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怪談と落語は非常に相性がいいもので、江戸の昔から夏場の寄席・芝居小屋の定番出し物には決まって怪談物が演じられていたと言います。歌舞伎、能、浄瑠璃、人形浄瑠璃、田舎芝居から講談、落語に至るまで、およそ夏場に怪談物をやらない小屋はなかったそうですね。これは当時の小屋にはクーラーもエアコンもなく、暗くて蒸し暑い芝居小屋に来る客を少しでも涼しくさせようということもあって、盛んに怪談ものが演じられたようです。
落語にも、幽霊との掛け合いをお題にしたものが幾つかありますが、「超」怖い話周辺で「心霊落語」という場合、それは別に「創作モノとしての落語にある怪談」ではありません。 「実話怪談なのに、なぜか落語のように笑えてしまうもの」を指して、いつからともなく心霊落語と呼ばれるようになりました。怪談落語、落語怪談、ではなく「心霊落語」というところがミソ。
さて。 実話怪談は恐怖を扱う読み物です。 あり得ない、そんなことがあってはならない。信じたくない、信じられない、というような体験談を再現するのが実話怪談の真髄です。体験者は恐ろしい思いをした、ということを滔々と語り、著者はその体験を取材して「なんて恐ろしいんだ!」と、それを実話怪談に書き起こします。 ……ところが。 できあがった話を読者が読んでみると、 「体験者は猛烈に怯えている、または必死の攻防で頑張っているのに、読んでいる読者はなぜか笑いがこみ上げてくる」 という、不思議な怪談に仕上がってしまうことがあります。 こうした怪談に対しては、「この話は怖くない。怪談としては失敗ではないか」という批判が集まることが多々あるわけです。
ここが、心霊落語の真髄かもしれません。 落語の定番のひとつに与太郎ネタがありますが、与太郎という頭の弱い男が大失敗をやらかす、ドジを踏む、間抜けなことを言う。これは与太郎は頑張ってる(つもり)だけどうまく行かない、本来なら気の毒な話なんですが、与太郎が必死になるほどそれは滑稽に見えてしまいます。 心霊落語は、実話怪談の読者を「与太郎を嘲笑う寄席の客」の位置に置いてしまうスタイルでもあります。読者は必死に頑張る様子がことごとく裏目に出てしまう気の毒な体験者の気の毒な様子におかしみを感じてしまい、「怪談なのに笑えてしまう」という心霊落語形式の実話怪談が成立してしまうというわけ。
では、笑えるから怖くないのか? これは微妙な問題で、他人事として読むから笑えるのであって同じ状況が自分に起きたら笑えるか? と問われると、俄然その怪談が笑いの影に隠していた牙が浮かび上がってきたりすることがあります。 笑える怪談だからこそ、読み終わって我に返ったときに、読んでいる最中よりも濃い闇に包まれていることに気付くということもあるわけで、それがショッカー形式とは違った心霊落語形式のおもしろみでもあります。
また、同じ心霊落語を読んでまったく笑えず、ただ震えるばかりという受け取り方をする読者も確かにいます。 笑うゆとりがある、ない、という馴れの問題だけではなく、「何に対して恐怖を感じるか」または「恐怖を感じさせる要素の存在を、違和感として感じる、気付いているかどうか」によって、その話がいつ怖くなるか、どこで怖くなるかというのは変わってきます。 勘のいい人が最初の一行目で気付いたことに、最後の一行を読んでも気付かない人というのもいれば、最後の一行を読んで全てが氷解する人も、まったく気付かないまま読み終わり、夜中にトイレに立ったときに全てが氷解してトイレから出られなくなる人もいるわけですね。 これは笑いも恐怖も同じで、実話怪談を書く側には体験者の話の中の違和感を感じ取る洞察力が必要であるように、読む側も書かれた話の中の違和感を感じ取る洞察力は必要なのかもしれません。その能力差や経験差、好み・趣味の差によって、怖いものは幽霊になったり生身の人間になったりまんじゅうと熱いお茶になったりするわけです。
何に恐怖を感じるかは人によってまったく異なります。 であるが故に、万人に等しく同じ評価をされる万人受けする恐怖(そして笑いも)というのは本当に難しいんですね。
16年やってても僕なんか未だに未熟者ですorz
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