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守備範囲
 営業の山下君は守備範囲が広い。
 彼が可愛い子見つけた、と言えば七十過ぎのお婆さんだったり。
 イイ女がね、なんて言っているので真に受けると小学生だったりする。
 だから同僚は絶対に嫁さんや娘さんの写真を彼には見せない。

 そんな彼が一目惚れをしたのである。
 同僚は「またかよ」と全く取り合わなかった。
「今度はもう、絶対間違いなしの美人」
 あんまりしつこく言うので、同僚の青木君と大谷君がそれならば見てみようか、ということになった。
 件の美女は山下君が普段よく行く喫茶店の窓際の席に、いつもいるのだと言う。

「ほら、あれ。あそこの席」
 山下君が通りの向こうを指差した。
 喫茶店の大きな窓からは店内の様子が見て取れる。
 だが、青木君には山下君が指差す相手が見えない。
「どこだよ」
「いるじゃんか。二番目の席だってば」
 山下君とそんな会話をしていると、食い入るように窓を見ていた大谷君が「帰るぞ」と、二人を強引に促した。

「山下さあ……」
 いつも温厚な大谷君が呆れたように言ったのは、喫茶店からずいぶん離れて後のことである。
「お前、守備範囲広すぎ」
「だって、今回は年もまあ普通だろ?顔だって美人だし」
 ムキになって抗弁する山下君の声に大谷君の声が重なった。
「右半分はな」
 
 左半分の顔はグチャグチャに潰れていたのだと大谷君は言った。
 しかし、青木君はその女性を見ていない。
 そのことを二人に言うと大谷君が嫌な顔で笑った。
「いや、フツー見えないから」








05:51, Tuesday, Mar 13, 2007 ¦ 固定リンク ¦ 講評(16) ¦ 講評を書く ¦ トラックバック(5) ¦ 携帯

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それは守備範囲がひろいというよりはちょっとアレなマニアだと思われ(^^体験談とし ... 続きを読む

受信: 11:02, Tuesday, Mar 13, 2007

» 【0】守備範囲 [Forgotten Dreams 「超」1講評から] ×
 <文章> 0  <体験> 0  <得点> 0  この話も怪異がテーマではない。なので怪談として評価することが難しい。  しかも、この話は既に守備範囲、というレベルではない。  おばあさんを「子」と言ったり小学生を「女」と言ってるのだとしたら、それは .. ... 続きを読む

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» 【+3】守備範囲 [2007年超-1・TOMOKI講評から] ×
山下君は「見える」人なだけではなく、多分本人も無自覚に、すべてにおいて普通とは次元の違うものの見え方をしてるんでしょうね。年齢や生死に左右されないベクトルの視覚というか…精神性が外見に反映されて見えているとか。一度、青木君や大谷君や、まあ周囲の人々を .. ... 続きを読む

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» 【+1】 守備範囲 [hydrogen's blogから] ×
内容: +1文章: 0本気で言ってるのだとしたら、山下君の守備範囲はギネス級。有史以来、全人類でも数えるほどしかいないのでは。山下君が小学校低学年だった頃は、或いは70か80になった時はと考えるとこれはもう恐ろしい限りです。で、そういうことですから、続く展開は .. ... 続きを読む

受信: 20:50, Sunday, May 13, 2007

■講評

ごめんなさい。先が読めてしまいました。

名前: 黒ムク ¦ 13:09, Tuesday, Mar 13, 2007 ×


体験談だとすると、相当にアレですし(苦笑
後でゾッとさせるには、落ち前で読み手に分からせてしまうのはマイナス。
素材:0 文章:−1

名前: 夢屋 陣 ¦ 17:12, Tuesday, Mar 13, 2007 ×


山下君も「見える人」だったのですね。
でもそういうモノを見ても平気とはすごい。
(もしや自覚がないのか?)
おみそになっている青山君がかわいい。

名前: くりちゃん ¦ 19:57, Tuesday, Mar 13, 2007 ×


内容:1 文章:0

確かに山下くん、守備範囲が広すぎですね。
ただ、もしかしたら彼には女性の左半分もまともに見えるのかもしれません。
そうだとすると、大谷くんの方が、見える力が強いのかも?
そう考えるとまた、違った怖さがありました。

名前: ダウン ¦ 21:47, Tuesday, Mar 13, 2007 ×


怪異としては「見た」というだけのありきたりのものだが、山下君に敬意を表して1点。

名前: ナルミ ¦ 00:50, Wednesday, Mar 14, 2007 ×


横顔の反対側が…というオチがくるお話は、最近発売された某短編集で読んだばかりです。シチュエーションは全く違うものの、さすがに新鮮味を感じることはできませんでした。(±0)

気付かずに浮かれていた山下君、見えてるけど冷静な大谷君、見えもせずポカーンな青木君。三者三様、キャラが立っていていいですね。
「守備範囲広すぎ」「フツー見えないから」って、冷静すぎますよ大谷君。ドン引きゆえでしょうか。
しょっぱなから山下君の節操のなさを知らされて正直引いたので、わかるような気もします。面白かった。(+1)

名前: 13 ¦ 23:16, Wednesday, Mar 14, 2007 ×


   -4   0  +4
文章;■■■■■□□□□(±0)…a
構成;■■■■■□□□□(±0)…b
怪異;■■■■■□□□□(±0)…c
恐怖;■■■■■□□□□(±0)…d
嗜好;■■■■■□□□□(±0)…e
※(a+b+c+d+e)/5…総合点(小数点以下第1位四捨五入)

 前半部分で全体の想像がついてしまった。そしてそれに沿った形で話も進展した。
 この作品は怪異自体で勝負している訳ではなく、読み手の意表を突く展開で挑んでいるわけだから、途中で全体が見通せてしまった点で評価は低くせざるを得ない。

 山下氏の発言が本心であるとすれば、守備範囲云々の範疇の話ではない。単なる変態である。

名前: 空 ¦ 01:02, Sunday, Mar 18, 2007 ×


それぞれで見え方が違う(一人は全く見えてないけど)、これは見る人によって違うものが見えてるかもしれない、という面白い話ですね。
同じものが見えてたのだとしたら、山下さんの人格として「どうか」と思いますね^^;
文章も軽快で面白いし。
前半の山下さんの説明はばっさり切ってしまった方がもっと読み手を驚かせることが出来たかもしれないと思うと、すごく惜しいです。
冒頭の流れからで、全容を想像できてしまった、二人が違うものを見てるかもしれないっていうオチは想像できませんでしたが。
私の想像通りのことを著者さんが意図していたのだとしたら、山下さんの見たものと大谷さんの見たものが、同じものなに見え方が違うというところを、示唆して欲しかったです。
内容0 文章0

名前: cross2M ¦ 13:47, Monday, Mar 19, 2007 ×


文章:0 怪異:0

怪異という怪異は起こってない…ですよね。
それよりも、山下くんがそれを霊だと認識してるっぽいのが怖い。
ちょっとおかしいですよ、山下くん。

名前: 晴。 ¦ 16:34, Monday, Apr 16, 2007 ×


ここで幽霊登場かなと匂わせる展開でしたが、最後まで素直に読めました。
営業の山下君は守備範囲が広さが凄いというか怪かも。
文章技術評価0 体験談希少度評価1

名前: ナメコ ¦ 21:45, Friday, May 04, 2007 ×


素材・−1 文章・0
先の展開が読める。
見ただけでは、やはり弱い。
いくら文章で頑張ろうとも、素材が
弱いのは、如何ともしがたい。

名前: つくね乱蔵 ¦ 21:06, Monday, May 14, 2007 ×


すんなり読めて、オチもよいです。

名前: ペペ ¦ 14:17, Saturday, May 19, 2007 ×


山下君の新しいお目当て=死者という構図が、話の半分ほどで分かってしまったのが残念である。顔が半分しかない、というところで体裁を保ってはいるが。
最後の段の文章が、今ひとつ掴みづらく感じた。そのことを「誰が」言ったのか、「二人」とは誰を指すのかが明確に読み取れなかった。そのため、最後の大谷君の台詞が空回りしているようにも思えた。

名前: GPZ ¦ 02:06, Tuesday, May 22, 2007 ×


これはこのタイトル「守備範囲」って、偶然だったのではなく確信犯的な「守備範囲」だったんですね。そりゃすごいや。勘弁してくだちい。
肝試しに行って一方的について来られてしまった自分はその日より体調不良、「たとえいい女でも幽霊はイヤー!やっぱ生身がイイ!」なんて思ったりします。
この作品がソンをしているのは正にそこだと思います。
いい女が幽霊だったという流れに見えてしまうので、「そんなグロ霊にほれた」という流れを作っておかないと「オチが読めた」と大半の方に言われてしまうと思います。
勿体無いなあ。

名前: 矢内 倫吾 ¦ 21:03, Tuesday, May 22, 2007 ×


まあ展開はバレバレなんだけども。
これはこれでアリかな、という気がします。

名前: 藪蔵人 ¦ 22:01, Thursday, May 24, 2007 ×


守備範囲が広いとかいうレベルではないような…(笑
「見える人達」ならではのちょっと笑える話でしたね。

文章1 怪異1 =2

名前: 久遠平太郎 ¦ 22:28, Thursday, May 31, 2007 ×



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