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ワンボックスカーにて
女優の美希さんが十代の頃、映画学校の卒業制作作品に出演した時の話。

地方の海岸での真冬のロケだった。
その日の撮影は深夜に及び、すでに午前一時を過ぎていた。
美希さんは寒さに凍えながらも気力で演じ切り、なんとかそのシーンの出番を終えた。
「美希ちゃん、おつかれ」
仲良しの、衣裳担当の京子さんがダウンジャケットを掛けてくれた。
「ありがと」
撮影は他の出演者のシーンに移り、三十分ほど待ち時間が出来たため京子さんと二人で海岸沿いの駐車場に止めてあるワンボックスカーで待機することにした。
車は撮影の邪魔にならないように撮影現場からは見えない離れた場所に止めてある。
真っ暗な中、スタッフの田中くんが懐中電灯の明かりを頼りに車まで送ってくれた。
美希さんが先に乗り込み、後に京子さんが続く。
「出番になったらまた呼びにきますね」
「はい、お願いします。ありがとうございました」
京子さんがスライド式のドアを閉める。
ふぅ。
暖房と車内灯を点け、ポットのコーヒーを飲み暖を取る。
寒さで痺れていた手足がじんじんと温まりだす。
朝からの撮影で疲れがピークに達していた二人は、ぐったりとシートにもたれかかった。
美希さんはそのまま眠ってしまっていたようで、気が付き時計を見るとすでに三十分ほど経っていた。
「もう時間だよね?」
「うん、そろそろだよ」
京子さんがコーヒーを入れてくれた。
「ありがとう。疲れたなぁー」
「あとちょっとだし頑張ろうね」
「うん」
京子さんはいつも励ましてくれる頼りになるお姉さんだ。
心まで温まり、よし頑張ろうという気持ちになった。
ふとフロントガラス越しに海を見ると、浜辺から海へと向かって歩いている人が見えた。
真っ暗なはずなのにその姿ははっきりと見える。
坊主頭の子供だった。
10歳ぐらいか。
こんな夜中に子供が一人でどうしたんだろう。
何かあったのだろうか。
服装はカーキ色の半ズボンに白のランニングシャツ一枚。
え!? 真冬にランニングシャツ?
「ウソ・・・ねぇ京子さん」
「ん? 何?」
すがるように京子さんを見る。と、その背後の窓越しに坊主頭の少年がいた。
窓に手をベッタリと張り付けて車内を覗き込んでいる。
ゾッと鳥肌が立った。
同じ子?
輪郭は面長で無表情、目は窪んでいるのだろうか真っ暗で見えない。
京子さんに伝えようとするが震えて口が動かない。
鼓動が激しくなる。
「どうしたの?」
声をふり絞る。
「後ろ見…ちゃ…ダ…メ」
異様な空気に、言い終わる前に京子さんは振り返ってしまった。
「・・・」
ぎゃぁーと叫び出す京子さんにつられてやっと美希さんも腹の底から声が出た。
二人で抱き合って叫んだ。
少年は車内をじっと覗き込んでいる。
次の瞬間、京子さんはわけの分からない言葉を叫びながら何を思ったか少年が覗き込んでいるドアを開けようとした。
ゾッとした。
「やめて!」
ドアを開けてしまうと取り返しがつかなくなってしまう、そんな気がして必死で京子さんにしがみついた。
「お願い、京子さんやめて」
京子さんは尚も開けようと、制止する美希さんの手を振りほどこうとする。
「京子さん、京子さん!」
怖くて泣き叫んだ。
そのときだ。
ガチャ。
突然ドアが外側から開けられた。
美希さんは心臓が止まるほど驚いた。
「もうだめだ」
怖ろしくて目を閉じた。
「・・・どうしたんですか?」
ハッとして目を開けるとそこに立っていたのはスタッフの田中くんだった。
慌てて少年の姿を探したが、もうどこにもいなかった。
京子さんも気が緩んだのか美希さんにもたれかかるように、ぐったりとしてしまった。
美希さんも京子さんも、息を整え冷静になるまでかなりの時間がかかった。








04:29, Monday, Apr 16, 2007 ¦ 固定リンク ¦ 講評(14) ¦ 講評を書く ¦ トラックバック(4) ¦ 携帯

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■講評

再現映像のような、上手い、怪談を拝見させていただきました。
ただ、超−1もここまできますとアヤしい少年を見ただけ、では怖さとしては今ひとつかと。体験者の恐怖は、よく伝わってくる文章なのですが。
それと、ジャンキーとして少々気になった点があります。
「・・・」の多用や、
ゾッとした。
「やめて!」
「もうだめだ」など、盛り上がる場面で一々恐怖心を煽るのは演出過剰と鼻につく紙一重だと思います。
素材:+1 文章:+1−1=0



名前: 夢屋 陣 ¦ 14:45, Monday, Apr 16, 2007 ×


映画やTVの撮影現場にも怖い話は数多くあるようですが、これは不気味でした。文章にひきこまれました。
出来事としては不可解な男の子がいた、ということですが、二人の取り乱す様が上手く描かれており、車のドアが開いて「あなや!」という場面のどんでん返しの仕方も上手いです。
「昔この海岸で少年が…」とか「「戦時中の犠牲者達を埋葬…」というような後日譚はなくて、適度に投げっぱなしなのも不確かな恐怖をのこしていると思いました。

名前: くりちゃん ¦ 16:16, Monday, Apr 16, 2007 ×


□素材:-1 □恐怖:0 ■リアリティー:1 ■文章表現力:1 = 1点

文章がうまい。楽しめた。だけど、物足りない。どこかで聞いたことのあるような話。

名前: ゆんく ¦ 21:48, Monday, Apr 16, 2007 ×


怪異自体はありがちだが、描写に臨場感があってけっこう怖かった。
最初に「坊主頭の子供」と書いて、その後は「坊主頭の少年」になっているので、子供と少年は別人か、と最初少し混乱したが。

名前: ナルミ ¦ 02:00, Tuesday, Apr 17, 2007 ×


内容:1 文章:1

まず文章が読みやすくて、最後まで一気に読めました。
坊主の少年がワープしてきたところや、京子さんの謎の行動なども楽しめたし、最後のオチもややありがちながら、納得できました。

名前: ダウン ¦ 21:32, Wednesday, Apr 18, 2007 ×


少年そのものについての描写は少なく、新鮮な驚きなどはないものの、とり憑かれたらしい京子さんを止めようとするところでは良い緊張感が走ります。
怖がる二人の様子は伝わってくるので、読んでる私が小粒な話だと思っても、体験してる人はそりゃー怖いわな…と、当たり前のことに改めて気付かされたような。

怪異が始まった辺りから、急に平凡な表現になってるかも?前半の方が、丁寧に書かれている印象が強かったです。

名前: 13 ¦ 22:08, Sunday, Apr 22, 2007 ×


小粒な怪異を、良く昇華させてます。
これは書き手の、ヒアリング能力、構築力、表現力の高さ故だと思います。
違う人が書いた場合、同じようにぞっとできたかな?と。
その場の雰囲気がすんなりと頭に入ってきて、ほんとぞっとしました。
惜しむらくは、やはりネタの小ささか。
内容0 文章+2

名前: cross2M ¦ 09:54, Thursday, Apr 26, 2007 ×


   -4   0  +4
文章;■■■■■■□□□(+1)…a
構成;■■■■■■□□□(+1)…b
怪異;■■■■■■□□□(+1)…c
恐怖;■■■■■■□□□(+1)…d
嗜好;■■■■■■□□□(+1)…e
※(a+b+c+d+e)/5…総合点(小数点以下第1位四捨五入)

 怪異自体は取り立てて強調するような特徴を持ったものではないが、当事者周辺の情報を念入りに書き込むことによって、その怪異を巧く作品として仕上げているように感じる。
 ただ、怪異と遭遇している際の当事者の言動を含む描写が少々大袈裟過ぎる気がしないでもない。
 単に恐怖に怯える様子を描くだけでは、読む側はなかなか自分と重ね合わせることはできないのではないだろうか。
 少年は当事者達に何を求めていたのだろうか。

名前: 空 ¦ 12:43, Wednesday, May 09, 2007 ×


確かに怖ろしい状況だと思います。体験者の凄い怖がりようが、怪異に勝ってしまったような気がします。
ちょっとした映画のワンシーンを見ているようでした。
文章技術評価0 体験談希少度評価1

名前: ナメコ ¦ 21:37, Saturday, May 12, 2007 ×


ええと、微妙です(汗)
いえ、決してヘタだとか、そういうのではないです。
小説はだしの上手な筆運び。丁寧に選んだであろう表現。この筆者さまの実力に怪異自体がつりあっていない(ネタがオーソドックス)という印象の方がどうしても大きいのです。
正を言えばどんな体験談でもこの方に掛かれば、きちんとした物語に仕上げていただけるのでしょう。逆を言えば、これだけの方だと、ネタが凄くないと表現能力とのバランスが取れなくなってしまうのだなと。
その意味でこの作品は微妙だったのです。
僕はこの作者さまの振るう大ネタの怪談を非常に読んでみたい気がします。

名前: 矢内 倫吾 ¦ 22:54, Saturday, May 12, 2007 ×


文章はうまいのですが、なーんかベターっとしていて、斜に構えて読んでしまった。

名前: ペペ ¦ 16:34, Wednesday, May 23, 2007 ×


非常に読み応えのある作品。
では、あるのだけれど。
どうもネタと情報量のバランスが悪いような気がします。
臨場感は申し分ないですが。

名前: 藪蔵人 ¦ 14:28, Saturday, May 26, 2007 ×


素材・1 文章・0
素材的には小粒だが、丁寧な文章が本当に怖かったのだなと思わせる佳作。

名前: つくね乱蔵 ¦ 07:41, Thursday, May 31, 2007 ×


文章は巧みで、すらすらと読み進めることが出来た。
臨場感はあるのだが、それだけに怪異が小粒に思え、無理に引き伸ばしたのかな、と思ってしまった。
京子さんが何故ドアを開けようとしたのか気になるところである。錯乱していただけかもしれないが。

名前: GPZ ¦ 20:48, Thursday, May 31, 2007 ×



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