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青い部屋
「大学生の頃の話なんですけど」

ある夏の週末、武田くんが車で彼女と一緒にいつものラブホに向かうと、満室の表示。
慌てて車を飛ばし、その先を当たったが運悪くどこもダメ。
そのうち彼女の方が眠いとぐずりはじめ、「これはマズイ」と思い始めた頃、ようやく「空室」のサインを出しているホテルを見つけた。
国道十六号沿いの、黒い外壁を備えた瀟洒な建物。
駐車場に車を回しロビーに入ると、案内パネルにはすでに一部屋しか残っていない。
壁や調度一式をブルーで染め上げた青い部屋。
パネルを押して部屋のキーを受け取るとエレベーターで三階の部屋へと向かう。
そこはベッドもカーペットもブルーでまとめられた涼しげな部屋。
悪くない。彼女もブルーのベッドの上で大喜びだ。

ところがすぐにクレームが付いた。バスルームのお湯がぬるいという。確かにコックを捻るとシャワーがぬるく感じた。温度調節は適温だし、湯口からは確かに暖かなお湯が出ているのだが。
変だなと思いながらベッドルームに戻ると、今度は冷房が効き過ぎている。
「おい、冷房強くない?」
彼女は憮然とした表情でエアコンのリモコンを差し出した。
エアコンはオフになっていた。
壊れているのかとダクトに手を翳してみたが風は出ていない。
「変だね、この部屋…」
「温ったまろうぜ」
二人は手っ取り早く暖を取る方法を実行に移したが、何となくノリが欠けて盛り上がらない。しかも、彼の頑張りとは別の動きで、部屋全体がゆさゆさと揺れる。
どうやら国道十六号を通過する大型トラックの仕業らしい。
「ひどいホテルだな」
気分的に乗らないのか、彼女の目線も違うところを見つめたまま。
波に乗り切れぬ状態のまま果てると、裸の身体が妙に冷え込んできた。
「さっきから、どこ見てるの?」
「あそこで、誰か見ている…」
彼女の視線は部屋の隅を見ていた。
そいつは焦点を合わそうとすると不意に消えてしまうという。
振り向いた武田くんには何も見えなかった。
「女なんだよね。けど顔がないんだ」
そこで彼女は言葉を切った。
「ね、寝よう…」
二人はガウンを付けて眠る事にした。
ところが妙に寝付けない。彼女も同じ様子で何回も寝返りを打ち直している。
またガクガクと部屋が振動した。
「眠れない…」
二人はベッドから置き出してソファに腰掛けると、鎧戸を開いて、夜景を肴に冷蔵庫から出したビールを飲み始めた。
国道を、搬送用の大型トラックが通り過ぎて行く。
突然、彼女が怖い目でこっちを見た。
「部屋が揺れないよ…」
目の前の道路にはトラックが走り抜けて行くのだが、部屋は揺れる気配がない。
「出よう!」
二人はホテルを出て、近くのファミレスで夜明かしをしたという。

「後にネットで、あのホテルは『出る』という書き込みを見つけたんですよ」

それから、しばらくしての土曜日の夜。
武田くんはバイトで知り合った女の子をやっとの事で口説き落し、デートの後にラブホを探したが、やはりその夜もオール満室。
うろたえていると、また例の黒い外壁のホテルに、「空室」のサインが点っている。
「あの部屋だったらやめればいい」と車を乗り入れ、ロビーに入った。
タッチパネルには空き部屋が表示されている。
あの青い部屋だった。

武田くんは、がっくりとうなだれた。








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テンポが良く読み易い文章で、失礼ながらあまり意外性はない怪異の連続だったにも関わらず、最期まで一気に面白く読めました。小さな怪異の積み重ねで段々と不安が募っていき、部屋が不可解に振動する事に気付いた時点で限界点に達した、という書き方も巧いなあと思いま .. ... 続きを読む

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■講評

文章も読みやすく、わかりやすい。
部屋が揺れる原因がトラック以外にあるところへのもって行きかたもいいと思う。
出てきた女のところがもっと詳しく知りたいですね。

名前: 黒ムク ¦ 12:32, Friday, Mar 23, 2007 ×


長めの作品だが停滞もなく一息で読めた。
「後にネットで、あのホテルは『出る』という書き込みを見つけたんですよ」
で、終わりかと思ったら未だ少し後があって…笑ってしまいました。

名前: くりちゃん ¦ 13:14, Friday, Mar 23, 2007 ×


素材+1

人間は寒色を見ると体感温度が下がるので、前半部分は気のせいかも? と思ってしまいました。
型としては騒霊でしょうか。
もう少し怪異についての情報が欲しいところです。

武田君は始めの彼女とは別れてしまったんですかね?
唐突に別の女性を誘っているのがしっくり来ませんでした。

名前: 有線 ¦ 13:36, Friday, Mar 23, 2007 ×


おい!武田!羨まし・・・いやいや、けしからん!
二股はいかんぞ!

っていうか、女が見ているの気づきながら、怖がりもせず行為に身を任せている彼女ってどうなの?
なのにトラックの振動で部屋が揺れていないことを確認して、怯えてホテルを飛び出す二人に萎えorz
女が見てる時点で出るだろう?普通?そのまま放置して寝ようとするか?
肝が据わってるのか据わってないのか、どっちだ!はっきりしろ!武田、羨まs(ry
とか思いながら読んだもんで、オチの後日談も「予定調和だね」とか冷めてしまいました^^;
多分、もてない中の人が武田君に嫉妬かなw
萎えた感想を上げることが出来ず・・・
読みやすかったんですけどね
内容−1 文章+1

名前: cross2M ¦ 13:39, Friday, Mar 23, 2007 ×


読みやすいし、面白い。
長いが怪異もしっかりとある。これが「超怖」でなければ高い評価なんですが。
武田くんのキャラが立ってしまったせいか、コメディチックに落ち着いてしまった印象です。
素材:+1 文章:+1−1=0

名前: 夢屋 陣 ¦ 15:01, Friday, Mar 23, 2007 ×


武田君、頑張るなぁw
ちょっと遊びすぎじゃ…
なんてどうでもいいことなんだけどw

書きなれている方ですね。
きれいにまとめてあって面白かったです。
オチもきいてるしw
部屋にいる幽霊もこの鈍感なカップルには
あきれたんじゃないのかな。
この方のほかの作品も読んでみたいと
思わせる楽しい怪談でした。




名前: 桜子 ¦ 21:34, Friday, Mar 23, 2007 ×


この話は「超」怖よりも「弩」3の方がふさわしいような。
とはいえ、けっこう面白く読めた。

名前: ナルミ ¦ 00:33, Saturday, Mar 24, 2007 ×


内容:1 文章:1

ははは、武田君、ざまあみろ、じゃなかった、災難でしたね。
焦る武田君に対して、えらく冷めた彼女が、怪異よりも怖い。
ラブホだと、フロントにクレームつけるのを躊躇するって本当なんですね。

名前: ダウン ¦ 13:06, Saturday, Mar 24, 2007 ×


不肖矢内、ラブホ探索は大好きでした。
ええ、チェックオフのときには、エレベーターやフロントなどで他のカップルとかち合うことしばし。するとたいがい男性の方はそわそわしますが、女性達のその堂々とした態度ときたら。
ううっ、散々男のエネルギー吸い取ったんかーとよく思いました(笑)
しかし、そんな男女の愛情が交差するラブホって、考えてみると愛憎ドロドロの場所ともいえるかも知れません。この青い部屋では何があった?すべては謎のまま、ただネットで「出る」ということのみ。
情念がしがみついてるのかな?
それでももういっぺん、行くだけ行ったのは凄いなあと。いや、わかります。そういう時期ってあります。認めます(笑)
でもあんまり股に掛けると生霊が付き纏いますよ武田君って、この生霊さんも新しく男が出来ると離れちゃうって、まあ世の中みなさん現金なもんですよねー(笑)

名前: 矢内 倫吾 ¦ 15:55, Sunday, Mar 25, 2007 ×


恐い、気持ち悪い話しの中でコメディーチックでホッと一息できる作品ですね。書き慣れている感じで、長い行文も分かりやすく、読みながら情景が浮かんできました。ラブホなら当然出てくる?きわどい場面の描写もイヤラシく感じさせずに書けていて良かったと思いました。やはり恐い話しは万人が読む物と思うので。

名前: 麻田夕真 ¦ 22:05, Sunday, Mar 25, 2007 ×


うぇ、ケチな元彼のお話と、浮気者のお話が続けて載ってるw
それはさておき。
「彼の頑張りとは別の動きで」で笑わせてもらったりしつつ、しっかり怖いお話でした。
部屋が寒い、部屋が揺れる、女がいる、次々に起こる3点セットはさすがに怖いですよ。青い部屋であることも、寒々しさに拍車をかけてます。(+2)

くだけた感じで書かれている部分とそうでない部分があるのですが、場面場面に合わせられていて気にならないです。文章にもプラス。(+1)

>「後にネットで、あのホテルは〜
ここで急に、怪談のお約束が出てきてちょっと冷めます。
不特定多数が利用する場所は、何が潜んでいてもおかしくありません。
どこも満室なのに青い部屋だけまた空いていた、だけでもいわくつきの部屋だと解釈できそうです。(−1)

名前: 13 ¦ 21:49, Monday, Mar 26, 2007 ×


素材・1 文章・1 書きなれた方という印象が強い。
個人的には、この手の話は受け付けないのだが、
これぐらい書けていたら許せるか。

名前: つくね乱蔵 ¦ 20:08, Sunday, Apr 15, 2007 ×


   -4   0  +4
文章;■■■■■■□□□(+1)…a
構成;■■■■■■□□□(+1)…b
怪異;■■■■■□□□□(+1)…c
恐怖;■■■■■□□□□(±0)…d
嗜好;■■■■■□□□□(±0)…e
※(a+b+c+d+e)/5…総合点(小数点以下第1位四捨五入)

 おおよそラブホテルで起こるとされる怪異を網羅した内容である。
 故に内容そのものに目新しさは感じなかったが、文章の読み易さが手伝ってか、最後まで飽きずに読ませて頂いた。
 夜中にも関わらず怪異に怯え飛び出したホテルに「あの部屋じゃなければ」と再度立ち寄る当事者の心境は理解しかねるが、抵抗なく彼女以外の女性をホテルに誘うぐらいの人物であれば納得できなくもないか。
 月並みな後日談よりも、現れた女についてもう少々表現が欲しかった。

名前: 空 ¦ 12:33, Wednesday, Apr 18, 2007 ×


青い部屋がネットにどのように書き込まれていたのかが知りたいです。私も昔、ホテルに泊まった時、お湯がぬるかったことがありました。宿泊客が一斉にお風呂を利用したりすると一時的にお湯が足りなくなってぬるくなることってあるみたいです。ちなみにそこのホテルは冷暖房のききも悪くかったです…。道路沿いの家はトラックなど大型車が通ると確かに揺れたりします。我が家もそうです。そのあたりは怪異ではないと説明できるところもありますが、女は確かに謎ですね。 文章技術評価 1 体験談希少度 1

名前: ナメコ ¦ 20:36, Tuesday, May 01, 2007 ×


怪異はそれほどでもないが、冷え切った空気が伝わってくる。オチもよい。

名前: ペペ ¦ 14:28, Sunday, May 20, 2007 ×


読み易いことは確かだが、小ネタを羅列しているような印象。
部屋の振動がトラックによって引き起こされたものではないことが判明するくだりは良かったと思う。
部屋に現れた女性について、もう少し突っ込んで欲しかった。
ネットの情報を含めた後日談については、書かないほうが余韻を残してよかったのではないだろうか。

名前: GPZ ¦ 00:02, Thursday, May 24, 2007 ×


取り立てて目新しいネタではないものの、文章で読まされた感じが。
なかなか面白かったです。
キャラクター性を前面に押し出す戦法は失敗することが多いですが、これは読み物として面白くなっていますね。

名前: 藪蔵人 ¦ 21:03, Friday, May 25, 2007 ×


希少価値0 文章2
顔のない女性のことをさらりと流しすぎかな、と感じる。
文章は読みやすくていい。
恐怖の対象を、そのような状況でも行為に応じている前者の彼女にすりかえて、後半は削ってもおもしろいかもしれない・・w

名前: Heath ¦ 23:01, Friday, May 25, 2007 ×



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