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長期出張をしている恋人が、久しぶりに帰ってくる。 一通りの支度とタクシーの手配を済ませ、あとは上着を羽織るだけ。遥さんは、クローゼットを開けて微笑んだ。 並べられた服の隙間から、鈍い光沢を放つ一着。古着の味わいを好む遥さんのために、先月恋人が送ってくれた皮のハーフコートだ。 このコートを着て迎えにゆこう、遥さんはそう決めていた。
そろそろ玄関に出ていようかな、とコートに手をかけると、何かに引っかかっている。 奥の方へ右手を入れると、固いものに触れた。それがビクッと動いたので、遥さんは声をあげて手を引っ込めた。 コートの両脇の服をおそるおそる分けた遥さんの目に、壁から伸びた茶色い棒のようなものが映った。棒の先端では、骨ばった手がコートの袖をしっかりと掴んでいる。 「ちょっと…何これ?」 後ずさりしながらも、その光景から目を離せない。そのうち、手は小刻みに震えながらゆっくりと壁に吸い込まれ始めた。 ハンガーからするりと落ちたコートが頼りなく波打っている。掌が吸い込まれ指しか見えなくなった時、遥さんは伸ばしかけた手で目を覆った。 (やだ、持っていかないで…)
パ・パンッ!
突然耳を刺したクラクションの音にハッとして、力任せにコートを引っ張ると、反動で尻餅をついた。 「いたたたた」 打ちつけた腰をさすりながら見上げたクローゼットでは、指が掴んだ形のままで止まっていたが、遥さんが立ち上がった途端にヒュッと壁に引っ込んで消えたという。
一目散に逃げ込んだタクシーで駅へ向かうと、改札口から次々と吐き出される人の中に彼の姿を見つけ、慌てて駆け寄った。 久しぶりの挨拶をする間もなくさっきの出来事を話し、最後に「どうしても渡したくなかったの」と付け加える。 すると彼が気まずそうに言った。 「古着屋行ったら、売りにきてた人がいてさぁ。頼むから今すぐ買ってくれって、拝み倒されたんだよね…」 遥さんはその場でコートを脱ぐと、彼の手をとって駅前の古着屋へ直行した。
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受信: 12:48, Monday, Mar 19, 2007
■講評
異界のモノと引っ張り合いっこするくらい気に入ったコートなのに、恋人から入手したときの話を聞いてすぐ手放すのには疑問がわいた。そんなに怖かったら、そもそも着るのをやめるのでは? 実話ということですけど。
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名前: くりちゃん ¦ 15:19, Friday, Feb 16, 2007 ×
恋人がくれたって理由だけで頑張ったんだろうなあ。コートのせいなの?と思った途端に情熱が冷めるのもわかる気がします。 恋人の言い方も、自分のために選んでくれたと思っていたのにガッカリさせますね。(+1)
恋人の言葉に、いわくつきの品だと理解させるもう一声があれば良かったかも。(−1) |
名前: 13 ¦ 19:13, Friday, Feb 16, 2007 ×
恋人が自分の為に特別に選んでくれたのかと思ったら、 拝み倒されたから仕方なく買ったなんてがっかりですね。 どんないわく因縁があったのか分かりませんが、 すぐに手放そうと思ったのも無理はないですね。 実話の結末を勝手に作るわけには行かないでしょうが、 話の結末が何だか味気ない感じがしました。 起こった怪異はちょっと怖かったのですが、±0です。 |
名前: 飛泉 ¦ 21:02, Friday, Feb 16, 2007 ×
内容:0 文章:0
おこった怪異は、少し気味が悪いですが特別怖くはなかったです。 最後に売ってしまうとはいえ、そんないわくありげなコートを着た彼女の勇気はすごいですね。
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名前: ダウン ¦ 23:55, Friday, Feb 16, 2007 ×
| 怪異はそこそこだったが、そんなコートを恋人にプレゼントする男、というのはけっこう怖いかも。 |
名前: ナルミ ¦ 00:36, Saturday, Feb 17, 2007 ×
怪異:タクシーグッジョブ!かな?状況がわからんが多分タクシーなんだろう。>クラクション ていうか、恋人もうかつだ脳。そんな必死になって売ろうとする真意を察しないと。 人間が一番怖いってお話ですよね、これじゃ。でも+1 文章:非常に……読みやすいです。唯一のストップポイントがクラクションですが、他の文章で補って余りあります。+1.5 |
名前: brother ¦ 00:51, Saturday, Feb 17, 2007 ×
うーん、彼にもらったから取られたくなかったけど、彼の了解を得たから、売り払ったのかなぁ。 その辺の心の動きがよくわからないので、行動が矛盾しているように感じるのです。 |
名前: 丹羽 ¦ 13:28, Saturday, Feb 17, 2007 ×
技術0 素材1 小説的な話はこびが好みの分かれる部分ですが、安定感は感じられます。 個人的には、ベタなシチュエーション(彼氏が来るのをワクワクしながら待っている)の場合、小説的に描いてしまうと若干鼻につくかなという印象です。 なぜその手法で描くのか、という必然が、薄いように思うからです。
内容に、少しだけ違和感を覚える部分がありました。 この怪異は、古着屋で彼氏の遭遇した売主というのがキーになるはずなのですが、この締めはやや消化不良でした。 店が買い取るだけでは納得できず、一秒でも早く客の手へ移そうとする行動は、かなり奇異なことではないかと思います。 どのような人物だったのかは読者が想像するにしても、もうひと描写、判断材料がほしい。 現状の切り上げ方では、不安定な尻切れ感が強いです。
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名前: Chelsea ¦ 09:55, Sunday, Feb 18, 2007 ×
骨ばった手とコートの取り合いをした時点でそのコートを着る気はなくなるような気もするのですが。 とか、表現の点でも色々創りこみ過ぎかなと思える点があったりして。 |
名前: 藪蔵人 ¦ 12:58, Sunday, Feb 18, 2007 ×
この二人にまったく魅力を感じませんでした。 会話部分を丁寧に描くと伝わり方も変わってくると思います。 |
名前: 雛人 ¦ 20:46, Sunday, Feb 18, 2007 ×
-4 0 +4 文章;■■■■■■□□□(+1)…a 構成;■■■■■□□□□(±0)…b 怪異;■■■■■□□□□(±0)…c 恐怖;■■■■■□□□□(±0)…d 嗜好;■■■■■□□□□(±0)…e ※(a+b+c+d+e)/5…総合点(小数点以下第1位四捨五入)
どうも小説風に書かれると、全体的に造り込まれた印象を受け、自分が求めている実話怪談とは異なったものに感じてしまう。 怪異自体も特に目新しいものではなく、いくつか不自然な点も見受けられるので上記の評価でご勘弁いただきたい。 |
名前: 空 ¦ 12:30, Monday, Feb 19, 2007 ×
素材+1 文章−1
古着を買ったら……。というのはオーソドックスなのですが、怪異に遭遇してからクラクションまでのシチュエーションに。 クラクションについて。私の所では、アパートに来てもらうと、クラクションを鳴らされる事が多々あるので違和感はなかったです。 しかし、表現や台詞が小説風なのでわざとらしく読めてしまいました。 最後も急ぎすぎなのか、尻切れ感が。 |
名前: 有線 ¦ 14:07, Thursday, Feb 22, 2007 ×
文章:+1 怪異:-1
前半の文章と後半の文章が別次元にあるみたいな感じがします。 後半、疲れてしまいましたか? 前半部のままの文章で読みたい。
それにしても、なんてものを恋人に贈るんだ。>男
彼からもらったコートを手放したくなかった。 というよりも、なにかそのコートによる別の力のせいで怪と引っ張り合いをしたのかな、と思いました。 そのコートを手にすると「あたしの」となる、と。
なのにラストであっさり手放すなんて。がっかり。 そうなると、タイトルはただのネタバレです。 |
名前: 晴。 ¦ 16:58, Friday, Feb 23, 2007 ×
ろくな彼氏ぢゃない(笑)別れなさい。 普通はそんなわけあり物件買わないし彼女にもやりませんよ(笑) でもそれをやってしまったのね。あーあ。 しかもおなじみ茶色の人の腕が〜出ましたか。 ちょっと風味が怪コレ収録の某作品に似てまして、しかも少し文章が硬めで怪異の描き方があっけらかんとしてしまっているのが惜しい。もっとどんな因縁があったのだろう、どんな秘密があったのだろうとサービス精神を旺盛にするとおいしいと思います。茶色の腕。 いや、しかし遥さん、あなたも物欲強いですねー。僕はそんなのと引っ張り合いする勇気など、たぶん無いです(笑) そのときの「もってくなー」と吼える遥さんの絵も、かなり怖そうに感じるのですが、はは。 |
名前: 矢内 倫吾 ¦ 02:46, Sunday, Feb 25, 2007 ×
| 素材・0 文章・−1 情景が想像し難い。書き方によっては、もっと怖くなると思いました。 |
名前: つくね乱蔵 ¦ 10:36, Monday, Mar 05, 2007 ×
| 昔からある怪談で「小袖の手」っていうのがあるの知ってます?それの現代版みたいなものですか? |
名前: コテキツブ ¦ 15:42, Monday, Mar 05, 2007 ×
嫌な彼だなぁ>< 買わざるを得ない状況だったしても、そんなものプレゼントするなよ! 本当に愛してるのかぁ!彼女のことをー! と突っ込みたくなりますね ただ、一読しただけでは状況がはっきりわからなったです>< 内容+1 文章ー1 |
名前: cross2M ¦ 16:20, Friday, Mar 09, 2007 ×
売りに来た人に拝み倒されることはあると仮定しても、直接そこで商談成立するのかなぁって疑問が・・・・ お店の人も値段付けたりすると思うし。 そもそも彼女に、そんなよくわからないものをプレゼントするのもどうかと思うし。 ものすごく彼女の好みの商品だったとしてもですよ。 取り合いの直後にそんなものに袖を通す彼女もある意味すごいな。 そんな勇気ないです。 とりあえず置いて逃げます。 怖い前にいろいろ突っ込んでしまうお話です。 |
名前: 黒ムク ¦ 13:10, Friday, Mar 16, 2007 ×
怪異よりも、登場人物の不自然さを読み手が感じる時点で怖さが半減してしまったようですね。 曰くつきの物にまつわる話は定番ですから、アヤカシとコートの取り合いをしたところに焦点を絞った方が印象は変わったかも。 小説風に書いているなら、ラブラブ感>恋人からの贈り物死守!>曰くつきの贈り物と判明>恋も冷める、という展開を分かりやすく書いてもらえたら面白かったかな。別な意味で怖いかも。 素材:+1 文章:−1 |
名前: 夢屋 陣 ¦ 13:40, Friday, Mar 16, 2007 ×
身につける物には念が籠もるとよく聞きます。こんな話を聞くと古着なんて怖くて着れませんな。ええ、だから私はいつもユニクロです(って関係ないか 評価としては類話が多く、パターンから逸脱した部分が無いのが残念なところです。 文章1 怪異0.5 =(繰り上げて)2
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名前: 久遠平太郎 ¦ 20:03, Saturday, Mar 24, 2007 ×
古着というところから何となく展開が読めましたが…。コート自身が意思を持った妖怪のように感じる所がおもしろいです。古着屋で売りにきてた人から頼まれたぐらいで彼氏があっさり買ってしまったというのは購入した理由にしては少し安直な感じもします。 文章技術評価 0 体験談希少度 0
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名前: ナメコ ¦ 15:21, Wednesday, May 02, 2007 ×
「よく出来た怪談だな」というのが率直な感想である(良くも悪くも)。 最後の一節で、曰くつきの品であることは明白ではあるが、 「店舗内で、見ず知らずの人にコートを売りつける者がいるのか?」 という違和感も同時に感じた。 |
名前: GPZ ¦ 18:58, Thursday, May 10, 2007 ×
| この女性が着ることを嫌がったの?持っている分にはよいのか?よく着れるなぁ、気になった。 |
名前: ペペ ¦ 16:36, Wednesday, May 16, 2007 ×
希少価値1 文章0 クローゼットの奥を探った時自分の手と触れたという事実が想像すると気味悪い。相手(骨ばった手)も遥さんのてに触れた時、びくっとなったというのは少しかわいらしい。 少し読み返さないと分かりづらい文があったのが残念。 |
名前: Heath ¦ 00:37, Saturday, May 26, 2007 ×
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