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おめでとう。
伯母が亡くなったのは、昨年の夏の終わりのことだ。

伯母の思い出は数知れない。

母は兄弟の中でも、
年のそう離れていない姉に一番親しみを感じていたようで、
花見、花火大会、運動会、お正月…と、
何かといえば、幼い私と妹を連れ、伯母の元を訪ねたものだった。

伯母は早くに夫を亡くし、
二人の子供を一人で育て上げた苦労人だった。

再婚はおろか、
いい給料、いい生活、
などといったものを一切求めず、
内職のような仕事を懸命に続けていた。

「もっと楽に生きればいいのに…」、
というのが、周りで多くあがる声だった。

そんな声の意味がわかるようになると、
幼い頃の、にこにこしていてやさしい伯母さん、
との印象は次第に、
辛い思いを好んでしている可哀想な伯母さん、
に変わってしまったが、

「私は、今の状態が一番いいと思っているの」
と笑う、伯母さんの意思の強さがとても好ましかった。

そして月日は流れ、
私が結婚式を挙げることになったとき、

お世話になった伯母さんには絶対出席して欲しい!
と願ったが、

体調がよくないから行けない、
とかたくなに断られてしまった。

伯母が病院に運ばれたとの連絡を受けたのは、
その挙式からたった2ヶ月後のことだった。

体調が悪いとは言っていたけれど、
大丈夫だろうと思った。
だって、病院なんか行く必要がないくらい元気なんだけど、
って言ってたもの。

でも…。

病院に行って驚いた。

入院して数日なのに、
骨と皮だけになっていた。

胃がんの末期状態で助かる見込みはない、
とのことだった。

誰にも相談せず、誰の助けも求めず。

この状態になるまでの少なくとも半年間、病院の処置を受けずに放置するなんて信じられない、
耐え難い苦しみだったはずです、

と医師は話した。


私は、意識が混濁している伯母の背をさすりながら、

伯母さん、まだ早いよ、式にも来てくれなかったじゃん、
新居に遊びに来てくれるって言ったじゃない、
私の子供の顔も見てもらわないといけないのに…、

と語りかけた。

翌日、伯母は帰らぬ人となった。


お通夜、お葬式が済んで、
自宅に戻った夜半過ぎ、

風呂に入った後、
台所で冷蔵庫から取り出した冷たいお茶を一口飲んだところで、

窓のない空間に、

ふわっ

と風が吹き、
線香の香りがした。

「伯母さん、いらっしゃい」

と私は言った。

「おめでとう」

伯母さんのやさしい声が聞こえた。


伯母さんこそ、
やっと大好きだった旦那さんに会えたかな、
一人で頑張ったって、
誰にも迷惑かけずにやってこれたって、
報告できたかな、
苦しかったけど、すごい頑張ったんだよね、

って、もう、言葉にならない。

線香の香りは、
私のそんな思いを
やわらかく受け止めて、

「おめでとう」

ともう一言だけ告げると消えてしまった。








09:31, Tuesday, Apr 03, 2007 ¦ 固定リンク ¦ 講評(20) ¦ 講評を書く ¦ トラックバック(4) ¦ 携帯

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内容: 0文章: -3悲しい話ですね。ただ怪異としては弱いと言わざるを得ないでしょう。こういう話は、本当に胸を打つことが出来なければ、作品としてはただの失敗です。 ... 続きを読む

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■講評

いい話ですが、
伯母さんの個性の説明が強すぎて
怪談というよりも普通のエッセイになってます。
作者さんの書きたいことは、そうだったと思いますが。。

名前: 高尾 ¦ 10:17, Tuesday, Apr 03, 2007 ×


伯母さんの子供たちは何してたんだよ!
無理やり引っ張ってでも病院連れてけよ!
とやるせない気持ちが先立った。

広く取られた行間から、もしかしたら書き手が込めている切なさや、想いのようなものを伝えたかったのかもしれないが、逆に独りよがりのあざとさが鼻についた私はひねくれ者ですorz
お許しを。
いや、正直に切ないんだけどね。

内容0 文章ー1

名前: cross2M ¦ 11:07, Tuesday, Apr 03, 2007 ×


怖い話、と言うよりもいい話だと。
ホラーと言のはちょっと違う気がします

名前: 佐久間 ¦ 11:09, Tuesday, Apr 03, 2007 ×


いいお話なのですが、行間をこんなに空ける必要はあったのと思う。
そのせいで、いい思い出話を聞いているような感じで、少し読者として距離を感じた。
そこまで、質素に生きてきた人の子供はなにをしていたのか疑問だ。
普通、そういう親子ならなおさら絆は強いのではないだろうか。
でも泣けました。いいお話です。

名前: 黒ムク ¦ 13:09, Tuesday, Apr 03, 2007 ×


内容としては切ない味わい深いお話ですが、「超」怖い話の求める方向とは少し違うような気がした。
後半スカスカの字面は辛かった。

名前: くりちゃん ¦ 13:15, Tuesday, Apr 03, 2007 ×


まず、この話は、心温まる・けどなにか切ない
そんなお話でした。
ただ、恐い話というとまったくそうではなく
実話なので着色は出来ないですが、この話の中にもう少し恐い部分(暗くどんよりとした雰囲気)がほしかったです。

名前: はりー ¦ 16:55, Tuesday, Apr 03, 2007 ×


優しかった伯母さん。
故人の思い出としてはせつないと思います。そして、この思いを皆さんに語りたいと綴ってくれた作者様に、個人的な思い入れで支持いたします。
詩的なテンポで綴る文章は、かなり文章を書きなれた方でいらっしゃるのでしょう。
情感たっぷりに読ませます。
ただ、これも個人的な意見ですが、これから作品を送られる方々も含めて、後半戦になってきますと、講評者の方々もこういった感触の作品を見慣れてきますので、どうしても新鮮味に欠けて、評価が厳しくなってしまうのではないかと思います。
ですから「大切な伯母の話なのに〜」などとは思わないで欲しいなあとも思います。早いあたりで見たかったですよこのお話。
僕はこの作者様の上手な文章で、今度は講評者の皆さんをあっと言わせる本格怪談を期待いたします。

名前: 矢内 倫吾 ¦ 22:55, Tuesday, Apr 03, 2007 ×


 気持ち悪い話ばかり読んでたせいか、ふいにクールミントを百個くらい
口にぶち込まれたようなスッキリさを味わいました。これはこれでイイです。

イイ話 +3

名前: 高田公太 ¦ 11:26, Wednesday, Apr 04, 2007 ×


切ない話で実にイイです。
ただ、超怖としての講評をするならば、怖くないんです。
怪談として成り立つ要素が、体験者の情感たっぷりの文章とは相容れないものがあるのでしょう。
書き手の「ありがとう。」と伝えたいことが強すぎて、読み手の求める「怖さ」の余韻がないのかと。
素材:0 文章:+1−1=0

名前: 夢屋 陣 ¦ 16:33, Wednesday, Apr 04, 2007 ×


いちおう怪異は起きてはいるが、これは「怪談」ではない。
文章も、あまりに叙情的すぎて鼻につく。「私の詩集」なら、これでもよいのだろうが‥‥。

名前: ナルミ ¦ 21:56, Wednesday, Apr 04, 2007 ×


内容:2 文章:0

好評に自分の感情を入れてはいけないのでしょうが、同じような境遇になったことがあるので、思わず涙ぐんでしまいました。
決して怖くないし、ありがちなお話ですが、いいお話でした。

名前: ダウン ¦ 22:06, Wednesday, Apr 04, 2007 ×


まず、怖くない。
作者の思いの強さが怖いといえば言えるが。
前半と後半で文章のテンポが違う。
超怖い話を読むために集まった人たちにとって、水をさすことにならないか、怒りを買わないかと心配。

□素材:0 □恐怖:-1 ■リアリティー:1 □文章表現力:0 = 0点

名前: ゆんく ¦ 00:08, Thursday, Apr 05, 2007 ×


ご本人の悲しい気持ちを綴ることに終始していて、怪談として評価していいのか迷いますね;
途中からは弔辞を聞いているような気分になりましたorz

伯母さんを偲ぶ気持ちは伝わってくるのですが、あまり浸られてしまうとこちらは引いてしまいます。
冷たい言い方で申し訳ありませんが、怪異そのものはありがちで小粒なので、プラスにはできないです。

名前: 13 ¦ 23:44, Friday, Apr 06, 2007 ×


   -4   0  +4
文章;■■■■■□□□□(±0)…a
構成;■■■■■□□□□(±0)…b
怪異;■■■■■□□□□(±0)…c
恐怖;■■■■■□□□□(±0)…d
嗜好;■■■■■□□□□(±0)…e
※(a+b+c+d+e)/5…総合点(小数点以下第1位四捨五入)

 3/2公開の「言いたかったこと」と読後の印象は全く同様である。
 当事者の死者を慈しむ気持ちが前面に描かれてこそ成立している作品である。
 言い換えれば、情緒的な部分を取り除いてしまうと、すでに語り尽くされた、ありふれた内容であるように思う。
 ひとつの作品としては素晴らしいが、自分の中の「恐怖譚」とはどうにも馴染まない。

名前: 空 ¦ 18:53, Saturday, Apr 21, 2007 ×


素材・0 文章・0
誠にもって素敵な話なのだ。
祖母への感謝の念、祖母からの慈しみ、それらを美しい文書にまとめあげる力もある。
文句の付け所が無い。
只一つ残念なのは、発表する場を
間違えたということだ。

名前: つくね乱蔵 ¦ 14:46, Tuesday, Apr 24, 2007 ×


良いお話ですね。怪異よりも作者の叔母さんに対する深い思いが伝わってきます。ただ怖いという点では薄れている感じがします。
文章技術評価1 体験談希少度評価1

名前: ナメコ ¦ 00:23, Wednesday, May 02, 2007 ×


どうしよう……。こういう話だと評価が甘くなるな……。厳しい視点で見るのも何か人間として自分がダメに思えるし……。浅田彰の「鉄道員」「うらぼんえ」のようでした。

名前: ペペ ¦ 14:16, Tuesday, May 22, 2007 ×


悲しく、かつ心温まるお話なのですが。
怪談を愉しむ人間はどこか悪趣味なもので(自分だけかもしれないけど)、
素直にいい話だなあ、とは言えないのですよ。
そんな不謹慎な自分にちょっと嫌気が差したりしますが。
この場合伯母のキャラクターが特殊化しすぎていて、感情移入が難しいってこともあります。
自分が買った「怪談集」にこの話が載っていたら、正直困惑しちゃいます。

名前: 藪蔵人 ¦ 09:35, Saturday, May 26, 2007 ×


伯母の記述で文面の大半が割かれてしまっているため、怪談というよりも伯母への追悼文のように感じられた。
ごく身近な人物が密接に関わる話だから筆に力が入るのは判るが、極めて客観性を欠いているように思う。不特定多数に対して発する文章としては、これはいただけない。

名前: GPZ ¦ 23:17, Sunday, May 27, 2007 ×


訂正。浅田彰じゃなくて浅田次郎です。配点はそのままで。

名前: ペペ ¦ 04:41, Wednesday, May 30, 2007 ×



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