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「俺はさ、人としてやっちゃなんねえ事は結構経験してきたよ。『何でやっちゃいけねえの?』て思いながらさ」 と、浩一は言う。 今でこそ落ち着いてはいるものの、若かりし頃は悪行三昧のとんでもない悪ガキだった。 時には警察に厄介になったり、時にはヤクザに拉致されそうになったりと波乱に満ちた青春だったが、本人にとっては「それが日常だった」そうだ。 「けどな」 と、浩一は付け加える 「やらなきゃよかった、て後悔したことが、一個だけあるんだ」 十五年ほど前、彼が高校生だった頃の話である。 その晩浩一は、地元の仲間と酒を飲んだ後、夜の街を徘徊していた。 やがて彼らは線路の上に架かる陸橋へ辿り着いた。 地面までの高さはざっと二十メートルはある。当然ながら、落下すれば無事では済まない高度である。 実際のところ、その数日前に、同じ学校に通っていた女子生徒が投身自殺を図り、亡くなっていた。失恋による傷心が自殺の理由だったという。 その事実を示すように、欄干の袂には花やジュースが供えられていた。 しばしその場に留まり、彼らはその女生徒について話をし始め、自らの命を絶った彼女を悼んだ。 そんな中、浩一は手すりから身を乗り出し、「自殺の再現」を披露してみせたのである。 「みんなドン引きだった。そりゃそうだよな。今思うと、何であんな事やったんだか。『俺には怖いものなんてねえぞ!』てアピールしたかっただけなのかもな。ガキだったから」 と浩一は回顧する。 その翌朝、異変が彼の身体を襲う。 「手首から先はどうにか動かせるんだけどな。どんなに力入れても腕が上がらないんだ。最初は『寝違えたかな?』程度にしか思わなかったんだけど」 どうにかして制服に着替え登校したものの、依然として両腕は使い物にならない。もっとも、授業は元よりノートすら取っていなかったし、トイレ以外の身の回りのことは全て舎弟分にやらせていたので、日中の行動にはさしたる支障は無かったのだが。 「それを前の日に陸橋に行ったメンバーに言ったらな、『お前、そりゃやばいって』て言われるわけよ。絶対自殺した女の子の祟りだ、て。そんな訳あるかい、て突っぱねたけどな」 病院にも行かなかった。いつか治るだろう、と考えていた。浩一はどこまでも楽観的であった。 しかし、一週間近くが経過しても両腕が元に戻る気配は一向に無い。ここに至って、さすがの浩一もようやく「これはおかしい」と思い始めるようになった。 「さすがにその頃になると、周りも『御祓いに行け』だの『女の子に謝りに行ってこい』だの言ってくるわけよ。だから『そこまで言うなら、仕方ないから行ってくるわ』て強がったけどな。うん、ぶっちゃけ少しびびってた」 浩一は花と線香を携えて自殺現場に赴き、女生徒の霊に無礼を詫びたという。どこまで本心だったのかは分からないが。 すると翌日には、腕は全く問題無く上がるようになったのである。 「下手な二流映画みたいな結末だろ? 俺自身信じられないけど、実際そういう目に遭ったのは確かなんだからしょうがないよな」 ところで、もし仮に亡くなった女生徒の祟りだとしたら、何故両腕が上がらなくなったのだろう、という私の疑問に対し、 「これは後で聞いた話なんだけどな。その女の子、地面に肩から落ちて亡くなったそうなんだ。まあ当然即死だったわけなんだけど。折れた肩の骨が反対側まで突き抜けてて、万が一生きてたとしても両肩とも使い物にならないくらいに損傷してた、て話だ」 と彼は答えた。 「最初にも言ったけど、俺は今まで人としてこれはダメだ、て言われるようなタブーは沢山犯してきた。けどさ、それでもやっぱり踏み込んじゃいけない領域って確かに存在するんだよ」 やや沈んだ声色で、浩一は話を締めくくった。
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■講評
「」と『』の使い方が目に付いた。 体験者の言葉の中に、さらに会話部分が入ったのを、区別する為のものだと思うが、効果的な感じはしない。 それだけの悪が、肩の不調から踏み込んじゃいけない領域って確かに存在するとまで考えると納得させるには、少し説得力に欠ける。 ただの不調だと厳しい意見をいう者もでてくるのでは? もう少し鬼気迫る感じの表現があってもよかったのではないでしょうか。 書き出しから、よっぽどひどいことをしたと想像しただけに、空振り感が残る。
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名前: 黒ムク ¦ 12:23, Friday, Mar 23, 2007 ×
素材+1
確かに因果な話ですが、私はもう少しおどろおどろしい話かと思ってしまいました。
怪異としては、『自殺現場で悪ふざけをしたらおかしな目にあった』というオーソドックスなモノです。 ですが、如何せん修飾過多の様な気が。 もう少し削り込んだほうが良いかと。 |
名前: 有線 ¦ 13:04, Friday, Mar 23, 2007 ×
悪行三昧というので、どんな非道なことをしたのかと思ったら。 それでも最後には後悔しているようだから、よほどこたえたのだろう。 導入部がちょっともたついた感じがする。 |
名前: くりちゃん ¦ 13:18, Friday, Mar 23, 2007 ×
食べに入ったお店の料理がおいしてく、「あそこの店すんごくおいしかったから、一緒に行こう」と散々誘われて食べに行ってみると、「言うほどおいしくないよ・・・」って感じです。 つまり、ハードル上げすぎですよorz どれほどのものかと、タイトルの「因果」と相まって期待に胸膨らませて、読み進めたわけですYO 人物設定と怪異とのバランスが悪すぎです>< そこまで過剰な人物紹介が果たして必要だったのでしょうか? それだけ悪行三昧の人間が、「こんな程度の怪異にびびった」ってことを書きたかったのかなぁ。 ってことで、文章が濃い割りに内容が薄く感じたので、評価低いです>< 内容ー1 文章0 |
名前: cross2M ¦ 13:56, Friday, Mar 23, 2007 ×
タイトルといい、序文の独白といい、期待させる書き出しだったのですが。 読み手が思うようなことを、およそ台詞の中にちりばめ、怪異も自己解釈つきですから怖さが削がれているのでしょう。 それにしても、「人としてこれはダメだ、て言われるようなタブーは沢山犯してきた」なら、腕が上らない程度以上の因果応報があってもおかしくないかと。 素材:0 文章:−1
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名前: 夢屋 陣 ¦ 15:19, Friday, Mar 23, 2007 ×
いきがってはいるけれど、性根は意外とびびりだった、 ってことかな。 かわいいやつだな、浩一君は。 って、こんな感想じゃしょうがないよね。 でも浩一君の人物紹介に力が入っているので 怖さよりもそちらに気をとられてしまいます。 怖さを引き立てるための装飾が残念ながら 裏目にでたかと。 話の重点がどこかもう一度考えてみると よいのではないでしょうか。
難しいとは思いますが頑張ってください。 |
名前: 桜子 ¦ 21:12, Friday, Mar 23, 2007 ×
前置きでこれだけ期待させておきながら、怪異自体はそれほど怖くもなくて拍子抜けだった。変に浩一のキャラを強調したりせず、怪異だけに的を絞って書いた方がよかったと思う。
しかし、「人としてやっちゃいけない最大のこと」が「自殺者の真似をすること」だったとは、浩一も悪ぶってはいるが本当は小心者なのかもしれない。(警察に厄介になったのも、万引き程度のことかも) |
名前: ナルミ ¦ 00:41, Saturday, Mar 24, 2007 ×
内容:0 文章:0
元極道くんが、どんな罰当たりをやらかしたのか、期待していました。 確かに、女子高生を侮辱したことは罰当たりですが、勿体ぶった言い方にしてはやや拍子抜けでした。 怪異自体も腕が上がらなくなったというだけで、しかも謝ったらすんなり治ってしまいましたし。 |
名前: ダウン ¦ 23:17, Saturday, Mar 24, 2007 ×
マッチョと乱暴者は、えてして超常現象に弱いんです。 あと、変な部分に人間的なもろさがあったりとかして(笑) 以前、嫌がらせでガソリンタンクに穴を開けられたヤクザ屋さんの車をオーナーが来るまで見張っていたら(いえ、引火爆発大惨事の恐れがありましたので)えらく感動されて上寿司おごってくれました。まあ、あんまりおいしく感じなかったですけど(笑) 主人公の方は、自殺現場で彼女ととりつかれた時に、その心もシンクロしてしまったのかも知れませんね。突っ張ったり、えらぶったりするのが寂しさの反動という事で相反する二人には見えない共通点があったのかも知れません。 うん、お釈迦さまが蜘蛛の糸をたらしてくれるかもしれませんよ浩一さん! 人として、怪談の中にある教訓は拾い上げなくちゃ(笑) |
名前: 矢内 倫吾 ¦ 15:41, Sunday, Mar 25, 2007 ×
| 自殺した女子高生が優しい性格で良かったですね。ホントに。長いお話ながら、スラスラ読めました。しかし、書き出しがオーバー過ぎたのか、どんな凄い体験談かと期待してしまいました。読んでいく内に、浩一さんて、そんなに悪い事をしてきた人に思えなくなったんですが……。まあ、高校生の時の経験なんで、その後更に悪い事してきたのかと、勝手に解釈させていただきました。 |
名前: 麻田夕真 ¦ 21:31, Sunday, Mar 25, 2007 ×
>「下手な二流映画みたいな結末だろ? と問われたら、申し訳ないですがYesです。 面白そうな宣伝に惹かれ、いざ劇場へ足を運んでみたらイマイチだった…みたいなorz 冒頭が誇大広告になっちゃってます。 小粒なお話ながら、さらりと書かれていれば肩透かし感はなかったと思います。(−1) ここまで台詞を多用するなら、大げさな部分を削った上で浩一さんの語りのみにしても良かったかもしれません。
浩一さんの語りの間にある文章、きれいに流れていてとても読みやすいです。長めの1行でも、ダラダラした感じが全くありません。 台詞が主体ではなく、この文章が主体で綴られているお話を読みたいと思いました。ぜひお願いします。(+2) |
名前: 13 ¦ 18:40, Tuesday, Mar 27, 2007 ×
-4 0 +4 文章;■■■■■□□□□(±0)…a 構成;■■■■■□□□□(±0)…b 怪異;■■■■■□□□□(±0)…c 恐怖;■■■■■□□□□(±0)…d 嗜好;■■■■■□□□□(±0)…e ※(a+b+c+d+e)/5…総合点(小数点以下第1位四捨五入)
怪談を読む際に、その作品の当事者が怪異に対して非礼であればあるほど「恐怖におののけ!もっと酷い目に遭え!」と思う心霊サドなわけで。 故に豪胆自慢の言動をとる体験者には不謹慎にも相応の仕打ちを望むわけで。 ……腕が上がらなくなっただけかよorz いや、それほど怪異に対しても無礼な振る舞いはしてないんだけど。 当事者の台詞だけが大袈裟で怪異と釣り合わず、作品全体を駄目にしてしまった印象。 当事者のキャラクターに係る記述を取捨選択する必要があったのでは。 |
名前: 空 ¦ 12:35, Wednesday, Apr 18, 2007 ×
素材・−2 文章・−2 期待外れも甚だしい。 腕が上がらないのが怪異なら、 世の四十肩、五十肩の皆さんはどうする。 文章も冗長。 余計な部分を削ぎ落とす事を強くお勧めする。 |
名前: つくね乱蔵 ¦ 11:22, Friday, Apr 20, 2007 ×
| 結構面白く読めました。なぜ、腕が使えなくなったかというところまでちゃんと突っ込んで取材している所は良いですね。腕が腐っていくというぐらいの怪異ならもっと凄かったかも。これはやりすぎかな・・・。 文章技術評価1 体験談希少度評価2 |
名前: ナメコ ¦ 22:50, Tuesday, May 01, 2007 ×
| 「俺は今まで人としてこれはダメだ、て言われるようなタブーは沢山犯してきた」って言ってますけど、人には迷惑かけておいて、自分がやらかした罰当たり行為にビビってるなんざ、小心ですね。期待してたら何か拍子抜け。文章に浩一君のノリが出ている感じで、その点では、まあ、よいのかな? |
名前: ペペ ¦ 14:37, Sunday, May 20, 2007 ×
不良少年も霊には弱いのですかね。 しばしその場に佇んで死を悼んだり、なんだか本当は優しいのだなあと。 まあ、それすらステレオタイプと言えなくもないですが。 タイトルと、前ふりが怪異に見合っていないせいで、ちょっと勿体ない出来だと思います。 |
名前: 藪蔵人 ¦ 21:04, Friday, May 25, 2007 ×
怪異よりも、体験者のキャラクター色が強く出てしまっている。 状況説明がやや周りくどく、全体として冗長に思える。
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名前: GPZ ¦ 02:21, Saturday, May 26, 2007 ×
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