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午前2時10分
ここは、どこだろう…。
真っ赤な彼岸花が一面に咲き誇る場所。
海に面した断崖絶壁の上にあるらしい。気が付いたら彼岸花の中心に一人、ただボンヤリと立っていた。自分以外に誰もいない。
少しの音も無い。真っ赤な彼岸花の中心に一人、ただボンヤリと立っていた。
そこにあるのは無数に咲き誇る赤い花と、恐怖感だけだった。
足の先から徐々にこみ上げて来る正体不明の恐怖に、耐えられず声をあげそうになった瞬間、目が覚めた。

夢だった。

シンプルではあったが、やけに怖い夢だった。
目の前にはいつもの、見慣れた自分の部屋。すごく静かだ。
目線の先にある壁掛け時計を見る、深夜2時10分。

まだ2時ちょいか…。寝よう…。

もう一度寝直そうと瞼を閉じかけて気付いた。
なにか妙な違和感を感じる。
何だろう…。
まず、静かすぎる。深夜でも車通りの多い国道に面した場所に家は立っているのだが、それにも関わらず、車の音がまるで聞こえない。近くの車だけならまだしも、遠くの音も聞こえない。
不気味な静けさ。
部屋の空気もいつもと違うようだ。
体全体で辺りの様子を窺っていると、ふいにベッドの足下にあるドアの方から人の気配が感じられた。
敷いてある絨毯の上を裸足で擦っている様な音が聞こえてくる。

誰かいるのか?今日は誰も帰ってこないはずだから、家にいるのは今、俺一人のはず……。もう電車で帰ってこれる時間でも無いし……。

確かめてみようと体を起こしてみた。
……が、体は動いていない。

あれ?

頭の中では起き上がったつもりだったのだが、実際の体は1ミリも動いていない。目が覚めた時の体制のまま、横向きのまま。

あれ?これ、金縛りじゃないか?

そう思った時、正直少し楽しくなった。滅多に体験できる現象ではない。
この後どうなるんだ?
と、そんな事を考えてていると、ドアの前で擦り足をしていた人物が急に部屋の中で走り出した。

バタバタバタバタバタバタバタバタ……!!

目の前を全力疾走である。狭い部屋の中を何回も何回も、グルグルと往復している。
走っているのは、5歳位の子供に見える。
背は小さく、一生懸命手足を振っているのがはっきりわかる。
しかし、肝心の顔や格好が見えない。全身真っ黒な影に覆われているのである。
凄いな、こいつ…。
関心しながら観察を続けていると、ある不自然な事に気が付いた。
私が寝ているベッドの頭側は壁に密着しており、部屋の中をグルグルと往復しているのだから私の目の前でターンするはずなのだが、頭上の壁を突き抜けて少なくとも2〜3秒後にまた、戻って来るのである。
しかも、壁を突き抜けているであろう時にも絨毯の上を走る音が続いている。
確かめたい…頭上の壁が今、どうなっているのか。
だが困った事に体が動かない。唯一動くのは目玉だけ。どう頑張っても頭上の壁は見る事ができない。
そのうち体を動かせない事が非常にいらだたしく感じられ、黒い子供が走り回る足音を聞いていると、楽しい気分がだんだんと苛立ちに変わって来ていた。
依然として走り回る事を止めようとしない黒い子供への苛立ちが最高潮に達した時、私は思わず

「糞ガキ、コラ!!」

と威勢よく罵声を浴びせた。…はずだったが、面白い事に声が出ない。勝ち気な気持ちとは裏腹に、口から出たのはかすれた、か細い声だった。
黒い子供の動きに変化が現れたのはその時だった。
頭上の壁の向こうへ走って行ってから戻って来るまでの時間がこれまでより長い。

あれ?どうしたんだ?

考えていると、突然部屋の中の空気がはりつめ、全身に恐怖の電気が走った。
あ…なんかこれヤバイな…と思った瞬間、ダダダダダダダ……!!
頭上
の壁の中から黒い子供が凄い勢いで走り出し、ベッドの上の私の顔スレスレの位置まで迫って来た。
鼻先が触れ合う程に近付き、私の顔を覗きこんでいる。
約5秒位だっただろうか。
充分黒い子供の顔を観察できる時間はあった。が、しかし、鼻先スレスレまで近付いているにも関わらず、真っ黒な影に覆われており何も見えなかったのだ。
目も鼻も口も。
私は罵声を浴びせた事を後悔したが、黒い子供は覗きこんできただけで、何もせずにそのままドアの方へ走って行った。
そして、足音と気配は消えた。もちろんドアを開ける音は無い。
私は思いきって体を起こしてみた。今度はなんなく起き上がる事に成功した。
部屋の中には誰もいなかった。体中に汗をかいている。

何だったんだ、今のは…。

時計を見ると2時10分。さっき時計を見てから少なくとも5分は過ぎていると思っていたが、全く時間が経っていない。
気付けば、国道を走る車の音が聞こえる。 隣の家からは夫婦喧嘩の声も聞こえる。

良かった……人がいる。

気分が落ち着いてから家の中を見てまわったが、やはり誰も帰っていない様だった。
本当に不思議な出来事を経験してしまった。
夢だったのか、現実だったのか。それさえも区別がつかない。

その夜以降黒い子供は現ていない。








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受信: 18:30, Saturday, May 26, 2007

■講評

夢オチ、小説風の書き出し、体験者の恐怖感のうすさ、は長所にもなり短所にもなります。夢か現実か分からないと書いてある他、読み手としては怖さをそがれた感が強いです。
読み手が怖いと感じる点は何か、を意識して書いていくと良いかと。
長い作品でしたが一気に読んでしまい、描写も分かりやすく、うまい文章だな、と思いますが怖さが伝わってこなかったのは残念。
素材:+1 文章:0


名前: 夢屋 陣 ¦ 13:12, Thursday, Apr 19, 2007 ×


初めの彼岸花の場面は視覚的で美しい。アンダルシア地方のひまわりを彼岸花に置き換えて想像してみた。しかし柔らかい黄色と異なり、緊張感がある。
まん中辺りが少し冗長な感じがする。
「グルグルと往復している。」という表現は状態が混乱していないかな。
「グルグル」というと私には円を描く運動をしているように感ぜられる。往復というと直線的な動きで。
少年の動きは興味深い。結局何だったんでしょう。

名前: くりちゃん ¦ 13:23, Thursday, Apr 19, 2007 ×


素材・0 文章・1
作者の体験したことが手に取るように判る。
かなりの長文にも関わらず、楽に読めた。
文章力があるという事であろう。
ただ一つ残念なのは、全く怖くないという事だ。


名前: つくね乱蔵 ¦ 14:55, Thursday, Apr 19, 2007 ×


やや長すぎる気もするが、描写は的確で「何が起きたか」がはっりわかってよかった。
ただ、やはり問題は、体験者自身が「夢か現実かわからない」と書いていることだろう。この一言で一気に萎えた。

名前: ナルミ ¦ 02:46, Friday, Apr 20, 2007 ×


夢というキーワードを強く出しているせいか、怖さを感じなかった。体験者もとくに怖い!と思っている様子もないようだが・・・
書き出しの文章はその後に起こる怪異との関連性は薄い。必要であったか疑問を感じる。文章としてはよく出来ているとおもうが。
もっと短くしてもよかったのでは?
ただ、時計を見ると2時10分、時間があまtりたっていなかった点は、なるほどと思った。

名前: 黒ムク ¦ 12:23, Friday, Apr 20, 2007 ×


内容;1 文章:1

結構長いにもかかわらず、素晴らしい文章のおかげで一気に読めてしみました。
おこった怪異も珍しいし、迫力があります。
体験者がが信じられないくらい冷静なのが、少し気になりましたが。

名前: ダウン ¦ 10:06, Saturday, Apr 21, 2007 ×


最初の夢は、関係あるのかないのか…;
時間が進んでいないってことは、夢を境に異世界に移動してたとか?

「やっぱり怖かったんだな」と思える記述がところどころに現れても、ご本人にとってあまり怖い体験ではなかったように見えます。
大部分が冷静に客観的に書かれているからでしょうか。
ただ、ひたすら冷静なのに「糞ガキ、コラ!!」とキレるところは個人的にヒットですw

名前: 13 ¦ 22:42, Tuesday, Apr 24, 2007 ×


小ネタを昇華させてる話が連立している。
どうやったら、小ネタを上手く調理できるんだろう。
もっと修行を積まなくては!と思わせられるorz

独りよがりの無い克明さ。
今までの同様の手法を持って書かれた話の中で、一番それを体現できていると感じました。
この手のものはどうしても、独りよがりというか、読み手がないがしろというか、置いてけぼり食らわせられたまま終わることが多いのですが、これはまんま付いていって、話を楽しむことが出来た。
うん、羨ましいw
いかんせん、ネタが小粒さと出だしの関連性が見えないことで、怪異面での評価が低いの否めないかと。
最初の行が必要ではないと思われますし。
ただ、ネタによっては辛抱たまらんものがあがってくる可能性もあって、楽しみである。
内容0 文章+2

名前: cross2M ¦ 11:40, Thursday, Apr 26, 2007 ×


不思議な夢をみましたね。彼岸花の美しい情景が臨死体験と思い、綺麗な情景が浮かびました。走り回る男の子に雰囲気をかき乱され、美しいバランスが壊されたかのように思う。しかしこれは狙って書かれたのかな?
文章技術評価1 体験談希少度評価1

名前: ナメコ ¦ 18:07, Friday, May 04, 2007 ×


このお話も実話怪談と言うよりは、文芸性を追いかけたような技巧派の作品と呼べるのではないかと思います。
従って結論のくだりもそのような意味合いが強く現れているのかも。
ただ、現象そのものを見てみると、寝床のまわりをグルグル回っていて顔を覗き込むというオーソドックスなスタイルの金縛りであることは間違いなく、僕の範疇では話そのものが新鮮味を感じるものではないため、文章力とネタの釣り合いから判断する僕はこのお話にやや辛めな配点だなと自分でも思います。
どうか、作者さまの惹き付ける能力で、凄まじい怪異を惹き付けて見て下さい。
その作品を切に願う次第です。

名前: 矢内 倫吾 ¦ 02:22, Monday, May 07, 2007 ×


   -4   0  +4
文章;■■■■■□□□□(±0)…a
構成;■■■■■□□□□(±0)…b
怪異;■■■■■□□□□(±0)…c
恐怖;■■■■■□□□□(±0)…d
嗜好;■■■■■□□□□(±0)…e
※(a+b+c+d+e)/5…総合点(小数点以下第1位四捨五入)

 遭遇した怪異は特記するほど強烈な内容のものではないのだが、あったることを全てを克明に書き尽くすことでひとつの作品として完成しているように思う。
 しかしながら、個人的にはやはり怪異に対し作品のボリュームが大きすぎるというのが正直なところである。
 1から10まで書くことで、読み手が追体験し易くなることは承知のうえであるが、それにしてもこの作品の怪異は非常に脆弱に思える。このレベルで詳細な表記をなさる筆者の方の、強烈な怪異に纏わる作品を読んでみたいと思った。

名前: 空 ¦ 12:46, Wednesday, May 09, 2007 ×


文章はきちんと書かれている。夢の描写はうまいが、詳しく書く必要があったか?

名前: ペペ ¦ 12:28, Thursday, May 24, 2007 ×


出だしの夢の印象が強烈なので、印象操作が行われるのかと思ったのですが。
特にそういうこともなく、普通の金縛り体験でした。
金縛りという(この場では)ありふれた体験を克明に書くことにより、差別化している点は好感が持てます。
ただその場合、やはり冒頭の夢の場面は必要だったのだろうか、と。

名前: 藪蔵人 ¦ 14:33, Saturday, May 26, 2007 ×


作者が、最初のほうで怪異を楽しんでしまっているため、後に続く展開にも恐怖を感じなかった。金縛り+走り回る人影という、怪談としてはありふれたシチュエーションなだけに、なおのことその感想が強い。
冒頭の夢は一体何だったのだろう。音が消えることを暗示していた、ということなのだろうか。それを踏まえたとしても、余分に付け加えられた文、という印象は拭いきれない。

名前: GPZ ¦ 20:27, Thursday, May 31, 2007 ×



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