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見知らぬ連れ
「見えたり、いるのがわかるだけで何もできないのが現実です」
中川さんはため息をついた。
2、3年前の出来事になる、そんな話。
中川さんは彼女のいない可哀相な友人と心霊スポットに肝試しに出かけた。
季節は夏。
心霊番組を見ていた際、地元の心霊スポットが取り上げられていたのが始まりだった。
誰が言いだしたかは忘れたが、せっかくだから行ってみようという事になった。
中川さんは自分の体質から内心嫌だと思ったが、臆病者だと思われるのが嫌だったのと、車を持っていたせいで同行することになった。
向かった先は八甲田山。
当日、中川さんと友達が2人、一人来れなくなった友達の代わりに初めて会う男が一人の合計4人で車に乗り込んだ。
夜中に出かけたものの、野郎達の期待とはうらはらに無事帰還した。
その際、また心霊スポットに出かける時は誘って欲しいと友達の代わりの男は携帯番号の交換を申し出てきた。
中川さんは快く応じた。
「細長い感じの幸薄そうな男でした。彼女は絶対にいなそうな印象でしたね」
肝試しは完全に空振りに終わった。
しかし中川さんはその日から右肩の鈍痛と鉄臭い匂いに悩まされ始めた。
さび臭いような鉄の匂いが自分の体からし
ているのがわかった。
幸い他の人にはわからなかったので放っておいた。
「何か貰ってきたかもしれない」
そんな考えが脳裏をよぎった。
だからといってどうする事もできないと中川さんは気にしないように努めた。
そんなある日、例の男から中川さんに電話があり、会う約束をした。
中川さんの不調を話すと
「いい方法を知っている」
男がそう言っていたからだった。
日曜日、その男と駅で待ち合わせ、中川さんの車でファミレスに行った。
ランチタイムをすぎていたからか、店内は空いていた。
「何人様ですか、おタバコは御吸いになりますか」
店員はマニュアル通りに聞いてきた。
中川さんは指で2人と示した。
「お客様、車の中に小さなお子さまを置いてくるのは危ないですからちゃんと連れて来てください」
店員は注意するように言った。
「車の中には誰もいないよ」
中川さんはムッとしながら答えた。
「奥様がついていらっしゃるとしても、夏ですし小さなお子さまは危ないですよ」
「だからそんな連れは車には乗ってないだろ!」
中川さんは駐車場に止めた自分の車を指差した。
中川さんの車の後部座席に見知らぬ女と子供が座っている。
はっきり見えたせいか中川さんは
誰かが勝手に入りこんだと思い車に走った。
車の窓から後部座席を覗きこむ。
・・・誰もいない。
首をかしげながら中川さんは店内に戻った。
連れの男がいない。
「あれっ一緒にいたやつは」聞かれた店員もあれっといった顔をしながら困っていた。
「変な話なんですけど、俺、番号聞いた時にそいつの名前とか何も聞いてなかった事にその時初めて気付いたんですよね」
中川さんの携帯には名前はなく番号だけが登録してあった。
その番号にその場でかけてみたが
《この番号は〜》
というアナウンスが冷たく流れていった。
慌ててその男を代わりによこした友達に電話した。
「肝試しに行く事はいろんなやつに話して、声かけたからその中の誰かが行ったんじゃないか。だとしたら俺にもわからないよ」
そう答えが返ってきた。
「一緒に行った友達も確かにその男のことは覚えてました。でもその男が何処の誰かは知りませんでした。俺たちは何処の誰だか知りもしない奴とずっと一緒にいたんですよ」
悪寒が走った。
今でも
『ああ、それ××だよ』
と誰か言ってくれないかと中川さんは期待している。
「ファミレスからの帰りが一番恐かったですけどね。運転中バックミラーをまともに
見れませんでした。女と子供が座っていたら堪りませんから」
中川さん今でも時々鉄臭い匂いがする事があり、その度に思い出すという。
「鉄臭い匂いってたぶん血じゃないかなぁ」
その原因を見て知るのが一番恐いと付け加えた。








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内容: +1文章: -1心霊スポットで知らない人が紛れ込んでくる話は結構ありますが最初から観光客みたいな顔で乗ってくるのは珍しいですね。やや混乱しているんですが・・・「見えたり、いるのは解る」と冒頭にありますが、最後のほうではいるのかどうかも良く解らないよう .. ... 続きを読む

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 ものすごい大ネタだと思います。 なのに、筆力が追いついてない。 でも、起こったことを丁寧に書かれている。ちゃんと内容も理解できましたが、肝である呼び出され待ち合わせ場所で起こった怪異も説明調な為ゾ繧 ... 続きを読む

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■講評

祟りとか霊障とかよくある展開に陥らないこういう不条理な怪談は好きですね。

名前: 撃墜王の孤独 ¦ 17:18, Saturday, Mar 10, 2007 ×


ひっそりと紛れ込んでくる異界の人ですね。
ファミリーレストランの場面が面白かった。

名前: くりちゃん ¦ 18:51, Saturday, Mar 10, 2007 ×


心霊スポットものは食傷気味だが、これは「その場では何も起こらなかったと思ったら、実は最初から起きていた」という面白いパターン。
ただ、ファミレスの店員のセリフには違和感を覚えた。子供一人ならともかく、大人(妻に見えた女性)がついているのに、こんなことを言うだろうか。

名前: ナルミ ¦ 01:47, Sunday, Mar 11, 2007 ×


語り手に霊感があることを前提として始まるお話はあまり好きではないのですが。

男も車の母子も、中川さん以外に目撃者が必ずいるんですね。貴重なお話だと思います。(+1)
ファミレスで車に乗った母子を見たことをクッションにして(これも十分怖いのですが)、さらに衝撃。
「見知らぬ男か、怪しいな」と構えて読んでいたものの、普通に再会してるわ車の母子の目撃談は始まるわで、忘れつつあるところにガツンときました。
中川さんは霊感があるもののあまり自信はないといった感じで始まっているので、ここまで気付かなかったのも不自然には見えませんでした。
男の存在を怪しいと思わせないように、うまく隠してありますね。
構成の上手さにやられました。って、私が単純なだけでしょうか;(+3)

ファミレスの店員、保護者つき(に見えた)なら注意しないのでは?
そういう店もあるのかもしれませんが、一般的ではないパターンが現れるとどうしても不自然に見えてしまい、「本当なのかな?」という疑問がわいてしまいます。
店員にも見えたという大事な場面なだけにひっかかったので、ごめんなさい(−1)で。



名前: 13 ¦ 19:27, Monday, Mar 12, 2007 ×


男の存在が曖昧になる構成はうまいですが、序盤はもう少し書くことを整理できたかも。霊能力、肝試しときたなら身構えてしまうのは、自分だけでしょうか。
ただ、男・女、子供・鉄の臭い、と怪異がそれぞれ分散してしまって印象が薄まった気がします。
素材:+2 文章:0

名前: 夢屋 陣 ¦ 14:55, Tuesday, Mar 13, 2007 ×


微妙だなぁ、これ
読んでいて薄ら寒さを覚える点が、「彼女がいないやつは可哀相」や「絶対彼女がいないだろう」というような、薄っぺらい中川さん(もしくは著者)の価値観ですね。
もはや意味がわからないところを強調しまくるあたりで、もう感情移入したくなくなる。
↑これも私個人の価値観だけどね^^;
何でかなぁ、これにも創作臭を感じて拒否反応が出てしまうんです。何でだろ?どこでそう思うんだろう?全体的なちぐはぐさがそう感じさせるのかな?
わからんないんですが、著者さんごめんなさいね。

最後の「血」のくだりは要りませんね。
鉄の匂いを散々強調してるあたりで読み手はそれが「血の匂い」であろうことは想像してますからね。言わずもがなです。

名前: cross2M ¦ 13:34, Saturday, Mar 17, 2007 ×


   -4   0  +4
文章;■■■■□□□□□(−1)…a
構成;■■■■□□□□□(−1)…b
怪異;■■■□□□□□□(−2)…c
恐怖;■■■□□□□□□(−2)…d
嗜好;■■□□□□□□□(−3)…e
※(a+b+c+d+e)/5…総合点(小数点以下第1位四捨五入)

 正直、リアリティを全く感じない。
 怪異として提示されている内容も安っぽいB級ホラーの繋ぎ合わせとしか思えない。
 そもそも、心霊スポット探索に行ったのが相当な大人数であれば理解できるが、全員が同じ車に乗車し、何処の誰だか誰も判らない、誰も何も訊かないなどということが実際にあるのだろうか。あったからこの作品が書かれているわけだが。
 また、正体不明の男に関しても車に乗っている親子にしても第三者が視認している。中川氏が冒頭に見える人物であることが記述されているが、これが全く無駄な情報に終わっている。
 鉄分の臭いと血液のそれを結び付けるのも有り触れていてチープ。

名前: 空 ¦ 23:54, Saturday, Mar 17, 2007 ×


『誰かが勝手に入りこんだと思い車に走った。
車の窓から後部座席を覗きこむ。
・・・誰もいない。』
この三行の間にいつ目を放してしまったのでしょうか。いつどういう形で『誰もいない』状態になったのかを書いてほしかったです。

男は、『後部座席に見知らぬ女と子供』を見て逃げ出してしまっただけでは、と思ってしまいました。
『男を代わりによこした友達』の話も信憑性が薄いかなと。
ひとつの話として、決定的な証拠が足りない気がします。
でもこの展開はゾクゾクするものがあるので、もう少し丁寧に書いてくれたらもっと良くなると思います。

名前: 雛人 ¦ 16:06, Sunday, Mar 18, 2007 ×


現れた者たちの直接のつながりは不明だが、心霊スポットに気安く向うという、行動に、憑いていく者、連れてきた者がいたのは確かではないでしょうか。
すでに向かった時点で、彼らに魅入られていたのでしょうか。
文章は特にうまいというわけではありませんが、丁寧に説明しようとする姿勢は感じられると思います。
恐怖から逃れたいがために、誰かに違うと言って説明してもらえたら体験者は、少しは楽になれるのかもしれないですね。

名前: 黒ムク ¦ 12:21, Thursday, Mar 22, 2007 ×


文章:0 怪異:+1

怖い、は怖いです。
結局謎が解けてないところもいい。
でも皆さん書かれてるようにどっか作り物っぽい。
もうひとつ何かが…。
個人の好みの差だと思いますけど。

名前: 晴。 ¦ 16:51, Wednesday, Apr 11, 2007 ×


例の男は中川さんが、車の中にいるはずのない女の子に気を取られている間にコソッとどっかへ行ったのでは?と馬鹿な事を考えてしましました。すみません。
右肩の鈍痛と鉄臭い匂いは最後まで一連の怪異に結びつきませんでした。
でも、店員も見たという車の中の女の子は、本当の怪異かと思います。これは怖かったです。文章技術評価0 体験談希少度評価2

名前: ナメコ ¦ 19:02, Friday, May 11, 2007 ×


納得しかねる部分もありますが、怖い話。4人でいて、氏素性がわからないままってのがありなのか?でも、そこからが怪異の始まりだったのかも、とも思うし。

名前: ペペ ¦ 09:36, Saturday, May 19, 2007 ×


あれもこれもと怪異を詰め込みすぎていて、話の焦点があちこちに飛んでしまっている印象を受けた。
まず冒頭で、体験者が「見える人」であることを説明しているが、これまでに散々言われているように、不要な記述だろう。見えることを強調すればするほど、話は胡散臭くもバタ臭くもなってしまう。あまりに常套句すぎて、話に信憑性を持たせるに至らないのだ。
女性と子供がいることを店員に注意されるくだりが不自然に思う。訝しがるならまだしも、いきなり立腹するというのはいかがなものだろう。ましてや、体験者は「見える人」のはずであり、体調も芳しくなかったわけである。ここで「もしかして霊が……」という思考に至らなかったんだろうか。
謎の男の存在も引っ掛かる。素性がわからないのはともかくとして、女性と子供の霊とどのような関連性があっったのだろうか。なんだか、話を盛り上げるためにポンと都合よく登場し、ポンと退場したような印象を受けてしまう。
以上の点から、いくつかのエピソードを繋ぎ合わせた話のように感じた。文末の「血の匂い」という台詞も、直前まで男性について語っていただけに、空回りしている印象を受けた。

名前: GPZ ¦ 00:12, Tuesday, May 22, 2007 ×


面白い現象が連続して起こり、飽きさせない展開ではあるのだが、
全体の繋がりが希薄な印象がある。
また、八甲田山というだけで余計な先入観を持つ読者(私だけかもしれませんが)もいると思われるので、
地名は伏せた方が良かったかもしれないですね。

名前: 藪蔵人 ¦ 21:44, Tuesday, May 22, 2007 ×


うーん、どことなく構成ミスが目立ってしまうつくりですね。
ハンバーグのつなぎの卵とパン粉の分量を間違えたような気分です。調理したらバラバラになっちゃった気分です。
ファミレスの店員さん、普通はこんなダイレクトではないでしょうし、(自分も普段は接客業、マニュアル等にはある程度様子を伺ってからと指示されています)小さな子供の姿は見えにくいし、見えたとしても母親がいたら普通は注意しないでしょう。
この部分、少し描写を省略しすぎたのでは?これがお話全体の敗因に繋がってしまったのではないかと思われます。
全体的な雰囲気は悪くないのですが。
僕はこういう目にあった事はないのですが、なぜ顔も知らない代理の人間の事を誰も深く突っ込まないんでしょうね?ここらへんからすでに怪異は始まっているという事になるんでしょうか?
そう考えると、少し背筋が冷たくなります。

名前: 矢内 倫吾 ¦ 09:09, Thursday, May 24, 2007 ×


内容:2 文章:0

はっきりとしない男の存在が不気味です。
中川さんも周りの人も、すべてだまされているような。
車の女の子や中川さんに憑いたモノなど、曖昧さがかえって恐怖を倍増させていると思います。

名前: ダウン ¦ 09:47, Sunday, May 27, 2007 ×


素材・1 文章・−2
いつも思うのだが、
「あれ、お連れ様は?」
とか
「四人いらっしゃいましたよね」
とか言う店員さん多いなぁ。
世の店員さんは皆、見える人ばかりのような気が。

名前: つくね乱蔵 ¦ 19:31, Wednesday, May 30, 2007 ×


>彼女のいない可哀相な友人>彼女は絶対にいなそうな印象でしたね

何故彼女の有無に拘るのか、という素朴な疑問が頭に引っ掛かってどうも…(笑

怪異については、心霊スポットものとしては王道的な展開で類話から逸脱した部分が無かったのが残念です。

文章0.5 怪異0.5 =1

名前: 久遠平太郎 ¦ 21:17, Wednesday, May 30, 2007 ×



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