければならなかったことに、読み手としては戸惑いを感じます。 素材:0 文章:−1 |
名前: 夢屋 陣 ¦ 14:46, Tuesday, May 01, 2007 ×
こと怪異を語るものとしては、力作=良作とは成り得ない格好の例だと思われます。 怪談を読む事を前提として読者が臨む以上、長さに疲れるだけで終わってはいないだろうか。 別の読者を対象としてであれば、面白かったのかもしれない。 ただ、私は後者ではなく前者の目でしか読めなかったため、果たして後者であったとしても正しい講評が出来るかは微妙です。 そもそも怪異が起こっていないのは致命的。 今までの作品で、怪異そのものは起こって無くても、十二分に怪談であると認識し、読める作品はありました。 ただそれは、今作品のように凝る事に凝っただけのものとは明らかに違います。 タイトルを見ても自身の筆圧に酔っているようにも感じます。 一度、怪異としての目線で再読される事をお勧めします。 ご自身は力作を書けたことでの満足感も、あると思いますが、怪談としては確実に失敗している事を認識して、その筆圧を別のベクトルへ向けて書いていただきたい。 ここまで濃い文章が書けるのであれば、方向性を間違えなければ、また酔わずに書くことが出来れば、読者を唸らせるものが書けるかも知れません。 内容−1 文章ー2 |
名前: cross2M ¦ 18:08, Saturday, May 05, 2007 ×
結論から先に書いてしまうと現行の「超」怖とはだいぶ趣旨の違った作品ではないかと思われます。 従って、掌編としての怪談を期待している読者側としてこのタッチは「苦」以外の何でもないだろなーという点があげられます。この意味では僕の評価の中でもマイナスです。 次に、そうではないという観点から読ませて頂ければ某ホラー大賞投稿作のような読み応えを感じるものがあります。「超」怖という殻を取り払ってショートの小説と言う立場なら、コレだけの長さを書いて破綻させる事なく纏め上げているところは、なかなか構成力というものを持った書き手さんなのではないかというところに気付きます。ここの点が僕のプラスポイントです。 以上でプラマイゼロ。 そして残りは、御大平山氏が述べている「そったく」。このタッチで向かってきた作者さまの意欲に。 もしも新著者や単著を目指すべきでしたら、そこには過去の「超」怖著者さまとも、現行の「超」怖著者さまとも違うよい意味での個性が必要になると思います。血脈を継ぎつつも、過去をなぞるだけの作品では先細りになってしまうと思うのが僕の結論です。 他の講評を読む限りですと惨敗の様子ですが、充分乗り越えるだけの度量を持つ方だとお見受けしますので、マイナス点を克服した次回作をぜひとも拝見したい次第です。よろしくお願いします。 |
名前: 矢内 倫吾 ¦ 11:25, Sunday, May 06, 2007 ×
長文でしたが、筋に破綻をきたすことなくラストまでちゃんと読めました。 後味の悪さや、謎は残りますが、ここの中に書かれていることは怪異だと私は思います。 実際に幽霊が飛び出てくるわけではありませんが、親友の死から嫁の変調、高村さんの人間性というか人生みたいなものがうまくリンクしています。何よりも深さと重たさが感じられます。サラッと読めたり面白い怪談もいいのでしょうが、このようにずっしりくる怪談も興味があります。文章技術評価1 体験談希少度評価2 |
名前: ナメコ ¦ 02:02, Tuesday, May 15, 2007 ×
-4 0 +4 文章;■■■■■□□□□(±0)…a 構成;■■■□□□□□□(-2)…b 怪異;■□□□□□□□□(-4)…c 恐怖;■□□□□□□□□(-4)…d 嗜好;■■■■■□□□□(±0)…e ※(a+b+c+d+e)/5…総合点(小数点以下第1位四捨五入)
内容に対してこれだけのボリュームの作品が書けるのもひとつの才能かと。 しかし、どうにも私自身が理解している実話怪談や恐怖とは少々色が異なる。 |
名前: 空 ¦ 12:57, Thursday, May 17, 2007 ×
不必要と思われる情報が多すぎる。事実は事実でも、細かく書く必要はないと思う。これだけ長いと行きついた怪異が大きくないと、いくら文章に問題がなくともマイナスです。 |
名前: ペペ ¦ 11:12, Friday, May 25, 2007 ×
一人の男が病んでゆく過程を克明に描いた文章としては、なかなか読ませますね。 が、しかし。 怪異が原因だとすると決定的につまらないのですよ。 超−1に応募ということは、著者の方は怪異として捉えているということだとは思うのですが。 |
名前: 藪蔵人 ¦ 23:11, Saturday, May 26, 2007 ×
怪奇小説を読んだ気分にはなったが、怪談を読んだという気はしなかった。 怪異に対して、あまりに描写が過剰に思えたからである。文章を書くことで満足してしまった感がある。 そもそも、表題である「転依」よりも、高村夫妻の崩壊と、高村の神経衰弱ぶりのほうが色濃くにじみ出てしまっている。正明が我が子に転依したという確証はどこにもなく、高村の思い込みという線も捨てきれない。高村夫人がおかしくなったのも怪異として片付けようとしているが、精神疾患でないとも言い切れない。文章に力が入りすぎている分、怪異がさらに弱く感じられる。 冒頭の箇所がどことリンクするのかも判り辛い。先に主体となる怪異を提示してみたものの、それを上手く回収できていないように見受けられる。 これが「短編ホラー小説コンテスト」だったらそれなりに評価はされるのだろうが……。作者の意気込みが空回りしてしまったように思えてならない。 |
名前: GPZ ¦ 03:37, Monday, May 28, 2007 ×
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