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必殺技
聖子さんのご主人の達夫さんは、ある流派の武術の達人。
全国大会で優勝した経歴を持ち、趣味は素手でブロックとレンガを砕く事。

「まあそんな奴だから、いつも合法的にケンカの相手を探していて…」
強い男が憧れだった聖子さんは、そんな達夫さんにぞっこんとなった。
道場でも無敵の存在なので、一緒に同棲することになったとき、後輩の門下生がトラックに乗って引越しの手伝いに訪れた。
「襲名式?って感じのコワモテの方々がどわっと…」
ところが、武術の腕は物凄いのだが貯金の方はそれほどなかったらしく、二人の甘い新居は、二階建てのオンボロ賃貸住宅。
「そこは治安がいいとは言いかねたんだけど、まあ、住み込みのボディガードがいるようなもんだし…」

ごつい男どもが大量に肉を持ち込んでの引越し祝いが終了し、とりあえずその日は荷ほどきを半分ほど終わらせ、一階の和室で床に就いた。
時刻は午前一時を回っていたという。
後輩の門下生達と大量のビールを空けた達夫さんは布団の中でぐぉーぐぉーと鼾を掻いていたが、聖子さんの方は妙に寝付けなかった。
(疲れているはずなのにな)
布団の中で何回も寝返りを打っていると、不意に空気が重くなった。
あっ、これはと思った瞬間。
床の間の辺りでガリガリッ、という音が響き渡り、部屋の中に気配が充満した。
暗闇の中で足音がする。
四つ足で二人の寝ている布団の周りをグルグルと回っている。
まだ荷物の散らかっている八畳間である。物理的に歩ける空間はない。
「タッちゃん!タッちゃん!」
聖子さんの悲鳴に、ご主人は目を覚ました。
普段の鍛錬の賜物なのか、異常に気付いた達也さんは布団から跳ね起きると、すぐさま拳を握って身構えた。
ところが、足音はするのに、肝心の相手の姿は見えない。

ざっざっざっざっざっざっ…。

「それで、しばらく固唾を呑んで見てたら」
不意に達也さんは両眼を閉じると、すうと呼吸を整え、拳を解いて掌で両耳のあたりをぽんぽんぽんと叩きながら、
「ひゅういいい〜ぁぶああああぅえぇぇぇぇ〜ぶぉおおお〜くおぉぉぉぉ〜」

「それ、ダンナの流派の『呼吸法』だったんです」
不意に、足音も気配も消えた。
明らかにびっくりした様子だった。
「いなくなった?」
しばらくそれを続けた達也さんは、目を開くと彼女に尋ねた。
うんと頷くと、ご主人はそのまま布団を被って寝てしまったという。
「ああ、これが『気』ってやつなんだ、さすがって感心しましたね」

翌朝。
「引っ越そう」
達也さんがポツリと呟いた。
「え?」
突然の申し出に聖子さんは目をぱちくり。
「だって、ここお化けでるじゃん。怖くてヤだ」
「だってあんた、夕べ、気合いで…」
「ああ、あれ?」

実は達也さん、怪談話が大嫌い。
日本最強の称号を持っているというのに、怖い話で悲鳴を上げる。
その事を知っている悪友どもは、コンパなどで女の子が混じると、ここぞとばかりに怪談を始めて彼をからかった。
そこで、例の『呼吸法』をしながら両手で耳を叩くことを思い付いたのである。
「こうやってるとホラ、何も聞こえないじゃん。目を瞑ればもう無敵だし」

「結局、暗い場所とか全然役立たずで、何のための武術なんだか」

ただし、くだんの家の怪現象は、彼の「必殺技」に度肝を抜かれたのか、次の住まいに引っ越すまで、二度と起こることは無かったという。








10:52, Wednesday, Apr 11, 2007 ¦ 固定リンク ¦ 講評(15) ¦ 講評を書く ¦ トラックバック(4) ¦ 携帯

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■講評

とある怪談で「金縛りにあった武術の達人が自分も幽体離脱を試みて肉体から抜け出し、物の怪をたたきのめす」という話があったので、初めはその手の話かと思った。
が後半を読んで、心霊ちょっとオモロイ話だったのかと気が付いた。
「最強の男」という面と「怪談嫌いの恐がりさん」というギャップは面白かった。

名前: くりちゃん ¦ 11:25, Wednesday, Apr 11, 2007 ×


「強い男」が「怪談嫌い」は割とよくあるネタと思います。
個人的には、笑える話とも怖い話とも中途半端になってしまっている印象。
最強というからには、モノノケの気をつかむくらいのことはして欲しかった気がしますし、必殺技といって聞こえなくなるだけとは拍子抜けです。
それに本物の武術家は喧嘩なんぞしないものでしょう。いやこれは関係ないか(笑
素材:+1 文章:0



名前: 夢屋 陣 ¦ 13:52, Wednesday, Apr 11, 2007 ×


なんだか妙に笑えた。
さすが達人の呼吸法はひと味違う、と思ったら、実は怖い話を聞きたくないだけ、しかし化け物はそれで退散してしまう、というところが面白い。化け物も、これはすごい呼吸法だ、と勘違いして逃げ出したのだろうか。

名前: ナルミ ¦ 00:30, Thursday, Apr 12, 2007 ×


ええ、ヤンキー・暴れ者=怪談へタレの図式はなぜか多く、荒っぽい方々ほどお化けを怖がります。
その根底には二種類「自分の力が通用しないのでは?」「無敵の先輩が肝試しで〜な目に合って」と二種類くらいに大別されるみたいです。
しかし、日本一の男の隠された裏側「お化け嫌い」。
これはしょぼい!しょぼすぎる!一体何のための修行なんだと疑いたくなりますね。奥さんも一緒になってからさぞ呆れた事でしょう。お察しします。
ちなみにこの「必殺技」のポーズ、やってみると結構マヌケです。これに驚いて逃げた方も本当は見掛け倒しの物の怪だったんでしょう。
きっとそれまでの住人は充分ビビッてくれんでしょうね(笑)
ちなみに蛇足ですが、武術を齧ってる方々は、口ではかっこいい事を言ってますが、その裏では人に言えない武勇伝は多いそうです。僕の知っている「合気道」の先生も、師範連中が集まって飲み会を開くと、ほぼお店から「出入り禁止」を喰らうそうです。酔っ払って壁に頭突き喰らわせて血塗れになったそうで(笑)

名前: 矢内 倫吾 ¦ 11:20, Thursday, Apr 12, 2007 ×


わはは。
>布団から跳ね起きると、すぐさま拳を握って身構えた。
私も、「おおっさすが!」と思ったのに〜。後から考えてみると、これは寝ぼけて反射的に構えただけっぽいですね。情けなさが倍増しますw
一応追い払ってくれたし(?)、呆れないで仲良くしてほしいものです。

どうやって退治するのか?と期待しましたが、良い意味で裏切られました。これを「必殺技」と呼ぶには大げさかもしれませんが、旦那さんには不本意でもアリなんじゃないかとw
四つ足の正体も気になりますね。追い出されて、今はどこにいるのやら。

名前: 13 ¦ 13:06, Friday, Apr 13, 2007 ×


内容:1 文章:1

人間だけでなく、霊にも強い旦那さまだと思っていたら、こういうオチでしたか。
なんだか、四つ足のヤツよりも、旦那さまの行動のほうが目立ってます。
いや、いい意味で。
ぜひとも、修行をつんで、霊も殴れるようになってほしいですね。

名前: ダウン ¦ 21:44, Friday, Apr 13, 2007 ×


筆者の文章能力、巧みです。見事に踊らされた感じです。
ちょっと怖くて、とってもほのぼの。いいんじゃないですか。

■素材:1 □恐怖:0 ■リアリティー:1 ■文章表現力:1 = 3点

名前: ゆんく ¦ 23:06, Saturday, Apr 14, 2007 ×


呼吸法の「ひゅういいい〜ぁぶああああぅえぇぇぇぇ〜ぶぉおおお〜くおぉぉぉぉ〜」が解りにくいです。
格闘技をやっていますが、これで払った話は初めて聞きました。


名前: 黒ムク ¦ 12:16, Tuesday, Apr 17, 2007 ×


最初の煽りで、引きつけて後半ひっくり返す。
今大会でも散々出ていますね。
だもんで、最初に強い事を前面に押し出されていたので、オチは絶対「おばけこわい」で終わるんだろうなぁ、って読んでいて、果たしてそうなったわけですが、無性におかしかったwww
予想の範囲内で読んでいたのに、不覚にもあまりの情けなさぶりに笑ってしまった。
怪異そのものは動物霊辺りが徘徊していた程度のものだが、それを補って余りある筆力に負けました^^
内容0 文章+2

名前: cross2M ¦ 17:27, Tuesday, Apr 24, 2007 ×


   -4   0  +4
文章;■■■■■■■□□(+2)…a
構成;■■■■■■□□□(+1)…b
怪異;■■■■■□□□□(±0)…c
恐怖;□□□□□□□□□(-)
嗜好;■■■■■□□□□(±0)…e
※(a+b+c+d)/4…総合点(小数点以下第1位四捨五入)
※この作品は、恐怖と直接紐付けする必要性がないと判断したので、評価項目からは除外した。

 面白いことは面白いのだが、予定調和的な展開という印象も受ける。
 筆者の方も怪異そのものよりも、当事者を話の中心に据えることを目的に書かれたのであろう。
 基本的には怪異を書かない怪談はあまり積極的に評価できないのであるが、この作品について言えば文章が達者なので上記評価でご勘弁戴きたい。

名前: 空 ¦ 12:55, Monday, May 07, 2007 ×


怖いと言うより、大変面白かったです。
呼吸法が不気味で怪異も退散したのでしょうか?武術の達人が幽霊嫌いというギャップがこのお話の魅力になっているとお思います。文章も大変読みやすかったです。文章技術評価1 体験談希少度評価1

名前: ナメコ ¦ 14:56, Thursday, May 10, 2007 ×


武術を喧嘩に使うと凶器と見なされるのでは?あまり好きな登場人物ではないが、話としては、良いと思う。

名前: ペペ ¦ 15:14, Wednesday, May 23, 2007 ×


ああ、笑った笑った。
怪異を楽しむ種類の話ではないですけどね。
面白かったです。

名前: 藪蔵人 ¦ 14:07, Saturday, May 26, 2007 ×


素材・0 文章・0
私も一応、空手を嗜んでいる。
呼吸法というのは息吹のことであろうか。
ほとんどの流派は存じ上げているが、不思議な息吹もあったものだ。
初耳であった。

名前: つくね乱蔵 ¦ 14:28, Wednesday, May 30, 2007 ×


怪異そのものより、ご主人のキャラクターのほうが面白かった。もっとも、それが話の主題なのだろうが。必殺技、というわりには、撃退するためではなく防衛のため、という点も、ギャップがあって面白い。
ただその分、怪異の描写が足りないような気がする。もちろん、話の主点はそこではないことは重々承知だが、ここで怪異に対する恐怖を煽れば、この後の展開がさらに生きるのではないだろうか。
細かい点だが、音だけで四つ足と分かったのが気になった。

名前: GPZ ¦ 02:10, Thursday, May 31, 2007 ×



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