| 公開済み作品 |
2008年 4月
2007年 6月
2007年 5月
2007年 4月
2007年 3月
2007年 2月
|
友人の聡美から聞いた話をまとめてみた。
産科の待合に座る聡美に一人の看護師が 声をかけてきた。 それは高校の同級生だった淳子であった。 どこか悪いのか、と訊ねる淳子に聡美が答えた。 「あたし子供が出来たかも」
聞いた途端、淳子の様子が変わった。 「あんた、少し時間有る?もう少しで上がるから、ちょっと話そう」
「いいよ。どうせまだまだ待たされるみたいだし」
三十分後、病院の別館にある喫茶店で二人は向かい合った。
「聡美、悪いこと言わないからこの病院で産むのは止めなよ」 淳子が声を潜めて言う。
「なんで、ってな顔ね。良いわ、教えてあげる」 珈琲を一口啜り、話し始めた。
「最新鋭の機材を揃え、産婦人科の医師も三人居る。 小児科病棟も隣接しているから何かと安心だし、 完全介護で不自由は一切無い」
「だったら何の問題も無いじゃ」 口を挟みかけた聡美を目で制し、淳子は続けた。
「だけどあたしは大事な友達のあんたに、 ここで産んで欲しくない。 問題は、たった一つなんだけどね。 名前は言えないけど、ヤバい医師が居るのよ」
「ヤバい?」
その医師は、女癖が悪く、次々に看護師や事務員に手をつけるのだという。 その内の一人が妊娠したのだが、医師は認めようとせず、無理矢理に堕胎させた。 結局、その女性は自ら命を絶ってしまった。 病院側はその事実を知りながら、産婦人科を守る為に知らぬふりを極め込んだ。
「でね、信じてくれなくても良いけど、あたし、霊が見えるの。 そいつにね、いつも巻きついてんのよ、黒い女の影が。 木に巻きつくツタみたいにさ、肩から膝の辺りまで、ぐるぐると 巻きついてんの」
「ちょっと淳子」
「出産の時も離れないんだわ。産まれてくる赤ちゃんが羨ましいんだろうね。 あいつが担当する時は、その女も出産に立ち会うんだよ。 取り上げた時に、大事な赤ちゃんが女にペタペタと触られるんだよ。 あんたそれでも良いのか」
なんと言って喫茶店を出たか、思い出せないまま、 聡美は本館に戻った。 俄かには信じられない言葉であり、正直まだ迷っている。 待合に向かう途中、小児科外来の側を通った。 少年が瞬きもせず、何かを見ているのが目に入った。
(何を見てるのかしら) 少年の視線を辿り、振り向くとそこには白衣を着た医師が居た。 にこやかに妊産婦と話している。 突然、少年が母親に抱きつき、泣き始めた。 「帰ろう、もう治ったから。帰ろうよ」
母親が戸惑い、叱りつける。 「どうしたのよ、いきなり」
「怖いお医者さんがいるんだよ。黒いお医者さん」 そう言って、少年は尚も泣きじゃくった。
聡美は産科受付に向かい、キャンセルを申し出た。
 |
■ Trackback Ping URL
外国のスパマーへのトラップです(本物は下のほうを使ってください)
http://www.chokowa.com/cho-1/2007/entry-blog/blog-k.cgi20070314080815
■トラックバック
この記事へのトラックバックURL(こちらが本物):
http://www.chokowa.com/cho-1/2007/entry-blog/blog-k.cgi/20070314080815
» 【+3】「友の忠告」 [DJ ZIRO『超-1 2007』感想ブログから] × 「自称見える人」の話を信じて怖くなった怪談。て書くと身も蓋もないけど(^^;それ ... 続きを読む
受信: 14:08, Wednesday, Mar 14, 2007
» 【−3】友の忠告 [Forgotten Dreams 「超」1講評から] × <文章> −1 <体験> −2 <得点> −3 冒頭の文章は不要。少なくとも「まとめてみた」というのは。 人と霊との相乗効果でかなりダークな話に、なるかと思いきや見事な腰砕け。 つきまとってくる霊がただぺたぺた触るだけならそれ程嫌がる必要も .. ... 続きを読む
受信: 17:18, Wednesday, Mar 14, 2007
» [超−1]【+1】友の忠告 [幽鬼の源から] × “病院怪談”の中でも、医師の過去の悪事にまつわる怪異は不動の黄金パターンの一つである。 特に“女癖の悪い産婦人科医”は格好のネタといっても過言ではない。 どのような怪現象が起こるかは別として、この作品のようなストーリーはそれほど希少性が高いとは言えな .. ... 続きを読む
受信: 06:19, Saturday, Mar 17, 2007
» 【+2】友の忠告 [2007年超-1・TOMOKI講評から] × 随分と厭な医者ですねえ。病院側がスキャンダルを逆手に取って馘首したりしないとなると、まあそれでも腕は良いのかな。医療技術と人格の高潔さはまた別物という事なのか。それとも下半身は別人格ってやつなのか?淳子さん曰くの怪異は、大事な赤ちゃんにペタペタ触られ .. ... 続きを読む
受信: 23:47, Sunday, Apr 29, 2007
» 【+1】 友の忠告 [hydrogen's blogから] × 内容: +1文章: 0内容とタイトルがキチンと対応しているだけで、これほど安心感があるとは。そして、ヤバいですねこの医者は。婦人科の医師の癖にちゃんと避妊してない!中途半端な悪じゃないですよ。それだけだとちょっと弱い気がしたんですが、最後の子供の話があった .. ... 続きを読む
受信: 22:48, Sunday, May 13, 2007
» 【+4】友の忠告 [I'd like to tell you something about ...から] × 産科の看護婦さんの話はオバケじゃなくて、怖いです。いろいろ怖いです。 この病院は先生ですか。怖い患者もいますが、ココは先生なんだ。 友人がドクターに付いて語り、どうしようかと迷っていると子供が「怖い先生 ... 続きを読む
受信: 22:17, Monday, May 28, 2007
■講評
面白かった。 女癖の悪い医師、子供を堕胎させられたことによる自殺といった点はありがちな展開といえばそうだが、さほど気にならなかった。 最後に黒いお医者さんがいると泣きじゃくった子供を持ってきたことで、話に説得力が生まれていると思う。 |
名前: 黒ムク ¦ 12:50, Wednesday, Mar 14, 2007 ×
会話によって状況を進行説明する手法は、まだるっこしくなりがちかと。 結局、見ていないし、伝聞のままなので残念。 それでも、いや〜な感じが漂うのは素材の活きの良さでしょうか。 素材:+1 文章:0 |
名前: 夢屋 陣 ¦ 14:00, Wednesday, Mar 14, 2007 ×
怪異自体は面白いのだが。 会話体を多用する手法は冗長に流れがちなので、地の文で進行していく方が適度に引き締まっていていいと思う。前半部でいらついてしまった。 |
名前: くりちゃん ¦ 15:28, Wednesday, Mar 14, 2007 ×
名前: 博多魔道師 ¦ 19:37, Wednesday, Mar 14, 2007 ×
内容:2 文章:0
産婦人科の話だから、水子関係の話かと思っていたら、もっと怖い存在が出てきました。 女が赤ん坊をペタペタ触るという所が、寒気を感じました。 |
名前: ダウン ¦ 23:04, Wednesday, Mar 14, 2007 ×
怪異自体はけっこう怖いのだが、聡美自身は何も見ていない、という点で、やや恐怖が薄まってしまった。 (ところで、幽霊にべたべた触られると、何か実害があるのだろうか?) |
名前: ナルミ ¦ 01:44, Thursday, Mar 15, 2007 ×
まず、内容が好みのものでした。まだ見ぬ恐怖というかなんというか。(+1)
最後に登場する子供が効いてます。見えていない聡美さんや私を怖がらせるには十分でした。 触られるだけなら別に…とも思いましたがそれは他人事だからで、自分に置き換えて考えたらやっぱりイヤだな、と。(+2)
大半を会話の再現だけで済ませてしまっています。「まとめてみた」は大げさかもしれませんね。(−1) |
名前: 13 ¦ 20:30, Sunday, Mar 18, 2007 ×
「あんたそれでも良いのか」でちょっと笑ってしまいましたxxx失敬
いや、これ気持ち悪い。 もうね生まれた赤ちゃんべたべた触るのやめてーーー>< 因果関係はありきたりすぎて「ああ、また?」みたいな感じですが、そのお友達の見た怪異の表現に鳥肌立ちまくりです。 内容+1 文章+1 |
名前: cross2M ¦ 14:29, Monday, Mar 19, 2007 ×
-4 0 +4 文章;■■■■□□□□□(-1)…a 構成;■■■■□□□□□(-1)…b 怪異;■■■■■■□□□(+1)…c 恐怖;■■■■■□□□□(±0)…d 嗜好;■■■■■□□□□(±0)…e ※(a+b+c+d+e)/5…総合点(小数点以下第1位四捨五入)
2人のやりとりの不自然さがひたすら野暮ったい。 怪異自体はそれなりに恐怖を伴う性質のものであると思うのだが、とにかくそれを台無しにするほどの書きっぷりである。 おそらく話者の方か、若しくは筆者の方が相当な修飾を施しているものと推測する。 |
名前: 空 ¦ 12:44, Thursday, Mar 22, 2007 ×
文章:0 怪異:+1
必要な情報しか記されていないわりに何故か冗長。 でも、面白かったです。 嫌な話だけど、友情というプラス要素があるので救いもある。 |
名前: 晴。 ¦ 13:11, Tuesday, Apr 17, 2007 ×
病院ってただでさえ怪異が起こりそうなのに、女の怨念の霊が出るとは恐ろしい病院ですね。 聡美さんが、友達思いの淳子さんに偶然にも出会えて忠告してもらえたのがよかったですね。 文章技術評価0 体験談希少度評価1 |
名前: ナメコ ¦ 23:52, Monday, May 07, 2007 ×
| 病院と言う空間で、診察に来ているのなら、嫌な話は余計に嫌に聞こえると思う。自殺した女が出産に立ち会い、生まれたばかりの子供に触る。何とも気色悪い。ラストの子供の言葉にも説得力がある。 |
名前: ペペ ¦ 14:48, Saturday, May 19, 2007 ×
話の提供者が直接目撃していないため、怪異そのものが非常に曖昧な印象を受けた。 聡美さんより、淳子さんに取材を申し出たほうが良かったのではないだろうか。 医師にまとわりつく黒い影は、新生児にベタベタ触るとあるが、それ以上の霊障を及ぼすのかどうかが欠落しているため、「触るだけなら、害は無いんじゃない?」という考えに至る人もいるのではなかろうか。確かに、霊に自分の子供を触られるのはいい気分はしないだろうが。 評点には加味しないが、最初の一文は不要であると感じた。 |
名前: GPZ ¦ 02:50, Tuesday, May 22, 2007 ×
結構不気味なお話です。 真っ黒な医者ですか。絵は怖いなあ。 ありましたよ。地元の方が「あそこはやめてくれ!」と叫ぶ病院。 ただお話の展開方法はもう少し工夫があった方がよかったかも。 読みづらくはないのですが、行間がやけに気になったという珍しい例です。どこか詩歌を読んでいる感じで怖いというより朗読しているような軽さを覚えます。 文がお上手なので勿体無い。 この部分は次作で克服されましたか? どちらにしてもキャンセルされるのは正解です。触らぬ神にたたりなし。 |
名前: 矢内 倫吾 ¦ 19:59, Tuesday, May 22, 2007 ×
オーソドックスながら、厭な怪異ですね。 しかしながら、構成と文章にはもう少し工夫が必要ではないかと。 特に会話部分はやや不自然な感じが目立っています。
|
名前: 藪蔵人 ¦ 22:05, Thursday, May 24, 2007 ×
素材・2 文章・−1 もう少し素直に書けば良いのに、と思う。 やや飾り過ぎ。 素材は良いのに惜しい。 |
名前: つくね乱蔵 ¦ 16:13, Friday, May 25, 2007 ×
医者というと聖人君主のように思われている方もいるかもしれませんが、そんなことは全くありません。私も腕は良くても人間性に問題がある医者を何人か見たことがあります。今作の場合は女の死霊まで憑いているのですから、その医者に掛からなくて正解だったと思います。生まれた赤ちゃんを最初に触るのが霊だったなんてゾッとしますね。
文章1 怪異1 =2
|
名前: 久遠平太郎 ¦ 23:26, Thursday, May 31, 2007 ×
■講評を書く
▲TOP | [超-1情報] 主催者からのお知らせ
|