|
毎日午前中に更新中!
|
市橋君に聞いた話。
市橋君の出身地方には、彼が江戸時代から子供の頃まで、田臼(たうす)といって 10月の秋の収穫祭のとき、翌年の豊作を祈願して一組の杵と臼を田の隅に埋める風習が あったそうだ。どの田に埋めるかは順番が決まっていたという。
市橋君が小学3年生の頃だから、昭和61年の11月頃の話。
市橋君は友達の家で、夢中でファミコンをして遊んでいたため、友達の家を出るのが 夕方の6時頃になってしまった。彼の家では、夕方6時までに家に帰らなければならない というルールがあった。 以前そのルールを破ってしまった時には親父に脳天を一発ゴンと殴られたあげく、罰として 午後7時から午後9時頃まで家に入れてもらえなかったという。 ちなみにそのとき一緒に遊んでいた友達が受けたお仕置きは、2時間ほど木に縛りつけられる というものだったらしい。
市橋君は半泣きで、家への直線コースになるが、普段は通らない田んぼのあぜ道を全速力で 突っ走っていた。 その辺りの田園はゼロメートル地帯となっており、堤防に囲まれた半径5キロ程の半円形を しているそうで、友達の家は川を挟んだ反対側の堤防の向こう側にあり、市橋君の実家は堤防を 越えて田園地帯を抜けたところにあったそうだ。 その田園地帯には街灯は一つも無く、ただひたすら真っ暗であるため、普段市橋君は堤防の上を 大きく回って家に帰っていたそうだ。 街灯一つ無い真っ暗な中を全力で走っている途中、前方の田んぼの隅にふと黄色い明かりが見えた。 市橋君は、どこかのおじさんが、あぜ道の修理でもしているのかなと思ったらしいが、懐中電灯の 光にしては、明かりの色が濃くて黄色すぎるのを不思議には思ったらしい。 市橋君は明かりのすぐ側まで来て驚いた。 高さ2メートルほどの黄色い光の中で、子供のように小柄で痩せこけた男2人と女1人が 顔に満面の笑みを浮かべながら、臼で何かをついていた。 市橋君は悲鳴を上げて堤防まで戻り、堤防を回って家に帰ったそうだ。堤防の上からも黄色い光は 見え続けたという。
結局家に帰ったのは午後7時半頃。市橋君はまたもや家に入れてもらえないお仕置きを受けた。 「お化けが出た」という彼の話を言い訳だと思った親父に3発殴られるというおまけつきで。
「なんだったんだろうなって思うんだけどね。不思議なのは、後で思い出してみるとそのお化け 凄くいい笑顔してたんだよな。全然邪悪な感じがしないんだ。ちょうどその年杵と臼を埋めた場所だったし もしかしたら神様だったのかななんて思ったりもするよ」
市橋君は笑った。
|
■ Trackback Ping URL
外国のスパマーへのトラップです(本物は下のほうを使ってください)
http://www.chokowa.com/cho-1/2007/entry-blog/trackback.cgi20070311063645
■トラックバック
この記事へのトラックバックURL(こちらが本物):
http://www.chokowa.com/cho-1/2007/entry-blog/blog.cgi/20070311063645
» 【+3】「田臼」 [DJ ZIRO『超-1 2007』感想ブログから] × たしかに神様の様な気もするけど妖怪談系になるのかな。ほのぼの系の怪談でもあるし、 ... 続きを読む
受信: 12:52, Sunday, Mar 11, 2007
» 【+1】田臼 [Forgotten Dreams 「超」1講評から] × <文章> 0 <体験> +1 <得点> +1 これも折角の題材なのに惜しい感じだ。 それなりのノスタルジー、とは言ってももう昭和も終わり近くだからむしろ世はバブル準備期に なっている筈なんだろうけど、そんなのんびりした空気が支配している。 .. ... 続きを読む
受信: 17:36, Tuesday, Mar 13, 2007
» [超−1]【+1】田臼 [幽鬼の源から] × 地方に伝わる伝統的風習にまつわる怪異であり、それだけでも“妖怪系”マニアにとっては垂涎のネタと言えるだろう。 目撃したのが午後6時過ぎから7時頃の間であることがうかがえるので、まさに“逢魔が時”の怪異であり、その点でもなかなか貴重な目撃談であると思う .. ... 続きを読む
受信: 05:43, Wednesday, Mar 14, 2007
» 【+4】田臼 [2007年超-1・TOMOKI講評から] × これもまたほのぼのとしたいいお話ですね(笑)お仕置きエピソードもまた牧歌的で、子供だった市橋君や友達にとっては洒落にならんものだったでしょうが、つい笑いを誘われました。>凄くいい笑顔してたんだよな。全然邪悪な感じがしないんだ。ここもすごくいいですね。 .. ... 続きを読む
受信: 20:51, Monday, Apr 16, 2007
» 【+4】 田臼 [hydrogen's blogから] × 内容: +3文章: +1二作続けて似たようなことを書くと、このボキャ貧めと思われてしまいそうですがこの話もよい意味で古い、いい話ですね。直球です。今でも農業はありますし、田畑も沢山残ってますから古いとか言ってしまうのは本当はよろしくないのでしょうが、個人的に .. ... 続きを読む
受信: 12:53, Sunday, May 13, 2007
» 【+3】田臼 [I'd like to tell you something about ...から] × お仕置きが、懐かしくて。 昔の親は怖かったんです。今も充分怖いですが・・・ お父さんに見た話を詳しくしたのかな。 なのに頭ごなしに「嘘吐くな」とどやされた? お父さん、信心が足りんですよ(笑 もち� ... 続きを読む
受信: 12:13, Tuesday, May 22, 2007
■講評
豊作を祈る心が田臼を田の神に変えたのかも知れませんね。 そんなに怖くはないが、のどかな感じの話で好感が持てる。 遊んでいて遅くなったという段落とその次の段落はちょっとまどろっこしい。
|
名前: くりちゃん ¦ 10:19, Sunday, Mar 11, 2007 ×
名前: 撃墜王の孤独 ¦ 13:45, Sunday, Mar 11, 2007 ×
内容:2 文章:−1
田のカミサマかなにかでしょうか。 6時までに帰らなければいけないというルールは、そのためにあるのかなと想像しました。 最初が少し長すぎましたね。 |
名前: ダウン ¦ 21:48, Sunday, Mar 11, 2007 ×
前半がやや冗長だったが、後半になってよくなった。 怖くはないが、いい話。 |
名前: ナルミ ¦ 00:29, Monday, Mar 12, 2007 ×
文章の長さが、話のキモの面白さを削いでいる印象。 民俗学的な話で、あやかしの目撃譚も面白いのですが、お仕置きの話などは余談としては長いのでは。 素材:+1 文章:0 |
名前: 夢屋 陣 ¦ 15:38, Tuesday, Mar 13, 2007 ×
お米の神様!なのでしょうか。 収穫祭なので、その年のお米でお餅を搗いているのかもしれませんね。その味によって翌年を豊作にするか決めているとか。 翌年は豊作だったのかが気になります。 今はもう行われていないんですね、残念です。もう二度と見れないとなると、とても貴重なお話だと思います。(+3)
市橋君の門限と、友人宅との配置を説明する部分は、少しくどかったです。 「街灯一つない」が重複していたりするので。(−1) |
名前: 13 ¦ 18:02, Wednesday, Mar 14, 2007 ×
最初の段落を何度も読み返してしまったorz 出来れば、文章の校正はきちんとしていただきたい。 後、改行も。 折角面白い話が最初で躓いてしまって、非常にもったいないです><
昭和61年といえば、私は中学生でして、そんな時代を思い起こしながら読んだのだが、そんな当時にはありえないような「ほのぼのした、ノスタルジーくささ」というか、切迫した状態におられたご当人には申し訳ないが、のんびりした雰囲気を持つ怪異に遭われたのが、うらやましくなってしまいましたw もう一度整理して書いてみて欲しいです^^ 内容+2 文章−1 |
名前: cross2M ¦ 17:41, Saturday, Mar 17, 2007 ×
-4 0 +4 文章;■■■■■□□□□(±0)…a 構成;■■■■■□□□□(±0)…b 怪異;■■■■■■□□□(+1)…c 恐怖;□□□□□□□□□(-) 嗜好;■■■■■■□□□(+1)…d ※(a+b+c+d)/4…総合点(小数点以下第1位四捨五入)
収穫祭、豊作祈願との関連や、当事者の「邪悪な感じがしなかった」という発言から、怪異自体が邪なものではなく、寧ろ崇高なものであることが推測される。 非常に気なったのが、怪異が痩せこけているという表記である。 おそらく、3人は臼で突いた‘何か’を食すのであろう。それを楽しみにしている故、満面の笑みを浮かべていたのであろうと思う。その突いていたものは何だったのだろうか。 市橋氏の家庭事情に怪異が埋もれてしまった感があり、また、怪異自体もそれほど綿密に描かれていないことが少々残念に思う。 |
名前: 空 ¦ 19:18, Sunday, Mar 18, 2007 ×
文章:0 怪異:+2
良いもの見ましたねぇ、羨ましい。 きっと豊作ですね。 |
名前: 晴。 ¦ 18:07, Wednesday, Apr 11, 2007 ×
臼で何かをついていた人は妖怪なのかな?貴重な目撃談だと思います。 しかし門限を破ると子供に暴力をふるうお父さんが怖いし、許せないです。 文章技術評価0 体験談希少度評価1
|
名前: ナメコ ¦ 19:11, Saturday, May 05, 2007 ×
そこには神々しいまでの美しさというか不気味さというか、そういったものがあったのではと想像しました。 神様かも、という見解にたどり着くまでがちょっと物足りないかなと感じました。 |
名前: 雛人 ¦ 11:04, Wednesday, May 09, 2007 ×
名前: ペペ ¦ 13:22, Saturday, May 19, 2007 ×
風変わりな慣習が、そのまま怪異に結びついているのは面白い。 田んぼの神様が、その年に収穫された米を臼でついているのかな、などと、和やかな気分にさせられる。 家に帰るまでの描写は、もっと削っても良かったのではないだろうか。 |
名前: GPZ ¦ 00:41, Tuesday, May 22, 2007 ×
いい話ですな。 しかも痩せてた、というのは気になる話ですね。 そこに何か民族学的背景があるのかもしれませんね。 餓死者を神様として祀ると言ったような、何かが。 |
名前: 藪蔵人 ¦ 21:45, Tuesday, May 22, 2007 ×
素材・2 文章・−1 良い話なのだが、前半部分の説明が ごちゃごちゃしてしまった。 もう少し整理できれば良かったと思う。 |
名前: つくね乱蔵 ¦ 15:42, Wednesday, May 23, 2007 ×
埼玉県の三郷市で野生のセリを摘んでいるとき、そこの田んぼにぽつんとお地蔵様がありました。 「田のかんさぁ(神様)だよ」 と宮崎県出身の相方が教えてくれました。都会育ちの僕にはそんな環境で学生時代を過ごした友人が少しうらやましく感じました。 東京にも土地を守る地霊はいると思います。しかし「田のかんさぁ」のような身近なものではなく、もっと敷居の高く感じるものという印象が強かったからです。 この作品には、そういった僕の思い出を喚起させるものが含まれていました。当たり前に口にしている穀物。こうしたものはその昔、神様から人間達に与えられた賜り物だっのかも知れません。 今現在、間違った認識で思い上がって生きていないか? そんな意味で伝えて行きたいお話ではないかと思いました。 |
名前: 矢内 倫吾 ¦ 08:15, Thursday, May 24, 2007 ×
いい話ですね。この手の民俗・風習に纏わる話は大好きです。 一説には田の神は山の神が姿を変じたもので、春の田植えの時に山から降りてきて、秋の収穫祭の時に山に帰るそうです。 市橋君が見たのはその際の神の儀式だったのかも知れませんね。 ただ、文章的にはあまり関係のない部分(お仕置き云々の所)は無くてもいいと思います。
文章1 怪異1.5 =(繰り上げて)3
|
名前: 久遠平太郎 ¦ 22:10, Wednesday, May 30, 2007 ×
■講評を書く
|
blogパーツ配布中
■■■ ◆◆◆
|