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20年程前の話。
K子さんは離婚を前提とした別居を始める事になったのだが、時間的な問題や金銭的な問題もあり、安い家賃ですぐに入居できるアパートを借りる事にした。
アパートは山を削った住宅地にあったが、急斜面に無理矢理建てたようで、アパートへ入るには、長い急な階段を登らなければならなかった。 見るからに暗い雰囲気が漂うアパートだった。
このアパートに住んで間もなく、K子さんは眠れない生活を送る事になる。
生活費を稼ぐ為にパートを始めたのだが、パートが終わって家に帰ってくるのは、いつも深夜になっていた。 毎晩疲れた体で、夕食もとらずに床につく事が日課になっていた。
そんな生活を始めて間もない夜、電気を消し、床についた矢先、部屋の空気が変わったように感じた。 と、同時に人の気配が部屋の中に充満する。 K子さんは恐怖感を押さえ込み、布団を跳ね退けて「誰ね!?」と叫んだ。
つもりだったが、体は寝たまま動いておらず、かすれた声が出ただけだった。 「金縛り!?」K子さんの中の恐怖が爆発した。 真っ暗な部屋で一人、恐怖に堅く目を閉じていると、いきなり布団の上から誰かが馬乗りになり、K子さんの首を物凄い力で絞めつけてきた。 男の手だ。 息ができない。 もがこうにも体が動かない。 もう駄目だ。 殺される。 窒息し意識が遠退く直前、首を絞める力はふっ、と弱まった。
助かった。 大きく息をつき、落ち着きを取り戻そうとするが、「安心」という言葉が頭に浮かんだ瞬間、それは叩き壊された。 K子さんが落ち着いてきた瞬間、また首を絞めてきた。そして、意識が飛ぶ直前にまた、手をゆるめる。 何度も何度もこれを繰り返し、K子さんの体力は限界に近付いていた。
何度目の解放だろうか、突然耳元で男の 『また、来る…』 その瞬間、部屋から人の気配は無くなり、体も動くようになった。 気付けば、カーテンの隙間からは朝の光が差し込んでいた。 その日から男は毎晩現れた。 複数人で現れる事もあったが、手をかけて来るのは最初の夜に現れた一人に限られていた。ただの野次馬だったのだろう、とK子さんは言った。 毎晩殺されかけて眠れないK子さんの顔はやつれ、色濃くくまが刻まれていた。 私は心配になり引越しをすすめたが、「お金のかかるけんね…」と寂しそうに笑った。
その日を境にK子さんとは連絡が取れなくなり、一切の消息はわからなくなっている。
今、どこにいるのだろうか。
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受信: 01:39, Wednesday, May 23, 2007
■講評
何度も殺されかかるとは、怖いです。こんな体験はしたくありません! しかし、これを怪談にするには男がこの世の者でない、ということになりますが、文章中では生身の可能性もすてきれないかと。 そこを書いてこそ怪談として読み手は楽しめ、、、、るのも怖いかな(苦笑 素材:+2 文章:0
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名前: 夢屋 陣 ¦ 16:16, Friday, Apr 06, 2007 ×
少し微妙なリアル感が欲しいです。最後がアッサリだったのでちょっと残念です。 |
名前: とみー ¦ 21:34, Friday, Apr 06, 2007 ×
全体的に暗い雰囲気の漂う作品だ。
初めは首を絞めてくるモノが別れようとしているご主人かと思ったが、それならばK子さんにはすぐにわかるはず。関係ないモノ達に翻弄されていたのだろうか。立地条件や家賃、空き状況から考えて「曰く付き」の物件に入ってしまったとも考えられる。
どうしようもないバッドエンドがとても真に迫っている。
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名前: くりちゃん ¦ 21:36, Friday, Apr 06, 2007 ×
怪異自体は、それほど珍しくはないものの、それなりに怖い。 ただ、やはりラストが問題である。あっけない、というより、情報不足。「連絡がとれない」という状況にもいくつかあり、本当に行方不明になったのか、やはり怪異に耐えられなくなり別の場所へ引っ越したのか、怪異よりはましだと夫のところに帰ったのか、実家に帰ったのか。 正確にはわからなくても、せめて「電話をしても出ない」「訪ねていっても留守」「夫のところにも戻っていない」など、もう少し情報を与えてほしかった。 |
名前: ナルミ ¦ 01:43, Saturday, Apr 07, 2007 ×
理不尽に命を縮められている当の本人が、経済的理由で引越しを渋るところに不自然さを感じた。 一見怖そうだけど、どこかリアリティーに欠ける。
□素材:0 □恐怖:-1 □リアリティー:-1 □文章表現力:0 = -2点 |
名前: ゆんく ¦ 01:44, Saturday, Apr 07, 2007 ×
いやぁな怪異です。 何故にそうされるのかが釈然としないまま、某かの理由によりそこに身を任せるしか出来ない恐怖。 これはたまりません。 ネタというか体験自体はよくある類のものだけど、これは逃げることは諦めている、という体験者側の置かれた状況により、若干の面白みを増しているように思える。 これまた巧妙な文体で読ませられる。 惜しむらくは、オチの軽さかな。 そこまでは地味に侵食してくる不安感や、恐怖が書かれているのだが、急激に「連絡が取れなくなった」の一言で軽く終わってしまっている。 連絡が取れなくなるにも色々あるだろうし、そこの肉付けを行ったうえで終わらせてもらえれば、余韻として不安を楽しめたのではないでしょうか。 内容+1 文章+1 |
名前: cross2M ¦ 13:15, Saturday, Apr 07, 2007 ×
K子さん、生きていらっしゃるとは思います。密室で絞殺死体が見つかったら大騒ぎになりますよ; そういう意味では安心できて、最後に恐怖感が失速したかもしれません。単に引っ越して連絡が取れなくなったのかな、とも思えたので。
首を絞められたことはないんですが、読んでると息が苦しい。毎晩なんて冗談じゃない。しかもギャラリー連れて来るなー(つД`)*。 先日死刑判決が出た絞殺魔を思い出して暗ーい気持ちになりましたorz |
名前: 13 ¦ 00:13, Sunday, Apr 08, 2007 ×
内容:1 文章:1
怪異よりも、この繰り返す行為自体がとても怖い。 霊の中にも、粘着がいるということでしょね。 K子さんに憑いていってるなんて続報があったら、さらに嫌ですね。 |
名前: ダウン ¦ 10:25, Sunday, Apr 08, 2007 ×
うーんこの作品はなんと! これまでのものとは真逆に、ある意味「よくある憑霊現象」を、迫力ある文体で描いていらっしゃる! その迫真さに、「怖いけど、怪異はよく見かけるもの」と他のどなたにも言わせないものがありまして、僕はその恐怖テクニックに脱帽です(笑) きっと、失踪する前の体験者の方から直接お話を聞けたんでしょうね。だいたいそういう方を目の前にしたとき、文章に書き出したときに「ああ、こんなじゃない、こんな感じだ」と何度も思うものですから。 細かいディティールなど委細構わず、その方の体験した恐怖が伝わる、これは凄いことです。単に読者観点としてだけではなく、どこをどう盛り上げて恐怖を高めているのかと言う、応募者としても見逃せない作品のひとつなのではないでしょうか? ちなみに僕は、こういう作品のラストはあっさりに賛成です。やってみると判りますけど、結構くどくなりますよ(笑) |
名前: 矢内 倫吾 ¦ 20:50, Monday, Apr 09, 2007 ×
怖い、この一言につきると思います。
金縛りにあう+首を絞められる…だけでも十分怖い体験をされているのに、意識を失う瞬間に力を緩め安心させた頃又首を絞める。 それが毎日続き、その内ギャラリー連れ、首を絞めるという行為は他のギャラリーには譲らない徹底さ。 よほどk子さんに何かあるのか、捨て台詞とか見ると楽しんでいるのか…… K子さん、無事だといいですね。 |
名前: フジ ¦ 00:04, Thursday, Apr 12, 2007 ×
毎晩首を絞めにくる怪異、男が言った「またくる」のセリフ、 いつどこでだったか見たことがあるような。。 読みながらこれはどこかで読んだことがあるぞ、と。 デジャブですかね(汗) |
名前: S ¦ 08:56, Sunday, Apr 15, 2007 ×
「お金のかかるけんね」という台詞が泣かせる。 物凄く不細工な女性を失礼ながら想像してしまうのは蛭子ヨシカズ先生が同じような方言を使ってるからです。しかし、この暗さは何でしょう。なぜか「女がモノとして扱われていた時代」を感じ、思わず同じ男としてうしろめたささえ感じます。うーん、素晴らしい。 |
名前: 高田公太 ¦ 22:51, Sunday, Apr 15, 2007 ×
-4 0 +4 文章;■■■■■■□□□(+1)…a 構成;■■■■■■□□□(+1)…b 怪異;■■■■■■□□□(+1)…c 恐怖;■■■■■■□□□(+1)…d 嗜好;■■■■■■□□□(+1)…e ※(a+b+c+d+e)/5…総合点(小数点以下第1位四捨五入)
怪異自体は特段目新しいものではないが、作品全体に纏った湿気を帯びたような雰囲気は個人的に好みである。 毎夜怪異に弄ばれる当事者が、経済的理由により引っ越すことができない。 初読の段階では違和感を感じたが、実は筆者の方が採話された時点で、当事者はすでに取り返しのつかないところまで怪異に蝕まれていたのではないだろうか。 己の環境を変えることで怪異から逃れられるかもしれないのに、なぜか当事者本人が何某かの理由をつけてそれを拒んだりすることがある。 そういった方々というのは、悲しいがもう手遅れなのかもしれない。 |
名前: 空 ¦ 21:08, Sunday, Apr 22, 2007 ×
毎晩、殺されかけているにもかかわらず逃げ出そうとしない、K子さんの生に対するあきらめみたいなものが恐ろしい。文章技術評価1 体験談希少度評価3 |
名前: ナメコ ¦ 03:14, Friday, May 04, 2007 ×
素材・1 文章・0 この人はもう魅入られてますね。 この手の話は大変、好みです。 もう少し、背景を書き込んでも良かったかもしれない。 |
名前: つくね乱蔵 ¦ 22:06, Sunday, May 06, 2007 ×
理不尽な話。離婚が引鉄になっているなっているが、何かそのアパートに引き寄せられたんじゃないか、なんて思います。K子さんの人生諦め感もたまらない。 |
名前: ペペ ¦ 17:54, Tuesday, May 22, 2007 ×
読んでいて何故か非常に物足りなかったです。 何故かと考えるに、与えられた情報が印象情報ばかりな気がする。 例えば、「人の気配が部屋に充満する」とは具体的にどんな感じなのか。 男の情報も視覚的なものは一つもない。 野次馬的に現れるモノについてもそう。 単に書き方の違い、といえばそれまでですが。
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名前: 藪蔵人 ¦ 13:12, Saturday, May 26, 2007 ×
王道中の王道、「金縛り」+「首を締められる」のコンボであるが、目新しさは感じられない。 繰り返しという点と、Kさんの翳がある様子があるのが救いか。 可も不可もなく、といった印象。 |
名前: GPZ ¦ 02:43, Monday, May 28, 2007 ×
連絡が取れないとあっさり終わってしまっているせいもあり、印象が薄い。 話自体に目新しい点も感じられず、評価しにくい。 |
名前: 黒ムク ¦ 16:38, Thursday, May 31, 2007 ×
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