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米田さんは昔、会社の寮に入っていた。
しかしそこは寮とは名ばかりの、随分老朽化した木造モルタルの建物だった。
寮には二、三人が共同で寝起きをしている小部屋もあったが、大体の住人は二階の大部屋で寝起きしていた。
大部屋というのは六畳二つと四畳半一つの間の襖を開け放ってひとつの大間にしてある部屋で、多い時にはそこで十人以上の者が寝ていた。
その大部屋の一角に、誰も寝たがらない場所があった。
そこに布団を敷いて寝ると必ず"出る"というので。
出入りの激しい寮であったので、怪異の詳細を知る者はあまりいなかったが、大部屋にいる者たちはその場所には荷物さえ置かず、布団を敷く事もなかった。
米田さんが寮に来た時、先住者からまずはその話を聞かされた。
そしてその話に周りの者たちが
「そういや、米田さんって霊感ありましたよね?」
といらぬ事を言った。
霊感がある、とはいっても米田さんは時々金縛りにあったり妙なものを見たりする程度でしかない。
しかし皆が勝手に盛り上がり、その場所にはどんなものが出るのか、米田さんが確かめる事になってしまった。
もちろん米田さんは断ったが、先輩が
「俺が隣りに寝て、何かあったら助けてやるから」
と言い、先輩命令でその場所に寝る事になってしまった。
その夜。
同輩たちがくだんの場所に早々と布団を敷き、米田さんもよせばいいのにそこに横になった。
床に入った時には何も感じなかったという。
夜中。
米田さんはぽかりと目を開けた。
はじめ、何故目が覚めたのかわからず、あたりを見回そうとした。
そして自分がすでに金縛り状態になっていて、身動きが出来ない事に気付いた。
驚きながら自分の足元の白壁をふと見ると。
壁に人影があった。
しかし、それは何故か逆さ吊りになっている様な上下逆の姿をしていた。
(なんだ?)
と見ていると

ざわざわ
ぞわぞわ

という音がしている事に気付いた。
それは自分が見ている逆さ吊りの影から聞こえていた。
影の髪らしきだらりと長い部分が風に揺れている様に、ぞわりぞわりと音をたててうごめいていた。
米田さんは息をのんだ。
その時。
不意に何者かの手が米田さんの両足首を掴み、揺れうごめいている影の方に引っ張りだした。
その力は物凄いもので、米田さんは必死に手を振り払おうともがいたが身体は金縛り状態のままで思う様に動かず、声をあげ様としたが声すら出なかった。
もがきながら周りを見ると、助け
てやると言っていた先輩は背を向けて眠っていた。
手はぐいぐいと影の方へ、壁の方へと身体を引き込んでゆく。
米田さんは自分の足がすでに壁にめり込んでいる様な気がした。
そこで記憶は途切れていた。
次に目を覚ますとすでに朝になっていて、周りの者は起き出して身支度をしていた。

何だったんだ、あれ?
夢?

米田さんは呆然としながら半身を起こした。
そこへ同輩たちが朝飯だから早く起きろと言いに来て、そのうちの一人が、ゆうべは米田さんがえらくうなされていてうるさかった、
やっぱり出たのか?
と言った。
それに米田さんが
「うん、夢だか何だかわからないけど…」
と言いながら布団をめくると。
米田さんの両足首に

赤い手形があった。

その手形に、寮内は朝からひと騒動になった。
以後、もちろん米田さんがその場所で寝る事はなかった。他の者たちも。
後で先輩が言うには、米田さんがうなされているのに目を覚ますと、米田さんの足元の壁で黒いものがうごめいていたので怖くなり背を向けてしまったという。
先輩はすまん、と手を合わせ後日昼をおごってくれた。

手形はしばらく消えず、手形のついているところが風呂に入っていても異様に冷たく感じ
て気味が悪く、寝る時は親が持たせてくれていたお守りを足首にして寝ていたという。
それから何日かした朝、手形は消えていた。
そしてお守りも。
米田さんは布団をはたいて探したが、お守りはとうとう出てこなかった。
壁に現れた逆さ吊りの影については結局何もわからず、それから一年程で米田さんは寮を出たので後の事は知らない。

今でもあのボロ屋が建っていて人が住んでいるのなら、それこそが怖い話だよと米田さんは笑った。








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内容: 2文章: -1ありますね、こういう「何かあるんだけど、誰もまとまった情報を持ってない」状態。垂れた髪、ぞわざわという音。これは怖いですよ。かなり嫌ですね。新規性がやや低いのですけど不気味さは相当なものじゃないでしょうか。全体にかなり不親切な書き方に .. ... 続きを読む

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■講評

足首を引っ張られたときには危機一髪!と思ったが、何となく起伏のないまま終わってしまった。先輩のダメさ加減にはあきれるが、所詮他人事なのでこんなもんでしょう。
文章は読みやすかったのですが。

名前: くりちゃん ¦ 11:41, Monday, Apr 09, 2007 ×


ごめんなさい、悪戯を仕掛けて後輩を驚かせたという話を見たことがあるのであまり怖くは感じませんでした。
怪異の前の冒頭が長く感じ、後段も何も分からず、後は知らないと読み手は突き放された感があります。
最後の一文も、肝心の怪異をかすませてしまい興ざめかと思います。
素材:+1 文章:−1

名前: 夢屋 陣 ¦ 14:47, Monday, Apr 09, 2007 ×


うむ
結局壁にはめり込まずに済んだわけですな。
そもそも怪異による直接的な死因が存在するのか、分かりませんが^^;

怪異自体はそれなりにインパクトのあるもののようだが、いかんせんそれに対する恐怖が伝わってこず残念かな。
それに、同じ会社に属しているのであれば、寮は出たとは言え、何かしらの話は入ってきそうなものだと思うので、「知らない」と書かれると、「うそぉーん、噂話の一つや二つくらい出るんちゃうーん」とか思ってしまうので、お守りが消えた以降はまるっきり書かなくても良かったかもしれない。
特に最後の行は入れちゃならんかと。
上でも書いたように、寮は出てもその会社に属してれば寮が未だ存在しているかどうかくらいはわかりますからね。
話を書き起こしてると、締めで悩んだりしちゃうものなのですが、そこで書き手が気を回してうまく納まるように書いてしまうと、上手ければ上手いほど「うそ臭く」なると感じるのは私だけだろうか。
特に実話怪談に至っては、綺麗に収まっていない(当然程度にもよりますが^^;)方が却って現実味を帯びるというか。難しいんですけどね><
内容+1 文章0

名前: cross2M ¦ 15:42, Monday, Apr 09, 2007 ×


逆さ吊りの影が怖い!揺れていたのも、髪だったのか何なのか(((;゜Д゜)))
>自分の足がすでに壁にめり込んでいる様な気がした。
ここでゾッとしました。連れていかれるとこでしたね、危ない危ない。
米田さんには申し訳ないのですが、怖さがピークに達したところでプツッと終わってしまったのが残念でもあります。

身動き出来ないことに気付いた→足元の白壁を見た→思うように動けない→もがきながら周りを見る
…と、ころころ変わっていて、動けるんだか動けないんだかわかりませんでした;

名前: 13 ¦ 17:57, Monday, Apr 09, 2007 ×


全体的な印象としてそつなく描かれていると思います。
長めのお話なのですが、表現にぶったまげるような部分もなく落ち着いた印象で物語は進んでいきます。
逆さづりの影も怖いし、足首に残った手形、消えたお守りも怖い。この寮のいわれは何かなかったのだろうか?なかなか見せてくれます。
でも、体験者を襲う怪異が食いつぶしあったという印象もなきにしもあらずというか、コレだけの怪異は返って逆さづりの影との遭遇だけに絞った方が怖さ倍増していたかも知れませんね。
スパッと終ったエピソードと消えたお守りの後日談がアンバランスなのかも。意外に講評で短く切ると「ものたりない」ぴっちり描くと「余計」などと書かれてしまうため一緒に入れたのかも知れませんが八方美人ではどっちつかずになりますから「自分のスタンスはこう!」と決めたら反対側の意見は無視してでも作風は貫くべきだと思うのです。
同じ怪談フリークでも落語好きとショッカー好きでは意見が違いますから、全部ムリして取り入れようとしたら、こっちがパンクしてしまいますからね。生かせるものだけを抽出すればよしと〜(笑)

名前: 矢内 倫吾 ¦ 23:37, Monday, Apr 09, 2007 ×


怪異の大半は王道展開だが、「逆さ吊りの影」という点はなかなか不気味でよかった。ただ、怪異のボリュームに比べて話が長すぎるように思う。もう少し短くまとめた方がよかった。

(しかし、わずか十六畳半の空間に男ばかり十人以上が雑魚寝する「寮」で一年以上も過ごすとは‥‥それが一番怖いところかも)

名前: ナルミ ¦ 23:45, Monday, Apr 09, 2007 ×


内容:2 文章:0

逆さの影に、引きずり込まれるのが不気味ですね。
足に手形の痕がつくのは、よくある話ですが、お札と共に消えたところが新しい。
先輩のヘタレ具合もお約束ですが、かえってリアルでした。

名前: ダウン ¦ 21:58, Tuesday, Apr 10, 2007 ×


この種の体験談にありがちな尻切れトンボな話の真逆で、「そこまで(聞かせてくれるの)!?」ってほどの充実のアフターフォローぶり。ひょっとして後日談がテーマ?!って感じだった。悪く言えば、けじめのない文章。でもその分、リアルさがすごい。なくなったお守りが気になる。その物の怪と闘ってぼろぼろになったとみるのが順当か。

■素材:1 □恐怖:0 ■リアリティー:1 □文章表現力:0 = 2点

名前: ゆんく ¦ 11:01, Sunday, Apr 15, 2007 ×


もう少しこちらの予想からはみ出て欲しかった。
文章は読みやすかったです。

名前: 高田公太 ¦ 23:28, Sunday, Apr 15, 2007 ×


一体、その寮のそこの限定された場所に、何があったのか知りたくなります。怖い場所に新入りが寝させられるというのは、ある意味、入寮儀式みたいなものなのでしょうか。しかし助けてくれない先輩はひどいですね。怖い!ざわざわぞわぞわという音がよかったです。
文章技術評価0 体験談希少度評価2

名前: ナメコ ¦ 20:56, Thursday, May 03, 2007 ×


素材・0 文章・0
取り立てて、目新しいところが無い怪異である。
文章も冗長であり、もう少し推敲願いたい。

名前: つくね乱蔵 ¦ 22:17, Thursday, May 03, 2007 ×


   -4   0  +4
文章;■■■■■■■□□(+2)…a
構成;■■■■■■□□□(+1)…b
怪異;■■■■■□□□□(±0)…c
恐怖;■■■■■□□□□(±0)…d
嗜好;■■■■■■■□□(+2)…e
※(a+b+c+d+e)/5…総合点(小数点以下第1位四捨五入)

 起こった数種の怪異はどれも決して目新しいものではないが、それらを淡々とあったることとして書くことで作品としての完成度は高まっている。文章も非常に安定している。
 ただ、やはりひとつひとつの怪異を切り取ってみると、小粒感は否めず、それらに対しての全体のボリュームは冗長とは言わないが、バランスを考慮しても良かったように思う。
 怪異の既出感故に恐怖を感じ辛かったことも付け加える。

名前: 空 ¦ 12:32, Monday, May 07, 2007 ×


丁寧に訥々と書かれていて読みやすい。だが、文章のまま、怪異も盛り上がりに今いち欠けた感がある。男10人の雑魚寝の寮って怖くないですか?

名前: ペペ ¦ 13:59, Wednesday, May 23, 2007 ×


文章:0 怪異:2

内容は怖いと思う。
作品最後あたりはもう少し整理したほうがよかったかと。
特に終わりの一文はいらないかなぁ。


名前: コウ ¦ 12:46, Thursday, May 24, 2007 ×


描写も的確だし、起こっている怪異は怖い。
しかし、印象には残りそうもない話ですね。
逆さ吊の女だけで勝負した方が印象に残る作品になったかもしれない。

名前: 藪蔵人 ¦ 13:14, Saturday, May 26, 2007 ×


逆さ吊りの女のビジュアルは十分不気味だが、起きた怪異が怪談としてはありふれた部類なために、インパクトという点では今ひとつである。
手形が残っていた、というのもよく聞く物的証拠である。この長さまで引き伸ばした文章力は評価するが。

名前: GPZ ¦ 03:10, Monday, May 28, 2007 ×



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