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覗き、笑う
守山くんが友達の竹村くんとデジタルカメラ片手に廃屋巡りをしていた頃の話。
「廃屋って言っても、大概は地元のヤンキーが入りまくってるようなところばかりだし、夜だからそりゃ雰囲気はあるけどそんなに怖くはないんですよ。趣を楽しむって感じですかね」
その日は、今でも小学生の日帰り遠足によく使われるハイキングコースの途中にある、もともとはキャンプ場だった敷地のロッジに忍び込んだ。
「一応、窓とかは外から板張りされているんですけど、地元で有名な廃屋って絶対、どこか入るとこあるんですよ。」
案の定、建物の裏側に板張りがはずされた割れた窓があり、一メートルほど底上げされた作りの家屋ではあったがその下に詰まれた材木を足場にして登ると容易に中に入ることが出来た。
「だいたい中に入ったら竹村とは分かれて徘徊するんですよ。竹村はカメラ担当で、感想はあとで写真を見ながら語り合う」
いかにも「山のロッジ」といった、丸太、やニスで塗られた材木を多く利用した木造建築。
屋内は他の廃屋の例に漏れず、壁にはところかまわずスプレーで卑猥な言葉が書かれていた。
売店があったであろう、屋台風のカウンターにはたくさんのビールの空き缶。
山にあるせいか、この手の建物のわりにはなかなかきれいな空気だ。たまに友達と来て一杯やるにはいい隠れ家になるかもしれないな、と考えると少し嬉しくなった。
懐中電灯であたりを照らしながら広い階段を登り二階へ行くと、せまい廊下にいくつかのドアが左右にあった。
ドアの上にルームナンバーがふってある。
かつては宿泊もできたのであろう。
試しに一番手前にあるノブをひねってみると、壊れているのか何の抵抗もなく空回りし、はずみでドアが開いた。
強烈に黴臭い。
部屋を電灯で照らすと、二段ベッドが三つほど置いてあり、緑とも紺ともつかぬ色合いをした毛布の類が、各段にぐしゃりと塊で置いてあった。
恐らく、匂いの原因は毛布が湿気を帯びたせいだろう。
見た目も心なしかねっとりしている。
部屋中を念入りに吟味してみると、この部屋の壁にはなぜか一切落書きが無いことに気がついた。
「これはいい写真が撮れるな、と思ったんですよ」
彼は廊下に出て、大声でカメラを持つ竹村を呼んだ。
ええええ、と竹村の妙な返事が近いところで響く。
どうやら彼も二階のどこかの部屋にいるようだ。
「廊下だよ」
もう一度、彼が呼びかけると少し間を置き、竹村が青ざめた顔で一番奥の部屋からとび出てきた。
小走りでこちらへ来るなりカメラを無言で差し出す。
友人の手は小刻みに震えていた。
「あ、あっちの部屋で撮った。見、見て」
ディスプレイには彼が見たものとほとんど同じ部屋が写っている。
うっと思わず声が漏れた。
正面のベッドの一段目の毛布の塊から、正面を向いて斜めに首を傾げてこちらを覗いている顔がはっきりと写っている。
毛布がかかって隠れているのは片方の耳と頬だけ。
あきらかに塊と色が違うので見間違いとは思えない。
身体が隠れるほど毛布の塊は大きく膨らんでおらず、どちらかというベッドから首が生えているような具合だ。
青白い顔は笑っていた。
目線がカメラに向いてるらしく、見ると嫌でも目が合う。
竹村が画像を編集したに違いない。
こんなところにこの顔があるのはおかしい。
笑えない冗談だ。
ぽちゃり、と音がし、見ると竹村は口元を歪め失禁していた。
「もう帰ろう………」
自分に言い聞かせるようにつぶやいてみるが、足がすくんで動かない。
身体の力が抜け、カメラが妙に重く感じられた。
友人の顔をまともに見れずにいると、竹村は諦めたように、とぼとぼと階段の方へ一人歩き出した。
何か声をかけようかと思ったが何も思い浮かばない。
開け放された手前の部屋から漏れた黴の匂いが、小水の匂いと混じっていた。
もう一度ディスプレイを見ると、覗き、笑う、自分の顔がそこにはあった。
ごろりと何かが転がるような音が奥の部屋で、一度だけ鳴った。

以来、守山くんは竹村に避けられるようになったそうだ。








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■講評

適度に行間を空けた方が読みやすい。
導入部の廃墟の雰囲気がよく出ている。
毛布からのぞく青白い顔は不気味だが、男女別くらいの描写はあってもいいのではないか。とはいうものの、「目線がカメラに向いてるらしく、見ると嫌でも目が合う。」というのは気持ち悪い。

最後の「もう一度ディスプレイを見ると、覗き、笑う、自分の顔がそこにはあった。」は解釈の仕方が三通りあると思う。
初めにディスプレイで見たときには動転して自分の顔だと気が付かなかった。もしくは途中で画像が変化した。どんでん返しのためにわざと言及しなかった。
どれでも怖いと思うが、「竹村」君の反応を見ると、初めから「守山」君の顔が写っていたように思う。

名前: くりちゃん ¦ 18:21, Sunday, Apr 15, 2007 ×


■素材:1 ■恐怖:1 ■リアリティー:1 □文章表現力:0 = 3点

素直に怖い。ただ、文章にやや難あり。前半、伝聞でシチュエーションや情景描写が進んでいくのに、突然回想再現シーンの中の登場人物が話をはじめ、その後、守山君の語りがない。明確な段落分けが必要ではないかと思う。

名前: ゆんく ¦ 20:19, Sunday, Apr 15, 2007 ×


カビと小水の匂いには混じって欲しくないです。
そこに関して+2点。
昔、そのロッジで何があったんですかね。

名前: 高田公太 ¦ 21:53, Sunday, Apr 15, 2007 ×


どんな心霊写真が怖いかと言われると、やはり「自分の顔」が一番怖いのでないかと思う。前半はよくある心霊スポットものかと思ったが、後半の展開はなかなかよかった。

「こんなところにこの顔があるのはおかしい」と、「この顔」と書いてある、ということは、やはり守山くんは最初から自分の顔だと気付いていたのだろう。それを最後まで言及しないのはややあざとい気がする。もう少しうまい書き方もあるように思う。

名前: ナルミ ¦ 00:51, Monday, Apr 16, 2007 ×


怪談を読む人を意識して書きすぎた印象。
描写や表現は凝っており、読ませてくれますがもう少し分かりやすくしても良いのでは。
「ごろりと〜」の文など、体験者が怖がった様子などがなく読者受けを狙っただけのように感じます。
怖さを溜めて溜めてだったのでしょうが、今ひとつ効果的ではなかった気がします。写りこんだ怪異ならストレートに表現しても良かったのでは。
画像が残っているようなら、ぜひ投稿をお願いします!
素材:+1 文章:0


名前: 夢屋 陣 ¦ 13:19, Monday, Apr 16, 2007 ×


内容:2 文章:0

ああ、ベッドの顔は自分のものだったのか。
最後を読むまで、よくある気味の悪い写真の話かと思ってしまいましたが、これは怖い。
前半が、やや長い気がしましたが、それをオチで補ってます。

名前: ダウン ¦ 22:48, Monday, Apr 16, 2007 ×


素材・2 文章・−1
良い素材。見ると嫌でも目が合う、という表現には
ゾクリとさせられた。
が、如何せん文章が弱い。
もう少し練り込んで欲しかった。
素材が良いだけに惜しい。

名前: つくね乱蔵 ¦ 10:46, Tuesday, Apr 17, 2007 ×


この手の話の中では成功していると思う。
怖かったし・・・
ただ、行間をあけるなどの、読者への配慮がほしい。
ぎゅっと詰め込んだようでちょっと読みにくかった。
ベッドの顔は自分?知らない人?・・・最後に変わっていた?・・・どう解釈したらいいか迷う点がいくつか目についた。

名前: 黒ムク ¦ 13:14, Tuesday, Apr 17, 2007 ×


これはイヤだなあ;自分の顔なんて写ってたら、私が失禁します(つД`)*。
竹村くんの怯え具合からして、写真は元から守山くんの顔だったのでしょうか。

順序よく書かれていて、廃屋で心霊写真が撮れただけのありがちな話なのかな、と思い始めたところでドキッとさせられますね。
廃屋の気味悪さや二人の様子も丁寧で楽しめました(・∀・)

名前: 13 ¦ 19:54, Friday, Apr 20, 2007 ×


ネタの割りに長すぎて、読んでいた疲れてしまったorz
引っ張られるのは好きな方なのだが、引っ張りすぎはよくない。
イライラしてしまって逆効果か。
かなり書きなれた方だと推測できるのですが、図に乗りすぎた印象。
にしては、行間が全くなかったりして、やはり同様に疲れてしまう。
それでも、怪異部分の気持ち悪さの表現はうまいなぁと。
最後まで自分の顔だと明かさないのは、ちょっといやらしさも感じるけど^^;
内容+0.5 文章+0.5

名前: cross2M ¦ 10:59, Wednesday, Apr 25, 2007 ×


本題に行くまでが少し長かったように思う。体験者さんの顔が、どうしているはずのない所に写っていたのかは確かに凄い怪異だと思います。あればその心霊写真が見てみたいです。
心霊写真が主役ですが廃屋探検の方が目立っちゃったような気もします。廃屋の描写はいい雰囲気出ていました。文章技術評価0 体験談希少度評価2

名前: ナメコ ¦ 00:39, Wednesday, May 09, 2007 ×


   -4   0  +4
文章;■■■■■■■■□(+3)…a
構成;■■■■■■■□□(+2)…b
怪異;■■■■■■■□□(+2)…c
恐怖;■■■■■■■■□(+3)…d
嗜好;■■■■■■■■□(+3)…e
※(a+b+c+d+e)/5…総合点(小数点以下第1位四捨五入)

 個人的に非常に好みの作品。
 ひとつひとつの言葉の取捨択一もかなり練り込まれた印象を受けるし、作品全体から放つ陰鬱な雰囲気も素晴らしい。
 ただ1点、不満が残る。
 奥の部屋でごろりと音が鳴った後の展開が記されていない点である。
 それまでは、詳細まで書き綴っていたのにも関わらず、なぜ中途半端なところで話を断ち切ってしまったのか理解に苦しむ。
 読み手の想像に委ねるにしても恐怖の余韻を残すにしても、盛り上がりを意図せぬところで断絶されてしまった感がある。
 安直な締めの1文よりも、その後の展開が読みたかった。

名前: 空 ¦ 12:41, Wednesday, May 09, 2007 ×


いい怪異ですね。
ありきたりの探索から怖い目に遭うという王道ですが、誰でも大体人生の中で覚えのある体験談。そんな中でデジカメに捉えられた不気味な霊しかもそれが自分とは、はなかなかでした。
ただ、物語のあちこちにちりばめられている表現が、トッピング入れすぎという感じをどうしても受けてしまいます。
そこまで凝らなくても、淡々と追っていくだけでこれは充分怖い話になった気がしないでもありません。逆にシリアスタッチでボリュームをつけても成功していたかも知れません。
もう少し整理が行き届いていましたら高得点は間違いなしだったでしょう。
何か惜しいなあ。

名前: 矢内 倫吾 ¦ 00:44, Sunday, May 13, 2007 ×


長い。引っ張りすぎ。怪異がよいだけにもったいない。

名前: ペペ ¦ 16:01, Wednesday, May 23, 2007 ×


怪奇スポット探訪記。(この場合廃墟だけど)としてはかなり出来が良いと思います。
しかし、オチに関してはあざとさの方が目立つかな?
画像見て、加工作品と疑う辺りで、オチは透けて見えるわけですが。
衝撃度を生かしたまま、もう少し上手く処理できなかったものでしょうか。

名前: 藪蔵人 ¦ 14:13, Saturday, May 26, 2007 ×


オチは個人的には好きである。先に自分の顔だと提示しないところがいやらしい。
それだけに
>竹村が画像を編集したに違いない。
という感想が、いかにもあざとく感じられてしまう。驚きよりも懐疑が先立つ、という心理描写にはリアリティを感じない。
臨場感を出そうとしているのは分かるが、ロッジの描写は装飾過剰にも思える。最初はインタビュー形式の文章だったのに、いつの間にか体験者の視点にすりかわってしまっているのも、その感を強くしている。
筆力があるのは認めるが、それが前面に出すぎてしまったように感じられた。

名前: GPZ ¦ 21:25, Thursday, May 31, 2007 ×



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