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三井の住んでいる社員寮は、老朽化が進んでいた。 お湯の出は悪いし、壁はいたるところにひびが走っている。 一番わずらわしいのは、建物のあちらこちらから絶えず、ビシッ、バシッ、と軋む音がすることだった。 しかし入居費はタダ同然だったので、若い三井にはそれでもありがたかった。
休日、疲れていた三井は夕方まで自分の部屋で寝てしまった。 起きて、「せっかくの休日を損したな〜」などと思っていると、何か部屋全体に違和感を感じた。 音がしない。 いつも鳴っている建物自体の音だけでなく、外の車の走る音などもまったく聞こえない。 三井は何事かと、カーテンを開けて外を見た。 真っ暗だった。 この窓からは、いつもだったら夜でも、街頭に照らされた隣の小さな工場が見えるはず。 しかし、今はまるで窓ガラスを真っ黒に塗ってしまったかのように、暗闇が広がるだけだった。 彼が窓を開けようとしたら、後ろから人の気配を感じたので振り向いた。 狭い玄関に、三井の彼女が立っていた。 「なんでお前が?」 動揺する三井に対して、彼女は手に黄色い花を一輪持ち、無表情で彼を見つめていた。 三井がまた何か話しかけようとすると、彼女は花を顔に近づけて目を閉じ、スッと消えた。 その途端に、建物や外からの音が聞こえるようになった。 窓からもいつも通り、隣の古ぼけた工場を見ることができた。
三井は急いで彼女に電話した。 「お前、なんか変わったことあった?」 「あったどころじゃないわよ!!なんだったのあれ?」 電話に出た途端、半泣き声で訴える彼女の話はこうだった。
さっき、彼女の部屋に三井が突然現れたのだと言う。 その三井は、左目に医療用の眼帯をしていた。 驚いた彼女がいくら話しかけても、無表情のまま何も答えず立っていた。 そして、しばらくすると眼帯を外し、スッと消えてしまったと言う。
「ほんとかよ……?」 彼は今まで生きていて、眼帯などをつけた記憶が無い。 三井も彼の部屋に彼女が黄色い花を持って現れたことを話したが、彼女はさらに怖がって、そんな花など覚えが無いと言い切った。 次に部屋の音や窓の暗闇のことを思い出し、そちらに自分が現れる前に周りに何か変化がなかったか、彼女に聞いてみた。 すると、「はっきりとはしないけど、なんとなく部屋全体が暗くなった感じはしたわね」という返事が返ってきた。 ちなみに三井はまだ、彼女の家に招かれたことがなかった。
「関係ないとは思いますけど、以前、部外者を立ち入り禁止の寮に一度だけ、こっそりと彼女を入れたことがありました。汚いんで、すぐ帰っちゃいましたけど」と、三井は話の最後にこう言って苦笑した。 この日以降、今のところは二人に何事も起きていないと言う。
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» 【+2】「花と眼帯」 [DJ ZIRO『超-1 2007』感想ブログから] × 「花と眼帯」のタイトルでSMチックなイメージがわいてしまい駄目人間を改めて確認し ... 続きを読む
受信: 15:20, Tuesday, Apr 03, 2007
» [超−1]【+1】花と眼帯 [幽鬼の源から] × 同時間帯に二人の人間が全く同じ怪異に見舞われるという、結構ありそうでないネタである。 起こった怪異を解釈しようにも、あまりにも唐突で且つ脈絡がないために、手の出しようがないというのが正直なところであろう。 現象自体も幽体離脱でもなく、かといって生き霊 .. ... 続きを読む
受信: 10:01, Friday, Apr 06, 2007
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受信: 16:44, Thursday, May 17, 2007
» 【 4】 花と眼帯 [hydrogen's blogから] × 内容: 2文章: 2このタイトルで場所が汚い社員寮。どうなることかと思いましたが彼女が出てきたあたりから非常にいい感じになりました。正直、所謂生霊の話ってどう捕らえてよいか解らずに苦手なのですけどこれはとてもすんなりと楽しめました。なんだか好きだなぁ。謎で .. ... 続きを読む
受信: 23:19, Sunday, May 20, 2007
■講評
生霊系の話ですね。 二人の頭の片隅で想っていた「会いたい」という気持ちがそういう現象を起こしたのか。 ただ、だとしてもお互いの取る行動は意味がわかりませんねぇ。何かを暗示してるかのようにも見えるし。
文章はもう少し整理と、書き方の工夫が欲しいですね。 また、最後の「関係ないかもしれませんけど〜」の行は、まるっきり関連性がわからない。 文字通り関係ないように思えたので、書くべきではなかったかと。 書くなら、関係ないかも〜は削って、そう思うに至った部分を書いてもらわないと、このままでは「うん。関係ないと思うよ。」と返してしまいます。 著者さんも理解できていないようだし、だとしたらこの部分は書くべきではなかった、書き手が理解できていないもの中途半端に書いてしまっては、余計に読み手は意味の分からないものになってしまう。 お互いが同時に登場し、それぞれに意味の分からない行動を取る、これは面白いと思うんです。 タイトルは、なんか妙に惹かれました^^ だから、もう少し練ったほうが良かったかな。 内容+1 文章−1 |
名前: cross2M ¦ 10:29, Tuesday, Apr 03, 2007 ×
黄色い花とは具体的に何の花か知りたい。黄色い花と聞くと、以外に限られてくる気がする。たまたまそれがひまわりだったら、一気に雰囲気が台無しになるので。 最後の一文ほんとに関係ない気がするので、いらないと思います。 書き出しも不要な気がします。仮に軋む音がラップ音だと思わせたかったから書いたとしたら、生霊とつながるのかなと思います。 不要な部分が多すぎるため、怪異のインパクトを弱くしている気がします。 起こったこと事態は面白いと思うんですが、文章がマイナス。 最後の一文は、この話とは別の部外者立ち入り禁止の寮にいれたのかと、勘違いしてしまいました。
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名前: 黒ムク ¦ 12:54, Tuesday, Apr 03, 2007 ×
何だか長いな〜という印象があります。 お互いの生き霊、複体?が現れたということでしょうが、そんなに怖く感じませんでした。 「関係ないとは〜」の段落は本当に関係なさそうなので、これ以上引き延ばさないで欲しい。 |
名前: くりちゃん ¦ 16:26, Tuesday, Apr 03, 2007 ×
実話に落ちがないのは当たり前といえば当たり前ですが、ちょっと最後が...って感じでした。 話自体はなかなか恐かったですw |
名前: はりー ¦ 17:19, Tuesday, Apr 03, 2007 ×
いや、面白い〜(驚) これって、一瞬なんですが生霊っていうよりは「空間のズレ」みたいな風に考えましたよ。パラレルワールドですか?ほんの数刻だけ、彼と彼女の持つ時間軸にゆがみが生じて、隣の次元の人間を見たのではないかと〜。 モルダーを呼んでくれえ!(笑) それはこの古い寮と関連があったのか、はたまたお互いの想念から起きた出来事なのか、まったくむ関係がないのか、ともかく起こったのは「違うお互いを見た」という事。 幽霊談というより、僕は不思議談として受け止めました。面白かったです。 でも、まったく関係ない心配として、妙なものを見た同士は別れてしまうケースが多いですが、この二人はまだ続いているようでよかった(嬉) 花と眼帯…、いや、いっくら考えてもこの意味だけはぜんぜん判りませんが(笑) |
名前: 矢内 倫吾 ¦ 22:14, Tuesday, Apr 03, 2007 ×
内容:1 文章:−2
不条理なドッペルゲンガー譚ですかね。 内容は、珍しく不気味なものでしたが、全体的に文章がぎこちなく、しかも最後の部分は余計だと思いました。 |
名前: ダウン ¦ 00:08, Wednesday, Apr 04, 2007 ×
「不条理」というものは扱いが難しいですね。ただわけがわからなかったらそのまま「怖い」と感じるかといったらそうでもないみたいです。「花と眼帯」というタイトルはとても乙女チックで惹かれるものがあるのですが。生まれてこのかた眼帯をしたことがないという彼氏は、とても目が丈夫だな、と感じました。
タイトル +1 |
名前: 高田公太 ¦ 11:36, Wednesday, Apr 04, 2007 ×
生霊というよりもドッペルゲンガーなんでしょうかね。花と眼帯、脈絡がないし。意味も分からない。 でも、これはそういうものとして楽しむしかないのでしょう。 文章としては、怪異の部分に絞って書いた方がより不気味さとかが際立ったのではないでしょうか。 素材:+1 文章:0
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名前: 夢屋 陣 ¦ 16:12, Wednesday, Apr 04, 2007 ×
怪異は、それほど怖くはないが意味不明度高し。なかなか面白い。 ただし、冒頭のラップ音? のくだりは、やはり不要だろう。ラストの「彼女が一度だけ来たことがある」も、書かずにすませるか、彼女の生霊? が現れたところでさりげなく書いておくか、する方がよいと思う。 |
名前: ナルミ ¦ 21:37, Wednesday, Apr 04, 2007 ×
異世界に連れていかれてしまったのでしょうか。窓の向こうがいきなり真っ暗闇、しかも無音というのはけっこう怖い状況だと思います。 二人が会ったのは誰だったんでしょう? ドッペルゲンガーなのかな。花と眼帯については最後まで謎のままなんですが、意味ありげで気になります。 怖さとはまた違う、不思議な雰囲気のあるお話ですね。面白かったです。
三井さんの最後の言葉は、うーん。ご本人も言うように、関係ないんじゃないでしょうか; 書かなくてもよかったかも。
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名前: 13 ¦ 23:13, Friday, Apr 06, 2007 ×
■素材:1 □恐怖:0 ■リアリティー:1 □文章表現力:0 = 2点
最後の4行は不要。不思議な話。黄色い花、眼帯の象徴するものに恐怖を詰め込めないかな、と想像力を刺激された。面白かった。不吉な知らせじゃなくて良かった。 |
名前: ゆんく ¦ 12:00, Sunday, Apr 15, 2007 ×
-4 0 +4 文章;■■■■■■□□□(+1)…a 構成;■■■■■□□□□(±0)…b 怪異;■■■■■■■□□(+2)…c 恐怖;■■■■■■□□□(+1)…d 嗜好;■■■■■■■□□(+2)…e ※(a+b+c+d+e)/5…総合点(小数点以下第1位四捨五入)
これだけ起こった怪異に何ら脈絡もないと、読んでいる側としてはただただ混乱しつつ提示された事実を受け入れるしかない。また、当事者だけではなく、二人の人物が同時に体験しているとなると、これはもう不条理という枠を超えてしまっている気もする。 こういった類の怪異の場合、とにかく導入部にあるような余計な情報を盛り込むよりは投げっ放してしまったほうが良いように思う。 書いている筆者の方にしても提示される側にしても、とにかくあったることをただ承知するほかないのであるから。 表題は個人的に好みである。 |
名前: 空 ¦ 18:51, Saturday, Apr 21, 2007 ×
時空のゆがみでしょうか?花を持って現れた彼女、眼帯をした体験者さんは、未来に起こる不吉な暗示のようにも取れます。ただ、あまりにも内容がシュールすぎて、どうとらえていいのかわからなくなりました。 とても不思議で、読んだあと不気味さを感じました。雰囲気は好きです。文章技術評価0 体験談希少度評価2 |
名前: ナメコ ¦ 22:59, Wednesday, May 09, 2007 ×
眼帯と花が意味不明。だから怪異ですが、そのわからなさに恐怖を感じられなかった。 |
名前: ペペ ¦ 13:58, Tuesday, May 22, 2007 ×
眼帯と言うのは何か曰くありげでいて、意味不明ですね。 花もそうですが。 黄色い花一輪というところが、やっぱり意味ありげで。 でも、意味は分からない。 面白く、なんとなく気にかかる怪異です。 |
名前: 藪蔵人 ¦ 10:00, Saturday, May 26, 2007 ×
この怪談の肝は、符合を持たない同時性にあるだろう。 お互いの幻影が、何を意味するのか分からないアイテムを携えている点が、底知れず不気味である。その後何も起きていない点も、逆に空恐ろしく感じる。 怪異空間に引きずりこまれる様も、閉鎖的で逃げ場の無い状況を感じさせて良いと感じた。 最後の段の、お互いの住居を訪れたことがあるか否かの記述は、何を示そうとしているのかが図りかねる。 |
名前: GPZ ¦ 22:58, Sunday, May 27, 2007 ×
素材・0 文章・0 作者の思い入れは判るが、読者に謎を問い掛け過ぎかと思われる。 タイトルそのものも分かり難い。 |
名前: つくね乱蔵 ¦ 07:06, Wednesday, May 30, 2007 ×
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